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DAZN観戦 2024年J1リーグ第26節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸

2024-08-14 18:26:28 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 神戸は前節退場となった飯野(警告2度)とマテウス・トゥーレルが出場停止。

前節(川崎戦、0-3)は退場者を2人も出しての敗戦となってしまった神戸。
そのうちトゥーレルの退場劇は非常に賛否分かれるものとなり、不条理の炎に焼かれる格好に。

前回観た鹿島戦では、酒井のプレーぶりの素晴らしさが印象に残ったとともに、その酒井の負傷交代が今後に響きかねない予感も孕ませ。
巧みなボールキープで相手を引き寄せてスペースを作り、ビルドアップを円滑にするその姿に感銘を受けたものですが、その酒井が離脱となってはリズムが悪くなるのも当然であり。
その後山口も離脱するなど踏んだり蹴ったりで、何とか耐え凌ぎたい状況に陥った中断明け。

この日の相手はマリノスで、ACL決勝進出などといった華々しい実績とは裏腹に汚泥に塗れる事となったリーグ戦。
それを隠すかのような、派手な試合前セレモニーが印象的でしたが、実際のサッカーはどうか。

神戸のプレッシングを浴びながら、最後方からの組み立てで流れを作らんとするマリノス。
前半3分後方でのパスワークからGK飯倉の右へのフィードでプレス回避、松原の落としを拾った天野から右→中央→左へとサイドを移しながらの前進。
そしてエウベルがカットインからミドルシュートに持っていき(ゴール上へ外れる)、その攻撃サッカーの本領を発揮せんと立ち回り。

しかし監督交代(ハリー・キューウェル氏→ジョン・ハッチンソン氏)して布陣もマイナーチェンジ、以前メインとしていたドイスボランチの4-2-1-3(4-2-3-1)へシフトしたチーム。
それは「日本ではアンカーシステムは難しい」と良く言われる、あわよくば後ろ向き思考とも取れる流れをなぞるものであり。
かくして以降、「バルサ化」の試みの終了後も(一応ながら)4-1-2-3の基本布陣を保っている神戸との差異が色濃く表れる事となります。

とはいっても、神戸も酒井・山口を失ってから地上で繋ぐ能力は下降気味。
そのため前線を利用したロングボール攻勢が中心となりましたが、それを防ぐのに難儀するマリノス。
ターゲットとして最高峰の能力を誇る大迫を軸としながら、この日はむしろ両サイドの武藤・パトリッキへのロングパスの割合が多く。
サイドバックの人選に悩まされるマリノスの弱点を良く突いたもので、彼らをターゲットとしつつ、大迫は降りて地上での縦パスを受ける事でセンターバックを釣り出す役目が中心となりました。

そんな3トップの役割に苦戦の色を隠せないマリノス。
大迫をはじめとしたポストワークに対し、上島らが必死に寄せるディフェンスを敢行するも、それが腕を使ったチャージに頼る絵図を目立たせる事にもなり。
前回観た鹿島同様、「相手の高能力を反則紛いでしか止められない」状態に陥る危惧は避けられないといった感じでした。

マリノスはひたすら押し込まれ、特にサイド奥を突かれて守勢に回るシーンが数多。
神戸サイドもその後の攻めはクロスを上げるのみに留まるなど、流れは決して良くは無いものの、それでも3分~17分までマリノスの攻撃機会は皆無という展開に。
必死のディフェンスにより当然ながら反則も膨らみ、21分には井出のボールキプに対し喜田が反則・警告を受け。

しかし最大の問題は、神戸のプレッシング(守備時は井出がFWに上がっての4-4-2)に対抗する術が見られないという事でしょうか。
全く好機を作れない状況に、GK飯倉もエリア外へと出て最終ラインのパスワークに加わるものの、結局サイドに展開しては詰まらされる流れを変えられず。
飲水タイム(23分)まで、スローインの際に降りて来たロペスのポストプレイからの攻めでしかアタッキングサードに持ち込めないという有様で、近況は成績面では好調(3連勝中)なものの依然として問題の根深さを感じさせます。

第2クォーターに突入し、神戸の優勢は相変わらず。
26分には自陣でのボール奪取から、マリノスのゲーゲンプレスを本多→パトリッキのミドルパスでいなして左奥を突き。
戻しを混ぜながらの繋ぎを経て、井手口が小さい浮き球を送り井出を走らせる事でポケットを突きに掛かる(繋がらず)など、単なるクロス攻勢から局面を変えに掛かります。

一方のマリノスは、左ウイングのエウベルが降りてパスを受け、それに伴い彼を追い越して加藤蓮が前線に上がるというシーンが膨らみ始め。
それは一向にボールが巡って来ない苛立ちが混じってのものに見受けられましたが、以降逆サイドでもマテウス・松原が同様の動きを取り始め。
こうした可変により、こちらも状況打破を図りに来たでしょうか。

30分右からの大迫の低いクロスに、井出が跳び込んで合わせヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)
35分に今度は左からのクロス、ファーで武藤がヘディングシュートを放つ(枠外)など、次第に神戸のクロス攻勢もターゲットに合い有効打に。
一方マリノスの激しい寄せに対し、(ブレイク前の)22分に大迫が上島のチャージに対しヒートアップを見せるなど応戦傾向に。
それが仇となったか、34分には扇原が渡辺皓へのチャージで反則・警告を受ける、らしくない一面も見せ。

それを突かんとするマリノスは、41分に降りてきたエウベルにエドゥアルドが縦パスを通し、そこから右へと展開。
以降右サイドのパスワークにエウベルも加わり、目線を変えたのちにマテウスがカットインで中央へ流れての縦パス。
これを受けた天野から、スイッチ気味に受けたマテウスがミドルシュートを放ちましたが武藤のブロックでゴール右へと外れ。
しかし右コーナーキックで継続した結果、キッカー天野のクロスをファーサイドでエドゥアルドが合わせヘディングシュート。
神戸ディフェンス2人との競り合いを制し、GK前川のセーブを掠めた末にゴールネットを揺らして先制点に辿り着きました。

劣勢だったマリノスの方がリードを奪う、サッカーの面白さを醸し出す展開となり。
しかし喜びも束の間の44分、神戸は自陣での右スローインからの繋ぎで、マリノスのプレッシングを浴びるも何とかいなした末に大迫が左裏へとロングパス。
左サイド奥で受けたパトリッキがポケットへスルーパス、走り込んだ井出のシュート気味のクロスはGK飯倉が身体でセーブして防ぎ。
しかしこぼれ球を巡る争いで、拾わんとした大迫に対し後ろからエドゥアルドがその足をガッツリと削ってしまった事で、反則を告げる笛が鳴り響きます。
しかもエリア内で当然PKが与えられ、早くも同点の危機を招く事となりましたが、反則を受けた大迫が長らく倒れ込んだ事で神戸サイドも騒然とした雰囲気に。
治療の末に何とか立ち上がりピッチ外で待機となった大迫に代わり、キッカーを務めたのは武藤。
落ち着いた助走からしっかりとゴール右へ決め、早々に追い付く事に成功します。
大迫も無事に復帰と、文字通り五分の状況へと戻し。

この一連の流れで、何分取られるか不透明となったアディショナルタイム。
一進一退の攻防のなか、エウベルがボールキープする所を扇原が腕を使って倒してしまうと、反則の笛が鳴り。
これに対しカードが出なかった事で、マリノスサイドは総出で異議を唱え、警告並びに2度目による退場をアピールする一幕が悪目立ちする事となりました。
神戸にとっては前節の悪夢が過るシーンとなりましたが、何とか命拾い。

結局1-1のまま前半が終わり。
マリノスは終了間際に井出のチャージを受けて痛んでしまった松原がハーフタイムで交代となり、加藤聖を投入。
彼が左SBに入る事で加藤蓮が右に回り、W加藤の両SBとなって後半に臨みました。

不本意な流れだった前半ですが、後半は気を入れて攻勢に入るマリノス。
その要因は前述のウイングとSBの入れ替わりで、マテウス・エウベルの両助っ人のボールタッチ・キープでリズムを作り、アタッキングサードを突きに掛かる攻撃を徹底し。
それでもその一因は、ドイスボランチへのパスコースがしっかり切られている神戸の前線の守備に他ならず、どちらかと言えば苦肉の策であり。
そのため何度か天野が降りて最終ラインからのパスを受けるなど、橋渡し役を務める事で好機に持ち込み。

10分に神戸は本多が足を痛める仕草を見せた事で、早めにベンチが動き彼に代えて鍬先を同ポジションで投入。
アクシデント続きの状態で、無理をさせないという思惑が色濃く表れた采配となり。
するとマリノスも11分に動き、天野→西村へと交代します。

慌ただしくなるベンチに釣られるように、12分にマリノスのGK飯倉からの繋ぎを扇原が前に出てカットに成功。
するとすかさずループ気味にロングシュートを放ち、飯倉が前に出ていた隙を突いたものの、ゴール上へ外れて惜しくも実らず。
続く13分マリノスの反撃、左ワイドからエウベルが中央へ縦パスを打ち込み、西村スルー→ロペスでエリア内を突かんとするもディフェンスに遭い実らず。
その後神戸の前進をエウベルのプレスバックによる奪取で断ち切ると、拾ったマテウスがまたもエリア内のロペスにラストパスを送るも遮断され。
ピッチ内でも混迷気味となる試合展開。

しかし神戸は交代により、鍬先が最終ラインに残った3枚でのビルドアップの形を固定。
それに伴い、広瀬がボランチの位置への可変を混ぜるなど変節を見せ。
これで徐々に右サイド(マリノスから見て左サイド)が空くようになり、17分に対角線のロングパスを受けた武藤がカットインからミドルシュート。(エドゥアルドがブロック)
続く18分には鍬先のパスカットからのドリブルを経てサイドを移しながらパスで前進、大迫が右奥へスルーパスを送ると、走り込んだ広瀬のマイナスのクロスを受け直してそのままシュート。(GK飯倉セーブ)
決定機を膨らませる事で、前半同様にマリノスに攻撃させない状況へと持ち込み。

そして迎えた20分、ここも左→中央→右へとサイドを変えた末に、広瀬のスルーパスで完全に裏を取った武藤が右ポケットで受けた事でGKと一対一に。
角度の小さい難しい局面でしたが、右足を伸ばしてコースを切りに来たGK飯倉の股を通すという見事なシュートを決めきった武藤。
今度は攻勢をそのままゴールに繋げた神戸、勝ち越しに成功します。

反撃に出たいマリノスですが、この日初めてリードした神戸に精神的余裕が生まれた事で、より厳しい崩しを強いられる状態に。
22分に飲水タイムが挟まれ、第4クォーター最初の好機(25分)も、マテウスの持ち運びが奪われた事でカウンターを浴びてしまう(シュートには繋がらず)苦いものとなります。
攻勢に出るも逆襲を浴びるという危機が過るなか、27分に西村のボールカットから素早くエリア内へ運ぶ、毛色の違う好機。
左ポケットで西村のスルーパスを受けたエウベルですが、神戸の戻りも早く戻しを経てのサイドチェンジを選択し、右からマテウスのクロス。
ファーで合わせにいったロペスに対しGK前川が跳び出し、こぼれた所を拾ったエウベルが扇原を剥がしてシュートするも、枠を捉えられず決定機を逃す格好に。

ゴール間近に迫ったものの、30分に逆に神戸が決定機、しかもゴールキックでのロングフィードが大迫を越えた所をパトリッキに拾われるという対応ミスを突かれる形に。
そのまま右ポケットを突いたパトリッキがシュート、GK飯倉がセーブした跳ね返りを大迫が詰めたものの、戻った上島がブロックで何とか凌ぎ。

最悪の結果は防いだものの、32分にはミドルシュートを放ったマテウス(枠外)が、その拍子に足を痛めてしまう事態が発生し。
そしてカードを切る事を余儀なくされ、マテウス・エウベル→井上・宮市へ2枚替えと、両翼の助っ人を揃って入れ替え。
そのすぐ後に最後のカード、喜田→植中へと交代。(35分)
これで前監督の時代と同様の、渡辺皓をアンカーとした4-1-2-3へとシフトします。
一方の神戸も、36分に井出→佐々木へと交代。

反撃の道筋を作りたいマリノスですが、布陣変更が仇となりビルドアップ能力の低下に苛まれ。
神戸ディフェンスに対し運ぶ事すら困難となり、何とか敵陣でボール保持する状況に持ち込んでも何も起こせない絵図が膨らみます。

止むを得ず、右ワイドに張る井上へとロングパスを届ける手法へと切り替え、そして彼の突破力で何とかするという攻撃へと変更。
神戸サイドも4-4-2での守備のため、エドゥアルドから送られる対角線のロングパスに対し、ある程度捨てるという選択肢を取らざるを得ないのが幸いし。

そうした展開で迎えたAT。(神戸の最後の交代はパトリッキ→山内)
例によってエドゥアルドのロングパスを右サイドで受けた井上から、スルーパスに走り込んだ西村のクロスはブロックされるも、渡辺皓が拾って継続し今度は左サイドへ。
そして宮市が左ポケットへスルーパス、走り込んだ植中のマイナスのクロスをロペスが合わせる、千載一遇の好機もジャストミート出来ず枠外と不本意なものに終わります。

その後は落胆するマリノスを突くかのように、敵陣でボール奪取した鍬先や佐々木が果敢にミドルシュートを狙い。
積極性を発揮する神戸の個々の面々に対し、マリノスは加藤聖のロングスローなど、手段を選ばない攻撃に頼る状況といかにも苦しく。

最後はまたも神戸の攻撃、井手口のエリア内へのミドルパスで裏を取り、受けた佐々木は右奥でのボールキープを選択して試合終了を迎え。
1-2で無事に勝利に辿り着いた神戸。
主力を数人欠いたものの、監督交代もあった相手に対し、地力の差が出た一戦となったでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第25節 アルビレックス新潟vsジュビロ磐田

2024-08-09 16:36:57 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 磐田は、松原が累積警告により出場停止。

今季J1に臨むにあたり、開幕前の補強で外国人助っ人4人を一気に加入させたのが印象的だった磐田。
そのうち3人が戦力となり2名がレギュラー級に収まるという具合に、成果としてはまずまずな所でしょうか。
既存戦力のグラッサがディフェンスの核で、日本人選手でもハーフのジャーメインが覚醒と、片仮名の選手が幅を利かせる状況。
その流れに乗るかのように、夏の補強ではさらに2人加入し、そのうち1人は国内からの移籍でクルークス。
かくして集結したこれらの人材で、J1残留を成せるかどうかという中断明けの戦い。

そんな下からの突き上げをいなし、崖下に振り落とすべくの戦いとなったこの日の新潟。
立ち上がりの前半1分、GK小島が藤原を狙ったフィードを送り、受けた藤原が松田へのスルーパス。
そして(パスカットに遭うも宮本の繋ぎを経て)渡った松田の突破という3段構えで右サイド奥を突き、そこからスローインによる攻勢に。
一度は遮断されるも、すかさず松田が奪い返したところを秋山の1タッチでの縦パスが長倉に通り、早くもポケットを突く好機に。
そしてその前に立ちはだかったグラッサに、長倉が交錯する形となると、反則並びにPKを告げる笛が鳴り響きます。
早々にPK献上か……という絵図を余所に、反則したグラッサは足を掛けていないと主審に猛抗議を繰り広げ。
それでもオブストラクションでは無いか、しかし進路妨害という形で果たしてPKにまで発展するのか……と疑惑が渦巻く中、ピッチ上でもVAR→OFRでそれを解決に図る絵図となります。
そして検証の末、やはりグラッサが足を引っ込めていた映像が可視された結果、反則は取り消しという断が下され。
いきなりのPKは避けられるも、これにより長い追加タイムになる事を考慮しての戦いに入り。

これで有利に持ち込みたかった磐田ですが、好機といえる好機は8分のクルークスのアーリークロスのみ。
後はひたすら新潟ペース、という状態に陥り。
12分に左サイドをレイオフ→ミドルパスの連続で突破した新潟、長倉が奥からカットインしてポケットを突いた末に放ったシュート(ゴール左へ外れる)で攻勢が幕を開けます。

そして14分、右からの前進で松田が藤原とのワンツーを経てポケットへとパス、またも間で受けた長倉が浮かせて操りながらのカットインを経てシュート。
GK三浦がセーブし、その後磐田が矢印を反転させに掛かるもパスミスを宮本が拾って継続。
そして秋山に託したのちそのまま前に出た宮本に、長谷川元とのパス交換で溜めを作ったのちにミドルパスを送った秋山。
これを反転しながらダイレクトで合わせたボレーシュートが、華麗にゴールネットを揺らします。
PK取り消しをものともせず、先にスコアを動かした新潟。

立ち上がりはボランチを経由せず、サイドから仕掛ける事が多かった新潟ですが、これを機にしっかりと最終ラインから繋ぐ姿勢にシフト。
堀米が残っての3枚の最終ラインに、秋山がアンカーと化して宮本が前に出る、というのがこの日の基本形となりました。

早いうちに追い付きたい磐田、19分にクルークスへの後ろからの反則で小野が警告を受け、新潟のリズムが乱れたのを突きに掛かり。
20分、ボランチの位置に降りて持った山田、バックパスする身体の向きから左前へとパスを出した事で新潟の前線の裏を掻き。
そして稲村のスルーパスに金子が走り込んでクロスと、立ち上がりの新潟のようなサイド攻撃に掛かりましたが、剥がすには至らずブロックされ。

結局直ぐに新潟ペースと、元に戻る格好に。
25分に敵陣右サイドで宮本がボール奪取、拾った長倉のカットインを倒してしまった山田が反則・警告。
しかも右ハーフレーンからの直接フリーキックというおまけも付き、これをキッカー長谷川元が、壁の外側を通してニアサイドへ直接シュートを放ち。
GK三浦がセーブするも右コーナーキックで継続し、クロスは跳ね返されるも後方から二次攻撃に入り。
左サイドで前進する姿勢から、堀米のパスを受けた秋山がカットインし、果敢に放たれたミドルシュート。
これが戻りながらの上原のブロックを掠め、ゴール右へと突き刺さるフィニッシュとなり、同時に飲水タイムへ突入。
ドイスボランチ双方のゴールにより2点差と、意気揚々のままブレイクに入る新潟。

今度こそ流れを変えたい磐田、キックオフでの初手はロングパス→右サイドで西久保落とし→ジャーメインシュート(ブロックされCKに)と手数少なくフィニッシュに持ち込むものであり。
その後は自身がボール保持を高める展開となるも、やはり「ボールを持たされている」域を出ない時間帯に。
ショートパスを上下動させて新潟ディフェンスを間延びさせに掛かるも、結局は4-4-2ブロックの前に手も足も出ない、というシーンが続きます。

そして攻撃が途切れると新潟のターンとなり、プレッシングを掛けたくても奪い所を定められずにズルズルと過ごし。
じっくりとショートパスを繋ぎながら、磐田が前に出る所の裏を突くという姿勢で尚も好機を作る新潟。
44分には秋山が左→右への対角線のロングパス、走り込んだ松田の落としを小野が拾い、エリア内への浮き球パスがクリアされるもCKへ。
CK攻勢のなか、舞行龍がボレーシュート(ブロック)、藤原がヘディングシュート(枠外)と時間を使いながらフィニッシュを重ねていき。

そして+7分と長くなったアディショナルタイムへ突入。
新潟のパスワークを、グラッサが前に出て強引にスライディングで遮断した磐田ですが、この際長倉と接触して痛んでしまったグラッサ。
しかし何とか起き上がると、その甲斐もありペースを反転させボール保持からの攻勢に入り。
最後方からそのグラッサの持ち運びからの展開で左サイド奥を突き、植村のクロスがブロックに当たるも、そのままゴールに向かった結果ポスト外側を叩く際どいボールに。
尚も左CKとなり、ショートコーナーを経て後方からクルークスの強烈なミドルシュートが襲うも、エリア内でデンがブロックして凌ぐ新潟。
結局2-0のまま前半を終えました。

最終盤は攻勢に入れたものの、まだまだ物足りない磐田。
その燃料補填に努め、ハーフタイムで上原と山田に代え、松本とマテウス・ペイショットを投入。
ポイントゲッターのジャーメインをサポートすべく、ポストプレイヤーのペイショットと2トップを組ませ打開に掛かります。

磐田のビルドアップの際、ゴメスの浮き球パスが主審・清水勇人氏の腕を掠めて試合が止まったのが早速の後半1分。
それにより腕を痛めた清水氏が、新潟ベンチスタッフの治療を受けに行くという珍妙なシーンで、前半のVAR程では無いが時間を浪費する入りとなりました。

磐田が流れを堰き止められる格好となり、結果前半同様新潟が主導権を握り。
2点のリードがある状況ながら、果敢に追加点を狙いに攻め上がります。
しかし6分長いパスワークで左奥を突き、一旦戻しとポゼッションスタイルの真価を発揮しに掛かるものの、結局は堀米のクロスが手前で跳ね返される形で終了。
すると磐田が拾ってカウンターになりかけ、ペイショットの前進を宮本がカバーして何とか防ぎましたが、こうした安いロストからの危機は避けたい展開なのは明らかであり。
それでも8分、敵陣中央で宮本が右へ展開ののちパス&ゴー、松田のグラウンダーでのクロスに走り込んでシュート(枠外)とボランチもイケイケでゴールを狙うのは変わらず。
その姿に、膨らむのは3点目への期待感か、ないしは失点への危惧かは意見が分かれる所でしょう。
12分に磐田ベンチはさらに動き、サイドアタッカーの古川を投入と、その間にも着実に反撃体制を整え。(金子と交代、同時にクルークス→ブルーノ・ジョゼに交代)

15分の磐田、鈴木海の右サイドでのパスカットから、彼のパスをジャーメインがフリックで繋ぎこの日初と言っても良いショートカウンター気味の好機。
更にペイショットの浮き球パスにジャーメインが走り込み、ポケット奥で受けたもののコントロールできずゴールラインを割り。
19分には再び新潟が長らくポゼッションを続けるも、左奥へ進入→戻しを経ての、秋山のパスミスをカットしたゴメスからカウンター。
ペイショットのポストワークから古川に繋がり、カットインからミドルシュート(舞行龍がブロック)と、新潟のパスワークを乱しての好機で期待感を膨らませます。

そして21分、ここもジョゼのパスカットからで、新潟のゲーゲンプレスを受けながらも繋いで先程と同様に左へと展開し古川に。
今度は奥へ切り込んでのクロスを選択すると、新潟ディフェンスが(ゲーゲンプレスにより)デンが前に出た事で乱れていたのもあり、戻って何とか建て直すもペイショットのニアへの動きに簡単に釣られる始末となり。
その結果ファーへのクロスから、どフリーのジャーメインが放ったヘディングシュートが突き刺さり、キッチリ好循環をスコアに結び付ける事に成功しました。

新潟にとっては、守備強度に欠けた相手と相対した事で、面白いように好機が作れていた事もあり後方が疎かになってしまったという失点。
飲水タイムののち、ベンチも動き松田と小野に代えてダニーロ・ゴメスと谷口を投入します。(24分)

しかし第4クォーターも、ダニーロの右での仕掛けを中心とした攻めで、あくまで3点目を狙いにいく立ち回りが中心となり。
一方磐田は、投入されたジョゼ・ペイショットの連係を軸として右サイドを脅かし、その逆では古川の推進と奥深さを増した攻め。
互角の状態ながら、1点差に詰め寄った磐田の方に追う者の勢いを感じる、ホームの新潟にとっては嫌な展開を強いられます。

そして再度新潟ベンチが動いたのが35分で、堀米→稲村へと交代。
燃料切れの選手をその都度代えるという解り易い采配でしたが、これ以降松橋力蔵監督は動かず。
この時点で残りはDF2人と島田のみと、動かし辛い駒が残ったのも影響したでしょうか。(それでも終盤にボランチのどちらかを代えるべきだったとは思う)

その後の展開としては、投入された稲村のフィードで好機を作っていく新潟。
後方からのこうしたフィードは、追加点を狙いながらもゲームコントロールしているという風にも映り。
37分にはダニーロのクロスから谷口がヘディングシュート(GK三浦キャッチ)、39分には長谷川元のスルーパスに走り込んだ谷口がシュート(ブロックを掠めて枠外)と、いずれも稲村のロングパスからフィニッシュを齎しましたが肝心の3点目には辿り着けません。

そして磐田は41分に最後の交代、ゴメスに代えて夏の補強により今節登録された渡邉を投入。
これにより松本がアンカー、渡邉とジャーメインがインサイドハーフの4-1-2-3へシフトします。

しかしその矢先に事件が起き、度々好機を齎していた稲村のフィードを防ぐべく、ペイショットがスライディングを仕掛けたのが43分。
これが勢い余り、足裏を向け思いきり高く上げた末に削ってしまい反則となると、主審・清水氏から突き出されたカードは赤色と非情な結末に。
危険なプレーによる一発退場劇で、以降10人で1点を追う展開を強いられる磐田。

これで勝負あったかに見えましたが、急激に局面が変わるこの事象により、新潟は攻めっ気を保ったまま試合を再開させてしまった感があり。
最後方からのFK、前線へのロングボールを放り込むも簡単に跳ね返されると、拾った古川を経由して敵陣中央の渡邉へ。
そして一気にジャーメインへスルーパスを通すと、舞行龍・デンの2人を振り切ってエリア内へ進入し、GK小島の上を通すループシュートで仕上げ。
起死回生の同点ゴールで、下から這い上がる者の意地を見せ付けました。

逆に、ゲームコントロールの精神を置き忘れたツケを支払う格好となってしまった新潟。
ATに何とか数的優位を活かし(その後磐田は、IH2人をFWに回しての4-3-2へシフト)、2CB+1アンカーの形での繋ぎへ切り替え勝ち越しを狙いにいくも、時既に遅しの感は拭えません。
秋山の左サイド手前からのクロスから、長倉が放ったヘディングシュートはGK三浦にセーブされ。

そして試合終了の笛が鳴り、2-2でドロー決着。
混迷の残留争いに巻き込まれかねない一戦となった新潟ですが、切り替えと反省双方が求められるなかどう立て直すか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第24節 サガン鳥栖vsサンフレッチェ広島

2024-07-24 16:32:39 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

クラブ規模が小さいながらも、かじりつくようにJ1の座を保っている鳥栖。
数少ないトップレベルの長所は、ホーム・駅前不動産スタジアムのアクセスの良さであり。

しかしこの日の相手の広島は、今季それに匹敵するホームスタジアム(エディオンピースウイング広島)を得た事で盛り上がりを見せているチーム。
このように、自身より規模の大きなクラブが優良なホームとなる事で、その長所も霞んでしまわないかという危惧を抱える状況となり。
それが指し示すように成績面でも降格圏からの脱却を狙う状態であり、何だかんだ言っても、やはり最終的には成績で巻き返さなければ話にならず。

広島のキックオフで始まると、いきなり塩谷がロングシュートを狙う(GK朴キャッチ)という法外な立ち回り。
いきなり度肝を抜く事で雰囲気を掴むのに成功し、以降攻めを続ける立ち上がりとなります。
前半5分には塩谷縦パス→マルコスフリックを受けたヴィエイラ、左からカットインを経てミドルシュート。
GK朴がキャッチして防ぎ、鳥栖がビルドアップで反撃と思いきや、縦パスを松本泰がカットして尚も広島のターンに。
そして左からの大橋のクロスの跳ね返りを、新井がダイレクトでミドルシュート(枠外)と、キックオフのシーンに引き摺られるかの如く遠目から果敢にフィニッシュを放っていきます。

全体押し込まれる鳥栖、6分にヴィエイラのポストプレイを後ろから倒してしまった山﨑が反則・警告と早くも被害を出す事となり。
何とか相手の流れを遮断したいという状況で、8分にそのチャンスが訪れ、広島の攻撃を右→左へのサイドチェンジを原田がカットして攻撃開始。
スリヴカが持ち運んで敵陣でサッカーを展開する状況となり、中原が右奥を窺うと見せかけて中央から攻め、横山のミドルシュートが炸裂。
GK大迫がセーブしたこぼれ球を新井が拾い、ピンチ脱出かと思われたその刹那、あろう事かバックパスからの大迫のフィードが長沼にぶち当たった事でゴールへと向かうボール。
これをマルセロが反応良く詰めにいき、その手前で何とかパンチングで掻き出した大迫、交錯気味の絵図となりながら防ぐ事に成功。
しかしクリアをカウンターに繋げ、マルコスが一気に左ポケットまで持ち運んでマイナスのクロス(ブロック)と、攻撃権が慌ただしく入れ替わり。

いきなり落ち着かない展開を強いられた鳥栖ですが、以降はボールポゼッションを高めて反撃に掛かり。
11分の中原のカットインからのミドルシュート(枠外)を皮切りに、広島の姿勢に引き摺られこちらも遠目からフィニッシュを放つ絵図を目立たせます。
14分、スリヴカが開いた右サイドから前進し、中原の斜めの縦パスを転機にサイドを変えて左からのフィニッシュ。
即ち横山がカットインでポケットへ切り込んでのシュートで、やや近めから放つものとなりましたがこれもGK大迫のセーブに阻まれます。

広島ディフェンスは、この日はついに広島で初出場(リーグ戦で)とったイヨハが最終ラインの一角に。
これが6年間レンタルを繰り返していた男のサクセスストーリーか……と感激する暇も無く、立ち上がりは鳥栖のパスワークに振り回され喰い付き気味となっていたイヨハ。
前に出たり、ワイドに開いたりで不安を覚えるその動きも、時間が経つとともにしっかり中央を固める姿勢に落ち着きを見せ。

10分以降5本のシュートを放ち、ペースを握ったかに見えた鳥栖。
しかしそのうち4本がミドルシュートと、あくまで崩しきってはいないその攻撃。
それ故、迎えた21分にGK大迫ロングフィード→ヴィエイラフリックという単純な攻撃一本で、好機の連続で全体前に向かう姿勢へ傾いていたのかマルコスに最終ラインから抜け出され。
そしてダイレクトで放たれたシュートがゴールに突き刺さるという具合に、まさかの最短距離を綺麗に突かれての失点を許してしまいました。

23分に挟まれる飲水タイム。
ブレイクで落ち着きを見せて反撃したい鳥栖ですが、右スローインの連続での押し込みが精一杯と、先制点が攻勢の流れが途切れる格好となり。

そして広島がボールポゼッションを主体に攻め込む時間となり、それに対し暑さの所為か有効なプレッシングを掛けられない鳥栖。
敵陣での広島のパスワークに対し、サイドハーフ(中原)が最終ラインに降りて5バックでの守りを強いられているような絵図も見せてしまいます。

それでも、その姿勢が奏功したかフィニッシュを撃たせずに凌ぎ。
すると今度は鳥栖がポゼッションを確保し、パスワークで崩しを図るもフィニッシュには辿り着けないという逆の展開に。
こうしたシーソーのような状態の均衡を破ったのは広島で38分、左サイドでイヨハのボール奪取から前進し、敵陣で中央→右へとサイドを移した末に新井が奥を窺う姿勢からカットインシュート。(長沼ブロック→GK朴抑える)

これを機に終盤は激しい攻防となり、鳥栖は44分に広島の攻撃を切ったのち、GK朴の素早いスローを河原が入れ替わって前を向いた事でゲーゲンプレスを回避。
そして縦に素早く繋ぎ、スリヴカが持ち運びを経てポケットへスルーパスを送った所にマルセロが走り込むという絶好機が。
しかしこのスルーパスが長くなってGK大迫に抑えられ、精度があれば……というシーンに終わってしまいました。
その後のアディショナルタイムにも、鳥栖のコーナーキックから広島がカウンターに持ち込む(シュートには繋がらず)という具合に、攻守の入れ替わりの激しさを描きながら前半終了となり。

共に交代無く迎えた後半開始、キックオフは鳥栖。
すると右ワイドからの原田のロングパスがバウンドした末に、エリア内でマルセロが反転しながら収めるという願っても無い状況が生まれます。
そして放たれたシュートがGK大迫の股を抜いてゴールネットを揺らし、開始僅か10秒という超速のゴールとなり、同点に追い付いた鳥栖。

これを機に攻守の入れ替わりはさらに激しくなり。
後半3分、空中戦を経てボールを収めにいった松本泰がトラップミスし、拾ったマルセロが一気に左ポケットを突くドリブル。
ディフェンスに阻まれCKとなるも、僅かな隙を見逃さないという攻防の幕開けとなったでしょうか。

とりわけ8分の攻防が凄まじく、鳥栖は左スローインから素早く中央→右へとサイドを変え、原田の奥からのマイナスのクロスが中央のスリヴカへ。
しかしスリヴカのシュートはミート出来ず、クリアボールをマルコスが拾って広島の攻撃に。
松本泰の持ち運びを経て、右ワイドで受けた新井がカットインからミドルシュートを撃つも、ブロックで防がれると今度は鳥栖のカウンター。
左ワイドを横山がドリブルで猛進し、カットインで左ポケットへ切り込むと、そのまま中央まで流れた末にシュート。
荒木にブロックされるも今度は拾って二次攻撃に繋げる鳥栖、左サイド最奥でマルセロが強引にカットイン、GKを引き付ける姿勢から中央へラストパス。
しかし福田はワントラップからのシュートを選択した結果、GK大迫が距離を詰める余裕を作ってしまい決められません。
頭部でのセーブという気迫の絵図を見せてこの決定機を防いだ大迫、CKの前に主審により脳震盪チェックが挟まれるも、無事に継続します。

落ち着く暇も無く、11分には広島の好機、大橋の右→左へのサイドチェンジを受けた東が左ポケットへ切り込み。
シュートはブロックに阻まれ、鳥栖が拾ったものの縦パスをすかさずイヨハが遮断し、跳ね返りを拾ったマルコスがミドルシュート。
ブロックを掠めてゴール左へ外れと、こぼれ球を拾っても安心できないという状況に陥り。

またこれまでの得点シーンのように、結局は最短距離での攻撃が有効となっていた感があり。
13分、広島の後方からのロングパスをキムテヒョンが跳ね返し、これがマルセロに直接渡った事で鳥栖の好機に。
スルーパスで左ポケットを突いたのち、抜け出して受けたスリヴカからの戻しを経て再度渡ったマルセロが中央からシュート。
GK大迫がセーブした跳ね返りを中原がボレーシュートで詰め、ゴールネットを揺らすのに成功。
しかしその刹那、スリヴカのオフサイドを告げる笛が鳴り響き、流れるようなゴールは幻と化してしまいます。

鳥栖は15分にも、右ワイドからの原田のスルーパスに走り込んだ福田がシュート(ゴール左へ外れる)と、相手の急所を突く事で決定機を迎え。
激しい展開で危うくなってきた広島、16分にマルコス・ヴィエイラ→満田・加藤へと2枚替え。(大橋がFWに回る)
先に動く事で状況打開を図ります。

前線が入れ替わった事で、それによるプレッシングの強度に難儀するシーンが増えていく鳥栖。
最終ラインからの繋ぎはプレス回避するのみで精一杯となり、また広島の攻撃を阻めずに薄くなったエリア内を突かれる状況が膨らんでいき。
19分にこちらも動き、スリヴカ→富樫へと交代したものの流れを変えられません。

そして23分の広島、一旦攻めが途切れたもののゲーゲンプレスで満田が奪い返して尚もアタッキングサードで継続。
そのまま中央からドリブルでエリア内へ切り込み、右へ流れながらシュートするもGK朴がセーブ、跳ね返りが眼前の加藤にぶち当たるも撃ちきれずと辛うじて凌ぎ。
このこぼれ球をエリア外へ跳び出してまで確保した朴ですが、その後のロングフィードで足を捻ってしまったらしく、(その後大橋シュート→キムテヒョンブロックを経て)途切れたのちに痛んで倒れ込み。
リザーブのアルナウが準備するも、1分以上掛けて起き上がりその後も継続します。

しかしこの守護神の奮闘も守勢を変えられず。
25分にクリアミス(山﨑浩のクリアが福田に当たって跳ね返り)を拾われるという形での危機と、守備の慌ただしさは継続し。
ここは加藤のエリア内でのシュートをブロックして防ぐも、こぼれ球をクリアにいったキムテヒョンが空振りした事で尚も続く広島の攻撃。
右ワイド奥で拾った新井がポケットへとパス、受けた松本泰がカットインの姿勢からファーを狙ったシュートで、その綻びを綺麗に突くゴールゲット。
山﨑浩の必死のブロックも及ばず、とうとう均衡が破れたと同時に飲水タイムが採られました。

反撃したい鳥栖ですが、ブレイク明けは既に残り20分を切っているという段階で、体力面はどれだけ残されているかという不安が露わになり。
それを示すかのように、31分にエリア内で足でクリアしたキムテヒョンが攣らせてしまい、そのまま担架で運ばれ交代となり。
その準備の間も10人での凌ぎ(原田がCBを埋め、福田が右サイドバックに)を余儀なくされ、東のシュートを原田がブロック。
これによりCKとなった所でようやく交代に漕ぎ着けます。(上夷と交代、同時に中原→堀米へと交代)

数的同数となり、攻勢の流れを作りたい鳥栖。
36分、右サイドから原田のクロスが上がると、中央でマルセロが足で跳び込むも惜しくも合わず。
しかもその奥で合わせにいった横山が、勢い余ってゴールポストに激突してしまい倒れ込み。
泣きっ面に蜂という状況でしたが、何とか横山は無事に済み。

後方の守備は依然として盤石では無く、40分に満田が無回転でミドルシュートを放つもGK朴がセーブ。
尚も、攻めようとした所をイヨハのカットで矢印を反転させられ、松本泰がエリア内へ小さく浮き球を送った所に大橋が走り込み。
しかしシュートにいって振られた脚は空を切り、何とか命拾い。

41分に最後の交代を敢行する鳥栖、先日(セレッソからレンタルで)補強した清武を投入。(横山と交代、同時に福田→手塚へと交代)
これで敵陣での細かなパスワークが主体となるも、崩しきるに至りません。

逆に42分、広島は右裏へのロングパスを受けた満田から組み立て、戻し→スルーパスで奥を取った加藤がグラウンダーでクロス。
ニアでの東のスルーが綺麗に繋がり、大橋のシュートがゴールに突き刺さります。
この時間帯での追加点で、実質相手の勝利の可能性をゼロにする広島。

鳥栖は45分に手塚のミドルシュートがゴールを襲った(GK大迫セーブ)ぐらいで、1点差では無い事で逆に尚も冴え渡る広島のハイプレス。
その後も遮断されては薄い守備を突かれるの連続で、とてもじゃないが点を返せる雰囲気は膨らまず。

そしてATも+5分となった所で、GK大迫ロングフィード→クリアボールを塩谷が裏へロングパスと、再び手数少なくアタッキングサードを突く広島。
右から満田のクロス→左から志知(東と交代で出場、45分)のクロスと右往左往するボールを経て、中央で拾った満田がエリア内へ切り込み。
疲弊した鳥栖ディフェンスに止める術は無く、放たれたシュートがゴール左へと吸い込まれます。
ダメを押し、無事に勝利確定に至った広島。

結局そのまま1-4で試合終了。
かたや優勝に望みを繋ぎ、かたや降格圏へ転落という明暗が分かれた一戦となりました。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第24節 アビスパ福岡vs東京ヴェルディ

2024-07-22 16:00:21 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • ヴェルディは、山田楓喜が2試合出場停止(危険行為による一発退場)の2試合目。

ともに、守備を固めるべく3バックへと移行したチーム同士の対決。
福岡は前年からですが、ヴェルディは今季のリーグ途中での移行となり。

今季J1に上がって来たヴェルディは、その運動量激しいプレッシングサッカーにより、試合終盤まで勝敗が安定しないという試合の連続を強いられ。
それ故に、J2規模の予算という問題が織り成すクオリティ面でも一段劣るなかで、その移行はある意味必然といった所でしょうか。
以降そこそこ安定して勝ち点3を拾えるようになり、いかにも理想を捨ててのやり繰りに定評ある城福浩監督が率いるクラブらしさを醸し出していますが、これにより生まれるこの日のような厳しいミラーマッチを制さなければ上位進出は難しく。

福岡はヴェルディのキックオフからの攻めを切った後、最後方からのロングパス→落としで裏狙いという初手を経て、続く前半2分。
右サイドで小田戻し→亀川1タッチでミドルパスという手法でアタッキングサードを突く攻撃を見せるも、紺野のサイドチェンジから左での攻撃は不発に終わり。
5分には再び小田の戻しから亀川が1タッチで縦パスと同様の手法で、受けた紺野が溜めを作り逆サイドへ展開。
そして宮がアーリークロスを入れると、中央で佐藤凌がヘディングシュート(枠外)と、判り易い狙いを見せた立ち上がりとなり。

しかしその間にも、4分にヴェルディがこぼれ球に対する山見のスルーパス一本で決定機を迎え。(左ポケットに走り込んだ木村の戻しから山見がシュート、GK村上セーブ)
攻めの流れを構築する間に失点しては、決して主体的な攻撃に長けたチームでは無い福岡だけに苦しくなるのは明らかであり。
11分に再び、右サイドでの前進の姿勢から戻しを経て亀川が左サイド裏へロングパスと、亀川が起点+サイドチェンジを混ぜ合わせるような攻めで好機。
これをポケット奥で受けた岩崎、ワイドに流れてのボールキープを経て、先程と同様の位置にまで戻ってのクロス(佐藤凌の前でGKマテウスが抑える)とあくまで角度を付けたアーリークロス(に加え、古巣対戦となる佐藤凌のヘッドで)で勝負したい感じにも見えました。

そうした立ち上がりを経て、以降正攻法を取るかのように、紺野の流動性を利用して右サイドからの攻めを繰り返す流れとなる福岡。
下がり目でボールを受ける紺野に対し、ヴェルディサイドは(谷口が喰い付かないため)誰がチェックするのか曖昧で、流れの中で見木・山見がマークの受け渡しに難儀する場面も散見されます。
13分には左サイド裏へ宮がロングパス、セカンドボールを拾っての攻撃で左に流れてパスを受けた紺野。
ボールキープで中央に流れて右へ展開し、パスを受け直した紺野はクロスのようにミドルパスを最終ライン裏へ送り、そこに岩崎が頭から跳び込むも僅かに合わずとなり。

主体的な攻めの形を構築したかに見えた福岡でしたが、以降ヴェルディがプレスを控えめにして構える姿勢を取ると、途端にその流れは萎み。
ボールを持たされると何も起こす事が出来ないという特性通りの絵図を描くしか無く、22分に(染野が痛んだというタイミングで)前半の飲水タイムが挟まれます。

再開後、初の好機を得たのはヴェルディで25分、左ワイドから翁長の斜めの縦パスから木村フリック→見木スルーパスで裏を取り。
素早く反転してこれを受けた木村、そのまま左ポケットへ進入してシュートと、4分の決定機に近いシチュエーションでのフィニッシュとなったもののGK村上の足でのセーブに阻まれます。
ここから徐々にヴェルディが流れを作る時間となり。
福岡がターゲットを狙ったロングボール一辺倒となるのを尻目に、簡単にボール権が訪れるヴェルディ。
30分過ぎからアンカーの齋藤を軸に長らくポゼッションを続け、染野が降りてボールを受けるという序盤の福岡・紺野のような立ち回りを混ぜながらパスワークで前進。
そして齋藤ミドルパス→木村胸で落としを経て染野がミドルシュートを放った(枠外)のが32分と、長いボール支配によりゲームも支配するに至ったでしょうか。

ターゲット役の佐藤凌がガッチリマークされてロングボール攻撃が通用しない福岡。
止むを得ず地上から繋がんとするも、36分に田代が木村のプレッシャーを受けてパスミスを余儀なくされてショートカウンターに。
染野の浮き球パスを受けた齋藤が溜めたのちにミドルシュート、地を這う軌道でゴールを襲うもエリア内で田代がブロック。
何とか防いだ福岡ですが、次の矢を防げる保証は何処にも無い……という流れに。

一方ヴェルディのロングボールによる攻撃は、ボールポゼッションにより福岡のプレッシャーを呼び込んでのものが多く。
それにより有効打にも繋がり易く、先制点にも結び付く事となります。
38分、GKへのバックパスから送られたマテウスのロングフィード、木村が合わせにいき跳ね返されるも染野が拾って継続。
すると福岡の守備が薄い状況(小田の戻りが遅れて手薄といった観た感じ)が出来上がり、パスを受けた見木がゴールに迫るとともに二択も迫り、亀川が前に出てきたタイミングでエリア内へラストパス。
そして左ポケットで受けた山見がシュート、近似したポイントから放たれた三度目の正直のフィニッシュでゴールネットを揺らしました。

立ち上がりから攻め上がった福岡でしたが、結局は攻撃の流れを構築しゴールを奪ったのはヴェルディという展開に。
そんな現実を見せ付けられると、以降福岡は一層ロングボールへと偏重していき。
佐藤凌がマークされている状況は不変であり、高めに上げた小田をターゲットにするボールを送り続けるも、然したる効果は生まれず時間を潰していきます。

そしてヴェルディは一層ボールポゼッションを高め、福岡の攻撃機会を減らしに掛かり。
ハイプレスで対抗しにいく福岡ですが、GKマテウスの多彩なパス・フィードも冴え渡り奪えず仕舞い。
巧みにプレスの間を通されては前線に運ばれるの繰り返しで、以降ヴェルディの思惑通りに全く攻撃権を得れなかった福岡。
0-1のまま前半終了を迎える事となりました。

福岡は当然流れを変えなければならないハーフタイム。
早くもシャハブ・ザヘディの投入に踏み切る事となりました。(重見と交代、佐藤凌がシャドーへ回る)

そして始まった後半、キックオフとなった福岡は前半同様に宮ロングパス→小田裏へ落としという手法で、ザヘディを走らせるも惜しくも繋がらず。
しかしヴェルディもその直後にGKマテウスからロングボールで攻め、セカンドボールを拾い継続と前半同様の流れを維持。
そして見木のミドルシュートにまで繋げ、福岡は亀川がブロックして防ぐもコーナーキックとなり。
この左CKからも、キッカー山見の(ショートコーナーを挟んでの)クロスをファーサイドで木村がヘディングシュート(叩きつけるもバウンドして枠外)と、早くも後れを取らされます。

攻撃権を確保しても、ザヘディ・小田狙いのロングボールを送る攻撃しか出来ない福岡。
後半6分に、前半の立ち上がりのように右サイドの裏を突くも、戻しを経てのパスワークの際に前のパスがズレてしまいボールロスト。
直後に前が取り返し、自らミドルシュートを放つもゴール右へと外れ。
その後も前のパスは乱れがちで、精度を欠く状況では主体的な攻めを繰り広げる事は出来ず。
9分にはGK村上のロングフィードを、クリアにいった谷口のキックミスで佐藤凌に渡る好機が偶然ながら生まれます。
しかしザヘディが左ポケットへ切り込むも宮原に奪われ、ザヘディがその宮原に反則を犯してしまいフラストレーションを溜めるのみとなって終了となり。
相手のミス待ちによる攻撃を繰り返しては流れが来るはずも無く、また追い掛ける立場のチームがそれでは見所にも欠ける展開を強いられる事となり。

そしてロングボールでの攻防により膨らむ反則。
佐藤凌への徹底チェックにより、繰り返し反則を犯してしまった綱島が警告を受け。(12分)
尚も14分、宮のロングパスを左サイド奥で佐藤凌が収め、やっと有効打になるという所でまたも反則を犯してしまった綱島。
2度目の警告の危機と思われましたがここでは何とか命拾いとなり。
ここからフリーキックによる好機となった福岡(クロスも反則で終了)ですが、あくまで乱戦による副産物であり。
ヴェルディは被害が出てしまった事で、その綱島に代えて松橋を投入します。(16分、宮原が右センターバックへ回る)
一方すかさず福岡も、この日不調気味の前に代えて平塚を投入。

交代により展開も落ち着き、やはりヴェルディのゲームコントロールの時間となり。
木村狙いの浮き球パスを巧く使いながらボールを確保し、着実に相手の攻撃機会を削っていき。
福岡もハイプレスで阻みにいくものの、その際の22分に相手のロングパスを頭部でブロックした佐藤凌に脳震盪の疑いが発生。
そしてそれを機に後半の飲水タイムが採られる事となります。(佐藤凌は無事にプレー継続)

ブレイク明け、このままでは駄目なのは明らかな福岡が布陣変更。
4-4-2へとシフトし、CBから削られた亀川は左サイドバックに回り。(右SBは小田)
右=紺野・左=岩崎のサイドハーフに、ザヘディ・佐藤凌の2トップとして、ミラーゲームの状況から脱却します。

26分、ポジションチェンジした亀川を軸に左サイドで繋ぐ福岡、岩崎が奥を突くと見せかけて戻しを経て中央へパス。
そして受けた小田がミドルシュート(エリア内で谷口ブロック)と、やっと後半初のフィニッシュに辿り着き。
27分に佐藤凌→鶴野へと代えると、佐藤凌が退いた事で地上から繋ぐ覚悟も備わったでしょうか。
ポゼッションを高め、敵陣でサッカーを展開する時間を増やしていきます。
しかし鶴野のポストプレイにザヘディが反応出来なかったり(30分)、岩崎が亀川のパスを収められなかったり(31分)と、アタッキングサードで生まれるミスによりシュートを撃てず。

一方ヴェルディも32分に動き、森田をボランチに投入。(山見と交代、同時に木村→山田剛綺へと交代、見木がシャドーに回る)
とうとう攻撃権を支配される状況となった事で、中盤の底を整えて改善しに掛かったのは明白であり。
それが為される前にカタを付けたい福岡は、34分岩崎のアーリークロスの跳ね返りを拾い、紺野がチャンスエリアでボールキープ。
そして中央バイタルからミドルシュートを放つも、投入したての森田のブロックに阻まれ同点ならず。

その後はヴェルディの目論見通りにイーブンな展開にされ、作る好機も遠目からのアーリークロスに終始する福岡。
流れを変えるべくの最後の交代は39分で、亀川→北島。
北島が右SBに入る事で、小田を最前線に持っていくという奇策を敢行します。(以下鶴見が左SHへ、岩崎が左SBへ玉突き的にシフト)
ヴェルディも同時に、翁長・齋藤→千田・稲見へと2枚替え。
こちらも宮原が左ウイングバックへ、松橋が左シャドーへ、見木が再度ボランチへシフトと激しいポジションチェンジが絡み。

フィジカルを強化し、逃げきるという体勢なのは明白なヴェルディ
しかしパワーサッカーへの変節か、42分にクロスに合わせにいったザヘディと、その思惑の下投入された千田が頭部同士激突する事態に。
倒れ込んだ千田に脳震盪の疑いがかかるも、他方ザヘディのこめかみから流血が発生と双方傷が付いてしまい。
千田は1分程で起き上がり、ザヘディも治療を経てともにピッチに復帰します。

しかしヴェルディは、その後染野にも脳震盪の疑いが。
これにより特例での交代で、6枚目のカードを切る事が許されてチアゴ・アウベスを投入します。

負傷続きで荒れ模様となったまま、アディショナルタイムへ突入するもその目安は9分。
最後のパワーを持って攻め上がる福岡に対し、防がんとするヴェルディですが左奥での鶴野の切り込みに対し(稲見が)反則で止めるという具合にその流れを払拭出来ません。
左ワイド、とは言ってもエリアラインすぐ脇からのFKと、これをモノにしたい福岡。
(北島の)直接シュートをチラつかせながら、上がった紺野のクロスは速いボールとなり、ニアで宮が合わせたものの当てるだけとなってしまい。

その後も(GK以外)全員敵陣に進入して攻め上がり、田代のアーリークロスをザヘディが合わせたものの、治療のために被った帽子の所為かジャストミート出来ず。
それ故に以降帽子を脱いでプレーしたザヘディ、その執念も実らせられません。
それでも後方から岩崎のラフなロングパスが送られると、またもヴェルディのクリアミスが絡んで小田がボール確保。
そして絶好のミドルシュートのレンジに入ったものの、放たれたフィニッシュはジャストミート出来ずに終わり、GKマテウスに抑えられます。

ここからヴェルディがボールキープする時間を作り、着実に進んでいく時計に対し焦りを隠せない福岡。
山田剛のロングパスを右奥で受けたチアゴが、時間稼ぎと見せかけて右ポケットへ切り込み、切り返しの連続を経てのカットインシュート。
このシュートはGK村上が何とか足で防ぎましたが、左CKとなった結果、コーナーで時間稼ぎに入らんとする所で試合終了の笛が鳴るに至りました。

どちらも相手の良さを消すのが特徴で、動きの少ない試合を証明するかのようなウノゼロでの決着。
勝利したヴェルディも、このままこのスタイルの維持でJ1定着するには個性が埋没しそうな感がありますが、昇格による収入増でクラブ規模拡大を果たせた際にはどうなるか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第21節 ヴィッセル神戸vs鹿島アントラーズ

2024-07-05 16:39:17 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 神戸ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
  • 鹿島は、鈴木が累積警告により出場停止。

上の方の試合を観るか、という事で選んだこのカード。
今季のJ1は、新興勢力(町田)にまさかの首位の座を明け渡しているとあり、ちょっとの差で追う立場にある両クラブの必死さは画面からも伝わって来るものであり。

立ち上がり、その思いが溢れ出るような、醜悪とも取れるシーンが目立ち。
前半2分の神戸の攻撃で、山口の左からのクロスを阻止にいった安西が山口と交錯して倒れ込み。
幸い無事だったものの、これにより両軍意固地になってしまった感があり、続く5分にはパスを受ける広瀬が樋口に倒されて反則。
するとリスタートを防ぎに立ち塞がる樋口を山口が押し倒すという具合に、サッカー以外の絵図を目立たせてしまう結果となります。

その流れのなかで、7分に空中戦でチャヴリッチが(トゥーレルに)反則を受けた事により、鹿島は中盤の位置からフリーキックによる放り込み。
これをエリア内中央で名古がポストプレイで繋がんとし、クリアされるも尚も右コーナーキックとセットプレーの流れは続きます。
そしてキッカー名古のクロスを、中央ややニア寄りで合わせたチャヴリッチのヘディングシュートがゴールネットを揺らし。
反則塗れの流れならばお手の物、と言わんばかりに百戦錬磨の鹿島が先制点に辿り着きました。

神戸は立ち上がりから、大迫・武藤をターゲットにしたロングボールでの組み立てと平常運転のスタイル。
それがデュエル・チャージの量産に一役買い、また鹿島優位に進んでいた事にも繋がっていた風であり。
ピッチレベルでもそう感じたか、16分に最終ラインから地上での前進を選択し、中央で扇原→山口→大迫と相手の間を抜くパスの連続。
そして大迫が右へ展開し武藤がクロス、これはブロックされるも右スローインで継続(その後扇原がループシュートを狙うも枠外)と、敵陣に押し込む事に成功します。

そして18分、またもトゥーレルから地上で前進の姿勢を見せると、鹿島サイドがプレスを諦めたのを見るや扇原がほぼフリーの状態でロングパス。
受けにいく武藤は、扇原がボールキープでタイミングを計るなかで、ベストタイミングで綺麗に裏抜けを果たしてGKと一対一に持ち込みます。
そしてエリア内中央からGK早川の右へシュートを蹴り込み、見事に制してゴールゲットし同点に。
長短混ぜ合わせての組み立てで、鹿島ディフェンスもそれに合わせられなかったでしょうか。

その後も地上での繋ぎを一定割合で挟みながら、攻め込む神戸。
酒井や山口が最終ラインから一列前の位置で巧みにパスの引き出し・ボールキープを行う事で、奪い返したい鹿島ディフェンスを引き付けながら隙を作る動きが素晴らしく。
24分、山口のキープでプレッシャーを剥がしたのち前に出た酒井へ縦パス、受けた酒井もキープする事でディフェンスを引き付け。
そして扇原→井出と経由ののち、井出から一気にエリア内へロングパスが供給され、武藤が走り込むという同点のシーンに酷似する状況となりましたがここはGK早川がいち早くキャッチ。

一方、優勢ぶりが雲散霧消となった鹿島。
立ち上がりはあくまで乱戦模様に付け込んだという形らしく、神戸の立ち回りにより落ち着きを齎したのちは見る影も無し……といった所でしょうか。
自身でも最終ラインから繋がんと試みるも、神戸の前線の守備に苦戦は否めず。
大迫がボランチを監視しつつ、両インサイドハーフ(山口・井出)が前に出て最終ラインに掛けられるプレッシャーにより前に運ぶ事に難儀。
仮に前にボールを出しても、素早いトランジションからの守備(特に山口の)を受けて結局好機に繋げられません。

そんな神戸の4局面をフルに使うサッカーに、苦戦の色を隠せなくなる鹿島。
大迫のポストワークに対し、激しく寄せて腕で止めようとする絵図(それでも倒れない大迫は凄いの一言ですが)を幾度も作るなど、再びラフプレーの色が強まって来ます。
迎えた37分、敵陣で扇原がパスカットに成功した神戸、こぼれ球を拾った大迫がチャージされながらボールキープを果たすと、そのまま反転して左サイドを突きに掛かり。
ここからまた溜めを作る大迫、そして中央→右へとショートパスを展開させ、酒井が奥に切り込んでクロスと崩しにいき。
クリアされて右CKになると、キッカー扇原は低いクロスをニアに送りスペースを突くと、入り込んだ武藤がボレーシュート。
これをゴールライン寸前で関川がブロックしますが、跳ね返りをすかさずトゥーレルが押し込んでゴールに突き刺します。
鹿島と違いキチンと組み上げた優勢ぶりの前には、必死のディフェンスも空しいといった勝ち越し点になりました。

しかし攻め続ける最中、36分に酒井が仲間のチャージを足に受けて反則という場面があり。
その影響で42分に限界を迎え、倒れ込んで続行不可能となってしまう酒井。
大迫・山口らと並んで、そのプレーぶりは神戸に欠かせない存在に映っただけに、ただ残念といったアクシデントとなりました。(初瀬と交代)
同時に、こうしたラフプレー混じりで無いとトップレベルを止められないという絵図に、槍玉に挙げられがちな町田だけを責める事は出来ないという穿った考えを浮かべてしまうものであり。

決して褒められたものでは無いながらも、その隙を突かんとする鹿島は45分、最終ラインでの繋ぎからGKへと戻して神戸ディフェンスを引き付け。
そのうえで送られたGK早川のロングフィード、一気に右サイド奥を突いて受けた樋口が溜を作った末にグラウンダーでクロス。
ニアで受けた名古、神戸のブロックをかわしながらシュートを放ちましたが、ゴール左へ外れてしまいこのワンチャンスをモノに出来ません。
一方リードを奪った神戸も、後方からのロングボール中心で前半の残り時間を過ごし。
その中で鹿島のクリアミスも絡み、広瀬がエリア内でシュートを放つ(GK早川キャッチ)場面もありましたが、結局スコアはそれ以上動かず。
2-1で前半終了となりました。

巻き返しを図る鹿島は、ハーフタイムで仲間→藤井へと交代。
藤井の突破力に賭ける事となります。

しかし根本的な所が変わらないと、何時まで経ってもペースを変えられない状態であり。
後半の入りも神戸が攻め上がる絵面となり、大迫のポストワークに対し腕を使って止めにいくもままならない、というシーン(後半2分)も前半と同様。
そんな反則気味のプレーに対し、3分にはチャヴリッチに倒された山口がヒートアップする等、苛立ちを抱えながらペースを保たんとする神戸。

そんな流れを変えようと、神戸の姿勢よろしく、植田のロングフィードを積極的に使いにいく鹿島の攻撃。
5分にその植田が左サイドへロングパスを送り藤井を走らせ、これにより左スローイン→左CKと、前半の立ち上がり同様に繋がるセットプレー。
ここからの二次攻撃で、右から上がった樋口のクロスをニアでチャヴリッチが合わせボレーシュート、しかしゴール左へ僅かに外れて同点ならず。

一方鹿島の守備は、度々フリーの状態でロングボールを送られていたのを受け、前からの圧を強めるという当然の姿勢に。
その甲斐もあり、9分には神戸の最終ライン間でのサイドチェンジを藤井がカットしてショートカウンターと、一定の成果は挙げられましたがゴールには辿り着けません。

神戸はその鹿島の攻撃に押され気味となり、13分には中盤の底でパスミスを犯してしまい鹿島のショートカウンターに。
そして樋口が中央からエリア内を突いてシュート(トゥーレルがブロック)と、ミスも出て来た事で締め直さなければならない状況となり。
その思惑通りに動く吉田孝行監督、16分に井出・広瀬→佐々木・パトリッキへと2枚替えを敢行します。

そしてその直後の17分でした。
右サイドで武藤がボール奪取し、こぼれ球を繋いで佐々木が前進する所、またも鹿島は知念が腕でそれを止めにいく姿勢に。
しかし佐々木は倒れずに進み、逆に知念が振り切られ倒れるという格好になると、カットインでレーンチェンジののちに右ポケットへスルーパス。
奥で受けた武藤のグラウンダーのクロスを、ニアに入り込んでいた大迫が合わせシュート。
GK早川が足でセーブするも、跳ね返りをすかさず追撃した大迫がゴールネットを揺らす事に成功します。
しかしオフサイドを告げる笛が鳴り、スルーパスを受けた武藤のオフサイドを取られた事で、判定はVARに委ねられ。
長らくチェックが行われた結果、ゴールへと判定が切り替わり。
反則アタックでも止められないという神戸の推進の末に、リードを広げました。

厳しくなった鹿島は、20分に関川・樋口→柴崎・師岡へと2枚替え。
こちらも海外から帰還組の柴崎の投入で、神戸に対抗姿勢を取らんとします。
また佐野がセンターバックへシフトし、2点差を追い掛けるべくボールポゼッションの姿勢を強め。(しかしボールを持たされるともいう)

柴崎投入でややクリーンとなった鹿島のサッカーですが、それにより大迫を止められないという事態にも陥り。
23分、中央で大迫がキープののち左へ展開、本多の戻しを受けるとすかさずライナーでエリア内へ縦パス。
急所を突くようにパトリッキに渡りますが、その速いボールは収めきれずクリアされ。
何とか命拾いした鹿島ですが、パサーに回っても大迫の脅威は健在というシーンでした。
鹿島は26分、ボール保持を経て柴崎がロングパス一本で右ポケットを突き。
サイドバックの濃野が一気に走り込み、ダイレクトでシュートを放つ(枠外)という具合に視野の広さを発揮する柴崎ですが、このビハインドの状況を跳ね返すには至りません。

28分、右サイドで武藤のドリブルが藤井に倒されて反則、というタイミングで動く神戸ベンチ。
本多・扇原→菊池・井手口へと2枚替えを敢行し、以降井手口・山口をドイスボランチとした4-2-3-1へシフトします。(初瀬が左SBに回る)
得た右サイドでのFKから、キッカー初瀬のクロスを大迫が合わせヘディングシュートを放つもゴール右へと外れ、4点目はならず。
直後に鹿島もチャヴリッチ→垣田へと交代。

何度か鹿島の押し込みを受けるも、優勢ぶりは揺るがないといった神戸。
しかし33分に、ゴールキックの際にGK前川が遅延行為で警告と、弱腰の姿勢に映る絵図を見せてしまうと以降は一転。
鹿島がひたすら敵陣でのボール保持から攻め込むという流れへ突入します。

傍らから観れば、鹿島が押しているように見えるこの絵面も、神戸にしてみれば最後にやらせなければ良いという状態であり。
その通りに鹿島は外循環を強いられながら、何処でブロックの中を突くかという判断を迫られる攻撃。
36分には左ワイドで持った藤井が、柴崎とのワンツーからのカットインでポケットを突きにいく好機。
しかし彼を担当する菊池が追走し、ショルダーチャージで倒して止める(反則無し)という具合に剥がしきれません。

40分に神戸は山口のパスカットで矢印を反転させ、逆に敵陣で繋ぐ状態に。
そしてパトリッキが左奥を突いてクロス、クリアボールを山口がミドルシュートに持っていきますが、ブロックされ跳ね返り逆に鹿島のカウンターに。
神戸デイフェンスの裏を取る毛色の違う好機が生まれましたが、ここも神戸の素早いトランジションを受けて減速。
何とか師岡がエリア内を突き、ディフェンスをかわしながらシュートに繋げました(GK前川キャッチ)がモノに出来ません。

やはり敵陣に押し込んだ状態で、どう崩すかという課題に向き合わなければならない鹿島。(44分に名古→土居に交代)
45分、(GK以外)全員敵陣へ入り込んでひたすらサイドを揺さぶって繋ぎ、左から上がった土肥のクロスをニアでトラップした知念。
そしてそのままボレーシュートとアクロバットに撃たんとしますが、間一髪ヘッドでクリアしたトゥーレルを蹴ってしまう格好となって反則に終わり。

結局これが最後のチャンスらしいチャンスに終わり、アディショナルタイムには神戸が押し込むシーンが膨らみ。
そしてその流れのまま試合終了の時を迎え、上位対決は神戸が制する結果となりました。

川崎・マリノスといった、攻撃サッカーで魅了したクラブが低迷している現状。
そんな中で、エンターテイメント性を高めながら勝つクラブとして、この試合を観る限りでは神戸がその座を射止めても不思議で無いように映り。
空中でも地上でも一定の攻撃クオリティを保ち守備も堅いという具合に、その資格は十分備わったと思いますが、まずは連覇を果たしたい所でしょう。

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