<水戸スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 開幕節に出場した特別指定選手・得能は現在「第37回デンソーカップチャレンジサッカー」に参加(東北選抜として)で不在との事。
<岡山スタメン>
- 佐野・坂本がU-20代表に参加、目下「AFC U20アジアカップウズベキスタン2023」を戦っており不在。
- 田中が前節故障により途中交代。
- 3/1に加入決定したルカオが早速のベンチ入り。
前年は3位という好成績を残しながらも、挑んだ昇格プレーオフでは1回戦(山形戦)で敗退した岡山。
順位的にはあと一歩のはずですが、そこに届かせるには一層の変化が必要と木山隆之監督は判断したでしょうか。
新システムに活路を見出し、ダイヤモンド型の4-4-2という近年のJリーグではあまり見ない布陣で今季に臨んでいます。
トップ下に強力な人材が必須、というのがこの形のイメージであり。
古くはヴェルディに居たエジムンド(2002年)、最近では神戸のイニエスタ(2021年)がその代表例でしょうか。
果たしてそのポジションに選ばれたムークがその重責を担う事が出来るか。
しかし実際試合が始まるとムークの働き云々よりは、可変する最終ラインからのビルドアップと、FW起用のハンイヴォンのスピードに特化するようなサッカー。
入りこそロングボールを多用し、そこからお互いに蹴り合うという時間帯が続きましたが、落ち着きを取り戻すと本来の形を取り始める岡山。
左サイドバックの鈴木がボランチの位置を取るのが基本形で、いかにも中央でボールを散らす前年までの彼の姿を活かすような可変であり。
そしてこの日はその前年までの働き場である水戸が相手という事で、見栄えする土台は十分でした。
しかしゲームを支配したのは水戸。
オーソドックスな4-4-2の形を採る岡山とは対照的な形ながら、サイドバックを高めに位置取らせてのビルドアップでパスサッカーを展開。
ディフェンスの際はムークが下がり通常の4-4-2ブロックといった岡山の布陣でしたが、中央密集のダイヤモンド型が足枷となったかワイドが空く場面が目立ち。
特に田部井がプレッシャーを掛けた隙を突かれ、左サイドの大崎から前進、というパターンが多く見られました。
水戸のホーム・ケーズデンキスタジアムのこの日のピッチコンディションが悪く、パスサッカーを全面的に繰り広げるには厳しく。
前半18分、村田の反則気味のボール奪取から素早く前へ運び、安藤の右足アウトサイドでのスルーパスで裏を取った前田がGKと一対一の好機を迎え。
しかしGK山田大の左側へ放ったシュートは、戻って来た河野のブロックに阻まれ決められません。
決定機ならびにゴールを生み出すのは縦に速い攻撃、という予感を孕ませるシーンならびに芝の状態。
それ故にボールを繋ぐ下地はあっても、アーリークロスを選択する事を強いられる水戸。
上述のシーン然り、ポストプレイ含めた繋ぎ役として脅威となっていた安藤。
彼に対し岡山ディフェンスも警戒を強め、26分にはそのドリブルを河野が反則気味のチャージで止め。
29分には再び安藤のドリブルを柳が反則気味に奪うなど、チェックの激しさを窺わせるとともに、水戸サイドの判定への苛立ちも高まりつつあり。
水戸ペースの試合でしたが、流れを変えたのが35分の水戸のスローインで、投げ入れたボールが岡山・ハンイヴォンに直接渡るという完全なミスに。
そしてそのまま右ハーフレーンからエリア内に進入してシュートを放ち、GK山口が辛うじてセーブしコーナーキック、と一歩間違えれば自滅という場面を招いてしまいます。
以降圧力を増す岡山のプレッシングの前に水戸は攻撃機会を失っていき、それに伴い今度は岡山がパスを繋ぎ始め。
そして42分、右サイドで前進する姿勢を見せたのち、例によって位置を移した鈴木が縦パスをハンイヴォンに繋げて打開。
河野のクロスが上がると、ニアサイドで櫻川がフリックを決め、奥で木村が跳び込んでヘディングシュートで仕留め。
流れの移り変わりを冷静に見極め、先制点を挙げた岡山。
その後も苦戦を強いられる水戸の攻撃。
アディショナルタイムには岡山はゴールキック→フィードを櫻川がフリックという単純明快な攻撃と、圧力で押し切る戦いへとシフトしていたでしょうか。
その攻めが(楠本の)反則を呼び、最後は左サイドのフリーキックから、クロスを木村が合わせる(GK山口キャッチ)という攻撃で前半が終了。
共に交代は無かったハーフタイム。
水戸は岡山の終了間際の姿勢からヒントを得たのか、それとも自らのスローインのミスを反省したか。
スローインからの攻めを好機に繋げる流れとなり、後半4分に左サイドから投げ入れたボールを安藤・小原が持ち運び、奥から小原のマイナスのクロス。
これをニアで安藤が合わせシュート(枠外)と、まず一本矢を放ち。
すると続く5分にもスローイン、今度は大崎の長距離のスローを梅田がフリックから自ら収め、パスを受けた安藤が左奥からマイナスのクロス。
ニアで走り込んだ梅田がスルーしたその奥で、武田が放ったシュートがゴール左へと突き刺さります。
パスワークに力強さを加えた攻撃で、速い段階で同点に追い付いた水戸。
振出しに戻った事で、得点が必要となった岡山はその最短距離を目指し。
6分に再び柳ロングパス→櫻川フリックと、単純かつ力強さの攻めを選択します。
その圧に水戸は押されたか、続く7分には梅田の(輪笠への)反則でFKを得た岡山。
ここからフィニッシュは生まれずも、8分には田部井のドリブルが前田に反則で止められ、またもFKの好機。
右サイドからキッカー河野がファーへクロスを入れ、こぼれ球を繋いでバイスが左からクロスに持ち込み。
GK山口がパンチングしたボールをムークがミドルシュート(枠外)と、セットプレーで岡山らしさを発揮せんとします。
反面、意気盛んになる水戸のプレスの前にビルドアップが冴えず。
11分に敵陣でパスカットした安永、そのままスルーパスを安藤に繋げ、エリア内やや左からシュートが放たれるもGK山田大がセーブ
これで再び水戸ペースとなる試合絵図。
パスワークに加え、左サイドでの小原の突破力で岡山ディフェンスを崩しに掛かり。
それでも攻撃の橋頭堡となっていた安藤が18分に交代となり、唐山を投入した水戸。
直後に再びプレスを嵌めるも、パスカットした小原がハンドを取られてしまいショートカウンターには持ち込めず。
岡山も素早く動き、19分に河野・田部井→本山・高木へと2枚替え。(高木が左インサイドハーフに入り、木村が右へ回る)
交代により運動量が補填された矢先の21分、水戸はそれをひっくり返すかのように、楠本のロングパス一本で右サイド奥を突く攻撃。
走り込んだ村田からマイナスのクロスが入ると、代わって入った唐山がニアサイドでボレーシュート。
電光石火と言うべきフィニッシュでしたが、ゴール右へと外れて勝ち越しはならず。
シュート意欲の高い唐山、その後もゴールを狙いますが、裏抜けがオフサイドを取られる(22分)など竜頭蛇尾気味に。
27分には梅田→寺沼に交代と、競争率の高いこのポジションで今後存在感を見せられるかどうか。
一方の岡山は、25分にムーク→仙波へと交代します。
水戸のプレッシングの前に良い形でボールを受けられず、この日は不完全燃焼に終わった感が強いムーク。
代わって入った仙波は、ビルドアップの際にボランチの位置まで降りて受けるなど、積極的にボールに関わる姿勢を見せ。
それに加え右SBの本山も中央に絞る可変を見せる等、新たなパターンで水戸のプレッシャーを凌がんとします。
本来中盤センタータイプの選手が増えた事により、木村が右サイドに張って推進力を見せるという副作用も齎し。
30分過ぎから、木村が何度も右サイド奥を突くシーンを作る岡山。
着実にプレッシャーを与えていくと、36分に再び水戸のミスから、右サイドで木村が拾い奥へと持ち込んで好機に。
そして入れられた低いクロスを櫻川がポストプレイで繋ぎ、受けた仙波が右ポケットへ切り込みシュート。
これが低いクロスのような軌道になり、ファーサイドでハンイヴォンがコースを変えんと跳び込むも、僅かに届かず枠外に終わります。
またもミスが失点への流れを呼び込む事を恐れたか、38分に最後の交代を敢行する水戸。
小原・武田→井上・杉浦へと2枚替え、サイドハーフを揃って入れ替えます。
一方の岡山も再び相手の交代後に動き、39分に櫻川・ハンイヴォン→ルカオ・川谷へと2枚替え。
こちらは2トップをそっくり入れ替え。
合流して間もないため、コンディションはまだ万全でないという噂のルカオ。
43分には仙波の落としを右サイドで拾い、そのまま細かいタッチでのカットインでエリア内右を突いてクロス。(ブロックされCKに)
攻撃の橋頭堡の役目をこなさんとしますが、その後は中盤のポストワークの際にボールロストを目立たせるなど、やはりそれは真実だったようでした。
同点のままATに突入と、引き分け濃厚の雰囲気も強まり。
投入直後の好機以降、我慢の時間を過ごした唐山はその最中に再びスルーパスに抜け出し、エリア内左でシュートチャンスを迎えます。
しかし切り返した所に本山のチャージを受け、倒されるも反則の笛は鳴らず。
水戸ベンチは総立ちで異議を唱えるも、当然判定は覆らず。
そんなピッチサイドのヒートアップを尻目に、尚もボールを握って攻め込む水戸という珍妙な絵図が描かれました。
結局ゴールは生まれず、1-1で引き分けに終わったこの試合。
水戸は3試合連続引き分け、岡山も2試合連続と痛み分けの割合が増え、スタートダッシュの目論見は果たせずの格好に。
序盤でのチーム構築の難しさを感じさせる成績となりました。
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