※前回の京都の記事はこちら(40節・岡山戦、0-0)
※前回の金沢の記事はこちら(38節・琉球戦、1-2)
降格ライン間際の戦いを最後まで強いられる破目となった金沢。
特にリーグ序盤は上位に居た時期もあり、苦しみに慣れていないといった感じで成績は停滞の一途を辿っていきました。
後半戦は僅か3勝のみという有様で、37節・愛媛戦(2-1)では大谷が2ゴール。
そして前節・山形戦(2-1)の劇的勝利では瀬沼が2ゴールと、1人の選手のマルチ得点に救われた感があり。
迎えたこの日の最終節、降格の可能性を未だ抱えており。
相手は2位の京都と、2016年の最終節(札幌戦)を彷彿とさせる状況。
あの時は札幌側が昇格・優勝が懸かっていたという要素もあり、試合終盤は談合ともいえるような内容で、スコアレスドローにより勝ち点1を確保。
札幌は優勝を決め、金沢は自動降格回避→入れ替え戦で勝利して残留、とともにwin-winとなりました。
しかし今回は京都が既に昇格を決めているため、交渉に使えるカード(?)も無く、己の力で決めなければならない状況です。
他のライバルクラブの動向も気になる中、少なくとも序盤からリードを奪われる展開だけは避けたい所でしょう。
前節は完全に相手(山形)にボールを支配されながらも、最後の所でやらせない守備を貫いたのが奏功したという内容だった金沢。
右サイドハーフに力安を起用したのが最大の変化でしたが、この日もそれを継続。
ヒーローの瀬沼はスーパーサブに留め置き、やはり守備的な入りを見せました。
最初に好機を得た(前半1分)ものの、この時もセンターバック・庄司朋乃也が一気にエリア内へロングパスを通そうとしたもの。(嶋田・力安が走り込むも繋がらず)
京都サイドにボールを握らせ、それに対抗して構える体勢を築きます。
こういう展開になると、対戦相手はボールポゼッションに嫌でも傾倒せざるを得ず、実際前節の山形の支配率は70%越え。
それにも拘らず敗戦と術中にハマった結果となりましたが、果たしてこの日の京都はどうか。
6分に右コーナーキックを得た京都、キッカー松田天馬クロス→ニアで長井フリックで上空で上がったボールをGK後藤がかき出すも、福岡が拾って二次攻撃。
荻原がドリブルで左サイドを切り裂いてクロスを入れ、ピーター・ウタカがヘディングシュートを放つもGK後藤がキャッチ。
これで堰を切ったようにフィニッシュに持ち込むシーンが続き、10分には武田のミドルシュート。(枠外)
11分には再度荻原のドリブル、今度は中央へ向かっての前進から繋ぎ、左に開いたウタカがクロス。
逆サイドへ流れて今度は右で繋ぎ、一旦は奪われるも金沢・庄司朋の蹴り出しを白井康介がブロックし、こぼれ球をエリア内へ福岡が落とし。
荻原のフリックを経てウタカが中央からシュート(GK後藤キャッチ)と、長い攻撃をシュートで終わります。
ボールを持たされる状況でも、攻めあぐみを見せない京都。
この日も脅威となっていたのは荻原の突破力で、対峙する金沢・力安は悪戦苦闘を重ねるも、16分にはドリブルを止めるなど次第に慣れを示し。
しかしそうなると逆の右サイドで攻めたり、逆に右ウイング・曽根田が左でプレーして好機を作ったりと、多彩な攻撃を絡めて来るのが京都。
プレッシングからのショートカウンターも頻発し、敵陣でのボール奪取から18分に武田がミドルシュート(ゴール左へ外れる)、23分には曽根田がエリア内右からシュート。(枠外)
金沢は何度かカウンター気味の攻撃を試みるも、シュートを放てないまま飲水タイムを迎えます。(23分)
ブレイク明けの26分、逆に敵陣深めで松田陸がボールカットに成功した金沢、細かくパスを回したのち松田陸のクロスに繋げ。(シュートまではいけず)
ここからにわかに金沢の流れとなり、左からの長峰のロングスローを廣井が収め、ディフェンスに遭うもCKに持ち込み。
続いての左CK、キッカー藤村のクロスを中央で庄司が合わせるも、浮いてしまい枠外に。
初シュートを放った金沢でしたが、同時にターンチェンジとなり再度受ける展開に。
京都の左サイドアタックを松田陸が反則で止めるシーンが目立ったこの時間帯、35分にはその反則によるフリーキックから、さらにCKへと移行。
ここからセットプレーも多く交えての攻勢となった京都、39分の左CKでキッカー松田天はサインプレーを選択、グラウンダーでエリア内遠目中央へクロスを入れ。
シュートにいったのは荻原でしたがミートせずにこぼれ、そのボールを拾った長井からのシュートはGK後藤がキャッチ。
奇襲にも惑わされず凌いだ金沢、その直後に右サイドで丹羽が京都・麻田に反則を受けると、クイックリスタートで素早くエリア内右を突く攻撃。
一旦戻すも、再度エリア内に出されたパスを力安がシュート(ブロック)と、こちらも奇襲で応戦します。
攻撃権は圧倒的に支配していた京都ですが、昇格目前まで迫った後の、無得点が続く流れを跳ね除けられずといった内容。
その後も多彩な攻撃で金沢を押し込んでいくもシュートを放てず、スコアレスのまま前半終了となりました。
メンバーはそのままで迎えた後半も、最初の攻撃は金沢。(後半1分、シュートには持ち込めず)
この日は前半から2トップの一角の嶋田が様々な場所に降り、何とか攻撃の橋頭堡にならんとしていましたが、中々実りません。
金沢がもどかしさを覚えるなか後半最初の好機を掴んだ京都(3分)、空中戦を経て右サイドで受けた曽根田がそのままドリブルでエリア内右を突き、一旦はこぼされるも武田のパスを経てシュート。
GK後藤がセーブし、中央でウタカが詰めにいくも間に合わず後藤に抑えられ、惜しくも先制ならず。
後半も京都の流れが続くのを予感させたものの、5分の金沢の攻撃。
左サイドから中央→右へと渡り、嶋田がエリア内へ送った浮き球に松田陸が走り込み。
合わせるもミート出来ず枠外となりましたが、勢い余って前に出たGK清水と交錯し、足を削られてしまった清水はその場に倒れ込み。(反則は無し)
危ぶまれたものの、治療を受けつつ2分程で起き上がった清水、患部にテーピングを巻いて気合でピッチに立ち続けます。
11分の金沢はクリアボールを力安が拾って右サイドで攻撃、力安は松田陸とのワンツーを経てクロス、クリアされたこぼれ球をエリア内右で松田陸がシュートにいき。
再度訪れたシュートチャンスでしたが、ここも大きく枠を外してしまいモノに出来なかった松田陸。
ワンチャンスを確実に……という流れを中々得られず。
先に京都サイドが動き13分、曽根田・武田・福岡→三沢・イスマイラ・庄司悦大へと3枚替え。
ウタカが左WGへと回り、松田天・川﨑インサイドハーフという形を採ります。(庄司悦がボランチ・三沢は右WG・イスマイラがセンターフォワード)
その直後の14分、右サイド手前から庄司悦の速いクロスを三沢がフリック気味でのヘディングシュート。(枠外)
交代効果で流れを取り戻した京都、続く15分には左CKからキッカー庄司悦はニアにクロス、ウタカのフリックを経て中央でイスマイラが合わせ。
ゴールネットを揺らして観衆が沸いたものの、イスマイラは右腕で合わせた所謂「神の手ゴール」を犯したという事で、ハンドを採られてノーゴール・イスマイラに警告となってしまいました。
左サイドへと働き場を移したウタカの影響か、荻原がそれに呼応して一層上がり目となり。
ウタカが開く分インサイドでプレーしたりと幅を見せた荻原。
しかし逆に、その上がりを金沢に突かれるシーンも目立つようになります。
24分にボールカットからカウンターに繋げる金沢、右サイドで力安がスルーパスを送り、受けた丹羽が持ち運びエリア内へ進入。
ここで決めれば……というシーンでしたが、放たれた丹羽のシュートは大きく左へ逸れてタッチを割ってしまい。
しかし直後の25分、京都のズレたパスを庄司朋がダイレクトで中央へ縦パス、力安のポストプレイを経て嶋田がミドルシュート。
GK清水がセーブした所を力安が詰めてエリア内でシュート、清水の逆を突いたものの、京都・長井のブロックに阻まれてしまいます。
全てをひっくり返すゴールは奪えなかった金沢。
飲水タイム(25分)ののち、金沢は平松・嶋田→大谷・瀬沼へと2枚替え。
瀬沼投入で前節のような流れを作りたかった所でしたが、橋頭堡の嶋田が下がった影響は大きく。
再び攻勢に出る京都、29分にはエリア内右で切り込む白井康が金沢・藤村に倒されるという際どいシーンも。(反則無し)
32分に松田天→李忠成へと交代(三沢がIHへ)し、あくまで金沢に勝ち点を譲る気は無く1点を奪う姿勢を見せます。
それでも金沢の必死のディフェンスを前に、何か起爆剤が欲しいという状況を強いられ。
36分、イスマイラ狙いのロングパスのこぼれを拾ったウタカが前進からエリア内へスルーパス、カットされるも川﨑が浮き球を落とし。
そしてペナルティアークで受けたウタカがシュート(ブロック)と、閉塞感をウタカの能力で打ち破らんとする京都。
しかしゴールは生まれる事無く時間が進んでいき、終盤を迎えます。
金沢サイドはバランスを崩したくないという意識からか、2度目の交代はかなり引っ張り。
一方の京都は42分に最後の交代カードを使用。(荻原→荒木)
43分にウタカが左サイドでボールキープ、金沢のアタックを巧にかわして前進する姿で場内を沸かせ、得点へのムードを高めつつ尚も攻撃。
44分に右ハーフレーンから、長井のエリア内への浮き球のパスに李が合わせヘディングシュート。(枠外)
45分にウタカの左からのクロスを、中央ややニア寄りでイスマイラが合わせヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)
FWの選手もシュートを見せ始めましたが、どうしてもゴールに辿り着けないままアディショナルタイムへと突入します。(金沢は44分に丹羽→杉浦恭平へと交代)
クロスを何度も入れるものの、シュートを放てないATの京都。
それを尻目に金沢が攻撃権を得て、ロングボールのこぼれから繋ぎ、瀬沼がPアークからシュートしたもののブロックに阻まれ。
金沢が最後にフィニッシュシーンを作ったものの、結局双方スコアレスのまま、試合終了の笛を聴く瞬間が。
引き分けで勝ち点1に留まった金沢ですが、19位の相模原の敗戦により、無事に残留に辿り着きました。
最後は3試合連続スコアレスドローと、攻撃面に不安を残しての幕切れとなった京都。
しかし既に昇格への道は不変であり、この日の前に既に契約満了により退団決定となっていたヨルディ・バイス(この試合はベンチ外)然り、来季に向けての編成は既にスタートが切られており。
J2の中ではかなりの資本力を持っていた京都だけに、大きく顔ぶれを変える事も不可能では無いでしょうが、基本形の維持を壊さないような補強が望まれる所です。