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DAZN観戦 2022年J2リーグ第2節 横浜FCvsV・ファーレン長崎

2022-03-02 16:00:15 | サッカー視聴記(2022年J2)

<前節からの変更>

横浜FC=スタメン11人は不動。ベンチメンバーも、前節勝ち越しゴール(PKだけど)を挙げたクレーベが外れた(亀川が入る)以外は変化なし。

長崎=左サイドバックが奥井→加藤聖に入れ替え。また鍬先が外れてエジガル・ジュニオがFWに入り、前節FWの加藤大は鍬先に代わるボランチに。外れた選手はいずれもベンチ入りしたため、新たにベンチに入った選手は無し。

スタメン

開幕前から昇格候補として盛んに名が挙げられた、2チーム同士の対決。
横浜FCが苦しみながらも勝利を挙げたのに対し、長崎は引き分け止まりに終わった開幕節。
是が非でも勝ち点3が欲しいのは長崎の方でしょうが、それを嘲笑うかのように立ちはだかる強敵、といった図式。

そんな思惑からか、都倉とエジガルという、実績十分なツインタワーを同時起用してきた2トップ。
この2人を起用した際、攻撃はロングボール頼みになりがちなのが前年の長崎の姿でしたが、この日はそれで無くても傾倒せざるを得ない状況に追い込まれる事となります。

立ち上がりの前半1分、そのFWの片割れの都倉を左サイド奥へと走らせる攻撃で、奥田のスルーパスを受けた都倉がカットインからクロス気味にシュート。(GKスペンド・ブローダーセンキャッチ)
その後は多く得たスローインで、長く投げ入れて都倉・エジガルの落としで距離を稼いでから攻撃機会を掴む流れとなります。

いかにもツインタワーがデンと控えるチームらしい攻撃でしたが、7分にそんな流れに従った左からのスローインが、都倉に合わず直接ゴールラインを割ってしまうという失態シーンが生まれてしまい。
それを受けた横浜FCは直後のゴールキックで短く繋いでからの攻撃を繰り広げ、右から岩武ミドルパス→中央で長谷川受けて左へスルーパス→高木受けて左からクロス、と長いパスでサイドを揺さぶり。
クロスはブロックされるも尚も繋いで長谷川から再度クロスが上がり、中央で小川のヘディングシュートが炸裂するも、GK富澤がファインセーブで防ぎ。
自分達の形を見せた事による決定機で自信を深めた横浜FC、尚も9分にフェリペ・ヴィゼウの落としから小川がミドルシュート。(枠外)
12分には再び左から中塩のクロスが上がると、小川が再度ヘディングシュート(GK富澤キャッチ)と、フィニッシュを重ねていき。

前年まで札幌でコーチを務めていた四方田修平監督のチームらしく、ミハイロ・ペトロヴィッチ氏(以下ミシャ)が展開するサッカー、通称「ミシャ式」のシステムが色濃く反映されている横浜FC。
攻撃時の4-1-5への可変は下よりですが、最終ラインから対角線のロングフィードを主体として、長崎の4-4-2ブロックを揺さぶり決定機を作っていきます。

その一方で前節も2失点したディフェンス陣が脆弱といった印象なのは、3バックの中央に入るのが岩武という違和感ある布陣の影響か。
ミシャ氏が札幌で貫いていた「同数守備」の原則に従うように、長崎FWが降りるのに対して付いていく岩武ですが、サイズの足りなさもあり厳しい戦いを強いられていたようであり。
16分の長崎、右サイドからのクリスティアーノのミドルパスを受けたエジガル、一旦奪われたものの自ら奪い返してそのまま強引に前進。
そしてラストパスを受けたカイオ・セザールがエリア内からシュート、GKブローダーセンがセーブするも、横浜FC・中塩のクリアミスに反応したエジガルが再度シュート。
しかし横浜FC・手塚がブロックで防ぎ、マンパワーの中央突破による攻撃を何とか凌ぎます。

双方攻撃の持ち味を発揮しつつ時間が進んでいきますが、主体的な攻撃という観点では、横浜FCが優勢といった印象。
そして試合が動いたのは26分で、手塚から左へと展開して高木が前進ののち、戻しを受けた手塚が右へとミドルパス。
これを小川が中央へ落とし、齋藤がミドルシュートの体勢に入ると、フェイントを交えて左へ流れ再度シュートに行き。
今度は躊躇無く放たれたボール、ゴール右へと豪快に突き刺さるゴラッソとなり、ゲームの流れに従うように先制点に辿り着いた横浜FC。
強烈な印象を残した齋藤のシュートでしたが、長いパスでサイドを揺さぶったのはこの場面でも変わらず、組織的な攻撃が冴え渡った末の結果となりました。

リードを奪われ反撃したい長崎、以降も横浜FCのサイド攻撃に手を焼きながらも、同点にすべく攻め上がります。
クリスティアーノを主体とした攻めから右サイドでクロスを上げ、都倉やエジガルがヘディングシュートに持っていくも、その威力を十分発揮する事は出来ず。

逆にリードした横浜FCが、長崎のビルドアップに対してプレスを嵌め、前進させないシーンが目立っていきます。
これもミシャ氏の「同数守備」の原則が、四方田氏によってしっかりと落とし込まれているようであり。
プレッシングの際にはヴィゼウ・小川の2トップのような形となり、相手の2センターバック(江川・村松)にプレッシャーを掛け。
右サイドバック・高橋峻希には長谷川が、左SBの加藤聖にはイサカ・ゼインがしっかりとチェックし、一列前のボランチには齋藤が前に出るという形で対抗。
長崎の最終ラインはショートパスを繋ぎたくても果たせずという状況に陥ってしまい、結果としてツインタワーへのロングボールに頼らざるを得なくなっていました。

そして44分左サイド深めでプレスを嵌めて奪った横浜FC、拾った齋藤がカットインと見せかけてヒールパス、受けた高木がカットインを経て中央へパス。
そしてエリア内からヴィゼウのシュートが放たれ、ブロックされた跳ね返りを尚も齋藤が拾ってシュートと攻め立てるも、これもブロックで防がれます。
惜しい所で追加点はならずも、1点リードで前半を終えました。

開幕前から優勝候補と持て囃されてきた横浜FC、選手構成も分厚く。
これに組織力も加わったとあれば鬼に金棒であり、その評価は容易な事では揺るぎはしないでしょう。

個人的には「巨大戦力」と評されるチームはあまり好みでは無く、開幕前に辛辣な事を書いたのも、「何処かでコケてくれないかな……」という希望的観測を加えたのもあります。というか自分があまのじゃくなだけ
それでも他の疑問点を挙げれば、久々の監督となった四方田氏のサッカーの方向性。
長らくミシャ氏の下でコーチ業を務めてきた四方田氏とあり、こうしてミシャ氏のサッカーを正当(?)に受け継いで落とし込むのはある意味当然の流れ。

しかしそうした流れを素直に予測できなかったのは、四方田氏自身監督として、2017年にカウンター主体のサッカーで結果を出した(J1残留)という経歴。
それからミシャ氏のサッカー自体が「難しいサッカー」と評される側面でしょうか。
浦和時代に長らくミシャ氏の下でコーチをしてきた現ヴェルディ監督・堀孝史氏は、そのサッカーの継承を諦めて現在に至っています。
それ故今季の横浜FCも、前年後半のような助っ人を活かしての殴り合いというサッカーから抜け出せないのでは、という勝手な予想を立てていました。

そんな勝手な推測による懸念もどこ吹く風で、見事にコーチ業を通して学んできたサッカーを、チームに落とし込んでいる四方田氏。
抜擢されている選手の平均年齢の低さも相成って、実に健康的なチームへと変貌を遂げているといったここまでの印象となりました。

さて後半、苦戦を余儀なくされている長崎は2枚替えを敢行。
高橋峻・奥田→奥井・二見へと交代し、左SBの加藤聖が一列上がって左サイドハーフへシフト。
SBを双方入れ替えて後半に挑みました。

ネジを巻き直して反撃を繰り広げますが、印象的には前半と大きく変わらず。
2トップを橋頭堡としてサイドを突き、多く得たスローインから好機を演出する、前半立ち上がりと類似した流れとなります。
違ったのは敵陣深めでスローインを得て、ロングスローの体勢を取らないまま、スロワーがエリア内へと投げ入れる事。
後半2分には右からクリスティアーノがエリア内へ投げ入れ、エジガルのポストプレイを経て加藤大がシュート(GKブローダーセンキャッチ)と、素早い動きで横浜FCゴールを脅かし。
6分にも左から二見が、同じように体系が整わないうちにエリア内へと投げ入れ、都倉が落とすというシーンが。(シュートまではいけず)

しかしこれも小手先の変化でしかなく、逆に8分に横浜FCの左からのスローイン、エリア内で受けたヴィゼウから左サイドで繋いだのち高木がクロス。
この低いボールをニアでヴィゼウがフリックし、中央で受けた小川がシュートを放つもブロックに阻まれ。
依然として双方フィニッシュに辿り着く展開が続きます。

横浜FCサイドも、FWのヴィゼウがポストプレイで攻撃に絡みつつ、フィニッシュに顔を出すという具合に多方面で活躍します。
長崎との違いは、長崎の2トップが広範囲に動き回るのに対し、ヴィゼウは中央に張るのが基本線という事でしょうか。
彼が容易に動かない事で、他者によるサイド攻撃も緩くなり、小川らがフィニッシュに辿り着くのも容易になる。

次第に長崎は攻撃面でのパターン不足が深刻化。
12分には左ハーフレーン手前から加藤聖がクロス、ファーサイドに都倉が走り込み、クリアに入られるも不十分な跳ね返りを都倉がボレーで合わせシュート。
しかしGKブローダーセンにキャッチされ、その無理な体勢からのシュートが、逆に苦しさを象徴しているようでもありました。
以降セットプレーからフィニッシュへと繋ぎ、26分にはクリスティアーノのミドルシュートも火を吹きます(GKブローダーセンセーブ)が、ゴールを割る事は出来ず。

そして横浜FCベンチも手を打つ段階に。
21分のヴィゼウ→伊藤への交代(小川がシャドー→FWへシフト)ののち、28分には長谷川・齋藤→山下・安永へと2枚替え。
この交代でイサカが右→左へと位置を変えた……だけで無く、守備時でも4バックへとシフトしたようであり。(4-4-2)
2トップに小川・伊藤、SHが右=山下・左=イサカ、最終ラインはCBに岩武と中塩・右SBに中村拓海・左SBに高木といった布陣でしょうか。

移行当初の29分こそ、長崎が左サイド深めで都倉がパスカット、そこからクロスの応酬を経て都倉がシュート(ゴール左に外れる)と危ない場面が。
しかしその後は長崎の攻撃機会は極端に減少し、長崎の4-4-2に合わせるようにシフトした布陣が攻撃の芽を摘んでいき。
2トップへのロングボールも収まらなくなった長崎、文字通りに詰みの状況へと追い込まれます。

39分に加藤聖→山崎、41分にエジガル→鍬先(加藤大がボランチ→FWへシフト)へと交代カードを切るも、その流れは変えられない長崎。
それを尻目に試合終盤、前掛かりの隙を突くように安永が遠目からシュートを狙い、あわやというシーンを演出した横浜FC。
アディショナルタイムも長崎に殆ど攻撃させずに時間を進め、試合終了の笛に辿り着き、連勝を達成しました。

自分の開幕前の懸念とは裏腹に、終わってみれば(攻撃面において)個の力に頼っていたのは長崎といった印象を残すほど、組織立った横浜FCのサッカー。
これから日程が消化されるにつれて相手の研究も進んでいくでしょうが、それを振り払うだけの力は見せられたと言って良いでしょうか。


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