95歳の瀬戸内寂聴最後の長編小説。
早くあの世に行って皆に会いたい・・・そう言っていた寂聴さん。
今はもうあの世で誰にも会いたくないとTVで言っていた。
多くの作家仲間たちを見送ってきた。
実名で多くの作家たちのその時々の言葉が出てくるのが興味深い。
丹羽文雄・岡本太郎・三島由紀夫・円地文子・今東光・・・。
昭和文壇の裏模様も。
ライバルであり親友であった作家河野多恵子、大庭みな子との赤裸々な友情。
見送った二人の死。
プライベートな会話をここまで書き残されてはとも思うが、
二人とも亡くなっているからいいのとインタビューで答えていた。
また書いておかなくてはとも。お二人の夫婦の有り様も波乱万丈。
400冊もの著書。200万枚もの原稿。
大病を患い痛みとの戦いの中で、何度か連載を休みながら書き上げたこの本。
寂聴さんにとって書くことが生きること。
まさに命を削るように。
最後にこう結んであった。
生まれ変わっても小説家でありたい。それも女の。