他のカテゴリに先んじて、最終節まで辿り着いたJ2リーグ。
その注目はやはり昇格争いで、目標があるクラブの熱狂ぶりはさぞ凄まじい。
そんな事を3か月ぐらい前から考え、その現場に居られたらどんなに幸せだろうか。
そういった思考の下、観戦を決意しました。
上位かつ、北海道からなるべく近いという条件で、選んだ地は仙台。
決して「待ってけさい」の目撃のためではない
という訳で、前年のいわき以来となる2度目の仙台空港へ。
前回は、「いわきへ向かうための中継点」でしかなかったこの地。
そのため、「プロ野球・楽天に大きくソースを割かれている」といった記憶が残るのみでしたが、よく観察するとそれは誤りだった事が判明。何処をとっても日ハムばかりの札幌とは違うのだよ
まず到着ロビーに向かう際の通路に、ユアスタの画像がある広告を観てそれが実感出来。
そしてロビーには、大量ののぼりで出来た宣伝のための一角が。
特筆すべきはこの2点のみでしたが、空港自体が決して大規模とは言えないため、かなりの分量となっていました。
高揚感を得ながら、空港直結の鉄道駅から電車へ乗車。
JR→仙台市営地下鉄という、1本の乗り換えで目的地まで行けるのは素晴らしいの一言であり。
それでも、地下鉄仙台駅のホームでの混雑ぶりにゲッソリとする、旅の苦難も味わいつつ。
そんなこんなで、最寄りの泉中央駅まで到達。
噂に違わぬ門構えのユアスタ。
ただしその外側のキャパシティに難がある(一応、七北田公園の中にあるが道路で分断されておりユアスタの範疇は狭い)という感じで、ひたすら人の波をかき分けて……といった事を余儀なくされるのはご愛敬。
この写真からも、そんな中で無理矢理撮ったものであり。
席に着き、まず考えるのは食料の確保。
しかし混雑ぶりはスタジアム内も同様で、長蛇の列に加わるのは必至。
何処の列に並んだのかも判らぬまま、何とか買えたのはキーマカレーのみ。
既に13時を回っている時刻で、ひたすら掻き込む事となりました。
やっぱり「カレーは飲み物」だったか
ピッチ内では、既にチアガールが演技を披露している真っ最中。
中央密集での演技から、最後は広範囲に渡って締めるという、中々ポジショナルプレーを考えさせられるパフォーマンスでした。
バックスタンドには座席で描かれた、クラブ30周年記念を示す文字が。
この部分の客入りはこの段階では落ち着いていたものの、いざその左からゴール裏にかけてを見ると、襲い掛かってくる黄色の圧力。
この試合が下位カテゴリであるという事は微塵も感じられない、圧倒的な観衆。
他方の大分サイド。
通称「圧倒的ニータン」を並べる事で圧を醸し出して対抗?という感じに。
専用スタジアムの長所であるピッチからの近さは、客席のアクセントも結果的に増大させていたでしょうか。
そして始まった、そのピッチ内での練習。
対面パス、トリカゴという基礎的なものでも、伝わってくる十分な迫力。
そんな環境のなか、早くも始まったスタメン発表。
新潟遠征以前は、こうした早期の発表は札幌特有のものと思い込んでいましたが、割と普通に行われているのか。
まずはアウェイ側の発表が飾り気なく行われ、最後に監督の紹介。
しかし「監督」という文字すらないのはシュールすぎ、思わず撮ってしまいました。
そして派手な演出で幕を開ける、ホーム・仙台サイドの発表。
その演出は実際の紹介でも発揮され、3パターン撮られた静止画を幾度も切り替えるという、斬新な手法で彩られ。
その間に個人チャントが演奏されるという、サポーターの協力も加わり。
そのため1人における表示時間は長めですが、個人チャントの無い選手(工藤蒼生)は短めに終わる悲しさも。
しかしホログラムの画像のためか、チラつきが凄まじい。
リザーブ選手にはチャント演奏も無く、時間も極短と差別化。
ちなみに仙台における自分の一推しは石尾ですが、この日もサブでした。
チームを戦う集団へと変貌させた、就任1年目の森山佳郎監督。
J1復帰を果たせず苦労を続けるクラブを救ったのは、苦労人の指導者……といった絵図がよく似合うでしょうか。
この日のスタメン。
前節手痛い敗戦(熊本戦、1-3)を喫した仙台ですが、スタメンは全く弄らず。
この試合を前に引退を表明した遠藤も、ベンチ外に留まるなどこの一戦に賭ける思いが溢れる選択に。
7位からの逆転でのプレーオフ圏入りは果たせるかどうか。
一方の大分は渡邉→池田と1人入れ替え。
しかしメンバー以上に気になるのは、残留のために貫いたパワーサッカーのスタイルが、継続されているのか否かという点であり。
そしてピッチに目を戻し。
相変わらず練習が続くなか、マスコットの一人であるルターナの頭部が。
練習前から積極的に働いているという印象(キッズのエスコートなど)で、相棒のベガッ太が気分屋に見えるだけに尚更であり。
しかしそのベガッ太、ゴール裏で自転車パフォーマンスをするなど、思っていたより精力的。
やがて練習も終わり、試合開始に向けての準備がせわしなく行われ。
昇格争いに拘る一戦だけに、報道陣の数の多さも健在。
その後はチアガールによる花道も出来、選手入場という雰囲気に。
そして先程観たバックスタンドでは、満杯に埋まった客席によるコレオ。
象られたのは座席と同様の「30th」の文字で、これでもかと30周年をアピール。
始まった選手入場。
その最後尾にしっかり位置するベガッ太とルターナ、そのまま整列にも加わったと思いきや……
神に祈りを捧げる?ベガッ太。
毎回やっているかどうかは不明ですが、チームの運命を左右する一戦だけに、彼なりの気合いの表れでしょうか。
メインスタンドの近距離から見る、試合前の撮影の一幕は圧巻であり。
しかしベガッ太のお茶目ぶりはとどまらず、コイントスの場にも顔を出し。
真剣勝負の前の和やかぶりを醸し出す、必須のキャラとなっていたでしょうか。
そして待ちに待った、(仙台にとって)世紀のキックオフ。
ロングボールの蹴り合いななか、先に主導権を握ったのは大分。
それも前々節(秋田戦、2-0)と同様の、秋田を彷彿とさせるパワーサッカーのスタイルそのままで、裏へのボールを軸に敵陣でサッカーを展開。
そしてボールがタッチを割れば、すかさず屋敷(&吉田真)がロングスローと、残留が決まってもなお貫かれるサッカー。
前半5分、弓場の落としを拾った野村がキープする所、鎌田に反則を受けてフリーキックを得た大分。
左ハーフレーン外目という、狙い辛い位置でしたがキッカー野村の選択は……
放たれたキックは、クロス気味に直接ゴールを襲うボールとなりましたが、枠を捉えられず終わり。
しかし尚も続く大分の好機、8分には安藤のロングパスがまたも野村に渡ると、左サイド奥から低いクロスを入れる野村。
これをニアで池田が合わせにいく、決定機に近い絵図になりましたがシュートはミート出来ず、こぼれ球を弓場が追撃も枠外に。
立て続けに命拾いとなった仙台。
近況では34節で秋田に敗れており(0-1)、再度その秋田スタイルと対峙する事で、やり辛さが目立つ立ち上がりを強いられたでしょうか。
ロングボールをエロンに当てる手法で何とか押し返しを図るものの、そのエロンがデルランに激しく当たられるため機能せず、ひたすら大分の攻撃を浴びる流れに。
12分にまたも左サイドからのFKとなった大分、キッカー野村は先程と同様クロス気味に直接シュート。
これをGK林がセーブし、混戦の中さらにデルランが追撃しましたが枠外と、このままでは決壊しかねないという仙台。
しかし直後の13分、鎌田のロングパスが、今度は高めに位置取る真瀬に当てるものとなる変節。
これを真瀬→エロンと空中で繋いでいき、最後は郷家がシュート(GKムンキョンゴンキャッチ)と好機を生み出し。
一つ良い形が出来、これが文字通り風穴を開ける事となります。
16分、大分のロングパスを左サイドで相良がブロックすると、拾ったエロンが背負ってキープと本来のポストワークを見せ。
ここから相良持ち運び→戻しを経て、またも鎌田がロングパスを高目の真瀬に通し、ヘッドで折り返されたボールをデルランがクリアにいき。
しかしこれがゴール内へ直接入る事となり、オウンゴールで仙台に先制点が齎されます。
昇格へ繋がんとするそのゴールに、テンション爆上げ状態となるスタンド全方位。
このリードが、展開的にも大きな意味を齎す事となり。
一言で言えば、追う立場となった大分が、秋田スタイルを貫くだけではゴールに辿り着けない状況となります。
つまりはアバウトな攻めを抑制し、最後方からボール保持による攻撃へと舵を切り始め。
しかしそれは「ボールを持たされる」展開に他ならず。
これにより、デルランの強度に苦しめられていた節のあるエロンも、羽を伸ばせるようになったでしょうか。
その効果はまず守備面で発揮され、大分の最終ラインでの保持に対し幾度もボール奪取を見せ。
ボールゲインから好機を作らんとする仙台に対し、大分ディフェンスの反則も目立ち始めます。
27分に池田の(相良に対する)反則により得た直接FK、キッカー中島は直接ゴールを狙ったもののGKムンキョンゴンがキャッチ。
34分にはボール奪取したエロンをすかさず倒してしまった弓場に反則・警告と、一試合単位でもコロコロとスタイルが変わる、その主体性の喪失の影響が滲み出る大分は苦境となり。
しかし時間が進むと、ショートパス重視でアタッキングサードで展開される大分の攻撃。
3バックからの変形により高い位置を取るペレイラという具合に、本来のスタイルを取り戻して攻め上がり。
立ち上がり同様守勢となる仙台に対し、コーナーキックを量産するなどこじ開けを狙う大分。
それでも、変節ののちも多用されるロングスローに象徴されるように、肝心な所ではアバウトさが顔を出し。
そんな大分に助けられていた感のある仙台ですが、アディショナルタイムにはパスワークを経て後方からデルランのミドルシュートがゴールを襲い。
しかし上へ僅かに外れてしまい、ここも何とか命拾いといった絵図が作られると同時に、前半終了の笛を聞く事となりました。
その直前に撮影出来た、この日のメンバー表。
迎えたハーフタイム、ベガッ太・ルターナの姿は見られず。
やっぱ気分屋だな……と実感している間に、再びチアガールによるパフォーマンスが行われ。
そしてチアのメンバーも紹介され、これは珍しい光景。
それでも仙台にとって気になるのは、別会場の経過でしょうか。
それも最重要な一戦である、山形vs千葉。
仮に自身が引き分けに終わった際、その結果が行く末を左右する事となるその試合ですが、HTの時点で3-0と山形リード。
仙台優位の状況が出来上がっており、まずは一安心といった所。
しかし勝利するのが確実なのは言うに及ばず。
やがてHTも終盤を迎え、戻ってくる仙台の選手。
一方の大分は、巻き返しを図るべく交代カードに手を付けます。
野村に代えて渡邉を投入。
攻撃の中心を担っていたテクニカルな野村を退けた事で、後半はより圧力重視とするのを視野に入れたでしょうか。(仮にアクシデントでなければ)
そして始まった後半戦。
その開始1分に、大分は右スローインからの攻めで弓場がミドルシュート(枠外)と先制攻撃。
采配通りに圧を掛け。
4分に今度は右からロングスローを放り込み、GK林が直接パンチングで弾くも尚もボールを確保する大分。
ボックス内での展開を経て安藤がシュート(ブロック)と、無理矢理気味ながらも発揮される大分の圧力。
しかしそれを覆したのが5分で、齎したのは相良の強烈な突破でした。
ロングボールからの空中戦を経て右ワイドで確保した相良、中央へ斜めに切り込みを見せると、整っていない大分守備網を尻目に一気にエリア手前へ。
そしてラストパスは遮断されるも、そのこぼれがエリア内へ転がった所に、素早く駆け込んでシュートした郷家。
コースを変えるように蹴り込まれたボールがゴールネットを揺らし、貴重な追加点に辿り着きます。
これで苦しくなった大分。
アバウトな姿勢に舵を振った制裁、つまり攻めの形が希薄ななかで2点を追い掛けなければならない状況に陥る事に。
打開を図るべく、12分にベンチが動きデルラン・弓場→長沢・薩川へと2枚替え。
センターバックを一枚削った事で、4-4-2へと布陣変更も絡みます。
しかし薩川は本職のサイドバックには入らず左サイドハーフで、SBは右が吉田・左が茂と本来アタッカーの選手という、若干歪さを感じるものに。
投入された長沢が早速の14分にヘディングシュートを放つ(枠外)など、その高さを利用しに掛かり。
しかし仙台、特にエロンにとっては、ハードに寄せてくるデルランが退いた事で威力を発揮。
18分に右サイドを真瀬→郷家→中島と繋いだ末に、エリア内でエロンがシュートと決定機を迎えたもののこれはオフサイド。
その後、ボールを収められるようになったエロンを止めるのに難儀する大分ディフェンス。
25分には反則を犯したペレイラが警告と、反撃体制すらままならず時間が進んでいきます。
31分に再度動くベンチ、屋敷(先程の交代で右SHに)→町田へと交代。
すると仙台ベンチも交代を準備し、2分後の33分に2枚替え。
鎌田・相良→松井・オナイウへと交代します。
35分に大分が決定機、右からスルーパスに走り込んだ吉田真のクロスが上がると、ファーで薩川が折り返し。
そして中央で渡邉がシュートチャンスを迎えましたが、GK林が前に出てブロックの形でこれを防ぎます。
2点差を終盤まで保つ事で、勝利への機運を高めに掛かる仙台。
大分は37分に最後の交代を敢行(保田→小酒井)するも、その進軍を阻む事は難しく。
そんな機運に彩られたスタンドに対し、38分に右サイドでのボールキープでCKを得たエロン。
次の瞬間スタンドを煽るという具合に、水を得た魚のように振舞います。
そして40分にお役御免となり。(中山と交代)
2-0のまま突入したAT。
仙台は残していた交代カードを守備固めに使い、マテウス・モラエスと石尾を投入(中島・郷家と交代)して5バックシステムに。
しかし、大分の右サイドからのFK。
キッカー薩川がインスイングで上げたクロスが、そのまま誰も触れれずに弧を描いてゴールに吸い込まれ。
思わぬ形でのゴールで、大分が1点を返した事により2-1と、1点差で勝利に向けて緊張感が高まる状況に。
それでも、迷い無く勝利へ進軍する者たちは強く。
すかさずサイド奥へとボールを運ぶ事に成功すると、何度もマイボールでのスローインにより時計の針を進める仙台。
結局大分は、左サイド奥(仙台から見て右サイド)からの脱出を果たせず。
試合終了の笛が鳴り響き、この瞬間仙台の勝利、並びに6位浮上を確定させる事となりました。
すかさず作られんとする、恒例行事であるスタッフ一同の輪。
そして勝利を実感するに至った(と思われる)一同。
試合後の整列。
戦いを終えた選手たちは、歓喜の雰囲気に包まれるベンチへと戻り。
それを迎える一同に、ベガッ太・ルターナも加わり。
最終盤での交代だったため、ユニフォームのままの中島。
道中何度も倒されていたためか、スタッフに気遣われていた真瀬の姿が印象に残りました。
無事に最良の結果へと繋げた森山監督。
スタンドからの声援にも、手を振って応えます。
そして注目の的は、試合後インタビューへ。
重圧から解放され、男泣きを見せるキャプテンの郷家。
その後ろで、カメラにフレームインを図るマスコット2名の姿とのギャップがなんとも。
この日のMVP受賞の運びに。
選ばれたのは相良でした。
その後敢闘賞もあり、こちらは真瀬が選ばれ。
こうして無事、大観衆を満足させる一日の演出に成功した仙台。
しかしこの後は、さらに過酷な戦いであるPOが待ち受けているのは言うに及ばず。
6位からの這い上がりを図るため、アウェイの地でこの日のような雰囲気を生み出すのは厳しいものがありますが、何とかこれを継続させ敵地へと持ち込みたい所でしょう。
しかしそれには3週間というインターバルが壁になり
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