雨の日も風の日も ららる~♪

気ままな毎日を綴ります。

燕は戻ってこない

2024-05-27 | 本・ライブ

「燕は戻ってこない」桐野夏生の長編小説を一気読みした。この物語はNHK火曜ドラマで放送中。バレーダンサーの基(稲垣吾郎)と悠子(内田有紀)夫婦には子供がいない。一度は子供をあきらめたものの、優秀なダンサーの遺伝子を残したい…。日本では禁止されている「代理母」に子どもを産んでもらいたい。一人暮らしの派遣社員29歳のリキ(石橋静河)。憧れて東京へ出てきたものの夢も無い苦しいその日暮らし。お金が欲しい。ビジネスと割り切って代理母に応募する…そんな話だ。
タイミングよく原作を図書室で見つけたので迷わず借りた。物語の先が知りたくて一晩で読んだ。謝礼が1千万。仲介業者に1千万。2千万ものお金で命が売買される。子どものいない夫婦の人助けと言う名目のもとに。依頼主基のエゴ。蚊帳の外の悠子。お金は欲しいがビジネスでは割り切れない複雑なリキの心。都会の貧困、夫婦、命の売買、多くの問題を絡めながら、3人の心が揺れ動く。リキが命を宿すことによって変わっていく。肝心の子どもの人権はどう考えるのだろう。第3者である、春画を描く悠子の友人りり子とリキの友人テルが案外まともなことを言っていたように思える。想定外のラスト。この後の3人、子どもとどんな人生を歩んでいくのだろうか。吉川英治文学賞・毎日芸術賞受賞作。桐野夏生は好きな作家のひとり。結末を知ったドラマも楽しみだ。

中国雑技団

2024-04-20 | 本・ライブ

素晴らしいパフォーマンスでした!!昨日、中国が誇る「中国雑技団」を見てきた。8年ぶりの日本全国ツアーのようです。会場は3階まで満席。その人気ぶりが伺われます。
「MIRACLE ZATSUGI」衣装、音楽、舞台装置、構成etc洗練されたパフォーマンスでした。若い団員の際どい演技の度にわあ~と歓声と拍手が起こる。物語を取り入れて、バレーを見ているような美しい動き。中国ゴマを京劇の要素を取りいれた演技でみせたり、息をのむアクロバットだったり。一歩間違えば…命がけ。あっという間の2時間。大きな拍手に包まれて終了した。隣の夫は時々居眠り…。勿体ないなあ~。やはり「行ってもいいよ」は、妻に付き合ってくれたようです(汗)。
15年ほど前、上海で「上海雑技団」を見た。小さな劇場で、目の前で繰り広げられる演目に、手に汗握るハラハラドキドキ。今日のように洗練されておらず言わばサーカス。若い男の子たちが日ごろの訓練の成果を披露。昔の方が面白かったね~と夫と意見が合った。これも時代と共に変化なのでしょうね。夕食は外で。めったにない夫婦の外出でした。お付き合いお疲れさまでした。




102歳、一人暮らし

2023-11-04 | 本・ライブ

哲代おばあちゃんの、心も体もさびない生き方。
広島に住む哲代さんは何と102歳。1920年生まれです。86歳でご主人を亡くされて以来ずっとお一人暮らし。日記が中国新聞に掲載されて大人気に。何しろ笑顔がいいのです。ご近所さんたちに助けられながらのお一人暮らしは御立派です。小さな畑に野菜を作るのが日課。じっとしていると淋しくなるのでずっと動いているそうです。毎日が規則正しい。~よく食べよく寝てよくしゃべる~やはり基本はこれなんですね。
哲代さんの私らしく生きるための5カ条
    1 自分を丸ごと好きになる
    2 自分のテンポを守る
    3 一人時間も大切
    4 口癖は「上等 上等」
    5 何気ないことをいとおしむ
そうなんですね。しっかりメモさせて頂きました。元小学校の教員だった哲代さんは「仲よしクラブ」を立ち上げました。みんなで集まっておしゃべり。哲代さんがオルガンを弾いて歌います。子供さんが居なかったので姪御さんやご近所さんが助けてくれるそうです。もう一度20歳になれと言われてもなりたくない。年相応に生きるのがいいそうです。人生の場数を踏み人間が丸くなったと。100歳になっても一人で生きていける。それは自分次第。大先輩のお話はありがたいですね。元気が出ました。
戦争の無い平和な世界に。どの国の子どもも安心して暮らせますように~哲代さんの願いです。




品川カルテット

2023-07-13 | 本・ライブ

初めて「品川カルテット」のコンサートに行って来ました。
TSUKEMENのTAIRIKプロデュースのカルテットです。古澤巌(ヴァイオリン)福田悠一郎(ヴァイオリン)高木慶太(チエロ)TAIRIK(ヴィオラ)。
ほんとうにお久しぶりの古澤さんのヴァイオリンです。前から5番目の席。ひとつひとつの楽器の音がしっかり聴けて至福の時間でした。ロベルト・ディ・マリーノ氏が毎年品川カルテットの為に作曲された曲をここで発表されているそうです。モーツアルトのディベルティメントに始まり、マリーノ氏の曲が次々と。どの曲も馴染みやすく、TAIRIK君のMCも楽しい。親子のようなメンバーとのカルテットを楽しみながら、古澤さんの彼らへの思いがいっぱい伝わってきました。TAIRIK君にとって古澤さんは、大谷翔平のような存在だそうですよ。

2部はメンデルスゾーンの弦楽四重奏第4番。4楽章までしっかりと30分。コンサートでなかなか出来ないプログラムで勉強になりますと古澤さん。
アンコールでは撮影タイムが。そんなのがあるのですね~。コンサート中は撮影録画は禁止なのですが。粋な計らいですね。写真はブログOKですって。

やはり生の音楽はいいですね。細胞の隅々まで染みわたりました。それにしても古澤さんのストラディヴァリウスの高音が美しすぎます。高木慶太さんのチエロの響きが良かったなあ~。福田悠一郎さんのヴァイオリンもいい。TAIRIK君のヴィオラも良かった。はい品川カルテット素敵でした♪
夫が会場まで送ってくれるというので、申し訳ないので自分で運転して行きました。1時間のドライブも気分転換になりました。

*アミさんいつもありがとうございます。うれしいです。



8050

2022-12-29 | 本・ライブ

林真理子著「8050」を読んだ。
「8050」とは、80代の親が50代の子供の生活を支える。高齢者の親と中年の引きこもり。中高生で引きこもりになった若者たちが40代から50代になり、親も高齢になり社会問題となっている。この本は区民図書で400人待ちでした。それだけ関心があるということなのでしょうね。地元小学校の市民図書に希望を出したら、今月購入してくれました。

林真理子氏がこの問題をどう描くのか、自分も高齢になり興味があった。読んでみて「8050」とは違っていました。「5020」でした。この差は大きい。
ここからネタバレです。中学生の時に引きこもりになった20歳の息子と50代の両親。歯科医の父親を中心に、いじめた同級生に息子の無念を晴らす「復讐」の裁判をする話だった。
母と20代の姉の4人家族。7年間引きこもりだった息子に寄り添おうと父親が裁判に奔走する。知らなかった息子のこと。娘のこと。妻のこと。夫婦の問題…。家族の本音や姿がシビアに描かれていく。ただ父親は歯科医で経済的に恵まれており、息子も進学校に行った頭のいい子。母は役員の秘書をしていて専業主婦。娘は早稲田を出て大企業に就職しているという設定だった。

少年問題を扱っている庶民派の弁護士が力になってくれたり、7年前のいじめの有力な証人になってくれる人が登場したりと、上手くいき過ぎな感もする。息子が更生されていく過程も意外な展開。もともと頭のいい子なのでということらしい。引きこもりの解決はそんなに簡単ではないと思う。もっと根深いものがあるのでは。自分たちが死んだらこの子はどうして生きていくのだろう。自分の老いとともに子供の将来への絶望感。何より肝心の高齢者の問題が描かれていなくてがっかりだった。タイトルに異議ありです。安っぽいドラマを見せられたたようだった。日大理事長ともあろうお方が、こんなあざといやり方あかんよね。