※前回の秋田の記事はこちら(29節・水戸戦、3-0)
※前回の愛媛の記事はこちら(29節・大宮戦、2-2)
4戦無敗(2勝2分)という現状の秋田。
混迷を極める残留争いから一歩上の位置に居るのは相変わらずで、安定性ある戦いを維持。
メンバーにもそれは現れており、この日で5戦連続の同一スタメンが選択され、このまま残留までバランスを保ち歩み続けんとしています。
この日も持ち前の、走力とフィジカルをメインにしたサッカーを繰り広げようとしますが、相手は現状最下位の愛媛。
どんな形でも良いから勝ち点が欲しい、という状態のチームの豹変ぶりを目にした事で、ペースが乱されたのでしょうか。
前半3分にコーナーキックの好機を得た秋田、ゴール前に密集を作った所で、ポジション取りを巡って主審から注意が与えられ。
そしてキッカー飯尾からクロスが上げられますが、GK岡本を倒してしまい反則で終了となります。
ゲームが動いたのはその直後で、5分に藤本がロングボールを収めた所、増田の反則で愛媛の直接フリーキック。
右ハーフレーン・エリアからやや手前で、直接かクロスかに(攻守とも)迷う場所でありましたが、キッカー内田は果敢に直接シュート。
ライナー性のボールが右ゴールポストを叩いた後、ダイブしていたGK田中雄大に当たってゴールに吸い込まれます。
前回対戦では開始1分も経たないうちにリードを奪った秋田でしたが、逆に早々にビハインドとなってしまったこの日。
秋田はCKから、9分に千田がヘディングシュート(GK岡本キャッチ)、12分にこぼれ球を武がヘディングシュート(眼前でクリア)を放つもののモノにならず。
13分の愛媛の攻撃、スルーパスに走り込んだ藤本が秋田・藤山のチャージを受ける(反則は無し)と、藤本が激高して騒然となるスタジアムの雰囲気。
秋田サイドはこうした球際でのバトルは日常茶飯事でしょうが、愛媛サイドもそれに合わせて応戦の姿勢を取るのはやや予想外でした。
しかし16分には忽那が副審のジャッジに対して異議で警告を受ける等、その意識がマイナスに作用した場面も生まれ。
前節(山形戦・0-4)は大敗となった愛媛でしたが、それが「相手の長所を消すサッカー」へと傾倒する開き直りへとシフトさせたのでしょうか。
フォーメーションも、通常の3-3-2-2から、藤本1トップ・川村がボランチとマイナーチェンジした3-4-2-1へとシフト。
繰り広げたサッカーも、その攻撃の殆どが藤本を狙ったロングボールで、守備でも大部分がクリアで逃げるシーンばかり。
球際で負けず、最終ラインで跳ね返すという専守ぶりを貫いていたこの日の愛媛。
前節欠場していた3バックの中央・栗山の存在もあり、セットプレー以外では秋田にシュートを放たせずに時間が進んでいきます。
そんな愛媛に対しサッカーを変えるという事はしなかった秋田、その副産物としてスローインの数が膨れ上がり。
遠目からでも時間を掛けて長いボールを入れるという両チームの姿勢もあり、どちらも試合の流れを得られないという感じで試合は推移。
スローインにより主審も中々切る事が出来ず、遅めの29分にようやく飲水タイムが挟まれるという運びになります。(自陣からのスローインでも、相手が高めの位置を取るためピンチ脱出になりづらいためか)
ブレイク明け、愛媛が秋田をインスパイアするようなロングスロー攻勢を披露。
内田がそのスキルを持っているのは周知でしたが、浅めの時間帯で早その体制を見せたのは傍らからも想定外で、愛媛のイメージチェンジぶりは手先足先まで伝わっていたかのようでもあり。
それでもセットプレーから好機を作ったのは秋田の方で、37分には愛媛・田中裕人のスライディングで稲葉が倒れて(どちらの反則か識別し難いシーンでしたが)得たFK。
敵陣ながらGK田中雄がキッカーを務め、右サイドからロビングが入れられ、跳ね返りを拾った藤山がミドルシュート。
ブロックに当たり枠を外れ引き続きの右CK、クロスがクリアされた後の二次攻撃で、再度右サイドから稲葉の低いクロス。
これを飯尾がヒールでフリック、ファーサイドへ浮かせた所に武が跳んだものの、僅かに合わずという際どい攻撃となります。
しかし39分、秋田のロングボールを愛媛・大谷がクリアした所、競らなかった吉田伊吹によりバランスを崩して地面に激突。
このプレーは当然反則ですが、吉田伊に警告という事態になったのは秋田サイドとしては誤算だったでしょうか。
その影響故か終盤は愛媛に流れが訪れ、アディショナルタイムにチャンス到来。
クリアボールを左サイドで収めた近藤、そのまま右へラフに浮き球を送ると、秋田・飯尾のクリアミスで高木が拾って抜け出す絶好機。
そのままエリア内に進入して放たれた高木のシュートでしたが、GK田中雄がセーブして防ぎ。
その後のCKも近藤のシュート(ブロック)に繋げた愛媛でしたが、追加点は奪えずとなり前半を終えます。
思いがけない愛媛の変貌にお株を奪われた感のある秋田。
同一イデオロギーのぶつかり合いというサッカーの内容を強いられた感があり、そんな中でリードを奪われてしまったため、後半立ち上がりからその威光を取り戻さんとするかのように攻勢を掛けます。
その最中の後半2分に左CKを得た秋田は、ショートコーナーからの沖野がクロスを入れ。
中央で合わせにいった吉田伊でしたが、GK岡本がパンチングでクリアすると、両者激突して岡本が倒れ込む事態を招いてしまいます。(秋田の反則)
心配された岡本は1分程で何とか起き上がり、脳へのダメージチェックののち復帰。
攻撃機会では勝りながらも、栗山を中心とした愛媛ディフェンスの粘りでシュートまで辿り着けない秋田。
逆に14分に愛媛がカウンター、左サイドで茂木のロングパスを収めた藤本から、中央へのパスに走り込んだ川村がシュート。(ブロック)
しかしこの際に足が伸びたためか、足を攣らせてしまった川村。
このサッカーに慣れていない分、ダメージは愛媛の方が目立つという状況だったでしょうか。
それでも自身のサッカーを貫く以外に取れる手が無い秋田、早い段階でリードされてしまったのが痛恨でしたが、それを後悔しても前進はできず。
16分にようやく流れの中から、飯尾のエリア内へのロビングを吉田伊がスライディングで何とか繋ぎ、稲葉のダイレクトパスを収めた武が中央からシュート。
しかしこれも愛媛・大谷のブロックに阻まれます。
同じスタメンを長く続けていた故か、若干読まれていた感もあったこの日の秋田の攻撃。
そして22分に選手交代に踏み切り、藤山・武→普光院・齋藤へと2枚替え。
普光院がボランチに入り、輪笠が右サイドバックに回るというポジションチェンジを(4試合ぶりに)採ります。
しかし23分に致命的なミスを犯してしまいます。
飯尾のバックパスを足下で受けたGK田中雄でしたが、愛媛・藤本のプレスを前にしてうっかり手で抑えてしまい。
これがバックパスの反則となり、愛媛のエリア内からの間接フリーキック。
気合を入れて全員でゴール前に壁を作った秋田でしたが、(藤本の蹴り出しからの)内田のシュートは前に出てブロックするも、跳ね返りが内田に当たって混戦に。
これを脱出させる事が出来ず、内田シュート(ブロック)→藤本シュートという立て続けに突き出された槍の前に屈してしまった秋田。
愛媛が追加点を挙げたと同時に、後半の飲水タイムに。
2点差となり、死に物狂いで攻めなければいけなくなった秋田。
ブレイク明けは右サイドに攻撃が偏り、行き詰まりを感じさせるものとなり。
すかさずベンチは動き、31分に3枚替えを敢行。
茂・吉田伊・沖野→三上・半田・中村へと交代し、今季初出場の半田をFWとして、中村が右サイドハーフに入るという変節を見せます。(愛媛もその直前に川村→山瀬に交代)
この中村をファーサイドのターゲットとするかのようなシフトで、以降秋田は左サイド中心の攻撃に。
35分は自陣深めから左サイド~中央をパスで前進し、三上のクロスから半田がニアサイドでヘディングシュートを放ちましたが、ゴール右へと外れ。
何とか愛媛を押し込みつつ、セットプレー攻勢を掛けて1点を奪わんとします。
39分に愛媛は藤本→唐山へと交代、ロングボールの収め役の藤本が退いた影響か、以降攻撃機会は殆どなくなってしまい完全な専守体制へ。
41分に、センターバックの増田が前線に上がりっぱなしとなり、パワープレイ体制を採る秋田。
それに呼応するかのように、43分にCKを得ると、以降4本連続のCKとなる長いセットプレー攻勢に。(左右とも普光院が蹴る)
その3本目、クリアボールをエリア手前・中央やや左で稲葉が拾いシュート。
ボールはワンバウンドでブロックをすり抜けたものの、GK岡本のファインセーブに阻まれます。
この攻勢が終わったのちの45分、GK田中雄ロングフィード→増田落としという単純明快な攻撃が完全に裏を取り、受けた齋藤がエリア内へ進入してシュート。
しかしこれもGK岡本がセーブと、愛媛ディフェンスの集中が切れた瞬間を突いたもののゴールは生まれず。
そのままATに突入し、CKではGK田中雄も前線に上がるシーンを作る秋田、スローインではロングスロー攻勢の体制。
左から稲葉のロングスロー、(増田が合わせるもエリア外へ逸れた)こぼれ球を拾った普光院からクロスが上がり、ファーサイドで千田がヘディングシュート。
ワンバウンドして左ゴールポストに当たるも、すかさずGK岡本が抑え、目前に2人が詰めていた秋田でしたが得点はなりません。
結局0-2のまま試合終了となり、愛媛の意地の前に屈した、という試合内容となってしまったこの日秋田。
逆に愛媛にとっては貴重な勝利であり、ようやく今季6勝目。
最下位脱出はなりませんでしたが、残留ラインは押し上がりますます混迷を極める事となり。
サッカー的には、この日見せた「相手の長所を消す」スタイルを今後も継続させるかどうか。
それとも秋田へのインスパイアの方を継続させるのか、という事が焦点となるでしょうか。
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