最近めっきり寒くなってきたので、もっと寒いロシアの料理を紹介します。
去年の12月はじめに行った時、外気温はー20度でした。
そんな極寒の地でも、人々の表情は柔らかく、とても穏やかです。
その秘密が、ママのつくってくれるポカポカ料理なの。
たとえば上の写真2枚は、日本でもお馴染みのボルシチです。
もともとはウクライナの料理。
赤い色は、ビートという赤カブみたいな赤イモみたいな、寒冷地ならではの野菜の色。
シチューとは違って、ルーみたいなものは入れません。
野菜の旨味をコトコトコトコト煮出していく野菜スープです。
こちらもお馴染みの、ピロシキ。
生地も、強力粉を練って一晩寝かせた手づくり生地です。
ちなみに生地を手づくりするのは当たり前。
寝る前にサササッとやって、朝起きたらサササッと具を詰め込んで調理します。
そしてこちらが、お料理の達人、ルダママ。
なぜ半袖なのかというと、家の中はとても暖かいからなのですが…
編んでくれているのは、私の帽子です。
ロシアといっても、ここは東南部にあるブリアート共和国。
世界一美しいといわれるバイカル湖の東側に位置しています。
なので、アジア顔のブリアート人をメインに、白人と混血の人が共生しています。
だから料理もメインはブリアート料理。
見た目はモンゴル料理とロシア料理を足して2で割ったような…、だけど味はロシアンテイストなので実に食べやすく、乳製品をふんだんに使うため栄養価もバッチリの…、つまり一言でいえば頬がタダレ落ちそうになるほど最高に美味しい料理です。
私がこれまでに食べたことのある世界の料理で、…そうね、もしかしたら1位かも。
それで、上の写真は「ブリヤート・ラプシャ」。
ラプシャというのは、ロシア語でスープという意味。
こちらは「ミルク・ラプシャ」。
これがまた美味しくてたまらんのです。
あまりに美味しいので、材料をメモりました。
・湯:牛乳=1:1
・塩
・マカロニ(好きなだけ)
・バター(4分の1箱/2人分)
・卵(1個を割り入れてかき混ぜる)
これは「ラグー」という料理。
いわゆる、ロシアの肉じゃがです。
これもあまりの美味しさにレシピをメモ。
1)牛肉の角切り+タマネギみじん切り+キャベツざく切り+湯少々 → 炒める
2)ビート角切り+酢+砂糖 → 炒める
3)ビートを(1)に移し、同じ油でニンジン角切りを炒める
4)ニンジンを (1)に移し、同じ油でジャガイモ角切りを炒めて(1)に加える
5)タマネギみじん切り+強力粉 → 炒める
6)(5)が浸るくらいの水を入れて煮詰め、トマトチャツネ+葉野菜の塩漬けを加える
7)(6)を(1)に加えてかき混ぜる
…肉じゃがよりかなり手間がかかるんですね。
それで、ラグーのレシピに出てくる「トマトチャツネ」と「葉野菜の塩漬け(オクロップ)」というのは、こういうものです。
冬に備えて保存食をつくり、瓶詰めにして冷蔵庫に入れてるの。
もちろん手づくり。
これがどんな料理にも、味付けに便利なんですなぁ。
ピクルスも、必ずどの家庭にもある保存食。
日本人が漬け物をボリボリ食べるのと同じ感覚で、ロシアでは必ず食卓にピクルスが添えられます。
(写真真ん中はロシア風酢和え野菜)
さて、どうでしょ。
寒いからこそ、こうした料理で心を温めようとするのか、それともママ達の思いに関わらず、寒いからこそ、温かい料理が有り難く感じるのか…。
いずれにしても、寒い地域の家庭料理は、南国にはない独特のぬくもりを感じます。
そして私は唯一覚えたブリアート語「クスナ!(おいしい)」を連発し、毎日胃がはち切れんばかりに食べに食べて、至福の1週間を過ごしたのでした。
ちなみにルダママは英語が話せません。もちろん日本語も。
私は英語は少々話せるけれど、ロシア語は全くダメ。
その2人が1週間もの間どうやって会話していたかというと、それがまさに「クスナ」だったのです。
つまり料理が2人をつないでくれた。買い物に出かけ、料理を手伝い、皿を囲んで「クスナ!」と叫ぶ。
そうしてルダママは私の「ママ」になり、最後にはなんとも離れがたい寂しさに胸が締め付けられる思いを味わったのであります。
料理って、スゴいなぁ…。
だから寒い日もへっちゃら。
思い出すのは、あったかいスープが口に広がってその風味が鼻に抜けていった時の感覚。それが胃に落ちたときの温もり。そして「クスナ!」と叫んだ時の、ルダママの嬉しそうな微笑み。
寒いからこそ、心がほっこりすることもある。
ありがとう。
ENJOY☆WINTER
「食べる」と「笑う」は一番のコミュニケーションですね。
また、もてなす心も大事だなぁとしみじみ思います。料理でもてなすというのも、コミュニケーションの基本なんですよね。料理下手の私には痛いポイントなのですが…。