二・二六事件
1928/S03年 50歳 の大晦日から 話は数年飛んで
1936/S11年 58歳 今日はいつもの要約記述で荷風翁の遺志を伝える
<2/24
色慾を消磨し尽くすと人の最後は遠くないので 終焉の時の事を書く
一 葬式は無用
一 死体は普通の自動車に乗せ直に火葬場に送り骨は拾わなくてよい
一 墓石建立も不要 新聞紙に死亡広告など出す事も無用(なぜか文字が小さい)
一 葬式をしないわけは 御神輿のような霊柩車を好きじゃないから
紙製の造花、殊に鳩などつけたる花環も嫌いだ
一 財産は仏蘭西アカデミイゴンクウルに寄附する 手続きは今は不明
家は日本の法律にて廃家にしてほしくない
家督相続人指定の遺書無ければ法律上最親の血族者にする
最親の血族者が遺産の全てを仏蘭西アカデミイに寄附する事を望む
一 日本の文学者を蛇蝎のように嫌っている
一 死後の著作・著書に関することは親友(姓名の部分切取り)に一任する
一 全集他を中央公論社のようなバカな広告を出す書店からは出すな
一 某銀行の定期預金で全集を印刷し 同好の士に配りたい>
遺書を要約しながら 不謹慎ではあるが 笑ってしまうことが多かった
文学者を・・・の件り 遺書に書くほど嫌っていたというわけ
文芸春秋の菊池寛嫌いは有名だが 中央公論とも揉めているらしい
そのうち題材としても取り上げたい
上記2/24の日誌を原文で聴きたい時はYoutube朗読で
(途中から開始する 2/24が終われば2/26分へ 途中で止めてもOK)
この遺書を書いた翌日の日誌
<2/26 朝方 電話で二・二六事件の発生を知る
軍人が警視庁・新聞社等を襲撃 大臣等に護衛つく ラジオ放送中止
市中の様子を知りたいと思うが 雪と寒さで家から出られず
夜9時頃号外が出る 岡田斉藤殺され高橋重傷 鈴木侍従長も同様
今日はここまで それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]