※前回の岡山の記事はこちら(14節・群馬戦)
※前回の甲府の記事はこちら(15節・栃木戦)
過密日程対策で、2チームに分けての運営が行われている今季の甲府。
今回の5連戦も、この日最後の5戦目を迎えたという事でスタメンを振り返って見ると、1・3・5戦目のスタメンは4人(新井・太田・中塩・山田)。
それでも意外と少ないのは、3・4戦目に北九州・長崎と上位クラブとの連戦があったからで、この2戦ともにスタメンだったのが小柳・泉澤・武田・内田の4人でいずれもこの日は休養に。
5戦のうち4戦がスタメンだったのが今津ただ1人(3戦目はベンチスタート・途中出場)で、GK岡西を除いて唯一の前節からの連闘であり、メンバーを回しに回してのスタメン起用を見せています。(尚、GK岡西は全試合スタメン)
こうした運営が功を奏しているのか、現在は上位3クラブ(北九州・長崎・徳島)に次ぐ成績を保っている甲府。
2チームでの運営で他に思い当たるクラブは千葉が居ますが、こちらはハッキリと「全とっかえ」で挑む試合が目立っており、その所為で分断が起きているのか中々勝ち点が伸びず。(今節・愛媛戦ではある程度ミックスさせて結果が出ましたね)
いかに「2チーム分のメンバー」を一つにまとめてチームの総合力を上げていくか、そんな観点では今季トップクラスと言っても良い甲府の現状。
伊藤彰監督以下、首脳陣のマネジメントはここまでほぼ万全なようです。
ドゥドゥとジュニオール・バホスが離脱中で、攻撃力に不安を抱えつつあったものの、北九州戦・長崎戦では上位相手にいずれも複数得点で勝利。
課題であった手数(シュート数)の少なさも改善傾向が見られるなど好循環が止まなかった両試合でしたが、再び前節からメンバーを9人入れ替えたこの日。
ハーフナー・マイクを1トップにした攻撃陣で、同じような展開に持ち込めるのかがカギとなりました。
立ち上がりは岡山が優勢で、甲府はビルドアップから攻撃を展開させようとするも、出足の良い岡山ディフェンスの前に中々攻め込めず。
岡山は序盤から攻撃機会を増やしていきますが、パスワークや最後のプレーが雑でフィニッシュまで繋げられません。
12分には相手コーナーキックからカウンター気味に攻撃も、敵陣でスピードダウンさせて前線に人数を掛ける事を選択。
そして上門の縦パスがエリアライン際の関戸に入りましたが、あろう事か上がってきた左サイドバック・下口と被ってしまいシュートは撃てず。
この辺のポジショニングも含め、岡山の攻めの精度が今一つに感じた前半。
14分頃から、岡山に主導権を譲っていた甲府も本領発揮。
左シャドーでスタメン出場の中山が、ビルドアップの際に降りて来てボールを受ける事で、後方からの攻撃をチャンスに繋げていきます。
それとは無関係ながら、15分には荒木縦パス→ハーフナーポストプレイ→中山→山田と渡り、山田がドリブルで前進して好機。
エリア手前で右にパスを出し、受けた宮崎がエリア内に入ってシュートを放ち、GKポープ・ウィリアムのセーブに太田とハーフナーが詰めにいったものの両者ともに触れず。
22分には左からのスローインで、荒木のロングスローをハーフナーが直接エリア内で収めてシュート。
GKポープにセーブされ、尚も拾い直してシュートしましたがボールはゴールに向かわず右タッチラインを割ってしまいます。
こうしてペースを取り戻した甲府、「攻撃機会=岡山、ポゼッション・シュート数=甲府」という図式を描いて飲水タイムへ突入。
一方岡山の5連戦は、GKポープの他に濱田・白井・上門と4人が前5試合にスタメン、徳元(この日は休養)・後藤が4試合スタメン。
田中が1試合のみ(14節)で再度離脱に入ったのは痛手でしょうが、それだけで無くイヨンジェがここ2試合ベンチ外と、繊細は不明ながら離脱を予感させます。
苦しい成績で苦しいやり繰りを強いられる状況。
そんな中、この日の2トップは赤嶺と齊藤というレアな組み合わせ。
赤嶺はこれが今季2試合目のスタメンで、齊藤が3試合目。
赤嶺はイヨンジェとのコンビの際は、降りたり開いたりというプレーが目立ちましたが、ここまでその仕事は齊藤に譲る事が多かった。
しかしそれで攻撃が活性化したかというと微妙な所。
飲水タイムを挟み、フィニッシュの面で後れを取った岡山が反撃開始。
34分は齊藤のポストプレイを受けた関戸が遠目からミドルシュート(枠外)、35分には齊藤の左からのクロスに白井が頭で合わせるも、ミートしきれず枠外に。
FWを囮としつつ、2列目以降の選手に狙わせる攻撃が続きます。
この辺はやはりイヨンジェというストライカーが居たため、他のFWは組み立てに関与したがるタイプが多数を占めており、双方揃った事でFWがフィニッシュに絡めなくなっているのでしょうか。
この後42分にも、長いパス回しの末にエリア内で上門シュート(甲府・野澤がブロック)、その後も繋いで関戸がミドルシュート(枠外)とやはりフィニッシュを務めたのはMFの選手。
シュート数は重ねられたものの、ある種の矛盾を描きつつ前半を終えた岡山。
後半に入り、先にシュートで終えたのは甲府。
後半5分、中盤でボールが回ると、宮崎がやや遠目からシュートを撃つも枠外に。
前半の終盤はペースを失いつつあった甲府、多少強引に撃った感がありましたが、意思表示としては有効でした。
その後双方交代を挟み(岡山=野口→上田・7分、甲府=野澤→中村・11分)、時計は進んでいきます。
早めに上田を投入(関戸がボランチ→右サイドハーフへ)し流れを掴みにかかった岡山でしたが、ここから甲府が攻勢。
12分、クリアボールを拾った後左サイドで中塩・山田・中村のパス回しから、山田が一気にロングパス。
これをハーフナーが収めてシュートするも枠外に。
13分には再び山田が一気にスルーパスを出すと、太田がエリア内に抜け出してシュートしますがGKポープのセーブに阻まれます。
ここまでリーグ戦ではセーブ数・セーブ率ともに抜群の数字を挙げている(と放送席で語られていた)ポープ、この日もその守護神ぶりを発揮します。
しかし時間が進むと共に、その目立ちぶりは相手GK岡西へと移る事となります。(本人が悪い訳では無いのですが)
前半はやや雑な面が見られた岡山の攻撃ですが、上田投入が徐々に馴染んできたか、15分過ぎから主導権を握り返す事に成功します。
この時間帯は執拗に右サイドを使っており、左SBの下口が、敵陣でボールを持つと中央へ流れた後右にパスを出す事までも行っていました。
それでもシュートまでは持って行けず。
23分、逆の左サイドで下口がパスワークから前進、戻されてから上田がエリア内へロビング。
甲府・新井のクリアミスで赤嶺が受けシュート体勢に入るも、GK岡西が撃たれる前に抑えます。
右が駄目なら左、という攻撃を見せて良い流れを作ったのちに飲水タイムへ。
飲水タイムの後、再び両者選手交代。(26分)
甲府はハーフナー・中山→松田・藤田(宮崎がシャドーに回り、藤田が右ウイングバック)、岡山は赤嶺・齊藤→清水・山本大貴。
2トップをそっくり交換してきた岡山の采配に目がいきました。
後半は赤嶺もサイドに流れてのプレーが目立っていた岡山。
山本大は中央でのプレーを優先したため、清水(彼もチャンスメイクが目立つタイプ)とのバランスが良くなり、再びフィニッシュまで辿り着くようになります。
32分、椋原のロングパスをエリア内で山本大が胸で落とし、清水に渡るも前を向けず一旦戻します。
そして上田から再びロビングがエリア内に入り、左で下口が収めてシュートするも、GK岡西がセーブ。
直後のCKも、ショートコーナーから関戸のクロスが上がり、ニアサイドで山本大(かどうかは不明)がヘディングシュートもGK岡西のセーブに阻まれます。
一気にピンチを迎えた甲府、37分に山田・宮崎→山本英臣・ラファエルへと交代。(松田がシャドーに回る)
これで流れを変え、40分に決定機を迎えます。
山本英のカットから左に展開の後、中村の右サイド奥へのロングパスに松田が走り込み、ダイレクトでクロス。
グラウンダーで中央に入ったこのボールをラファエルが合わせ、シュートもブロックに防がれてモノに出来ません。
交代選手が流れを変える展開となり、時間も押し迫り岡山は最後のカード。
42分に下口・関戸→松木・パウリーニョへと交代(白井が右SH、椋原が左SBに回る)。
長期離脱から復帰したてのパウリーニョの投入で、士気を上げに掛かります。
その目論見通りに43分、左サイドからパウリーニョの縦パスが入り、清水がエリア手前で受け反転してシュート。
しかしここもGK岡西がキャッチと、どうしても最後の壁を崩ない岡山。
そのままアディショナルタイムに入り、最初は甲府の時間になりエリア内に持ち込む場面の連続もフィニッシュには繋がらず。
すると最後に岡山のターンになります。
中盤からのフリーキック、上田のロビングがエリア内右へと上がり、濱田の折り返しを後藤がヘディングシュートに持っていきますがやはりGK岡西のセーブに阻まれゴールならず。
その後も岡山は敵陣でボールを回し、最後にCKを獲得した、という所で試合終了の笛が鳴り蹴らせて貰えず。
スコアレスで引き分けとなり、2度目の5連戦の幕は閉じました。
そうは言ってもこの先も5連戦のみで組まれている今季のリーグ戦。(最後だけ3連戦)
1週間の休息を挟み、再びマネジメントが問われながらの戦いが襲い掛かって来ます。
9節の大宮vs福岡(3日後に代替試合)以降中止になる事態にはなっていませんが、今後は更なる台風襲来が起こればどうなるか。
日程的に非常に悩ましくなる秋という季節がやって来ました。