※前回の千葉の記事はこちら(32節・山口戦、4-1)
※前回の長崎の記事はこちら(34節・大分戦、4-1)
<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 品田が累積警告により出場停止。
- 31節(秋田戦、0-1)で負傷交代した風間の詳細が発表され、9/17に手術実施して全治約6か月との事。
- 35節(甲府戦、2-1)で負傷交代した田口は以降ベンチ外。
<長崎スタメン>
- 35節(秋田戦、2-1)で負傷交代した秋野は、前節(鹿児島戦、4-1)の欠場を経て復帰・ベンチ入り。
プレーオフ圏内に居るクラブ同士の、熾烈な戦いというカード。
3位・長崎は、上位2クラブ(清水・横浜FC)に昇格リーチが掛かり、一つ負ければ終わり(あくまで自動昇格ですが)という瀬戸際で発奮。
破竹の3連勝で、その甲斐あって足踏みが続く横浜FCの昇格を阻み続けているという、逆にプレッシャーを与える状況と化しています。(なお清水は無事昇格)
とにかく勝つしかない、背水の陣の強さをここに来て発揮。
一方の千葉は、PO圏確定に向けて最終節の戦いを楽にしたい一戦で、その最終節がライバル・山形との直接対決であり尚更です。
山形の他、岡山・仙台とほぼ横一線な状態で、渦中の4クラブがいずれも過去2戦揃って連勝という説明不要な白熱ぶり。
その中で残り2戦が強豪揃いと、カードの面では不利な立場ですがやるしかない。
そんな思いが溢れる、千葉のホーム・フクダ電子アリーナでの試合。
日差しを気にしてかコートチェンジが行われるなど、この一戦に賭ける思いは画面からでも伝わって来ましたが、残念ながらそれが空回りした立ち上がりだったでしょうか。
前半1分に早くも横山がエリア内からシュート(右サイドネット外)と有効打を放った千葉。
しかし直後の長崎、右サイドで増山が浮き球を確保すると、ギリェルメに託したのち彼のスルーパスを追い越して受け奥からカットインで抉る好機に。
右サイド2人の黄金のコンビネーションが発揮されると、ポケット最奥から入れられたクロスに対し、佐々木がスライディングでブロック。
しかし勢い余って通り過ぎた所、クロスが腕にぶちあがる格好となってしまい、すかさず(副審の刹那の判定を受けて)ハンドを告げる笛が鳴り響きます。
意気込みとは裏腹に、開始2分で早くもPK献上という形になってしまった千葉。
このPKは、チャンスメイクしたギリェルメがキッカーになると、右足で左へと蹴り込んで確実にゴールネットを揺らし。
早々にリードを得た長崎、試合を優位に運ばんとします。
気を取り直して反撃に掛かる千葉は、キックオフ直後の攻撃で右サイド深めでまで運んでスローイン。
当然ながら田中和のロングスローを使い、クリアボールを小林がダイレクトでミドルシュート。(ヴァウドがブロック)
速攻で追い付かんとする流れもさる事ながら、弾かれるやいなやヴァウドのハンドを一斉にアピールするなど、勝利への執念という絵図は留まる所を知らず。
長崎は優位性を発揮せんと、ボール保持の色を高め。
GK若原からのショートパス攻勢を貫く所に、千葉はこれも当然の如くハイプレスを掛けにいき。
しかしサイドを揺さぶる事でズレを生み出し、田中隼に対しサイドハーフの田中和がプレッシャーにいく状況になると、冷静に米田→笠柳と経由しての前進。
すると相手サイドバックにSB(高橋)・ウイングにセンターバック(松田)が連動して前に出る、ハイプレスも極まれりという対応となる千葉。
これで前進を阻めれば良いものの、当然中央が薄くなるという懸念を抱えるため、傍らからでも不安を感じるものであり。
また最終ラインへ果敢に2トップが規制を掛ける事により、空いたアンカー(山田)がボールに触れる事も容易に。
ドイスボランチ(エドゥアルド・小林)は長崎インサイドハーフに付くのが基本なため、この時も中央から通される隙が生まれる事となり。
綻び塗れの状態が、致命傷となる前に何とか追い付くという、後の無いような守備対応に見えました。
一方千葉自身の保持も、小林がアンカー的な立ち位置となる、長崎と似た形からの前進を図り。
しかし11分に松田→小林へのパスがズレ、名倉のカットを経てジェズスがミドルシュート(GK鈴木椋セーブ)と、質の面では相手よりかなり見劣りするといったアンカーを利用したビルドアップ。
そんな攻守のシステムにより、千葉は自身で前進出来ず、長崎の前進は左サイド(千葉の右サイド)から一気にアタッキングサードまで運ばれるという流れが続き。
そこから変節を見せたのが19分、千葉は椿のパスカットからカウンターに持ち込み、自らドリブルで奥を突く攻め。
ここは実らず攻守交替も、長崎の縦パスを前に出た山越がカットして継続させる(フィニッシュには持ち込めず)という具合に、総員前掛かりな姿勢が奏功する絵図を生み出し。
24分、再び長崎の縦パスに対し小林が前に出て奪取、拾った田中和の前進が名倉に倒されて反則。
これで右ワイドからのフリーキックを得ると、キッカー横山のニアサイドへのクロスを合わせたのはエドゥアルド。
ヘディングというよりは左肩で合わせた格好となりましたが、フリックのような軌道でゴール左へ突き刺す事に成功。
試合展開を変貌させた末に、タイスコアへと戻しました。
ペースを奪った千葉は、長崎同様にボール保持を下地としながら、松田・佐々木のフィードを利用して前線に運ぶのが主な攻撃方法に。
故障者塗れで最終ラインが安定しないなか、その代役のストロングポイントを活かさんという立ち回り。
千葉の攻撃が活性化する一方で、次第に衰えが目立つ長崎も攻撃法を切り替え。
30分、ゴールキックでロングフィードを選択し、ジェズスが収めたのちの展開で左から前進に入り。
そして名倉がポケットへ切り込んでシュート(ブロック)、尚もコーナーキックに持ち込み、キッカー・ギリェルメのニアへのクロスをヴァウドが合わせヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と効率良くフィニッシュを重ねる体制に。
お互い得点の機運を持つなか、勢いに乗って逆転したい千葉の思いが溢れ。
35分ここも山越が縦パスをカットし、こぼれ球をエドゥアルドが倒されながらも繋いだ事で好機。
アドバンテージという判定で、その勢いのまま田中和の1タッチのスルーパスを足下で受けた小森が、エリア内で決定機を迎えます。
しかし放たれたシュートはGK若原が左手一本でセーブと、守護神に立ちはだかられ。
終盤も近くなり、千葉の攻撃は熾烈を極め。
40分にエドゥアルドのミドルシュートが再びGK若原にセーブされ、尚もCKで継続。
一度は途切れるも高橋のパスカットで継続すると、右から田中和がカットインで自身で撃つと見せかけながら中央へ戻し、佐々木がミドルシュートという絵図に。
これがミートせずエリア内へこぼれた所に、横山が追撃のシュートを放ちましたがこれもGK若原がセーブ、しかし尚も拾って継続。
右からクロス→ファーで小森ヘディングシュートもGK若原がセーブし、そのこぼれに追撃せんとした田中和が山田に倒されますが、笛は鳴らずに継続。
浮き球の争いとなった末に米田と横山が頭部同士激突した事で終了と、判定面で揉める事態も招く、お互いに後には退けない立場が形となって現れる試合絵図。
(その後44分にヴァウドの反則の際、安部が遅延行為まがいの仕草(ボールを離さない)を見せたため千葉サイドがヒートアップというシーンもあり)
千葉の決定機が頻発するなか、長崎も45分に一瞬の隙を突き、名倉のボール奪取から前進していき(山田の)スルーパスが中央でギリェルメに通り。
そして放たれたシュートはGK鈴木椋がセーブと、こちらも守護神の好守備が光る事となり。
結局1-1のまま前半が終了。
千葉の、立ち上がりの不安定な出来からの巻き返しが目立つ事となりました。
しかしハーフタイムを経て賽が振られた後半。
その入りの後半2分、長崎は前半のように最終ラインでボール保持し、例によって田中隼に対し田中和が出てくる状況に。
すると田中隼は直接左WGの笠柳へミドルパスを届け、米田に付かんとする高橋の裏を突いて好機を迎え。
そして左奥を突いてのカットインでポケットを取る笠柳、放たれたシュートこそ小林のブロックで防がれますが、前半からの微調整で再度千葉の弱点を突けた事で試合が動く予感を膨らませます。
長崎が執拗に左サイドから攻める展開が続いたものの、それを断ち切った千葉。
それぞれ寄せを早める事で、後方からのフィードの抑制に成功するという、何とも千葉らしい対応でしたがどんな手法でも結果に繋げれば良く。
そのハイテンションぶりは縦パスあり、SHの突破ありと攻撃面でも発揮され、あらゆる手段でゴールに迫らんとするもフィニッシュには繋げられず。
攻撃機会を失う長崎と、果敢に仕掛けるも逃し続ける事で終盤において体力面の不安が過る千葉。
お互いジリ貧での膠着となってきた所で、先にベンチが動いたのは長崎。
名倉→エジガルへと交代し、彼がCFに入る事でジェズスが2列目・名倉の居た位置へ回ります。
その後も攻め続けるも、エリア内でボールロストと成果を上げられない千葉という流れは継続。
対する長崎は21分、千葉の中盤でのパスミスをエジガルが拾い、スルーパスを受けたギリェルメが奥を抉る姿勢を見せたのち中央へと戻し。
そしてエジガルがミドルシュート(GK鈴木椋)と、新たに投入された駒を活かし少ない好機をモノにせんとします。
直後に千葉は、椿の左サイドの突破を経てエドゥアルドのミドルシュート(GK若原セーブ)とようやくフィニッシュへと繋げ。
清涼感を生み出すと、それが相手へと押し流されたのが23分。
CKからの二次攻撃で、左ワイドから佐々木がパス&ゴーで、エドゥアルドのスルーパスをポケットで受けにいく好機。
そこへ対応にいった山田が、スライディングで佐々木を引っ掛けて倒してしまうと、反則並びにPKを告げる笛が鳴り響きます。
度々判定面でホームサイドにヘイトを齎してきた審判団も、これは流石にというような絵図に。
尚ここでもヴァウドがボールを抱えて離さない事で田中和のヒートアップを招くなど、その勝負への思いが醜悪なシーンをも生み出す格好となり。
これに加え、長崎ベンチが蹴る前に交代カードを使った(安部・笠柳→秋野・松澤)事で、長いインターバルとなった末に迎えたこのPK。
キッカーは当然、エースストライカーの小森で、自らの手でPO圏並びに得点王を決定付けたいキックとなり。
そして満を持してゴール右へと放たれたシュートですが、これをGK若原が読みきってキャッチと、完璧に防ぎきります。
大局を左右する大興奮の瞬間も、喜びも見せる事無くすかさずパントキックを送り、カウンターを展開させる若原。
そのセカンドボールを繋げ、米田が左サイドを持ち運ぶ所を、逆上気味にプレスバックしてきた田中和が倒してしまい。
そして反則・警告と、元々荒れ気味の展開に拍車を掛けるのみに終わったような千葉のPKだったでしょうか。
暗雲に覆われつつある千葉、振り払うべくベンチが動いたのが30分。
佐々木・椿→小川・杉山へと2枚替え、左サイドを2枚揃って入れ替えます。(杉山は右SHで、田中和が左に回る)
しかしその直後、千葉のサイドからのFKで再開も、放り込みをクリアした長崎のカウンターに繋がり。
増山が左サイドを持ち運ぶ所、またも反則で阻止した高橋が警告と、我武者羅ぶりが負の方向へ傾倒するのを阻止できません。
それでも積極的な姿勢は止めない千葉。
何とかショートパス攻勢でエリア内の小森に繋げんとするも、横山のスルーが繋がらなかったり、小森自身もトラップミスなどで精彩を欠きフィニッシュを生み出せず。
PK失敗もあり、「この日は彼の日では無かった」事を示す結果となり。
37分に両ベンチが動き、千葉は横山→林へと交代。
長崎は山田・ギリェルメ→中村・青木義へ2枚替え(増山が右WGへ・秋野がアンカーへ回る)と、微妙に形を変えて勝負の終盤を迎えんとします。
しかし結果が表れたのは直後でした。
38分の長崎、敵陣でジェズスがキープする所を松田に反則を受け、左ハーフレーンからのFKに。
遠目からで放り込みかと思わせた刹那、中村が素早いリスタートを選択して左へ縦パス、受けた松澤の奥へ切り込んでのクロスがエリア内へ。
そして中央のヴァウドのすぐ奥でエジガルが合わせるという、予測困難な形(実際、ヴァウドはエジガルと交錯してその後倒れ込んだ)でシュートが放たれると、田中和のブロックを掠めてゴールへ吸い込まれるボール。
勝負所で得た勝ち越し点に、湧き上がる長崎サイド。
ヴァウドも無事に起き上がり、後は勝利へ突き進むのみとなります。
残された時間で、何とか1点入れなければならない千葉。
43分、左サイドで溜めを作った小森がスルーパス、田中和が受ける所をヴァウドに倒されて反則・警告。
長崎ディフェンスもその必死ぶりが悪い形で噴出し、そのうちに得点したい所。
しかしこのFKからのクロスも繋がらず、さらに繰り出される長崎のカウンター。
ここも遅攻に切り替わったのち、杉山の反則で止めざるを得なかった千葉サイド。
44分の最後の交代(小林→ドゥドゥ)以降、エドゥアルドのアンカーシステム(4-1-3-2?)としてアタッカーを増やす布陣に全てを賭け。
その結果、薄くなった中盤で中継役を務める存在が居なくなり、攻勢に入りたい最終盤で勢いを失う事となりました。
8分という目安のアディショナルタイムも、長崎がアタッキングサードでパスワークを展開し、時間を使う立ち回りが繰り広げられ。
その中でまたも反則を受け、今度はキッカー中村が直接シュートを狙い(GK鈴木椋キャッチ)、あわよくば追加点をという姿勢も見せ。
完全に出遅れ、好機を作れない千葉。
何度かの中断(高橋が鼻血を出すなど)もあり、既に+10分という所でやっと攻撃の形が出来。
田中和が左サイドを突破してのクロス、クリアボールを自ら拾い直して奥から再度クロスと、どう見てもこれがラストチャンス。
そしてファーサイドでエドゥアルドがヘディングで合わせましたが、シュートは無情にもゴール右へと外れ。
次の瞬間、試合終了を告げる笛が鳴り響き。
昇格サバイバルを制し、勝ち点3を積み上げたのは長崎となりました。
結果、昇格リーチの横浜FCがこの日も勝てなかった(栃木戦、0-0)事で、最終節に昇格の可能性を残した長崎。
勝ち点差は3ながら、得失点差は1しか無いので逆転可能と、逆リーチを掛ける状態に持ち込みました。
新スタジアムの開場から全勝という、運気も十分持ち合わせての最終決戦で、奇跡の完成はなるでしょうか。
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