じーんとするいい映画を見ました。終活のロードムービー。いいえエラが選択した二人の出発のお話です。長年連れ添った老夫婦ならではのエピソードが満載でした。エラの夫への愛が溢れていました。粗相の始末。浮気に嫉妬。いくつになっても可愛くて、逞しくて。頼りになって、そして勇気がある。
元文学部教授の夫ジョンは重度のアルツハイマー。ドナルド・サザーランドがいい味を出しています。妻エラ(ヘレン・ミレン)は全身の末期がん。エラの入院の日、子どもたちに内緒でキャンピングカーで旅に出る。行先は夫の好きだったヘミングウエイゆかりのフロリダ。ボストンからの3000キロの旅。お父さんに運連は無理だと心配する息子。大丈夫だと言う娘。
夫は現在と過去が行ったり来たり…。ところが偶然出会った教え子だった女性の名前はすらすらと出る。レストランでヘミングウエイの話になると記憶はしっかりする。強盗に会ったり、ガソリンスタンドで置いてきぼりになったり…。命は惜しくない。エラの腹の座った行動やアクシデントもあとになれば楽しい。病院にいてはとても経験できなかったこと。
アルツハイマーの夫が浮気を思い出したり、怒ったエラがお返しに自分の初恋の人のところへ連れて行ったり。子どもたちの心配をよそにあんなこんなの旅。
夜、サプライズと言ってジョンに家族のスライドを見せるエラ。時々思い出すジョン。夫婦ならではのかけがえのない時間です。
ラストシーンには少し驚かされました。でもこれがエラの選択でした。