<両軍スタメン>
ルヴァン杯決勝と重なっている35節。
そのため、決勝進出したクラブは水曜(10/23)に前倒しとされて消化される事に。
新潟は初の決勝進出という事で、国立での決戦に向けて地元のテンションの高さは半端無く。
その前哨戦として丁度良い……とは言っていられず、日に日に落としていく順位を少しでも挽回したいリーグ戦。
その相手はヴェルディで、1年先にJ1へ上がった以上、先輩格を見せ付けたい所ですが順位上の立場は逆であり。
過去を遡ってもJ1では未勝利の相手と、アピールするはずが逆にブーメランを喰らう破目に……というのは避けたい一戦となったでしょうか。
ヴェルディのキックオフで試合が始まると、千田ロングパス→山田剛落としのこぼれ球が繋がり右サイドで展開。
そして木村に対する小見の反則でセットプレーの好機と、いきなり押し込まれる事となった新潟。
前半4分にダニーロに対し反則を犯した翁長が警告と、早期に被害が出たヴェルディですが、怯む素振りは全く見られず。
8分にトランジションの局面で齋藤が素早くエリア内へミドルパス、走り込んだ木村が右ポケットからシュート(デンがブロック)とファーストシュートにも辿り着き。
これにより前回対戦時と同様に、新潟の持ち味のボール保持に対し、しっかりと前線で規制を掛けてペースを掴ませないという展開になるかと思われました。
しかしここから、ヴェルディの方がボールを保持する時間を増やす展開へと移り。
前節(浦和戦、2-1)の盤石な試合運びで自信を得たのか、落ち着かない相手に対し、ポゼッションを高める事で苛立ちと消耗を与えに掛かったでしょうか。
それに対し、新潟の方が前線の守備をどうするかという課題へと直面し。
ヴェルディは3バックなので、ハイプレスを掛けるにはサイドハーフの片割れが前に出る必要性があり。
何度かその立ち回りを見せるも、その度にGKマテウスが前に出たり、森田が降りたりしてボールを持つ事で数的優位を作り。
この辺りはサッカーにおける重要な「相手の出方を見て立ち回る」事が、ボール保持の面でもしっかり身に付いている事を証明するに至ったヴェルディ。
かくして新潟は、得意のボール保持でも上回られるという屈辱的な時間を過ごす事に。
前に出て規制を掛ければロングパスでひっくり返し、自陣でブロックを作ると、浦和戦で見せたようなサイドでのパスワーク→サイドチェンジで薄い所を突きに掛かるヴェルディの攻撃。
守勢を強いられるのは当然であり、訪れるマイボールでもヴェルディのゲーゲンプレスで、前進すらままならない状態に陥ります。
21分には深めでの左スローインという局面で、堀米のラフなロングパスで脱出せんとするもキックミス、ゴールラインを割ってコーナーキックを献上という情けない絵図に。
頭の中をクリアに出来ていないのは明白で、それだけヴェルディの相手重視の立ち回りが盤石という所だったでしょうか。
30分過ぎ辺りまでそんな展開は続き。
浦和とは違いヴェルディのウイングバックを抑える立ち回りを取る(WBにサイドハーフが突く)事で、フィニッシュは膨らませずに済んでいる新潟ですが、それにより攻撃の糸口も見えないという状況に。
34分例によって保持に入ったヴェルディですが、谷口栄が持ち運びを選択した結果、タッチが大きくなった所を長谷川元が奪い新潟の攻撃に。
ここから逆に保持に入り、戻しての作り直しを経て左サイドから前進し、スルーパスに走り込んだ長倉が奥からクロス。
この低いボールをニアで小見が合わせ(GKマテウスキャッチ)、ようやくシュートを放つ事に成功します。
ここからボール保持の色が高まる新潟ですが、そうなるとヴェルディも前線での奪取を諦め、ミドルブロックで構えて5-4-1の楼閣を作る最近の戦いぶり。
その堅固な守備網を破るにはパワーが足りず、中央から間を通しての崩しも、メンバー変更の影響で中々図られずに時間を潰す事に。
結局、サイド奥でのスローインの連続による漸進のみと、単調さが目立つのみに終わりました。
アディショナルタイムに入り、そんな悪く言えば「ダレてきた」相手の隙を突かんとするヴェルディ。
新潟サイドのラフなロングパスを、綱島の落としからの確保に成功し、速攻で右ポケットを突く攻撃。
山田剛スルーパス→木村クロスでファーに入ったボールがバウンドと、反応の鈍い新潟ディフェンスに対し、拾った翁長がシュート(ブロック)とフィニッシュで締め。
そのままスコアレスで終了した前半、立ち上がりの内容とともに「やりきった」感を高めて終えたヴェルディ。
共にハーフタイムでの交代は無く。
後半は自軍のキックオフとなった新潟、それを活かさんと入りから攻め込み。
これは前半からの傾向ですが、舞行龍の縦パスを中心に崩しを図らんとしますが、通っても敵陣での展開が重く。
パスがズレて攻撃終了という絵図が目立つのみでしたが、後半に入っても大きくは変えられず。
後半2分のヴェルディの好機により、動き始める試合展開。
森田のボール奪取でこぼれ球になると、すかさず齋藤のスルーパスで裏を突く事に成功し、受けた木村が右ポケットを突いてシュート。
GK小島がセーブすると、新潟が跳ね返りを繋いで反撃に掛かり、そこにヴェルディのゲーゲンプレスが襲い掛かるも長倉のターンによるボールキープで脱出。
そして右サイドから前進し、ダニーロがカットインからミドルシュート(右サイドネット外)でゴールを脅かします。
これで風穴を破りたかった新潟でしたが、それはスコアレス故にヴェルディサイドも同様であり。
ゴールキックで再開し、右から押し込んでCKにまで辿り着く事に成功すると、キッカー見木のクロスの跳ね返りを齋藤が合わせてボレーシュート。
これが右ゴールポストを直撃すると、跳ね返りが長倉に当たりこぼれた所を山田剛が詰めシュート。
ゴールネットを揺らし、前半も見られていた出足の差による先制点となりました。
新潟は当然反撃に出なければなりませんが、ここでも相手チームの特性を活かさんとするヴェルディ。
即ち「ボールを持たせる状況」へと追い込み、再び5-4-1のブロックの攻略に難儀させる展開へと突入します。
ボランチが本来の顔ぶれで無い為か、起点は舞行龍が務める事が多い新潟のビルドアップ。
そのため前に届けるには彼の縦パスの割合が必然的に増える事となり。
そして縦パス→フリックという定番の流れで繋がんとするも、その結果粗雑ぶりが目立つのみになるなど、閉塞感漂う攻撃に終始してしまいます。
14分、右へと流れた小見へのパスで間を通したのち、左へ展開して堀米がアーリークロス。
ファーで合わせにいったのは先程パスを受けた小見で、合わずに流れるも拾ったダニーロが右ポケットからのカットインを経てシュート。
しかし右ゴールポストを直撃と、変化の末に辿り着いたこのフィニッシュも実りません。
この直後に、ヴェルディは山田剛・木村→山見・染野へと2枚替え。
流行語に定着しそうな「バトンを渡す」という城福浩監督の思想の下、早めに前線の運動量を補填しにかかり。
17分にその前線がチャンスを作るヴェルディ、縦パスを受けた森田から染野→山見と経由して右ポケットを突き、カットインを経てシュート。(舞行龍がブロック)
再度高まりそうな苦戦の色を受け、新潟ベンチも動き宮本→秋山へと交代したのが18分。
ここから、後方での組み立て役が舞行龍→秋山へと変わった事で、何とか崩しを図る新潟。
無理目の縦パスの割合も減り、中央からの前進も様になってきたものの、肝心のアタッキングサードでの精度は変わらず。
(23分にダニーロ・小見→太田・奥村へと2枚替え)
20分にパスを出し入れする秋山が入れ替わりでチェックを外して前進、中央から崩しかかったものの、左へ展開ののち堀米→長谷川元へのパスがカットされ終了。
28分にはボランチを経由せず、左に振ったのちの右からの前進で薄い所を突くも、藤原→太田へのスルーパスが長くなってGKマテウスに抑えられ。
30分、パスワークの中で再び左SH(奥村)が逆サイドへ流れ、そのまま右での前進に加わると奥を窺う姿勢からヒールパス。
受けた太田が右ポケットへ切り込んでシュートし、ブロックされるも拾った舞行龍がミドルシュートで追撃、これをエリア内で長倉がヘッドでコースを変えたもののゴールへと外れ。
この試合初の連続攻撃を見せましたが、多彩となった攻めもスコアには結び付きません。
冷静に相手の攻めっ気をいなしたいヴェルディは、33分に翁長→松橋へと交代。
その後齋藤が星に反則を受けた事でのFKから、スローインの連続というセットプレー絡みで、時間を掛けながらという攻撃に。
(33分にはその右スローインからの組み立てで、染野がポケットからシュートもデンがブロック)
既に後半も30分過ぎと、ビハインドの側は焦りも生まれる時間帯と、その効果は絶大だったでしょうか。
33分に舞行龍が反則気味に空中戦を制して新潟の攻撃になり、秋山が中央突破から左ポケットに走り込む長谷川元にスルーパスを送るも、長くなり左ワイドへと流れてしまい。
これで結局撃てずに終わる事に。
35分には松橋ロングパス→見木ポストプレイ→染野で抜け出しかかった所を、反則で阻止したデンが警告と、攻守にその影響が顔を出し。
どうにも良好な攻勢を築けない新潟。
頼みはセットプレーとばかりに、38分に得た右サイドからのFKで、キッカー秋山の中央へのクロスを合わせにいく長倉。
クリアが小さくなった所を、拾った奥村がすかさずシュートしましたが宮原がブロック。
尚も繋ぎ、左から切り込んだ奥村がマイナスのクロス気味に中央へ戻すと、舞行龍がシュートを放つと見せかけてフリックで戻し。
更に後方に撃たせようとしたのでしょうが、ここで前に出たヴェルディディフェンスに秋山が奪われてしまい、その後カウンターを藤原が何とか阻止と裏目に出る破目に。
そしてセットプレー勝負に挑んだ結果、ヴェルディの方が有利に。
42分に右スローインからの攻めで右CKに辿り着く、1点目と同じシチュエーションに持ち込むと、今度は山見に代わったキッカーから上がるクロス。
跳ね返りを繋ぎ再度山見に渡ると、奥から入れられたグラウンダーのクロスに、走り込んでフリックのように合わせシュートしたのは染野。
これが左ポストを直撃するも、拾った谷口栄が追撃のシュートを放ち、これもバーに当たりますが内側だったため無事ゴールイン。
全員の力で得たというよりは、決め損なった染野の悔しがり様から、全員血眼になってゴールに向かった結果に映った追加点となりました。
これでこの日も敗色濃厚となってしまった新潟。
キックオフ前に交代を敢行し、堀米・長谷川元→橋本・高木へと2枚替え。
(ヴェルディも森田・齋藤→稲見・松村へと2枚替え)
反撃というよりは、10日後に備えた地均しといった色が強い采配に映り。
セットプレーのキッカーは投入された2人(橋本・高木)に任せながら、何とか良い流れを得ようとするものの1点が遠く。
結局0-2のまま試合終了。
今季のヴェルディが、長所を盾としながら4局面全体も着実にレベルアップを果たしている事を証明するかのような内容で勝利。
対する新潟は、追いやられるようにリーグ戦では退潮が目立ってきましたが、それを跳ね除けるタイトル獲得となるでしょうか。
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