「90歳何がめでたい」の佐藤愛子が、今まで書いてきた「老いや死」についてのエッセイを年代別に並べて本にした。このテーマの著書が随分あります。西宮育ちなので親近感がある。
50代、本当の年寄りになる前に覚悟を決める。
60代、孤独に耐えて立つ老人になりたい。老年は人生最後の修行の時。
70代、老女の底力。強気の老人の気概。
80代以降、自然に逆らわず時の流れに沿って。時は音もなくすぎていく。
そして、死支度、死支度と思っているうちに死にも馴染んできた。
ここまで生きると自分の人生に、もはや悔いというものはなくなる。心残りもなくなる。
ここまで生きてきたから言えるのであって、長寿がめでたいというのはそういうことかもしれないとあった。
老人の長い人生の荒波を越えてきた知恵や勇気や努力奮闘に敬意を払うべき。
敬老の日は、プレゼントしたり温泉に連れて行って親孝行ぶるより老人の話しをじっくり聞く日にした方が意義があると。
歯切れのいいエピソードの数々。そのとおりだなあといちいちうなずきながら読んだ。
必要とされる年寄りになる、若い人に信頼される年寄りになるとも。
ただの頑固爺婆ではね。いくつになっても自己研鑽は忘れずにと思う。
近ごろ老人本をよく読む(笑)。
ついでに、さだまさしの「やばい老人になろう」も読んだ。
瀬戸内寂聴や佐藤愛子諸氏大先輩のを読んだ後だけに、
なった人となろうとでは説得力が違う。
時は音もなく過ぎていく・・・現在93歳の佐藤愛子の実感です。
音もなく・・・だそうです。