※前回の横浜FCの記事はこちら(21節・金沢戦、1-1)
※前回の新潟の記事はこちら(20節・徳島戦、1-1)
<前節からの変更>
横浜FC=累積警告で出場停止のサウロ・ミネイロに代わり渡邉で、小川が1トップを務めてシャドーに渡邉。変更はこれだけで、4日前の天皇杯からはスタメンの継続は無し。
新潟=3人を入れ替え。センターバックの一角が田上→千葉・ボランチの一角が高(累積警告で出場停止)→星・1トップが谷口→鈴木。天皇杯は既に2回戦敗退しているので無し。
2巡目が始まるやいなや、3すくみとなっている上位同士の対決が連続で組まれている横浜FC。
前節の仙台戦(3-2)は、シュート数・支配率ともに相手を上回られながらも、点の取り合いを制するという勝利の仕方となり。
自動昇格圏を激しく争う中で、「内容よりも結果」というフェイズに突入した感じですが、この日もその印象はより強まる結果となりました。
相手は6戦無敗を継続中(5勝1分)の新潟で、その切欠が自身にある(17節・0-3)とあっては、リベンジ達成はマストと言える状況なので尚更でしょう。
新潟のボールポゼッションに対し、オリジナルフォーメーション(3-4-2-1)に変化を加えて迎え撃つ横浜FC。
4-4-2へと可変し、果敢なプレッシングで対抗する姿勢を取り、「何としてでも勝つ」心意気を立ち上がりから見せていきます。
新潟の最終ライン→ボランチへのパス出しに対しても、ハイネル・和田のドイスボランチが積極的に前に出て、ビルドアップを封じ込めに掛かり。
入りでコーナーキックを何本か得るなど押し込んだ新潟でしたが、この横浜FCのディフェンスを受け、本来のパスワークを乱される結果となりペースを失っていきます。
ボール支配では後手に回る横浜FCですが、前半14分には新潟のパスミスから長谷川竜也がドリブルで仕掛けるカウンター(シュートには繋がらず)を展開。
16分には敵陣でイサカ・ゼインがボールカットし、中央で拾った小川がそのままミドルシュートを放つ(新潟・舞行龍ジェームズがブロック)など、思惑がハッキリした攻撃を見せます。
即ち「支配率は二の次で、プレッシングによるボール奪取からの素早い攻撃」というゲームプラン。
そして19分に先制点に辿り着く訳ですが、ここはGKスペンド・ブローダーセンからの組み立てでした。
左→右→左とサイドを移してパスを繋いでいき、長谷川竜の左サイド手前からのクロスに、小川がヘッドで合わせネットを揺らし。
新潟CB・舞行龍の裏を突くピンポイントクロスに、背中側で小川が走り込むという絵的に美しいフィニッシュで締め、リードを得た横浜FC。
既に猛暑という事で、飲水タイムが導入されたこの日。(22分)
反撃したい新潟は26分、CBから縦パスを打ち込み続けたのち、星がエリア内を突いてこぼれた所を鈴木が走り込んでシュート。(ブロック)
ポゼッションを高めつつ、相手守備陣にプレッシャーを与えて好機を伺うという攻め方。
しかしそのプレッシャーが別の方向に作用したようで、直後の27分にロングボールを鈴木が収めにいった所、横浜FC・ガブリエウと競り合うなか腕でチャージしてしまい。
こぼれ球を拾いにいってさらにガブリエウを倒して反則となった所で、激高したガブリエウに報復で押し倒される事態が発生する事となります。
両軍ヒートアップした末に、鈴木・ガブリエウ両名に警告が出された事で何とか収まり。
こうした珍妙なシーンもあり、中々反撃機運が高まらない新潟。
一方の横浜FCも、34分にはそのガブリエウが、先程のチャージの影響か突如蹲ってしまいプレーが切られ。
ピッチ外に出る事態となりましたが、2分後に何とか復帰。
気を取り直して攻める新潟、38分に左サイドのスローインからのパスワークを経て、本間がカットインでエリア内を突いてシュート。(GKブローダーセンキャッチ)
「新潟の至宝」と称される存在の本間の力で、状況打破に掛かります。
しかし試合が珍妙な流れに傾くのには逆らえなかったようで、39分に再び判定絡みで騒然となり。
新潟・舞行龍のGKへのバックパスがミスとなった所に、すかさず走り込んだ横浜FC・渡邉。
そこで舞行龍の脚に引っ掛かって倒れてしまいましたが、反則の笛が鳴らなかった事で、横浜FCのホーム(ニッパツ三ツ沢球技場)らしく周囲はどよめき一色となります。
これ以降、反則らしきチャージがあっても主審(榎本一慶氏)の笛が鳴らないというシーンが目立ち。
あまりの多さに、先程その餌食となった渡邉が異議で警告を受ける(41分)という副産物も生まれてしまった横浜FC。
そんな中ボール支配して攻め上がる新潟でしたが、本間のカットインからのミドルシュートが味方の高木に当たる(40分)という具合に、気まずい雰囲気が影響したように結果を出せず。
それでも冷静さを保ちたいのは横浜FCであり、新潟の攻勢を受けつつも、何とか1-0のままハーフタイムまで逃げ切りました。
共に交代無く迎えた後半。
パスミスで相手にCKを与える入りとなった新潟でしたが、その後は横浜FCのお株を奪う、果敢なプレッシングで反撃体制を作り。
その中で後半3分に横浜FC・長谷川竜のドリブルをスライディングで倒した島田が警告を受けるなどしましたが、積極的な姿勢がフィニッシュシーンを呼び込みます。
7分敵陣右サイドでパスワークを遮断されるも藤原が奪い返し、拾った鈴木が高木とのワンツーでエリア内右を突いてシュート。
しかしGKブローダーセンがセーブし、クリアボールを尚も右サイドで繋ぎ、再びエリア内右から高木がシュートするも枠外に。
13分には左サイド~中央間でパスを繋ぎ前進、斜めの縦パス→ポストプレイも交えつつ、最後は本間が左ハーフレーン・エリア手前からダイレクトでのシュート。
しかしこれもGKブローダーセンが右手一本のファインセーブで防ぎ。
新潟のプレスの前に苦しさが滲み出る横浜FC。
ボランチのハイネルがやや顕著で、9分にはガブリエウからのパスをダイレクトでラフに上空へ蹴る、というやり方で何とかプレッシングをかわし。(その後渡邉が繋いだ事で好機に繋がる)
17分には原因不明の警告を受ける(アドバンテージで流された分か?)等、新潟の圧力を受ける被害が露わになっていきます。
本間が細かいタッチでのキープを何度も見せる等、新潟の敵陣でのボール支配が目立っていく展開。
しかしGKブローダーセンの好守も交えながら失点を防ぎつつ、後半の飲水タイムへ。(23分)
明ける際に横浜FCベンチが先に動き、前述の被害が目立ってきたハイネルに代わって齋藤を投入。(25分)
するとその直後にスコアも動きます。
ゴールキックのロングフィードから、相手クリアを拾った和田がプレッシングを受けながらもキープしてパス、それを受けた長谷川竜が浮き球のままスルーパスを送ると、裏を取った渡邉がエリア内右からシュート。
左サイドネットに突き刺さるゴールとなり、苦しい時間帯を覆す追加点を得た横浜FC。
一方、前述の場面では和田を囲みにいったものの奪えなかったのが全てとなってしまった新潟。
尚もその直後(26分)に和田の浮き球のコントロールから繋がれ、小川に際どいシュートを放たれる(ゴール右へ外れる)など退潮著しいといった感じであり。
流れを変えるべく27分に鈴木→谷口へ、30分に島田→秋山へと交代していきましたが、それは果たせずに横浜FCの連続攻撃を浴びる事となってしまい。
36分にはパスミスから横浜FCが攻撃、左→右へのサイドチェンジを経て、エリア内右へのスルーパスに走り込んだイサカ。
そしてカットインを経て中央へ横パスを送り、小川が待ち構えるもその前で何とかクリア。
尚も拾って繋ぐ横浜FCでしたが、この際に勢い余ったイサカがGK小島と交錯してしまっており、オフサイドポジションから戻れないイサカに対しパスが出された事で終わってしまい3点目はならず。
同時にチームのペース事態も終焉を迎えてしまいます。
何とか反撃の流れを作った新潟ですが、残り少ない時間。
38分には右サイドに本間も逆から加わってパスワークを経て秋山がサイドチェンジ、手薄な左から堀米の縦パスが打ち込まれ、中央で受けた谷口が反転してシュート。
しかしブロックを掠めてゴール左へと外れてしまい。
その後40分に双方選手交代。
横浜FCはイサカ(先程の交錯の影響か)・長谷川竜→山下・松浦へと2枚替え。
新潟は本間を諦める選択を取り高木と共に、シマブク・カズヨシと伊藤涼太郎を投入します。
最終局面に入ったものの、敵陣でパスを繋ぐも攻めあぐむ新潟。
それに対しボールカットを目立たせたのち、ボールキープを重視して時計を進めていく横浜FC。
試合前の意気込み通りに勝利への、そして首位交代への進撃を止めず、とうとうアディショナルタイムへ。
そのATで中村拓海が足を攣らせてしまった事で、最後の交代を敢行する横浜FC。(中村拓・和田→武田・田部井)
新潟はセットプレー(右CK)から、クロスの跳ね返りを星が中央からダイレクトでシュートしましたが枠を捉えられず。
飲水タイム導入(+中村拓が倒れたシーン)で従来より長くなったATですが、有効な手立ては取れない新潟。
とうとうゴールを割る事は出来ず、試合終了の笛が鳴り響き。
前節に続き、シュート数・支配率で上回られながらも意地全開といった勝利を果たした横浜FC。
上位対決においての心構えを貫いたのは見事ですが、裏を返せば結果だけを求めたという姿勢でもあり。
その反動が今後現れるか否かが、順位争いのキーとなりそうです。