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TV観戦 天皇杯 第103回全日本サッカー選手権大会準々決勝 ロアッソ熊本vsヴィッセル神戸

2023-09-01 16:43:49 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

前回の試合から中2日という、厳しい日程でこの日を迎えた熊本。
スタジアムを確保できるのが日曜ばかりというホーム(えがお健康スタジアム)特殊な事情が、牙を剥くような格好となっていますが、それでもほぼベストメンバーに近いスタメンの人選を敢行した大木武監督。

そうで無くても、リーグ戦は11戦未勝利という苦境に塗れる状況で、残留争いを強いられながらも勝ち残っている辺りが前年の覇者・甲府と被りつつあり。
勝ち進むにあたり縁起の良いジンクスともいえますが、果たしてその顛末は如何に。

さてこの日の相手は、その甲府に4回戦で快勝した神戸(4-1)で、J1でも上位の相手であり一言で言えば強敵。
そんなクラブを相手にいきなりの前半1分に、左スローインからの細かな繋ぎを経て、竹本がミドルシュートを放って(GK前川セーブ)先制攻撃を果たします。

これを幕開けとして激しく動く展開に。
これで得た熊本の右コーナーキックで、クリアした神戸が自陣左サイドで熊本のゲーゲンプレスをかわしてカウンターに持ち込み、山口のスルーパスに抜け出した佐々木。
右ポケット奥へ切り込んでグラウンダーでクロスを入れるも、ブロックに当たりGK田代が抑え。
以降神戸がボールを握る選択を採り、熊本も元来ボールを握るチームなので、落ち着くかに見えた試合でしたが意図通りにはいかず。
9分に本多が敵陣でパスカットし、拾った汰木がエリア内へループパスを送った所に、走り込んだ扇原が合わせ。
これをキャッチしたGK田代から反転して熊本のカウンター、田辺が左サイド奥へとロングパスを送り、松岡に通った事でCKをゲットと慌ただしく好機が入れ替わります。

そんな状況下で先に流れを得たのは神戸で、熊本のビルドアップへの規制が巧くいき。
汰木が中に絞って狭い局面でのプレッシングを掛ける事で、右サイドで酒井高がカットする場面を頻発させます。
15分にそこからCFの佐々木に繋がり、エリアすぐ手前からシュートが放たれましたがブロックに阻まれ。

一方の熊本も直ぐに対応し、中央から長い距離を松岡まで繋ぐパスを送ると、それに対応する酒井高の慌てが目立ち。
15分にフリーで受けた松岡がドリブルで持ち運ぶと、それを前に出て止めんとした酒井高でしたがかわされて奥への侵入を許してしまいます。(左ポケットの平川へと渡すも奪われる)
直後の16分にも、ミドルパスを受けた松岡がどフリーになっており、そのまま奥へと進入して竹本とのパス交換を経てクロス。
これをファーで藤田がボレーで合わせる決定機になりかけましたが、ミート出来ずに終わり。

しかしすかさず冷静さを取り戻す神戸。
この日は大迫・武藤共にリザーブのため、彼らに配給するべきロングボールを抑え気味にし、最終ラインから繋ぐ傾向が強く。
そのビルドアップに熊本は当然前からプレスに行くものの、攻撃とは逆に酒井高への対応にやや迷いが見られます。
20分、最終ラインから右へのパスを受けた酒井高がフリーとなっていましたが、ここでウイングの松岡は山口をマークしており。
遅れて田辺が前に出た所を縦に運ばれ、そこから酒井高へ戻したのちのサイドチェンジと、長短をくまなく使い組み立てる神戸。(シュートには繋がらず)
これで両方をケアしなければと思ったのか、その後も松岡は酒井高と山口の中間に位置取るという曖昧な守備姿勢を強いられ、神戸が右から運ぶシーンが目立ちました。

そんな熊本、25分にはプレッシングを嵌めてGKへと戻させましたが、そのGK前川のロングフィードによる前進を防げず。
佐々木のフリックで繋がれて危機を招きます。(パトリッキにスルーパスが出るも手前でカットされる)
ロングボールも有効打と見るや、その後パトリッキが中央へと絞って佐々木とのダブルターゲットとなる等、強豪クラブらしい相手の心理を突く立ち回りを徹底していた前半の神戸。
そして28分、トゥーレルのロングパスを右サイドで佐々木が足下でポストプレイ、拾った酒井高のスルーパスは通らずも拾い直して左へ展開。
受けた川﨑がカットインで中央へ切り込み、ペナルティアークからシュートを放ちましたが江﨑が頭でブロックして防ぎ。

長短の攻めを防げずと、厳しい状況を強いられる熊本。
その中途半端な立ち位置を改め、以降は松岡が最終ライン、つまりトゥーレルにまで詰めていく姿勢を取るようになり。
酒井高には田辺が出て、数的不利となる神戸の中盤に対しては上村が前に出てカバーし、何とか嵌める体勢を作り上げます。

それでも上位カテゴリ故の強度に苦しみ、37分には逆にプレッシングを受けて川﨑がボールカット、こぼれ球を山口がダイレクトで縦パスを送った事で危機に。
そして細かな繋ぎを経て、エリア内でのパトリッキのポストプレイから山口のミドルシュートが放たれ。(枠外)
37分は本多から左サイド裏へのロングパスが一気に汰木へ通り、そこからのクロスは逆サイドへ流れるも今度は右から攻めと気を休められない熊本。
山口がダイレクトでポケットへ送り、パトリッキのスルーパスに走り込んだ酒井高からクロス、そしてファーサイドで川﨑がヘディングシュート。
見事にゴールネットを揺らしたものの、オフサイドを取られてしまい、先制点とはいきません。

かくして非常に厳しい展開となった熊本の前半。
自慢のパスワークで神戸ディフェンスを振り回すシーンはあれど、フィニッシュは22分の竹本のミドルシュート(GK前川キャッチ)以降皆無に終わり。
それでも判定にも助けられ(前述のオフサイドの場面は非常に際どいものだった)、スコアレスのまま前半終了を迎えました。

ハーフタイムで両者動き、熊本は藤田→大本に交代。
松岡の左に比べて右での仕掛けの足りなさを埋める采配を取った大木監督。
一方の神戸は、大迫の投入に踏みきり、川崎と交代して佐々木を一列降ろしてインサイドハーフに。
熊本の日程面を考慮して、体力勝ちを狙いに早めに動いた格好だったでしょうか。

目下J1得点ランクトップという大迫(19点)の投入で、綺麗にリードを奪いたい神戸。
しかし、大迫の居ない前半に曲がりなりにもペースを握っていたのが拙かった感があり。
立ち上がりこそ前半のペースを維持し、後半4分に大迫を使わずのパスワークで攻め上がり、右からのクロスが流れるも逆サイドで汰木が拾い継続。
そして扇原の手前からのクロスをファーサイドで佐々木が合わせヘディングシュート(GK田代セーブ)と決定機を生み出し。
下位カテゴリの相手の決壊を待つ流れを作りに掛かります。

しかしその目論見は甘く、熊本は右サイドに投入された大本の突破力を盾としての攻めでペースを握ります。
8分にスルーパスを受けた大本が右ポケットへ切り込んでクロス、ブロックされるも神戸のクリアミスが絡み、そのボールを田辺が左足アウトでダイレクトシュートしましたがゴール左へ惜しくも外れ。
10分に今度は左サイドで、田辺の縦パスに入れ替わった竹本がポケットを突いてシュート(GK前川セーブ)と、立て続けにゴールを脅かし。

神戸は12分に武藤を投入(汰木と交代、パトリッキが左WGへ回る)するも、尚も続く熊本の攻勢。
13分にも左サイドからパスワークで攻め上がり、奥を取ったのち田辺がカットイン、ディフェンスに倒されかかるも踏ん張ってそのままシュート。(GK前川セーブ)
神戸自慢の2トップをもってしても堰き止められない流れで、そのまま迎えた15分。
江﨑が前に出てのパスカットから右へ展開して今度は大本の突破による攻撃、カットインでハーフレーンを突いてエリア内へとスルーパス。
絶妙な抜け出しで受け、そのままシュートを左サイドネットに突き刺した平川。
一瞬オフサイドを疑う空気となったものの、ゴールが認められて見事に先制点まで攻めきりました。

スコアが動いた事で、ビハインドを強いられる神戸は焦りとの戦いに突入。
熊本にボールを握られ、その細かなパスワークに振り回される絵図が目立ちます。
皮肉にも大迫・武藤の投入で、良い流れであった前半とは異なるサッカーを強いられる形になってしまったでしょうか。
たまらず再度動く吉田孝行監督、佐々木・扇原→飯野・大﨑へと交代し、パトリッキがIHへ、武藤が左WGへシフト。

それでも流れを変えられず、度々熊本にボールを握られると、前掛かりを突かれての早い攻めも受ける事に。(24分に熊本は松岡・竹本→東山・粟飯原へと2枚替え)
まさに窮地といった状態のなか、攻撃でも苦し紛れにGK前川が直接大迫へロングボールを送るぐらいしか出来ずに、尚も拍車を掛けます。
そのボールを大迫がフリックして繋ぐも、好機は生まれず。(31分にトゥーレル→山川へと交代)

攻めあぐむ神戸を尻目に、35分過ぎから再び攻勢を強める熊本。
28分に田辺→豊田へと交代しており、ハーフレーンの位置を取るその豊田からのパス出しが絶妙で、幾度も好機を作り。
J1クラブの猛攻を受けるどころか、勝利を確実なものにするような立ち回りを貫き、「個の力に組織力で対抗し互角以上に渡り合う」という観る者の心を打ち易い絵図を作ります。
36分には敵陣でのパスワークを経て粟飯原が右ハーフレーンからミドルシュートを放ちましたが、ブロックを掠めてゴール左へと外れ。
39分に最後の交代を使い、島村→道脇へと交代。(粟飯原が右WGへ回る)

何とか追い付きたい神戸ですが、大迫狙いのロングボールという姿勢は変わらず。
しかし時間とともに熊本も強度が落ちて来たか、39分にセカンドボールが繋がって武藤のミドルシュートに持ち込み。(ブロック)

そして42分ここも山川が大迫を狙ってロングパスを送り、大迫が落とすと未だ戻りきれない熊本ディフェンスを尻目にパトリッキが拾って攻撃開始。
そして前進から中央→右へと送り、右手前から酒井高が低いクロス、中央で武藤がボレーで合わせにいき。
江﨑のブロックに遭いボールは上空へと上がり、すかさず反応したのはパトリッキで、GK田代が飛び出すもそのヘディングシュートを防げない熊本。
ゴール前で上村がブロックするも掻き出せず、ボールはゴール上部へと突き刺さり。
決して綺麗な得点では無かったもののパワーで勝る格好で、終盤で同点となります。

こうなると神戸は息を吹き返し、スタミナ切れも露わになってきた熊本相手に敵陣で振り回す展開を作ります。
43分に大迫のシュート(黒木がブロック)、44分に山口がミドルシュート(ブロックを掠めて枠外)、さらにCKからパトリッキがヘディングシュート(枠外)とフィニッシュの連続。
一気に窮地に陥った熊本、アディショナルタイムに左からのクロスに道脇が合わせヘディングシュートを放ち(枠外)、何とかファイティングポーズを取り。
ともに勝ち越しを狙いにいく姿勢は変わらずも、全体的に大人しめのAT(目安5分)となり。
最後は熊本が右CKを得るもモノに出来ず、1-1のまま後半が終了。
勝負は延長戦へと持ち越されます。

その延長戦、神戸は武藤とパトリッキの位置が入れ替わり、武藤がIH・パトリッキが左WGとなって挑み。
そして早速の延長前半1分、裏へのボールにパトリッキが走り込んで奥からラフにクロス、ニアに入った低いボールに大迫が跳び込んで足で合わせ。(ゴール左へ外れる)
疲労困憊ななか、マンパワーを活かして攻め上がります。
3分にもGK前川のロングフィードからの攻撃で、右手前からのクロスを大迫がフリック気味のヘディングシュート。(ゴール左へ外れる)

早くも劣勢を強いられる熊本、4分に追加の交代カードを切り。
江崎→酒井匠に交代と、不足している高さを補充する手を打ちます。(酒井匠が左センターバックに入り、中央に黒木、右に阿部)

押し気味の神戸も、パトリッキが足を痛めてしまうと失速気味に。
気丈にプレーを続けたパトリッキでしたが、11分に交代の措置が採られます。(井出へと交代、再度武藤が左WGに)

しかしそのアクシデントの空気が、熊本サイドにも襲い掛かり。
15分再びロングパスのセカンドボールからの攻めで、右サイドからスルーパスの連続でエリア内を突き、中央で走り込む大迫。
その手前でカットした熊本でしたが、この際にあろう事か、荒れた芝生に足を取られた酒井匠が痛んでしまい続行不能という事態に見舞われます。
当然ながら交代はもう出来ず、酒井匠が担架で運ばれて数的不利での戦いへ突入する事に。
誰を空いたCBに入れるかという状況で、選ばれたのは粟飯原で左CBへそのまま入ります。
これで5-3-1という布陣を採る熊本。

当然それを突かんとする神戸、残り少ない時間で、酒井高がその粟飯原の背後である右ポケットへスルーパス。
しかし走り込む飯野に対し蓋をして無事に対応した粟飯原、破綻はさせず。

そして突入した延長後半、既に守勢に回る事しか出来ない熊本に対し、神戸がどう崩して勝ち越すかが焦点となります。

しかしアクシデントを司る?神の悪戯は止まず。
早々に右CKを得た神戸、キッカー初瀬のクロスに大迫がヘディングで合わせ。(枠外)
フィニッシュにより期待感を高めたはずの神戸でしたが、あろう事かキッカーの位置で初瀬が足を攣らせて動けなくなってしまいます。
プレー続行を選択するも、以降初瀬が前線に回り、空いたサイドバックに飯野が降りる弥縫策を採り。(酒井が左に回り、飯野が右)

そして意外にも、その初瀬にパスを送っては好機を作らんとする神戸。
ボールを蹴る度に苦悶の表情を浮かべる初瀬ですが、数的優位を捨てるにはもったいないという思惑なのも頷けなくは無く。
終盤の延長後半14分には右からクロスを入れた初瀬、跳ね返りを中央で山口が拾ったのち、大﨑のポストプレイを経てまさかのシュートまで放ちます。(粟飯原がブロック)
当然ながら撃った後に倒れ込む初瀬、そのチームへの献身性は涙せずにはいられず。

何とか時間内に決めたい神戸ですが、熊本も最終ラインは6人が降りるという決死の防御態勢に。(両ワイドは大本と東山が守る)
15分に一瞬の隙を突き、左からの前進で武藤がカットインでのレーンチェンジからスルーパス、これでエリア内に大迫と井出が走り込む決定機を生み出します。
しかしシュートを放った井出、ゴールネットを揺らしたものの飛び出した位置はオフサイドであり、VARチェックが挟まれるも判定は変わらず無念のノーゴールに。
大迫が撃ちにいっていれば……と悔やんでも時既に遅く。

そして時間は過ぎ。
終了のホイッスルを告げる直前、熊本はさらに道脇が肩を痛めてしまう事態となり続行不可能に。
これで9人となってしまいますが、幸いすぐに延長後半終了となりPK戦に入ります。
こうなると数的不利は最早関係無く。

神戸側ゴール裏の前でのPK戦となり、1本目を務めるのは大迫と、ここでも早めに勝負を決めたい思惑を前面に押し出す神戸。
その大迫が右足でゴール右へと決めると、熊本の1本目は黒木と、任せられるストライカー不在という苦しい台所事象。
しかし黒木も右足でゴール右へと決めて喰らい付きます。

迎えた2本目、神戸は武藤と出し惜しみせず。
しかし大迫とは逆に左へと蹴った結果、GK田代が読み切ってセーブと防がれてしまいます。
一方の熊本は東山が務め、初めて左利きのキッカーが登場。
しかし右を狙ったボールはGK前川が跳び付いてセーブ、リードを奪う事は出来ず。

ともに利き足方向へのシュートは決まり、その逆方向のシュートは止められるという流れを描き。
3本目、神戸・山口はその流れに従い右へシュートし、GK田代は反応するも届かずゴール上部に突き刺さり。
そしてここで変節を齎したのは熊本の3本目で、キッカーにはGKの田代が。
キックに自信があり、かつ2人もフィールドプレイヤーを欠く中では納得感もある選択。
そしてその通り、放たれた強烈なシュートがゴール上部に突き刺さります。

4本目、神戸は大﨑が務め。
一転してゴール上部へのシュートが続いたためか、大﨑もその例に漏れず上を狙ってシュート。
しかし狙いすぎたか、外してしまい痛恨の失敗に。
そして粟飯原が左足で右を狙いGKの逆を突き、この日初めて利き足と逆方向へのシュートを決めます。

後が無い神戸の5本目、井出が放ったシュートは真ん中を選択。
無事に決め、勝負の行方は熊本の5本目次第となり、キッカーはキャプテン平川。
そして左上、GKの届かない所へとシュートを突き刺した事で、歓喜の瞬間が訪れた熊本。

ベスト4進出を果たしたものの、負傷者も複数出してしまい。
選手層の薄い中では(リーグ戦も含めて)より一層厳しい戦いを強いられそうですが、昨年の甲府の再現は果たす事が出来るでしょうか。

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