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TV観戦 第99回天皇杯JFA前日本サッカー選手権大会準決勝 ヴィッセル神戸vs清水エスパルス 

2019-12-24 17:03:59 | サッカー視聴記(2020年以前)

今シーズンの開幕前に「ACL出場権獲得」という目標を打ち出していた神戸。
それにしてはリーグ戦序盤から迷走を重ね、中盤には残留争いにも顔を出していた今季の成績には首を傾げますが、目標のためにはある意味最も手っ取り早いのがこの天皇杯での優勝です。
ここまで勝ち上がり、その目標達成まであと2勝という所までやって来ました。
リーグ戦は一応3位までが「ACL圏」とされていますが、2位以下の場合は、来季の開幕前にプレーオフを戦わなければならない事象が発生するのが厄介。

こうして「天皇杯優勝が楽」という理屈が生まれましたが、天皇杯の結果は翌年元旦にならないと出ないのが普通であり(前年はイレギュラーもあり年内に決勝が行われましたが)、勝ち残れば結局オフは短くなってしまいます。
どちらにせよリーグ優勝が現実的では無いクラブがACLを目指すには、オフを削ってでも……という姿勢を取らなければ果たす事が出来ない。
そして出場権を得ると、翌シーズンは国外アウェイでの戦いが待っているという具合に、過酷なシーズンを余儀なくされます。
果たしてそれを体験した事のない神戸にはその覚悟があるのか不透明ですが、一方でチームが既に得ている潤沢な資源を結果に生かす格好の機会なのも事実。
世界的なスター選手を搔き集めた成果はまさにこのためにあった……とは言い過ぎでしょうが、初のタイトル獲得・ACL出場を達成する事は、将来の栄華への第一歩となるでしょう。

両クラブとも、サプライズの無いほぼベストメンバーで挑んだこの試合。(引退を表明している神戸ダビド・ビジャが体調不良でベンチ外でしたが)
チームコンセプトは対照的と言っても良く、支配率を高めてのパスサッカーが軸の神戸に対し、カウンターでシュートに繋げる清水。
ただリーグ戦での戦いを経て、神戸のその思考はマイルドになって来ている印象です。
後方からパスは繋ぐもののポゼッションへのこだわりは薄く感じられ、リーグ戦前半のような消化不良感も少なく。
チームとしてもそんな意識はあるのでしょうが、その象徴なのがアンドレス・イニエスタの的確な急所を突くパス、というのは言い過ぎでしょうか。

一方清水はカウンタースタイルとはいえ、それを支えるのが1トップのドウグラスと、チーム全体のハードワーク。
ボールの獲り所が定まらないと負けパターンに嵌り込んでしまう、というのが常時残留争いを強いられたリーグ戦での戦いぶりで、この日もそこから脱却する姿は感じられませんでした。

ファーストシュートは前半3分の清水の攻撃(ドウグラスのエリア手前からのシュート、枠外)でしたが、その後は一進一退の展開でシュートは無く。
その停滞感を破ったのがイニエスタで、前半13分。
最終ラインでのパス回しから、左サイドで酒井が大きくサイドチェンジを敢行し、山口→西→イニエスタと繋がります。
エリアすぐ手前の右寄りという、「何でもできる」状況の中でイニエスタはシュートを選択すると、清水サイドの裏をかいた格好となったか綺麗にゴールに突き刺さりました。
早速レベルの高さを披露したイニエスタ、先制点をチームに齎します。

堰を切ったかの如く、その後の神戸は攻撃を悉くシュートに繋げていきます。
18分、田中・山口とのパス交換から再びイニエスタがシュートを放つも、今度はゴールの左。
22分、左サイドで形を作ったのちイニエスタが左奥へ縦パス、その後酒井→大﨑と渡ってクロスが上がり田中がヘディングシュート。(ゴール右に外れる)

その後は清水も反撃、23分には右⇔中央のパス交換の連続から、右サイドからの金子のクロスにドウグラスがヘディングで合わせますが枠を捉えられず。
27分にはエリアすぐ手前での直接フリーキック、ジュニオール・ドゥトラが直接狙ったもののゴールの上に外れてしまいます。

清水の圧力に苦戦しがちだったこの時間帯の神戸。
ディフェンス陣も浮足立っていたようで、直後のゴールキックはGK飯倉がキックミスで直接タッチの外へ。
30分には、あろう事かエリアすぐ手前で清水・河井にボールを奪われる大ピンチを招きますが、直後のドウグラスのシュートはGK飯倉がセーブして何とか防ぎます。(その後こぼれ球をドウグラスがバイシクルシュートするも枠外)

しかし33分の神戸の攻撃。
左サイドでイニエスタが酒井とパス交換しながら前進し、エリア内へドリブルで向かうもロストしますが、その後酒井が再奪取。
そして酒井がグラウンダーでクロスを上げると、エリア内で田中が合わせて見事にゴール。
前半のうちに追加点を得た神戸。
その後はイニエスタのクロスが流れたと思ったらポストを直撃したり、ドウグラスが持ち込んでカウンターのチャンスかと思ったらその前のプレーで神戸の反則が取られたり(アドバンテージは?)と、清水にとって悪い流れが続く展開に。

ところが38分に清水が反撃の狼煙。
右サイドから攻撃を組み立て、エウシーニョのカットインからショートパスが繋がり、ドゥトラ→エウシーニョ→ドウグラスポストプレイ→竹内と渡っていきます。
竹内から浮き球でドゥトラへと渡ると、ワントラップから技ありのシュートを放つドゥトラ、GK飯倉の牙城を破るゴールを挙げます。
持ち味である助っ人の個人技により1点を返した清水。

その後は清水ペースで前半の残り時間は経過。
45分には再び直接フリーキック、今度はドウグラスが狙ったもののブロックに阻まれゴールならず、前半は2-1のまま終えます。

後半立ち上がりは神戸のターンとなり、特に前半あまり目立たなかった古橋が躍動。
後半1分に田中とワンツーで左サイドを突破し、奥でカットインするもシュートは撃てず。
5分には左サイドでボールを受けた古橋、再びカットインでエリア内に入り、シュート気味のクロス(グラウンダー)を入れるも繋がらず。

その後は同点に追い付きたい清水がペースを取り戻していきますが、中々決定機を生み出す事は出来ず。
後半9分に金子→西澤の交代を敢行し、西澤に流れを変える事を期待せんと試みますが大した効果は出ませんでした。
そして試合は再び一進一退の展開に。

そんな中再び繰り返されたのが神戸のミス。
24分、またもやエリア手前という位置でボールロスト(サンペールのバックパスのミス)してしまい、ドウグラスにボールが渡る大ピンチ。
しかしドウグラスが放ったコントロールシュートを、再びGK飯倉が超反応で止めて難を逃れました。

そして再び繰り返された第二の要素が、直後の神戸の追加点でした。
イニエスタのパスを受けた古橋、エリア手前中央という位置で果敢にシュートを放つと、DFの股の間を通しつつGK西部を破りゴールゲット。
「ピンチの後にチャンスあり」を忠実に実行し続けたこの日の神戸、再び2点差に。

逆に、相手のミスからのチャンスをモノに出来ず、その直後に失点というパターンを2度も描いてしまった清水。
以降は特に神戸を脅かすシーンを作る事無く、逆に再三ピンチを招くなどやりたい放題の展開にされてしまいます。
まあこの内容・スコアの流れで戦意喪失しない方がおかしいと言いたくなりますが、やはり苦境に立たされた選手達は、チームに落とし込まれている戦術に縋らないとペースを掴めなくなるものでしょう。
そして今季の清水にはそれが希薄であり、見事に露呈した残り時間でしたね。

守りを固めに入る神戸に対し、ただその外側でパスを回す事に終始せざるを得ない。
そして特にポゼッションに拘っている訳でも無いので、何処かで歪(パスミス・無理なパス)が起きて最後はカウンターを浴びる、という繰り返し。
古橋や交代で入ってきた藤本・小川に散々シュートを浴び、良く追加点を取られなかったな、という内容で試合を終える事となった清水。
結局少ない見所は、今季で退団が決定していた楠神が交代出場した事(河井と交代)ぐらいだったでしょうか。

既に清水は来季への体制作りに必死であり、新監督はピーター・クラモフスキー氏に内定。
フロントにも、GMに大熊清氏を招くなど着々と準備が行われているクラブの動き。
クラモフスキー氏は今季マリノスでコーチを務めていた人物で、参謀としての今季の成績(J1優勝)が買われての招聘なのは明白。
果たしてその姿勢は吉と出るでしょうか。

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