ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第17節 大分トリニータvsV・ファーレン長崎

2023-05-23 16:01:13 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の大分の記事はこちら(14節・金沢戦、4-3)
※前回の長崎の記事はこちら(12節・いわき戦、1-0)

<大分スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • フォーメーションを3-4-2-1から4-2-3-1へと変更。
  • 屋敷がU‐20代表に参加、U-20ワールドカップアルゼンチン2023大会へ参加のため離脱中。
  • 佐藤が今季初のメンバー入り。
  • GK高木の負傷が発表され、グロインペイン症候群との事で全治は不明。(患部的に、14節での負傷と関係性あるかは不明)
  • ユース所属の森本が2種登録で今節から加入。

<長崎スタメン>

  • 安部がU‐20代表に参加、U-20ワールドカップアルゼンチン2023大会へ参加のため離脱中。
  • 前節(岡山戦、0-0)負傷?交代したフアンマ・デルガドはベンチ外。

前節は山形に0-5で敗戦と、まさかの試合を演じてしまった大分。
唯一の平日デーゲームという開催で晒される事となったその衝撃は決して小さくなく。
今節に臨むに辺り、フォーメーションを4バック(4-2-3-1)へとシフトしたうえで、スタメン7人変更と荒療治を打ちました。

長崎のフアンマを想定したのか、2センターバックにデルラン・ペレイラの強靭な助っ人を置いたものの、そのフアンマは前節途中交代の影響か欠場。
フィジカルで負けないというテーマは思わぬ肩透かしを喰らったものの、高畑と藤本の共存というもう一つのテーマが力を発揮。
2人が居る左サイドからの攻撃を重厚なものとしていきます。

立ち上がりから押される長崎を受け、空振りしたはずのフィジカルも効果が出たでしょうか。
前半6分右サイド裏へのボールに走り込んだ宇津元が、先に入り込んだ米田とのデュエルの末にボールを確保。
カットインでポケットを突いてからの戻しで、町田のシュートに結び付けます。(櫛引がブロックで防ぐ)

一方反則に近い形でピンチとなった長崎、これで色を失い。
直後の8分にはクレイソンが町田に対するアフターチャージで反則を取られると、判定に納得出来ずにペレイラとヒートアップを繰り広げ。
冷静さを失いつつあり、10分にはまたも(野村に対する)アフターチャージでカイオが警告を受ける始末。
これで4枚目で次節出場停止と、踏んだり蹴ったりな状況に陥ります。
13分今度はオフェンスファールで、クロスを合わせにいった宮城が上夷をパッティングの形でチャージしてしまい警告。

膨らんでいく被害に、いち早く落ち着きたいという長崎ですがそれは叶わず。
16分には大分のボール保持による攻撃で、一旦パスカットに成功するも奪い返されたカイオ、そのままドリブルに入る野嶽を倒してしまい反則。
危うく2枚目という際どい倒し方を経て、大分が得た中央からの直接フリーキック。
キッカー高畑は直接狙いますが、落ち切らずゴール上へと外れ。

命拾いした格好となった長崎。
何とか落ち着かせて自分のターンとするも、フアンマの欠場で安易なロングボールは通用しない状態。
必然的に後方からのビルドアップがカギとなるも、立ち上がりは前回のいわき戦の如く、サイドに追い込まれては詰まるの繰り返しで全く良い所無く推移します。
そのため増山を前に上げるて米田が残る、右肩上がりの布陣を取って微調整。
19分には米田が縦パスをクレイソンに通して大分のプレッシングを掻い潜りますが、ラストパスを出すという所で宮城のキックミスで攻撃終了となり。
ボールは回せるようになる中で、先程警告を受けた宮城の心理状態が気になりました。

大分もボール保持による攻撃は健在ですが、21分GK西川を含めた繋ぎの中、隙を突かれてエジガルにシュートを許し。(枠外)
しかし直後の22分にはペレイラが、前に出て来たクレイソンの脇を突くパスでかわすという具合に、相手を剥がす際どいプレーののちに左サイドアタックに持ち込み。
そして藤本が左サイドからカットインと見せかけ、クロスかシュートか見分け辛いボールを入れ、GK波多野がセーブという具合に好機に繋げます。

出来ればこのまま何事も無く好試合を見たかった所ですが、25分に先程危惧した宮城がとうとう暴発。
自陣で町田がボール奪取して攻撃を切った大分、そのまま野村のドリブルで敵陣に持ち込まんとする所を、奪われた宮城が後ろから倒す形となって反則。
主審(清水修平氏)は躊躇う事無く2度目の警告を突き出した結果、退場となってしまいます。
自身のボールロストから来る必死さを押し止められず、腕で野村を倒してしまった以上言い訳は利かない格好。
これで10人となった長崎、以降クレイソンが宮城の位置に回る4-4-1で戦う事に。

これを境とし、労せず(というのはやや語弊がありますが)して敵陣でサッカーを展開できる状態となった大分。
高畑・藤本の2枚が控える左サイドで圧を掛け、そこから多方面で崩しを図る攻撃。
31分に藤本が再び左からシュートかクロスかというボールを放った(GK波多野キャッチ)かと思えば、33分には左奥を突いたのちに、中央から羽田がミドルシュート。(ゴール右へ外れる)
最後方からのビルドアップから、右サイドで上夷も高い位置を取るという具合に、まさに前向き思考において何処から崩すかという状況。(後ろ向き思考ならば「どうやって崩せばいいのか」となってしまうか)

そして39分、ゴールに辿り着いたのはやはり藤本でした。
GK西川のロングフィードから、左サイドで宇津元が収めた事でここも左からの攻めに。
ハーフレーンからの縦パスでエリア内を突き、受けた藤本が奥へ切り込んだ末のシュート。
角度的にキツイ所ながらもニアサイド上へと突き刺し、再三ゴールを脅かしていた姿勢を実らせました。

これで先制した大分を尻目に、直後長崎はまたもアフターチャージによりクレイソンが警告を受け。
劣勢は明らかであり、とりあえずは1失点のまま耐える事を選択したでしょうか。

42分に再び左サイドで前進していく大分、一旦遮断されるもデルランが奪い返しと人数を掛けて押し込み、藤本が奥からカットイン。
そして左ポケット奥という位置で今度はクロスを選択するも、浮き球の行方はゴール上部でありモノに出来ず。
45分には大外からまたも藤本がゴールへと向かうクロスを入れ、ニアの宇津元に合わずに流れて来たボールをGK波多野が片手で何とか弾き。
これにより波多野が痛みを訴えて蹲るなど、圧力に屈するような絵図も生まれてしまいます。
結局大分の攻撃を受けまくる中、自身の攻撃機会は10人以降ゼロに終わった長崎(自分の集計です)でしたが、何とか2失点目は防ぎ前半を終わらせます。

そしてハーフタイムで2枚替え、クレイソンと笠柳に代えて岡野と高橋峻希を投入。
守備的な選手を2人も投入し、一瞬「3バックにでもするのか……」と疑問符が付いたものの、答えは投入された2人をサイドバックに置いて米田と増山を一列上げるというものでした。
攻撃的なSBを前に出す事で、守備を破綻させる事無く一矢を放つ下地を作ったでしょうか。

それでも大分は攻勢を続け、後半3分には藤本がエリア内左からシュート(ブロック)、5分には藤本が左ポケットを突いての戻しから野村がシュート(ブロック)とフィニッシュを重ね。
前半同様の展開か……と不安が過りますが、直後の6分に右サイド奥でのスローインに持ち込む長崎。
その心は増山のロングスローと、数的不利を跳ね返すならば何でもやるという姿勢に入ります。
このロングスローから、こぼれ球となった所を櫛引がボレーシュート(GK西川セーブ)と脅かした事で、希望の一糸が繋がった感があり。
尚もコーナーキックとチャンスは続いたものの、クリアボールを町田に拾われて逆に大分がカウンター。
しかし野村→宇津元への浮き球へのミドルパスを判断良くGK波多野がヘッドで遮断すると、一転して長崎のカウンターとなり。
拾った増山のスルーパスが通り、受けたエジガルがエリア内に持ち込みシュート、しかしGK西川のファインセーブで防がれます。

カウンターのカウンターといった攻撃シーンが描かれ、数的優位の大分にとっては「何でオープンにさせてしまったんだ」という危惧も生まれる状態に。
それでも9分、長崎は高橋峻がボール奪取からドリブルに持ち込み、羽田がそれを倒して止めたものの反則の笛は鳴らず。
逆にその直後に高畑のドリブルを倒したヴァウドが反則・警告と、この日の判定の針は大分有利という状況は変わらずであり。
いきり立つ長崎に対し、冷静に試合を進めれば何て事は無い……はずでした。

その後も優位性を活かし、敵陣で攻撃を続けていく大分。
15分にはサイドを振りつつパスを繋いだ末に左サイド奥からクロス、ブロックで防がれるも藤本がこぼれ球をエリア内へと繋ぎ、中央で宇津元が受けにいくもカイオと交錯。
足から跳び込んだのがカイオだったため、一瞬また長崎の反則かと思われましたが、今度は宇津元が反則を取られます。
18分には左サイドで藤本がカットインと、例によって左から推進していく流れを作り、こぼされた所をエリア内で野嶽がシュートにいき。
しかしこれもヴァウドのカバーに遭い交錯、野嶽が反則を取られるも痛んだのも野嶽の方。
大分サイドが判定に悩まされる状態へと移っていった感があり。

長崎は21分に次なる交代を敢行し、エジガル→澤田。
2列目タイプの澤田を1トップと、あくまで機動力の確保に努めた采配だったでしょうか。
大分も23分に町田・宇津元→佐藤・伊佐へと2枚替え。

欲しい追加点が中々奪えないという展開が、大分から落ち着きを奪ってしまった感があり。
敵陣でボールを保持する状況でも、詰まりかけた際には戻して作り直し、というシーンは見られなくなり。
前へ早く運ばなければ、という余裕の無さが露わになっていた印象を受けました。

そんな心理状態からか、29分長崎のロングボールからの空中戦で、一旦ボールを確保したかに見えましたがパスミスを増山が拾い敵陣からの攻撃。
そして右奥を突かんとした所を高畑が倒してしまい、反則で右サイドからのFKを得た長崎。
このキッカーは増山が務め、人数が少なくかつフアンマ・エジガルも居ない中で、DFの他に頼みとなるターゲットはカイオ。
彼がゴール近めに位置したうえで遠目へクロスと意表を突くと、それが奏功してフリーでヴァウドが跳び込んでヘディングシュートを放ち。
GK西川にセーブされるも、すかさずカイオがヘッドで詰めてゴールネットを揺らします。
10人のなか同点に追い付く事に成功した長崎。

一方後悔先に立たず感の強い失点となってしまった大分。
キックオフからの攻撃で、GK西川まで戻してのロングフィードから繋ぎ、佐藤がエリア手前で右からカットインシュート。
ブロックされてCK(ここからはシュートに繋がらず)と依然として優位さを見せていただけに、痛すぎる同点劇であり。

勝利の芽も出て来た長崎は、33分に増山→都倉へと交代。
都倉1トップ・澤田右サイドハーフという順当な布陣となります。
追い付いたものの攻撃機会の少なさは相変わらずな中、前線に投入した運動量で何とか打開を図る展開に。

それでも「引き分け上等で、勝ち越せればそれで良い」という具合に、長崎の方が心理的に優位だったでしょうか。
ロングボールが多くなるなど、攻めに余裕が無くなる大分。(37分に野嶽・上夷→弓場・茂へと2枚替え)
40分にデルランのロングパスで左奥を取り、そこからの繋ぎを経て弓場がカットイン。
そしてシュート気味に中へ送るもヴァウドのクリアに阻まれ。
とうとう2点目を奪えないまま終盤を迎え、最後の交代は藤本→安藤。(43分、野村が左SHへシフト)
いかにもパワープレイ狙いという采配となりました。

すっかり優位性を失った大分を尻目に、アディショナルタイムにさらに一矢を放たんとする長崎。
岡野の飛距離の長いスローインで裏を取り、クリアされるも今度はアタッキングサイドでのスローインとなり岡野がロングスロー。
増山よりも長い飛距離でエリア内中央へと送り、クリアボールを拾った鍬先のロビングに今度は自ら合わせにいく岡野。
そして折り返されたボールが中央の都倉へ、と決定機になりかけるも、その眼前でクリアに遭い惜しくも撃てず。

長崎の方が攻撃機会が多くなり、逆に羽田が(櫛引への反則で)警告を受ける等、立場逆転を強いられたATでの大分。
それでもゴールは割らせず、試合終了の笛が鳴り。
10人相手に敗戦という屈辱は何とか避けられましたが、2試合連続で上位らしからぬ試合を演じた感は拭えず。
前半戦終了も近くなり、その前に息切れはしたくない所でしょう。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第14節 柏レイソルvsヴィッセル神戸

2023-05-22 16:00:21 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

下位から抜け出す気配が全く見られない柏。
ガンバ・横浜FCとともに、1枠の降格枠を巡って血みどろの争いを繰り広げる気配がありありの今季。
そして前節その横浜FCとの直接対決で敗戦(0-1)、というタイミングでついに監督交代が行われる事となりました。
今季5年目・2期併せて11年目というネルシーニョ氏の監督生活に幕が下りる事となり。といっても3度目の就任の可能性は否定できず
その輝かしい成績はもはや生ける伝説と言うべきですが、やはり伝説化しているという側面は拭えず。
年々発展していく戦術面への遅れに抗えず、といった格好だったでしょうか。

今後の柏はその後を継ぐ人材にかかっているという状況で、新監督に就任したのは、11年ともネルシーニョ氏の腹心的存在を務めていた井原正巳氏。
コーチから昇格と2018年の加藤望氏による悪夢の降格がチラつくような人事ですが、幸いにもその時期に(福岡で)監督経験を持っている井原氏であり、二の足を踏む不安はあの時よりは少ないといえるでしょうか。
何しろシーズンの真っ只中で、ここで外部から人材を呼んで全く新たなサッカーを構築する訳にはいかず。
ネルシーニョ氏の今季の悪戦苦闘を側で見ていた人物による、微調整は果たしてどんなものか。

シュート21本を放って得点ゼロ、という悪夢のような前節から、スタメン変更は1人のみ。
トレイスボランチともいえるようなメンバー選択(高嶺・椎橋・戸嶋)から一転し、9試合ぶりのスタメンとなった山田を右サイドハーフに置くという微調整。

メンバー的にはそのぐらいの変化ですが、行われたサッカーは試合後の神戸・吉田孝行監督の「やり方が少し変わっていた」という談の通り。
マイボールの際は最終ラインが3バック気味へと可変し、川口が高い位置を取る右肩上がりの布陣に。
そして両ワイドを意識した位置取りで、右に川口・左に小屋松を配置して幅広く攻める、というやり口だったでしょうか。

神戸はその真新しさと、監督交代によるリフレッシュ効果も感じるプレッシャーの速さに苦しむ事に。
前半3分に左奥からの小屋松のカットインでコーナーキックに持ち込まれると、その二次攻撃で、戸嶋ミドルパス→細谷胸で落とし→山田エリア内へロブという流れで決定機が生まれかかり。(細谷がシュートにいくもジャストミート出来ず)
首位と残留争い組という対決は前回観た際と同様(横浜FC戦・3-0)ですが、苦戦の匂いは今回の方が圧倒的に上という感じでした。

そんな神戸の最初の攻撃機会は8分で、右に開いた山川の斜めの縦パスが撃ち込まれると、大迫の中央突破を経て佐々木大がミドルシュート。
これがゴールバーを直撃し、さらに拾った武藤嘉がDFをかわしてシュートするもゴール左へと外れ。
ゲームを支配される中、前線のクオリティの一発で仕留めるという戦いで対抗姿勢を取り。
柏サイドと同じく、神戸も右サイドバックを前に押し出す右肩上がりの布陣。
それは相手が同じ体制のためなし崩し的に合わせる、といった感じなのかは不明ですが。(雑感的には、J2の仙台vs山形のような印象)

様々な位置でパスを受けるサヴィオが攻撃の中心役を担う柏。
それに小屋松の突破力や山田の急所を突くパスを絡め、攻撃権を支配していきます。

しかし好事魔多しという状況を作ってしまうのは、上がらないチーム成績の性か。
24分ロングフィードの跳ね返りを佐々木大が拾って神戸の攻撃、左サイド奥へスルーパスを送って深さを取った末に、汰木のクロスが上がり。
すると中央で跳んだ大迫の頭を越えると、大迫に2人が付いた事でその奥でフリーの武藤嘉が受ける事態となり、慌てて対処しようとした柏ディフェンスを嘲笑うかのように横パス→大迫シュート。
あっさりとゴールネットが揺れ、試合展開とは反して神戸が先制に成功しました。

リードを奪われた柏、一層前掛かりとなりインテンシティを高めるサッカーを展開し、激しいアタックで神戸の攻撃を封じ込め。
何度かカウンターに持ち込み、右サイドから川口がクロスを入れる展開に持ち込むものの、この日の本筋はやはりボール保持による攻撃。
36分にゴールキックから短く繋いでいき、左サイドでの前進からスルーパスを受けたサヴィオがエリア手前でサイドチェンジ。
そして再び川口がクロスを入れる展開を作り、跳ね返りを拾って今度は中央からパスワークでエリア内を突くも、こぼれ球を詰めにいった山田は空振りしてシュートは撃てず。
左右を使った末に中央から攻撃と、やりたい攻めは一通り行えていた柏ですが、前節同様ゴールが遠く。
CKも(上記以降)3本得るなど押し込みますが、無得点のまま前半を終えました。

共に交代無く始まった後半。
キックオフから攻め立てる柏、最初の攻撃は途切れるも戸嶋が奪い返して継続し、左へ展開の後小屋松のスルーパスでそのまま左ポケットを突く戸嶋。
入れられたマイナスのクロスがサヴィオに入るも、神戸サイドの寄せも早くトラップ後をクリアされて撃てず。

ハーフタイムを挟んでも流れはそのままといった後半ですが、それに拍車をかけたのがハプニングにも近い試合絵図。
後半4分最後方から作り直さんとする柏に対し、チェイスした佐々木がスリップして倒れた所、その腕に引っ掛かった立田が倒されて反則。
ボールと無関係な所で起こったこの珍妙なシーンが切欠となったでしょうか。
7分には神戸の攻撃、裏を突いた大迫が走り込むもGK松本が前に出てクリアしましたが、このボールが追い風に乗って一気に神戸エリア内へ。
ワンバウンドしてゴールに向かうも、GK前川が何とか抑え。
その後に柏・高嶺が足を痛めるというアクシデントも絡む(治療が入るも何とか起き上がりピッチ外→復帰)など、神戸にとってはリズムを掴み辛い展開を強いられます。

最初の交代は12分で、柏が動き山田→フロートに交代。
フロートが最前線を務める事により、細谷が空いた右SHへ回ります。
初手でかなり踏み込む手を取ったという感じの井原監督。

その後神戸がCKに持ち込むと、凌いだ柏が素早く前に運ぶも、中盤で遮断した神戸がさらにベクトルを反転させ。
言わばカウンターのカウンターというレアなシーンとなり、左サイドでフリーで受けた佐々木大がカットインで左ポケットを突く攻撃。(シュートまではいけず)

気を取り直し攻める柏。
17分に戸嶋のボール奪取から右サイドへ展開して前進、フロートが溜めを作ったのちのパスワークを経て高嶺がサイドチェンジ。
受けた小屋松が奥を取ってクロスと、理想的なサイドチェンジを絡めての攻撃を展開。
クリアボールを拾った戸嶋がエリア内からシュートしますが、ゴール前で山川がブロックして防ぎ同点ならず。
その後のCKでは、サインプレーを選択するも戸嶋がシュートを空振りしてしまい実らずと、未だハプニング性は顕在といった絵図を作ってしまいます。

しかし試合を動かしたのはそのハプニング性だったでしょうか。
21分神戸のポゼッションというシーンで、バックパスを受けた本多はGKへの戻しを選択。
しかし細谷のプレッシャーを見て意識を後ろへとやってしまったのか、強く放たれたパスは前に出ていたGK前川の後方へと大きくズレてしまい、それがゴールへと向かう事に。
この突然のミスに神戸はどうする事も出来ず、オウンゴールという形で同点となります。

偶発的といえど同点ゴールに意気上がる柏、直後の22分に片山のロングパスで裏を取ったフロート、エリア内から決定的なシュートを放ちましたがこれはオフサイドで無効に。(シュートはGK前川がファインセーブ)

流れを変えたい神戸は25分にベンチが動き、佐々木大→ジェアン・パトリッキへと交代。
これで大迫・武藤嘉の2トップとし、パトリッキが右SHを務める4-4-2へとシフトします。
直後の26分、素早くパスワークで前進の末に、武藤嘉の右からのカットインに対して戸嶋が倒してしまい反則・警告。
柏サイドが出方に付いていけないうちに勝ち越したかった所ですが、これで得た(中央やや右寄りでの)フリーキック、キッカー初瀬は撃たずに放り込みを選択。(直後に柏は戸嶋・サヴィオ→椎橋・武藤雄へと2枚替え)
多少遠目からだったものの、やや消極的に映ってしまった神戸、結局後半はシュートゼロという数字に終わりました。
勝ち機を失ってしまったかのように、31分にはGK前川がフロートのプレッシャーを受けてフィードをブロックされるなど、後方で落ち着く余裕も無く。(34分に汰木→泉へと交代)

柏も先程の2枚替え以降、フロート・武藤雄の2トップによる4-4-2へとシフト。
お互いオーソドックスな4-4-2の布陣でどちらが上回るか、という戦いとなりますが、やはり勢いは柏の方が上。
35分にミドルパスの連続を経てまたも小屋松が左奥からカットインする絵図に持ち込み、たまらず泉が反則で止めてしまい警告。
左奥からのFKとなり、クロスはクリアされるも逆サイドへ繋ぎ、右からの武藤雄のクロス。
この低いボールをニアサイドで細谷が合わせますが、浮いてしまい枠を捉えられず。
続く37分にも決定機、右サイドで細谷のスルーパスを受けたフロート、そのまま巨体を揺らしての迫力あるドリブル。
トゥーレルを剥がして尚も前進するその姿はまさに重戦車で、そのまま右ポケットを突いてシュート。
しかしゴール左へ惜しくも外れてしまい、来日初ゴールはお預けとなりました。

神戸ゴールへ迫り続けた柏ですが、終盤を迎えて流石に息切れとなり。
試合開始からアグレッシブに挑んだ弊害が表れた格好だったでしょうか。
43分にこの日の主役というべき、両サイドの川口・小屋松が揃って交代となった事からもそれが窺えました。(三丸・モハマドファルザン佐名を投入、三丸が左SBに入り片山が右へ回る)
投入されたモハマド、45分に三丸のミドルパスを受けて左奥を突きカットインからグラウンダーのクロス(山川にカットされる)と見せ場は作りましたが、やはり本家(小屋松)と比べると迫力はまだまだといった感じ。

運動量の落ちた柏に対し、神戸は大迫を中心とした前線が溜めを作るという具合に、ようやく普段の攻撃を展開し始めます。
それに対する柏の反則(アディショナルタイムに片山が警告)によりFKを得たものの、最後までシュートは生み出せず。
そして目安の時間が過ぎると、試合終了の瞬間も、主審の笛が短く何とも間が抜けたものとなり。
最後までハプニングっぽい試合絵図のまま、引き分けで終わる事となりました。

そんな訳で井原監督となっての初戦は、好循環こそ満載だったものの勝利は得られなかった柏。
果たして今後の浮上に繋がるか、それとも「監督交代ブースト」と俗に言われる一過性のものとして終わってしまうか、J1の注目要素の一つとなるでしょう。

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DAZN観戦 2022年J2リーグ第16節 藤枝MYFCvsジュビロ磐田

2023-05-20 16:15:34 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の藤枝の記事はこちら(11節・仙台戦、3-2)
※前回の磐田の記事はこちら(11節・金沢戦、2-1)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 14節(山形戦、2-3)で負傷交代した杉田の詳細が発表され、全治6~8か月との事。ほぼ今季絶望か。
  • 同じく14節で水野が負傷交代、詳細は未発表だがベンチ外が続く。

<磐田スタメン>

  • ファビアン・ゴンザレスの出場停止が解け、前節(群馬戦、4-2)初のベンチ入りののち途中出場。
  • 11節で負傷交代した大津の詳細が発表され、5/2の手術から完治まで約5か月との事。
  • 後藤が13節(ヴェルディ戦、0-0)で負傷交代、以降ベンチ外が続く。
  • 古川とA契約を締結。

順調に勝ち点・得点を稼ぎ、視界良好と思われていた藤枝。
しかし一寸先は闇で13節以降3連敗を喫しただけで無く、杉田・水野ら故障者も発生してしまい。
ペースダウンは必至という状況で迎えた「静岡三国決戦」の連戦で、前節・清水戦(0-5)は力の差を見せ付けられる格好となってしまいました。
ここでチーム方針変更などといった、弱気の姿勢を見せる事は百害あって一利なしと言わんばかりに、あくまで「静岡の序列を変えたい」と強気の姿勢を見せる須藤大輔監督。

それでも、薄くなったボランチの穴を埋めるべく、横山・渡邉をそれぞれ一列下げてのスタートとなった布陣はそれを隠しようも無く。
試合内容も、前半1分に磐田がゴールキックから短く繋ぐ前進をプレッシングで止められず。
その後は主体的な攻撃を繰り広げようとするも、中盤で奪われ逆に磐田のチャンスを生んでしまうという具合に、得意手であるビルドアップ・プレス双方を封じられる立ち上がりを強いられます。

今までのように渡邉が頂点という布陣では無く、かつアンデルソンが今季初スタメンという要素も抱え。
それは嵌らないプレッシングに表れ、磐田最終ラインの横の揺さぶりについていけずにかわされるシーンが目立ちます。
一方で最終ラインからのビルドアップも、磐田の前線の対応に難儀。
ボランチへのパスコースを切りながらのプレッシャーが巧く、山田大を始めこれまでの相手とは一味違うといった経験豊富なメンバー。
何とか磐田の前進を防がんとするも、14分に裏へのミドルパスを受けた山田大を川島が後ろから倒してしまい反則・警告と、後追いの反則も膨らんでいく苦しい展開に。

松本のエリア内でのシュート(4分・11分)やジャーメインのヘディングシュート(8分・23分)と、ひとしきり磐田がゴールを脅かす流れで試合は推移。
何とかそれを切りたい藤枝、25分に(川島縦パス→渡邉スルーという変化で通したのちの)アンデルソンのドリブル突破で好機を作り、右ポケットを突くアンデルソン。
グラッサのディフェンスに遭うも、エリア外へこぼれた所を拾いに行った横山が上原に倒されて反則。
これで中央からの直接フリーキックを得た藤枝、キッカー横山が直接狙いにいくも、壁を越えたボールは惜しくも落ちきらずゴール上へと外れ。
それでも直後の27分には磐田が左コーナーキックへと持ち込み、その流れの中でアンデルソンが(上原に)反則を犯してしまいさらに直接FKに。
左ワイドという位置ながら、キッカー上原はグラウンダーのシュートで直接ゴールを狙いにいき、GK上田がキャッチして何とか防ぎます。
直接FKの応酬も、苦しさが拭えないというような藤枝。

意図せずとも、反則を量産する流れとなってしまったこの日の藤枝。
そんなジャッジへの不満から、33分に異議で渡邉が警告を貰ってしまったのがケチの付き始めとなり。
以降既に警告を貰っていた川島が、磐田のポストワークに対し後ろからアタックを敢行する姿に、「いつか2枚目を貰うのでは……」という危惧を画面上からでも感じてしまい。
ちなみに磐田サイドも、30分にドゥドゥが足を痛めて途中交代を余儀なくされ、古川を投入します。
しかし41分にはその古川がドリブルで敵陣を掻き回し、久保の反則を呼んでまたも警告。
そして絶好の位置(左ハーフレーン・エリアからすぐ手前)での直接FKを得て、上原が再び直接シュート、今度は浮き球で壁の上を通しましたが惜しくもサイドネット外。

ビルドアップが巧くいかないため、全体的に下がり気味の重心を強いられる藤枝。
トップスコアラーの渡邉も前線でシュートを狙いにいく余裕は全く無く、これもボランチの主力2人を欠く影響の深刻さが伺えます。
それでも前半の終盤は、左右のセンターバックがワイドに開くなど、プレッシャーを掻い潜る工夫を見せる最終ライン。
44分には右サイドから岩渕が斜めに切り込み、エリア手前中央まで進んでボールキープののちに、エリア内へ浮き球を送り。
そこに渡邉が抜け出し、ポイントゲッターに好機到来かと思われましたが、オフサイドで終わり。
結局最後まで本来の攻撃力を取り戻せず、前半終了となります。

ハーフタイムで磐田の方が動き、山田・鹿沼→藤川・山本康へと2枚替え。
既にアクシデントで1枚交代していましたが躊躇わずにカードを切るその姿は、連戦故に年齢層の高い磐田らしい采配に映りました。(ちなみに遠藤はこの日ベンチ外)

迎えた後半。
藤枝はその攻撃力を発揮せんと、右サイドでは、小笠原と久保の間に岩渕が降りて中継役を務めるという振る舞いを見せ始め。
思い起こされるのが、セルジーニョが居た頃の松本(現在J3)のビルドアップのやり口で、中々持ち味が出ない久保の尻を叩くという意図でしょうか。
その通りに後半3分、岩渕からパスを受けた久保がドリブルで奥を突き、カットインを経てマイナスのクロス(シュートには繋がらず)と本領を発揮。
直後磐田の後方からのロングパスを山原がカットして継続、拾った横山のエリア内へのスルーパスに岩渕が走り込んでシュート。(松原がブロック)
重い腰が持ち上がるかのように、磐田ゴールに迫ります。

しかし容易に流れを渡さない磐田。
藤枝に久保が居るならばこちらには……と言わんばかりに、古川が推進力を発揮し中央ペナルティアークからシュート(6分・横山がブロック)と攻め立て。
直後のCKからも、二次攻撃で左ポケット奥へ切り込んでクロスを入れる古川。
クリアボールを藤川がバイシクルで繋ぎ、ジャーメインポストプレイ→藤川ミドルシュート(ブロックに当たり枠外)とフィニッシュで終わり。

ようやくダービーマッチらしい均衡した流れになって来たという印象で、それに乗るかのように、藤枝はこの男に好機が。
11分、右サイドでパスワークでの前進のなか小笠原が前線まで上がり、彼が上げたクロスをファーサイドで岩渕が折り返し。
クリアされるも拾ったのは渡邉で、そのままミドルシュートを放つと、エリア内左で横山がコースを変えてゴールネットを揺らします。
しかし横山の位置は完全にオフサイドであり、残念ながらゴールならず。

その後13分にも榎本が左からカットインでシュート、ブロックに当たってCKと、前半とは雲泥の差の藤枝の攻撃。
しかし攻勢に出るというのはリスクと隣り合わせでもあり。
直後のCK、GK三浦がクロスを掻き出すと、古川がドリブルに持ち込むカウンターの体勢を作ります。
たまらず追走した渡邉が足を引っ掛けてしまい反則、カウンター阻止という事で当然警告の対象に。
そして磐田サイドの主審(柿沼亨氏)への猛アピール(正直、大人数で主審へ寄ってたかるのは見苦しい……)を経て、この日2枚目の黄色いカードが渡邉に付き出された末に退場処分。
危惧が現実のものとなり、数的不利となってしまいました。

良い流れになりかけていた藤枝、この退場劇が文字通りそれをぶった切る事となり。
渡邉が抜けたのちも、大きくは動かず3-4-1-1という布陣(守備時は5-3-1)で耐える事を選び。
磐田のパスワークに押し込まれて何度もCKを与えるなど、攻撃に出る余裕は殆ど無くなります。(20分に岩渕→小関へと交代、横山がシャドーへシフト)

そして失点もそのCKからでした。
21分敵陣深めでジャーメインがボールカットと、既にビルドアップもままならない事が示される藤枝。
古川・ジャーメインにエリア内を踏襲された末に左CKに逃れ、さらにもう一本継続。
このタイミングで磐田は松本→ゴンザレスへと交代し、キッカー上原のクロス。
これを中央でグラッサがドンピシャで合わせヘディングシュート、ゴールネットを揺らして先制点に辿り着きます。
強度と守備の落とし込みが要求されるセットプレーの連続に、耐えられずとなってしまった藤枝。

ゴンザレスの投入で藤川が右サイドハーフへと回り、ジャーメインとの2トップのような布陣になる磐田。
以降も藤枝に攻撃をさせず、敵陣でサッカーを展開する数的優位の戦いを続け。
24分に上原の左からのクロスを藤川がヘディングシュート(GK上田キャッチ)、25分に長らくパスを繋いだ末にジャーメインがペナルティアークからシュート(ブロック)と、追加点は時間の問題という磐田。

藤枝ベンチは27分に動き、小笠原・平尾・アンデルソン→工藤・久富・矢村へと3枚替え。
これで最終ラインは右から久富・川島・山原・工藤の4バックとなったでしょうか、久保・榎本を2列目に置く攻撃的な布陣に。(4-4-1ないしは4-3-2)
それでも殆ど見られない4バックで、どれだけ好機を作れるか。

その懸念の通り、前に運ぶどころか逆に自陣深めで奪われるシーンを頻発する等、付け焼刃の感が拭えない藤枝。
そして迎えた33分、磐田は松原が左サイドでパスを出したのち中央で受け直してボールキープ、こぼされたのちのパスワークを経て右サイドでポケットを突くという縦横無尽の絡み。
そして入れられた松原のクロスが、ブロックに入った山原の左腕に当たってしまうと、ハンドの反則を告げる笛が鳴り響きます。
PKという絶好の追加点のチャンスを得た磐田。
一方の藤枝は万事休すな雰囲気となりますが、キッカーを務めたゴンザレスはタイミングをズラしてのループシュートを選択。
その狙い通りにGK上田の逆を突いたものの、肝心のシュートは浮いてしまいゴール上へと外れてしまい。
まさかのPK失敗となったゴンザレス、いただけないといったキックになってしまいました。

この隙を活かしたい藤枝ですが、攻撃の要となるべき横山が、スタミナ切れを迎えたのか37分に退き。(金浦と交代)
直後の38分、磐田は前掛かりな藤枝の隙を突き、ジャーメインが左ポケットを突いてグラウンダーのクロス。
これをファーサイドで藤川が走り込みシュート、工藤のブロックでこぼれるも拾い直した藤川がまたグラウンダーでクロス、中央で収めた松原がシュート。
しかし判断良く距離を詰めたGK上田がセーブと、紙一重で追加点は許さず。

それでも反撃はままならず、FWのような位置を取る金浦に対するロングボールへと傾倒していく藤枝。
数的不利かつ、攻撃を支えるメンバーが殆ど退いたとあっては仕方無い事ではあり。
しかしそれでゴールに辿り着けるほど甘くはありませんでした。

結局磐田に時間を使われる展開に持ち込まれ。
突入したアディショナルタイムでも、川島を前線に上げるパワープレイも実らないまま、攻撃機会を得れず。
逆に磐田はボールキープと見せかけ、スローインのボールを入れ替わりでエリア内を突いたゴンザレスがシュート(GK上田セーブ)と、最後まで決定機を窺う流れを維持。
そして試合終了の時を迎え、清水同様に藤枝に「先輩」の秩序を見せ付けました。

途中盛り返していただけに、渡邉の退場が高く付く格好となってしまった藤枝。
前半の異議での警告が完全に余分であり、主審は一旦注意のみ引き下がった後の出来事だけに、「これだけ言えば貰ってしまう」という線引きが出来ていなかったようで。
J2初年度故の幼さ、では済まされない結果となり、次戦も渡邉不在での戦いを強いられるなかどう凌ぐでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第16節 ジェフユナイテッド千葉vs清水エスパルス

2023-05-19 18:17:59 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の千葉の記事はこちら(12節・大宮戦、1-0)
※前回の清水の記事はこちら(6節・群馬戦、1-3)

<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • (追記)メンデス(前京都・未所属)の加入が決定。
  • 田口は未だベンチ外が続く。
  • 熊谷が前節(甲府戦、1-0)に復帰・途中出場。

<清水スタメン>

  • 今更感があるが監督交代。7節(甲府戦・0-1)終了後にゼ・リカルド氏を解任し、コーチの秋葉忠宏氏が昇格という形で就任。空いたコーチ枠には元湘南・名古屋etcの野口幸二氏。
  • 6節で負傷交代した山原の詳細は、全治8か月との事。
  • 竹内の故障が発表され、4/12に発生して全治4週間との事。
  • ルヴァン杯4節(4/19川崎戦、0-6)で負傷した成岡の詳細が発表され、全治4週間との事。
  • 落合の故障が発表され、発生日不明(ルヴァン杯4節にスタメン出場しているのでそれ以降)で全治6週間との事。
  • 菊地がプロA契約を締結。
  • 来季加入内定した高木践(阪南大)が特別指定で8節から登録。
  • 来季加入内定した猪越(中央大)が特別指定で15節から登録。
  • ユース所属の岩﨑が2種登録となり15節から登録。

GW以来の連戦で、今回は試合数の多いJ2単独での事となり。

既に監督を交代したのが遠い昔という感じの清水。
未勝利で低空飛行を続けた末に、解任の憂き目となったリカルド監督の後を継いだのは、J2ファンならお馴染みの秋葉氏。
前年限りで水戸の監督を退任したのち、コーチとして清水に携わる事となり。
こうした監督経験者がコーチとして移籍するという手法は、言わば次期監督の「保険」のような感じでもあり、実際にその通りの役を担いました。

そしてそのキャラクター性を発揮し、チームを劇的に立て直した秋葉氏。
元から戦力は潤沢(あくまでJ2内では)なクラブであり、一度レールに乗れば、波のチームでは歯が立たず。
山口に6-0・いわきに9-1・藤枝に5-0と、大量得点試合を量産し、一気に上位へ昇り詰めて来ました。
果たしてこのチームを止められる存在はあるのか、といった所ですが、ヒントになるのが前回の連戦の中日の13節・徳島戦。(1-1)
ターンオーバーせざるを得ない状況で、先行を許してしまい追い掛ける立場に。
後半に相手を守勢に追い込み圧倒したものの、結局引き分け止まりに終わり。
とにかく相手のストロングポイントを消す戦いで、安易にリードを許さないという戦いが第一条件でしょうか。
簡単に言ったものの、実際は困難な課題に今回向き合った相手は千葉。

開幕からハイプレスを持ち味としてきた千葉でしたが、上がらない成績を受けて最近は守備重視の立ち回りが中心に。
そのためロースコアの接戦の繰り返しとなる、「内容はともかく、前年までの尹晶煥(ユンジョンファン)政権とどう違うのか」と言いたくなってしまう成績を描いている最中。
そんな中で、大火力を持つ清水とぶつかる事となりました。

清水のビルトアップに対し、従来のハイプレスにはいかず、2トップが相手ボランチ(ホナウド・宮本)を切る立ち位置で構え。
それに対し清水はそのボランチ1人を最終ラインに降ろす、3枚での組み立てを交え。
こうした振る舞いをぶつけつつ、本命はボランチ脇の部分に、サイドハーフや乾を下ろしてパスを受けさせるという基本方針。
千葉サイドもそれを理解し、安易にSHが前、つまり相手サイドバックにプレスにいかず構えるという対抗策。

とにかく(DAZNサイドの)試合前のキーマンに挙げられていた通り、乾に自由自在にボールを受けさせない事を第一としていた感じの千葉。
前半11分、清水が左SBの吉田に出した所、田中和が彼に食い付いた所を狙われてすかさず乾がパスを受け。
そして右へ縦パス→西澤→北爪スルーパス→西澤で一気に右サイド奥を突かれる(その後西澤がクロスも合わず)という具合に、乾がフリーな場所=泣き所に直結する清水の攻撃。
こうした破綻から危機を招くシーンを減らし、無失点のまま試合を進める立ち回りが主となりました。

攻撃の方は、こちらも広範囲に動き回る風間を利用しボールをの出し入れが軸。
清水と類似しているものの、個々のクオリティでは雲泥の差で、椿の突破力も駆使し一点突破で何とかカバーするといった感じでしょうか。
またアタッキングサードでスローインとなれば、西久保のロングスローも大きな武器となり。

15分にその西久保のロングスローが高い軌道で中央付近まで飛び、跳ね返されたボールを日高がダイレクトでミドルシュート。(枠外)
こうして原始的な手法でプレッシャーを与え、試合が落ち着いてきた20分前後辺りから攻撃権を支配していくに至り。

一転して、押された事で試合を落ち着けたい状況となった清水。
こういう時にも頼りになるのはやはり乾であり、徳島の柿谷同様、セレッソ出身のベテランはその技と経験を駆使してそれを果たしてくれる存在でしょうか。
26分にゴールキックを左サイドで収めた乾、周囲の神谷・ホナウド・吉田とパス交換を繰り返し、6本パスを出した末に最終ラインに戻すという振る舞い。
そしてポゼッションで落ち着いたのち右サイドの宮本から裏へロングパスが送られると、走り込んで受けたのは乾の動きに押し出されるように逆サイドに流れた神谷で、そのままエリア内からシュート。
ブロックされるも逆サイドへ流れたボールに乾が走り込み追撃、ゴール右を襲ったシュートをGK新井章が何とか触れ、その後ろで鈴木大が掻き出し寸での所で防がれます。

千葉はこれで色を失いかけたか、29分には同じく宮本の裏へのミドルパスをクリアミスしてしまい、エリア内へこぼれたボールをサンタナが拾う危機に。
鈴木大にこぼされ、拾い直そうとしたサンタナを新井一が倒してしまう(反則無し)という、これまた際どい凌ぎ方となります。

このまま守勢となるのは避けたい千葉。
清水の度重なる攻撃を、小林が要所でのナイスディフェンスで防ぐ事で何とか戦線を維持しているといった戦い。
32分にGK新井章から短く繋いでの前進の末に、椿がシュートを放つも井林のブロックに防がれ。
このまま押し返したい所でしたが、34分にフリーキックでの攻撃を防がれて清水のカウンターに。
これも神谷のスルーパスが乾へ通りかけた所を、小林が反則ギリギリというスライディングで防ぐ場面となり、冷や汗を掻きます。

このプレーで乾が暫く倒れ込んだ事でインターバルが生まれ。
仕切り直しとなった38分右サイドからパスワークで攻める清水、ホナウドが反則チャージを受けつつもスルーパスで繋ぎ、奥で受けた北爪がカットイン。
そして右ポケット奥からマイナスのクロス、ブロックで浮いた軌道となった所をサンタナがヘディングシュートに持っていくも、惜しくもゴール左へと外れ。
ボール保持率は高めを維持、決定機もちょくちょく作る清水ですが、千葉の粘りもあり得点は挙げられません。

おまけにホナウドがこの直後の39分、小林と交錯した事で頭部を痛めてしまい。
倒れずにプレー続行したホナウドでしたが、その影響からかハーフタイムで交代する事態となりました。(先程のチャージもあり、何処を痛めたかは解らず)

アディショナルタイムには乾やサンタナのドリブルを反則で止めてしまう等、終盤を迎えた事で個の力に圧倒されつつあった千葉。
何とか凌ぎ、スコアレスを保って前半を終えました。
HTで前述の通りホナウドが退き、白崎を投入した清水。

迎えた後半、早速の後半1分に吉田が田中和に反則を受けると、中盤という位置でしたが放り込みを選択した清水。
右へ上げられたロングボールを井林が折り返し(シュートには繋がらず)と一定の形は作るも、前半得点出来なかった焦りがやや感じられる強引な攻めに映った入り。

それを受けてかないしはHTで決めたのか、千葉は後半からハイプレスへの傾倒を強めにいきます。
2トップこそ変わらずボランチを切るスタイルでしたが、SBへ出された際はSHが果敢にプレッシャーを掛けるようになり。
これで容易に攻撃機会を得れなくなった清水、明らかに潮目が変わったようでした。

それを感じ取った清水ベンチは、矢継早に交代カードに手を付け。
9分に西澤→中山へと代える一方で、千葉はその直前に風間が宮本のチャージを左腕に受けて痛む事態となり。
倒れたままピッチに出て治療を受けるその姿は痛々しかったものの、患部にガードをしてプレーを続けます。

その後も千葉のプレッシャーに難儀する清水。
14分にはあろう事か自ら(吉田の)パスミスで危機を招き、ブワニカのパスをエリア右角で受けた風間がボールキープ。
そして中央への横パスの末に椿がシュートを放ったものの、ゴール右へ外れて惜しくも先制ならず。

決定機を作った事でますます積極性を増す千葉、特に左サイドでは日高も相手SBにまでプレッシャーを掛けるなど、前掛かりの姿勢を強め。
その裏を突きたい清水は17分、その日高の右サイドから白崎縦パス→乾ポストプレイ→宮本裏へミドルパスという定番のパスワークで、裏を取った中山がエリア内を急襲。
そしてGKの眼前からシュートを放ちましたが、ゴールバーを直撃して上へと外れ、こちらも決定機逸。

18分に千葉は椿・田中和→末吉・米倉へと2枚替え。
SH双方を代える事で先制点への道筋を掴みに掛かるというような采配でしたが、特に際立った攻撃は見られず。
次の交代は清水サイドで21分、乾・神谷→北川・カルリーニョスと、こちらも2列目の選手を同時交代。
こちらは直後の左スローインからの攻めで、変わったカルリーニョスがカットインでポケットを突いた末に、戻しを経てサンタナのシュート(GK新井章キャッチ)に繋がり。
手駒の多い清水の方が優勢に傾きつつあったでしょうか。

27分に再び動く千葉、風間・ブワニカ→熊谷・小森へと2枚替え。(見木がトップ下へ回る)
前に出てのボール奪取力を補填し、再び清水の流れを止めに掛かります。
直後こそそれは果たされ、30分にはその熊谷がミドルシュート(枠外)とゴールを脅かし。
しかし32分に白崎のドリブルを末吉が後ろから倒してしまい反則・警告。
前半終了間際にも似たシーンが生まれると、防戦一方の流れに。
これで得た清水の右サイドからのFK、キッカー中山のクロスをニアサイドで井林が放ったフリック気味のヘディングシュートが、ゴール左へ外れる際どいものとなります。

押し込んで獲得したCKで攻め立てる清水。(その最中の37分に北爪→岸本に交代)
終盤が近くなり、後は純粋な地力・精神力勝負に持ち込まんとしたでしょうか。

しかしそこで千葉がついに上回りを見せます。
清水の攻勢を凌ぎ、押し返した40分に右スローインに持ち込み、再び繰り出される西久保のロングスロー。(シュートにはいけず)
「俺達はCK・FKだけじゃなくてこれもある」と暗示をかけるのに成功したでしょうか。
右サイドで小森の前進を吉田が反則で止めてしまい、警告を受けた事で突入する千葉のセットプレー攻勢。
右からのFK、キッカー日高のクロスはクリアされるも左スローインとなると、逆サイドから流れて西久保がここでもロングスローに。
ニアサイドで小森が跳んだその後ろでバウンドし、合わせにいった鈴木大が胸で落としたボール。
すかさず反応したのは米倉(直前にサンタナへ軽くチャージしクリアさせないというマリーシアをしていた)で、ボレーシュートがゴール左へ突き刺さり。
土壇場で、この日の影の軸となっていたロングスローでの好機がとうとう実を結びました。

こうして無失点の時間を長く保ち、先にリードを奪うというミッションを大成功させた千葉。
当然攻めなければならない清水、直後のキックオフからの攻撃でロングパスをサンタナが落としたボールを繋ぎ、チャンスを作らんとするも千葉も必死に跳ね返し。
残された時間はあまりにも少なく、千葉のカウンターも交わる(44分、末吉が右サイドをドリブルで持ち上がり)なか焦りは増幅する一方であり。

有効打を打てないままATも刻一刻と進み、敵陣でパスを繋ぎつつ何とか隙を伺う清水。
宮本が右ポケットへ縦パスを通すも、受け手の白崎は足を延ばすも収められず。
既に千葉に出来上がった勝ちパターンを崩すには何もかも足りないといった印象でした。
結局失点以降シュートは撃てず、試合終了の笛を聴く事となりました。

これで9戦ぶりの敗戦とともに、秋葉監督就任後の初黒星となってしまった清水。
順位も5位→8位へ後退と、これから上がるだけというV字を描くにはやや厳しい試合となり。
イケイケ状態の中で得点を稼ぐだけでなく、こうした試合をモノにしたかった所でしょうが、次節以降それを果たして再ブーストを掛けたい所です。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第13節 アビスパ福岡vsサガン鳥栖

2023-05-18 16:00:47 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

札幌戦で中村・川崎戦で湯澤と、試合中での故障による離脱者が膨らんできた福岡。
それに併せるように前節はグローリが、今節は小田が累積警告で出場停止と、苦しさが露わになってきた近況。

そんな状況のなか、前年語ったような「ラフプレーへの傾倒」が今季も起こってしまい。
小田の出場停止を生んだ反則が、広島・満田の長期離脱をも招き、インテンシティの履き違え・レフェリングの甘さといった物議を醸す事になってしまいました。
「一発レッドにならないとサッカー界にとって良くない」という意見(参考リンク)まで上がる始末で、再び十字架を背負う格好となったような福岡。
序盤戦は好成績で旋風を起こしていたチームだけに避けてもらいたい事象でしたが、伝統には逆らえず……といった所でしょうか。

そのような状況で、「Jリーグ30周年マッチ」の盛り上げの(もういいって)
相手の鳥栖も、時期によってはインテンシティを履き違える傾向が強いクラブであり、一波乱ありそうな「九州ダービー」。

立ち上がりのボール争いを制したのは福岡で、それによりフリーキック・コーナーキックといったセットプレーを交えての好機を何度も作り。
軸となったのが右サイドでの紺野の突破力で、左足でのカットインシュートをチラつかせつつ、奥へと切り込んでクロスという二択を迫る攻撃。

対する鳥栖は最終ラインからの繋ぎを主体とするのは変わらずも、前回観た時(9節・京都戦、3-2)同様そのビルドアップは硬直気味。
2センターバック+ドイスボランチのボックス型を主体としてショートパスを繋ぐも、前へ運ぶ事自体何処か躊躇っているようでもあり。

前半7分、山﨑と菊地のパス交換で福岡のプレッシャーを呼び込み、山﨑がロングパスを岩崎へ届け。(左奥へ進入も奪われる)
このシーンのように、相手のプレスを引き込んで一発を狙う意識は伺えましたが、外野から見れば臆病な姿勢にも映るそのスタイル。
9分に再び最終ラインでプレッシャーを呼び込まんとすると、福岡のスイッチがワンテンポ早かった事で、GK朴がボールコントロールを誤った末にエリア内で紺野に奪われる事態を招き。
そしてシュートした紺野でしたが、朴のアタックもありジャストミート出来ずゴール左へ外れ、危機一髪といった鳥栖。

ボール保持率の割には、その保持の大半を自陣深めで行っているため、優位性が全く取れない鳥栖。
そのためか後追いの反則が膨らみ始め、発生するFKでは遠目からでも福岡が放り込みを選択。
シュート数も膨らまない故に、アブレッシブさが足りないといった試合絵図で時間が進んでいきます。

25分に逆に福岡サイドが、ルキアンの(長沼への)アフターチャージにより反則・警告。
福岡の流れは終わりを告げましたが、鳥栖も上記の立ち回りを続けるためエンジンは一向に上がらず。
岩崎を裏へと走らせる攻撃が中心と、試合が動く気配は一向に高まりません。

どちらも動きが見られない中、それを覆すのは外部の要因(つまりアクシデント)とばかりに、31分に本田が足を痛めて倒れ込んでしまったのが最初のターニングポイントだったでしょうか。
テーピングをきつく巻いてプレー続行を選択する本田。
その意欲に釣られるように、33分にスローインからの攻めで左サイド奥を取り、CKへ持ち込んだ鳥栖。
キッカー河原はニアへクロス、山﨑が身を倒してフリックしたボールはルキアンに当たってファーサイドへ浮き上がり、原田がヘディングシュート。
しかし叩き付けられたボールをGK村上が足でセーブと、やっと訪れた決定機はモノに出来ず終わります。

その後34分に岩崎が前嶋に対するアフターチャージで反則・警告を受けたというタイミングで、再び倒れ込んでしまう本田。
続行不可能で無念の途中交代となり、堀米が投入されました。
この堀米が最終ライン付近にまで降りてボールを受ける動きを取るため、それにより他選手が併せて動く事でビルドアップの変化を期待された鳥栖。

しかしその効果が出る前に、福岡の攻撃に晒される守備陣。
41分に前嶋のボール奪取から、裏へボールを送って紺野に抜け出させる福岡。
そのまま紺野は右奥を取ってカットイン、追いすがった菊地を剥がした末にゴール前まで迫ってシュート。
GK朴が足で何とかセーブし、跳ね返りを山岸がボレーシュートするも眼前でのブロックに防がれ。
42分にはカウンターに持ち込み、ルキアンが左奥でボールキープする体勢を作ると、入れられたクロスにファーサイドで合わせたのは上がってきたグローリ。
放たれたボレーシュートは枠を捉えられずも、ポゼッションvsカウンターの図式も整いつつあり再び福岡の優位性が生まれ始めました。

しかしその流れも、事件によって覆されます。
アディショナルタイムに入る直前、反則を受けた菊地が紺野に対しヒートアップを見せたのがその切欠だったでしょうか。
その直後、裏へのロングパスに長沼が走り込み、脚を上げてそれに合わせようとした事で悲劇?は発生。
上げた右足の裏が宮の顔面に入ってしまう事態となり、反則を告げる笛が鳴り響き。
そして駆け寄った主審が出したカードは赤色と、一発退場という事態にも当然という空気感が作り出され、ピッチを後にする長沼。
やった事はともかく、ダービーマッチの熱狂を狂乱に変えないという点でも、その潔さは評価されるべきでしょうか。
宮は鼻から出血する怪我を負ったものの、何とかプレーを続行し、これにより数的優位への戦いへ突入した福岡。

4-4-1の体勢を取る鳥栖に対し、福岡が重見のミドルシュート(枠外)を生んだという所で前半終了となり。
10人となった鳥栖、さらにカードを切る事も無く、今居るメンバー(といっても既に堀米が交代出場)で戦う事を選択しました。

そして後半、一転して福岡がボールを持つ展開が幕を開け。
しかしカウンターにより優位性を作りつつあっただけに、それは望まざるものだった可能性もあり。
4-4-1のブロックを固める事を重視する鳥栖に対し、崩しきる難度はむしろ高まる状況のなか、果たして均衡を破れるのか。
3分には左サイドで持った田中がマイナスのカットインを経て、エリア手前からミドルシュートを放つもブロックに阻まれます。
こうした遠目からのシュートは、連発したとしても決まる可能性は薄く。

一方数的不利となっても、マイボールの際の基本方針は大きく変えない鳥栖。
堀米・小野の降りを交えてパスを繋ぎつつ、岩崎の裏抜けに賭けるといった振る舞い。
しかし福岡の圧力を受け(グローリが前に出て守備をするシーンが増える)、逃げの意識を強めたのか裏を取れないままロングボールを送る、といったシーンも膨らみます。

そのグローリが前に出る福岡ですが、あくまでそれは守備時の事。
攻撃時は相変わらず最終ライン3枚での繋ぎと、数的優位を積極的に活かすような攻めは見られず。
この状態で得点出来ず、ズルズルと時間を使うだけとなったのが後の運命を変える?に至ったでしょうか。

マイボールとなっても、ゆっくりとしたボールキープによる遅攻しかできない福岡。
スイッチを入れるのはあくまでサイドアタッカーの紺野・田中の役割と踏んでいた節がありましたが、それ故に迫力を出せず。
16分には右サイドで紺野を中継点として、前嶋が前とのワンツーで奥を突いてクロス。
ファーサイドで放たれた田中のシュートが田代にブロックされ、尚もエリア内で収めた山岸がシュートしますがこれもブロックに阻まれ。
こうした連撃をひたすら浴びせる流れを作りたい所でしたが、流石に普段行っていないスタイルを、急にやれというのは厳しいものがあり。

19分には前が左サイドからカットインで左ポケットを突き、中央エリア外のルキアンへパス。
しかしキツいディフェンスの前に撃てず、右へとこぼれた所を紺野が拾い、再度カットインで右ポケットへ。
今度はバックパスから前嶋がシュートを放ったものの、角度的にクロスもチラついたのか、曖昧な軌道となって枠外に。

何度もエリア内を突かれるも凌ぐ鳥栖、決して専守一辺倒という訳では無く、福岡のビルトアップの拙さの隙を突いてプレッシングも掛けにいき。
21分に自陣から前進しようとする福岡に対し、森谷が前方に出て前に対してプレッシャー。
規制を掛けた事でその後方で河原がパスカットに成功すると、そのままパス&ゴーで右サイドを上がり、堀米のスルーパスを経てクロスを上げる河原。
小野が走り込み合わせにいくもGK村上に阻まれるという具合に、人数の少なさはどうしようも無いながらも、意思統一の下好機に繋げるシーンに福岡の危うさも感じさせます。
そしてこの際にGK村上と小野が勢い余って交錯してしまった事で、宮が小野に対してヒートアップする事態が発生。
この状況で冷静さの欠如は何としても避けたい福岡、(キャプテン奈良の抑え付けを経て)その宮を直後に交代させます。(三國ケネディエブスへと交代・同時に前嶋→ウェリントンへと交代)
一方の鳥栖もその小野を退かせ。(河田と交代・同時に森谷→藤田へと交代)

サイドの前嶋を退かせ、三國が右サイドバックを務める4-4-2へと布陣変更した福岡。(ルキアンが左サイドハーフに)
ヘッダーのウェリントンはその期待に応え、26分に田中のクロスからヘディングシュートを放ち。(GK朴キャッチ)
それでもゴールを奪えないまま、29分に再びカードを切る長谷部茂利監督。
ルキアン・重見→佐藤・平塚へと2枚替え、ウェリントンと佐藤の2トップに。(山岸が左SHへ回る)

劣勢でも、前述の攻撃シーンで解るように勝利への可能性を捨てない鳥栖。
30分にはゴールキックから短く繋いで前進を図り、山﨑の持ち上がりからのスルーパスで福岡のプレッシングを突破。
そして左ポケットへのスルーパスに菊地が走り込み、菊地は中央への横パスを選択しましたが、走り込んだ河原とは意図が合わず繋がりません。
するとこれを拾った福岡がカウンターに持ち込み、右サイドで受けたウェリントンが裏へのロングパスを佐藤へ通し。
そして佐藤はドリブルで右ポケットを突くと、戻しを経て山岸がシュートと変化で崩しにいきましたが、鳥栖も山﨑がこれをブロックして凌ぎます。
数的不利のなか得点を目指すには、それ相応のリスクは覚悟の上、といった攻守の切り替わりに。

ビルドアップの際には、GK朴も極端に前に出てパスワークに参加。
その姿勢でアタッキングサードに進入すると、スローインの際は途中出場の藤田がロングスローと、形振り構わない攻め手も繰り出し。

そんな苦肉の策を繰り広げる鳥栖に対し、有利な立場での振る舞いを中々見せられない福岡。
ウェリントンのみならず三國も加わった事で、セットプレーの際のターゲットの豊富さは光ったものの、時間の減少もありクロス攻勢への傾倒は避けられず。
とうとう41分に最後の交代、山岸→城後と、最後はキングの投入に賭ける事となりました。

福岡の圧力が有効打とならない中、40分を過ぎて再び隙を突かんとする鳥栖。
42分にゴールキック→河田フリックからの攻撃で、一本のパスをエリア内に通して河田がシュートチャンスを迎えましたが、振った足は奈良を蹴ってしまう形となり反則・警告。
ATも目前の45分、最後のカードを切り岩崎→樺山へと交代。
カウンターのカードをチラつかせる采配を取ると、ATでその期待に応える樺山、福岡の自陣での前のパスミスを拾いそのまま細かいタッチでのドリブルでアタッキングサードへ。
そして戻しからのパスワークを経て、堀米の右手前からのクロスをファーで合わせにいった樺山。(脚から跳び込むも合わず)
その後さらに樺山の下へと好機が訪れ、自陣右からのFKを素早くリスタートする鳥栖、スルーパスを受けた樺山がカットインで右ポケットを突きシュート。(ブロック)
数的不利を個の力でカバーするという、理想的な流れを得たもののゴールには辿り着けず。

結局そのまま試合を決めるゴールは生まれず、タイムアップを迎えて引き分けで決着。
福岡は敵陣でサッカーを行う時間が長く、シュート数でも圧倒(18対3)したものの、その数字程の支配感は得れず。
全てはゴール出来なかったのが原因という事で、yahooスポーツナビも「フィニッシュの精度不足」という寸評を出すに至りました。
しかし全体を見ると、自身のボールポゼッションによる攻撃が疎かとなっていたのが綺麗に災いしたという印象は拭えず。
J1への生き残りが常時頭にある中でその改善は難しいでしょうが、もっと上を目指すには避けて通れない要素。
実現できれば「J1レベルでは無い」という批判も生んでいるラフプレーへの傾倒も減り、余所から批判され辛いチームへと変貌を遂げられるかもしれません。

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