※前回の群馬の記事はこちら(34節・栃木戦、1-1)
※前回の岩手の記事はこちら(37節・熊本戦、0-1)
<前節からの変更>
群馬=2人を変更し、その2名はいずれもFW。平松・鈴木→北川・長倉へと入れ替えたうえ、前節右サイドハーフの加藤がFWに入り北川との2トップ。それに伴い長倉は右SHとなった。
岩手=こちらも2人変更、いずれも前線の選手と同様。クリスティアーノ→ブレンネル、中野→オタボーと入れ替え。出場停止のビスマルクに代わりメンバー入りしたのは石井で、実に7試合ぶり。
前節の時点で、降格の可能性は琉球・岩手・群馬の3クラブに絞られ。
その中でも岩手と琉球は、残り2戦全勝が必須という状況であり。
そんな状態で、今節岩手は群馬との直接対決を迎えました。
群馬が勝つと岩手のみならず、琉球の降格圏も確定してしまうという、完全にキャスティングボードを握られている2クラブ。
琉球にしてみれば、ライバルであるはずの岩手の勝利を憚らずも祈らなければならないという可笑しな現象となっており。
外野から見れば最終節まで縺れて面白くして貰いたい所なので、その期待を一身に背負う?事となった岩手。
試合が始まると、ホームの群馬は相手の狙いを逸らすように、ロングフィードを中心に攻撃を組み立て。
最終ラインのみならず、フィードに定評あるボランチの岩上も控えている状況で、かつプレッシング意欲が旺盛な岩手相手では当然でかつ最適な選択だったでしょうか。
そうして陣地を押し込んだうえ、敵陣深めでスローインを獲得すると、スローインにも定評ある岩上が多彩なボールを投げ入れ。
ロングスローを匂わせつつ(ただしセンターバックは上げない)、近場の味方に出したり、低いボールでポケットを突いたりと工夫を見せて揺さぶりを掛けます。
勝利が必須の岩手は中々マイボールにする事が出来ず、必然的に攻撃機会も少なくなる苦しい状況に。
そうした状態へ相手を押し込んだうえで、12分には左サイドをショートパスで前進していき、加藤のグラウンダーでのクロスをニアサイドで北川が合わせシュート。(左サイドネット外)
このグラウンダーのクロス攻勢に、後々手を焼く事となった岩手。
迎えた18分、右サイドのスローインから右コーナーキックを得ると、ショートコーナーを選択。
一旦中央まで戻されたのち、エリア内から下がって受けに来た畑尾からロビングが上がると、エリア内右で岩上が落としたボールを加藤が奥で受け。
ディフェンスに挟まれながらもマイナスのクロスを入れると、狭い所を通して北川が合わせ、GK松山を弾いた末にゴールネットを揺らします。
必死の防衛も防ぎきれなかった岩手、この日も常時ビハインドを強いられる事となりました。
何とか追い付きたい岩手は、得意手のロングボール攻勢に活路を見出し。
ブレンネルのみならず、右サイドの宮市をターゲットにする二方面作戦で的を絞らせ辛くし、押し込む事に成功します。
24分には敵陣でのボール奪取から繋ぎ、ブレンネルがエリア内へミドルパスを送り、宮市右から折り返し→オタボーシュートでネットを揺らしましたが(宮市が)オフサイドを取られてノーゴール。
奥山がワイドに開いて切り込むというもう一つの得意手も見せ始め、反撃体制を整えたかに見えた岩手。
しかし押し込まれるのを受けた群馬、守備時は5バックの体制を採り始めスペースを消しに掛かります。
加藤と高木友也が一列ずつ降り、5-4-1の布陣で相手の圧力を跳ね返す事に努め。
41分に岩手は和田のエリア内へのミドルパスにブレンネルが走り込み、右で受けてカットインからフィニッシュを狙ったもののGK櫛引に阻まれ。
これで櫛引がブレンネルとの接触で痛むシーンが見られたものの、前半の岩手の好機はこれが最後となりました。
以降は立ち上がりのような、群馬・岩上がスローインで変化を付けるシーンへと舞い戻り。
そしてアディショナルタイムに決定機を迎え、左サイドでラフな前進ながら加藤・高木友の2人で裏を取り、高木友からのグラウンダーのクロスをニアサイドで長倉が合わせ。
またもやグラウンダーのクロスからのシュートでしたが、ここはGK松山が足でのセーブで防ぎ追加点はならず。
群馬の1点リードで前半を折り返し。
2点取らなければならない岩手、ハーフタイムに手を打ちオタボー・和田→クリスティアーノ・中村充孝へと2枚替えを敢行。
果たして後半巻き返せるか、それとも降格への誘いに抗えずとなるのか。
その入りの群馬のキックオフ、城和のロングパスからいきなりフィニッシュまで繋げる事に成功。(セカンドボールを拾った岩上がミドルシュート・GK松山キャッチ)
さらに続く後半2分にまたも決定機、岩上がダイレクトでのミドルパスを続ける攻撃で、2本目が高木友に繋がってそのままエリア内左へ切り込みグラウンダーでクロス。
そしてニアサイドで北川が合わせるというこの日定番の流れで放たれたシュート、GK松山がセーブしたボールがポストに当たり、跳ね返りを北川に詰められるも松山が何とか抑え。
反撃どころか更なる失点も覚悟しなければならない流れを描きましたが、直後にカウンターを仕掛け、ブレンネルのエリア内左からのシュート(枠外)が放たれた事で何とか押し止めます。
攻撃も守備も一矢を繋ぐといった感じですが、他に手法があれば降格寸前のクラブとはなっていないはずなので仕方が無い。
クリスティアーノのフィジカルが加わった事で圧力が増したのは確かであり、クロスに合わせにいったクリスティアーノに対し、GK櫛引が激突しながらボールを抑えるというシーンも見られ。(8分・当然反則)
しかし11分敵陣でのパスミスで攻守を交代させられる岩手、群馬・高木友のミドルシュートまで繋げられ、ブロックで方向が変わったボールをGK松山が何とかセーブしてCKへ逃れ。
松山が何点防いだか解らない展開となってきましたが、そのCKでついに破綻。
キッカー岩上ファーにクロス→畑尾折り返し→加藤ボレーシュートという綺麗な流れを決められ、2点差に。
大外に上げられた事で、ゾーンの布陣の殆どがボールウォッチャーにさせられてしまったこの場面での岩手。
散々グラウンダーのクロスでピンチを作られた影響か、セットプレーでのクロス対応も曖昧になってしまっていた感がありました。
さらに直後の13分、高木友が敵陣でボールカットしてそのままエリア内左へ切り込みシュート(GK松山セーブ)と、勢いそのままに3点目を狙う群馬の攻撃。
岩手はどんな形でも良いから助かるに越した事はない、といった状態でしょうか。
14分、敵陣浅めでボールを受けたブレンネルが反則を受けフリーキックを得ると、中盤に近い位置ながらもキッカー中村太亮の放り込み。
エリア内やや右へ上がったボールをクリスティアーノが合わせると、ループの軌道でゴール左へと吸い込まれ。
強引な域を出ない攻撃ながらも、1点を返す事に成功します。
しかし直後の群馬のキックオフからの攻撃で、それはすぐに無に帰す事に。
後方から岡本が裏へミドルパスを送ると、北川はオフサイドポジションに居たため受けにいかず下がり。
それに対し岩手ディフェンスはあろう事か足を緩めてしまい、抜け出した長倉に拾われるという事態になってしまいます。
そのままエリア内に進入し、GK松山の上を抜くループシュートでゴールを奪った長倉、1分と経たずにすかさず2点差へと戻しました。
必死に長倉を追走したディフェンスリーダーの牟田でしたが、その報酬は失点に加えて自身の筋肉系トラブルという無情なものとなりました。(キックオフ前に深川へと交代、リベロの位置には甲斐)
これで単なる2点差よりも、一層ダメージが大きい(と思われる)状況となった岩手。
引き気味となった群馬ディフェンスに対し、中村太が中心となってクロスを連続して入れる攻撃を目立たせたものの、ゴールが遠いのは相変わらず。
群馬は20分に最初のカードを切り、北川→平松へと交代。
焦る岩手を逆手に取るように、22分に裏を突く攻撃で押し込んだ末に右CKを得ると、またも得点に辿り着きます。
キッカー岩上の中央へのクロスから、畑尾がヘディングシュートというシンプルな流れでゴールを奪い。
それでも手前で跳んだ城和に対して釣られるという具合に、岩手のこの日のセットプレーでの脆さはさらに際立つ事となりましたが。
後半はずっと5-4-1の守備を貫いていた群馬。
それを補強すべく25分に2枚替え、加藤・小島→川本・川上へと交代します。
これで3バックは3人ともCBが本職となり、岩手に一縷の望みも与えずといった立ち回り。
27分にFKを得た群馬。
クリアされたボールをキッカーだった岩上が拾い、川本がエリア内左からグラウンダーでクロスと、人が変わっても不変の攻撃の流れ。
ディフェンスに当たってこぼれるも拾った長倉が後方へ繋ぎ、岩上がミドルシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。
まだ点が入りそうな予感を孕ませると、その2分後の29分でした。
細貝のラフなロビングを平松が足でトラップ、それだけで食いついた岩手・甲斐をかわすに至り、そしてエリア内左へ切り込み。
放たれたシュートがゴール左に突き刺さるという、実にあっさりとした流れで5点目を挙げました。
既にディフェンス陣の心は折れていたと言われかねない岩手。
32分に2枚替え(ブレンネル・小松→色摩・石井)を敢行し、何とか燃料を補填し戦う姿勢を見せに行きます。
もはや残留の望みはほぼゼロ(琉球も)ですが、諦める姿を見せる事は当然許されず。
しかし同様にメンバーをフレッシュにした群馬(長倉・岩上→鈴木・奥村)の攻撃を尚も受け続け。
新たに投入されたFWの鈴木や川本も、ライバルに後れを取るまいという姿勢でフィニッシュを放ち。
岩手は反撃の道筋も中々辿れない流れで、とうとうATに突入します。
群馬が完全に退く姿勢となった事で、ようやく押し込み続ける流れを得た岩手。
クロス攻勢は跳ね返されるも、セカンドボールを拾い続けて分厚い攻めを敢行しますが、単調な域を出ず。
早いうちに手数を見せていれば相手の破綻の可能性も上がっていたでしょうが、時既に遅し。
そして試合終了、ならびに残留争いの終焉を告げる笛が鳴り響き。
快勝で残留を決めた群馬を尻目に、降格圏の順位が決定した岩手。(と琉球)
J3の昇格争いに目を移すと、首位を快走しているいわきの「J2ライセンスが認められない」事に期待するしか無く。
前年の「J2ライセンスが無い宮崎が2位以内に入る」事より、さらに情けない他力本願な気がしますが、それしか方法が無いので仕方無い。
試合直後、J2昇格の功労者である秋田豊監督の退任も決定。
一旦リセットを強いられるような流れですが、まずは残された1試合を悔い無く戦い最下位脱出を果たしたい所でしょう。
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