ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 ブラウブリッツ秋田vs徳島ヴォルティス

2023-11-24 18:13:54 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の秋田の記事はこちら(順延26節・町田戦、1-2)
※前回の徳島の記事はこちら(41節・藤枝戦、0-0)

<秋田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(岡山戦、2-0)出場停止の高田椋がスタメン復帰。
  • 田中裕が今季限りでの現役引退を発表。
  • 37節(栃木戦、2-0)で負傷交代した水谷の詳細が発表され、全治8週間との事。
  • 40節(大分戦、1-2)で負傷交代した飯尾の詳細が発表されるも、全治は未定との事。

<徳島スタメン>

  • 杉本が累積警告により出場停止。

ある意味残留争いに相応しいといえる、塹壕戦への切り替えで生き残りを果たした徳島。
その後は、前節の対戦相手である藤枝と同様に本来のポゼッションスタイルを取り戻さんとしたものの、その爪痕は大きかったようで。
藤枝のハイプレスを受け、パスを繋ぐのに難儀する時間が長く。
相手選手の退場に助けられたという格好でボール保持率を高めたものの、結局はそれだけという感じのスコアレスドローに終わった前節。

シーズン途中で解任され、結局は業務提携を果たしたレアル・ソシエダ(スペイン)側のコネの人事というような印象を残したベニャート・ラバイン前監督。
そんな経歴で思い起こされるのが、現在J1の上層に定着している川崎の胎動期。
未だJFL所属の時代の頃、J参入を目指すためにグレミオFBPA(ブラジル)と業務提携を結んだという事があり。
それでも盤石とはいかず、何とか1999年に初のJ1昇格を果たしたのですが、そこでその関係が足枷となり。
昇格の功労者である松本育夫監督を突然代え、コーチのゼッカ氏(グレミオ出身)が監督に就任したシーズン前。
この不透明な人事(と、大量の選手獲得)によりチームの和は乱れ、1年でJ2へ舞い戻る事となりました。(ゼッカ氏は10試合で解任)
その後4年間J2暮らしを強いられるなど、あの川崎にもそんな時代があったのか……とも思いますが、それは脇に置いておき。

現代は当時と比べてサッカー戦術も発展し、監督初体験のラバイン氏も優秀な分析担当官だったという事で、当時のような「当たるも八卦な外国人監督」というものでは無く。
それでもジンクスは健在だったようで、賭けに外れた形となった今季の徳島。
恐らくオフには、選手を多くした今季の反動=大量流出が起こる事が予想されるので、一から出直しを図るしかないと思われます。
非常に気になるその動向ですが、まずは最終節を戦う事。

雨模様のなか開催された、秋田のホーム・ソユースタジアムでの最終戦。
現在の徳島はいわば「中途半端なポゼッション」な状態と推測されますが、それは秋田のような強度を押し出すチームにとっては格好の的であり。
いつも通りのサッカーで、ペースを握るのはそれほど難しくはありませんでした。

前半6分徳島のパスミスを拾った齋藤のバックパスを、中村がダイレクトでスルーパス。
受けた藤山の再度のスルーパスがディフェンスに当たり、ラインを割ってコーナーキックと、攻撃が途切れてもセットプレーで継続という流れは不変であり。
この右CK、キッカー高田椋はライナーでのクロスと変化を付けにかかり、さらに上げた先は(ライナー性のボールにありがちな)ファーでは無くニアサイド。
これを中村が合わせヘディングシュート(GK田中颯キャッチ)と、試合に入りきれていない相手を二重・三重にも揺さぶります。

徳島の攻撃時は右サイドバックの西野を前に押し出す姿勢で、ワイドに張る杉森と対比するようにハーフレーンでのプレーが目立ち。
言わば「偽SB」のような立ち位置ですが、折角杉森を追い越して右奥を取っても、秋田はしっかりとそこにサイドハーフの畑が付いてきて自由を与えず。
マンツーマンに対しては効果が無いという事を示すだけに終わります。
ちなみに逆の左も、西谷との関係性で上がる外山に対し中村が付きまとうという具合に、秋田の姿勢は盤石であり。

10分台はロングスロー(またはフェイントで短いスロー)・CK・フリーキックと、秋田のセットプレーが目白押しの時間帯に。
そんな中、19分に右サイドから好機を迎える徳島、今度はワイドで受けた西野のパスに入れ替わった杉森が斜めに進むドリブル。
そして右ポケット奥へと切り込み、角度の無い所からニア上を狙いシュート。
果敢に放たれたそのシュートはゴールバーを直撃して大きく跳ね返りと、前節とは違い思いきりの良いフィニッシュを見せ。

しかしこの好機を挟む形で、20分台も秋田の攻撃機会ばかりとなる時間帯。
小気味良いパスワークでの前進で、次々とアタッキングサードを突いていくその姿はブレを全く感じさせず。
一方の徳島も、最後尾から繋ぐ姿勢にブレは無いものの、それで好機を殆ど作り出せずとあっては優劣は明らかであり。
30分には齋藤のドリブルでカウンターになりかけた所を、永木が反則で止めて警告を受けるなど、厳しくなってきた試合展開。

それでも時間の経過で秋田のハイプレスの姿勢も沈静化。
その隙を突きたい徳島は、35分に中盤でのパスカットから素早く運んで好機に持ち込み。
森海が例によって遠目からシュートを放ち、小柳にブロックされるも拾って継続、今度は長く繋いだ末に左サイドからパスワークでポケットへ進入。
そして棚橋がカットインからシュートを放つもGK圍がセーブ。
殆どボールに拘れなかった森海・棚橋の2人がフィニッシュを放ち、徐々に良化する流れを描きます。

硬直感が拭えないビルドアップも、41分にGK田中颯からの短い繋ぎ。
ここでハイプレスに出た秋田を、右サイド深めで内田がボールキープで2人を剥がしたのちにGKへ戻し、逆サイドへ展開して脱出と見せ場を作ります。(その後奥まで運び、外山がカットインでポケットを突くも防がれる)
しかし以降は攻撃機会を作れず。
アディショナルタイムにはゴールキックでもロングフィードを選択するなど沈静化し、スコアレスのまま前半を終えました。

泣いても笑っても残り45分。
秋田は、ホームで長期間未勝利が続いている(14節・栃木戦での勝利以降)との事であり、その見えない重みは相当なもの。

そして始まった後半、秋田のロングパスを手前でブロックにいった外山、腕に当ててしまった事でハンドの反則。
これによる自陣からのFKが、再度の秋田のセットプレー攻勢の始まりで、中村を狙ったロングフィードの跳ね返りを拾い(諸岡の)クロスにまで繋げ。
一旦クリアされるも、徳島が前に向きかけた所を遮断してトランジションを突く格好となり、中央を縦に運んで齋藤のスルーパスがエリア内へ。
これに中村が走り込み、前に出たGK田中颯のブロックで撃てずも右CKで継続します。
そしてキッカー高田椋がニアサイドにクロス、再び中村をターゲットにし、跳んだ中村ですが合わせられず。
しかしこれがその奥に居た森海に当たってゴールへと吸い込まれ、まさかのオウンゴールという形で先制点が生まれます。
ストーン役が招いてしまった失点に沈む徳島を尻目に、ホーム未勝利の呪縛を断ち切るべくの得点に沸き上がる秋田サイド。

直後の展開も、諸岡の出足良いボール奪取に対し棚橋がレイトで倒してしまいFKを与える(4分)という具合に、動揺を隠しきれない徳島。
何とか落ち着くべく、白井が最終ラインに降りてのビルドアップに活路を見出す事に。

2トップに対し3枚の最終ラインというベタな方策ながらも、リードした秋田が抑え気味になった事でポゼッションは確保できるようになり。
そうなると、外山が最終ラインに残っての3枚など色々形を変える余裕も生まれ、殆どボール奪取させずに攻撃機会を重ねていきます。
それでも前節同様、守備重視の相手に対しどう崩すかというのが最大の課題であり。
11分に棚橋が足を痛めたというタイミングでベンチが動き、棚橋→高田颯。
これにより西谷がトップ下へと回ります。

自身のリズムは掴むも、フィニッシュに辿り着けない停滞感も強まる徳島。
試合を動かしたのは秋田の方で、15分に左サイドでボール奪取した畑、そのまま遠目からシュートを狙うも枠を捉えられず。
これに徳島サイドの方が発奮したか、続く16分に内田が右サイドを持ち上がっての前進から西野がクロス。
クリアされ、拾った内田のクロスも実らずも、逆サイドで拾った高田颯がカットインから中央へのパス。
トップ下に回った西谷が、切り返しを経てペナルティアークからシュートを放つもGK圍のセーブに阻まれ。

攻撃意欲を高めたい徳島、20分さらに動いて西野・杉森→田向・渡へと2枚替え。
これで森海・渡が2トップの4-4-2となり、SHは右に高田颯・左に西谷とポジションチェンジ。

以降右に回った高田颯はワイドに張りっぱなしとなり、その内側で田向が上がるという、「偽SB」の色をさらに強め。
23分(GK以外)全員敵陣へと入り込んで最終ラインで組み立ての末に、左から西谷がクロス。
ファーサイドで渡が落とすと、フィニッシュを放ったのは中央に上がっていた田向でしたが、そのボレーシュートはゴール前で小柳が足を上げてのブロックで防がれ同点ならず。

ポゼッションの神髄は見せている徳島ですが、ワイドからのクロスが多めとなるアタッキングサードでの展開が今一つに見える理由であり。
秋田のような4バックに対し、ポケットを使いながら崩す技量を発揮したい所ですが、果たして来季は望む事が出来るか。

押し込まれる秋田、27分に高田椋のボール奪取からのカウンターで、フィニッシュには辿り着けずも一息つく格好に。
ベンチも直後に動き、中村・青木・齋藤→三上・丹羽・梶谷へと3枚替えを敢行します。
徳島の流れを断ち切ると、30分に右サイドを細かく繋いでの前進、藤山がドリブルから中央へ横パス。
梶谷のポストプレイを経て三上がミドルシュート、これがループの軌道でゴール左を襲うも、GK田中颯が片手で何とかセーブと1点もののプレーに。

勝負を決められなかった秋田。(32分に畑→沖野へ交代、三上が左SHに回る)
以降も早く攻めたい徳島の逆を突くように好機を作るも、ポケットを突いた丹羽がシュートでは無くマイナスのクロスを選択してカットされる(36分)など、その影響が表れ始め。

徳島の最後の交代は38分で、外山→坪井。
これにより右から内田・森昂・田向の3バックとなり、ウイングバックが右=高田颯・左=西谷という布陣での3-4-2-1に。

以降、左右のセンターバックも果敢に上がる、文字通り総攻撃という体勢に入る徳島。
42分には左スローインからの攻めで、坪井がカットインからクロスともシュートとも取れるボールを送り、才藤がゴール前でクリア。
尚も繋ぎ、右からのクロスが流れた所を左奥で拾った西谷が再度クロス、収めてシュートしたのは右CBの内田。
しかしジャストミート出来ず、ゴール右へと逸れてしまいどうしても得点出来ません。

押し込まれながらも逃げ切りを図る秋田、最後の交代は引退が決まっている田中裕の投入でした。
41分に諸岡と代え、最後の花道を勝利で飾らせるべくの采配。
そして44分、クリアボールを拾った梶谷がフィジカルでのキープで森昂を剥がし、絶好のカウンターに。
浮き球での中央のパスをフリーで受けた三上、そのままエリア内でシュートしましたがGK田中颯のセーブに阻まれ。
こちらも試合を楽にする追加点は奪えず終わります。

1-0のまま突入したAT、既に内田も前線に上がり、半ばパワープレイ気味に攻める徳島。
その迫力に、パワープレイ慣れしているはずの秋田もたじろぎ、その内田に次々とフリックを許すなど押し込まれます。

そしてAT内で4度目の徳島の攻撃、今度は渡がロングパスをフリックすると、エリア内へ上がった浮き球を森海が収め。
そこに才藤のクリアが入るも、あろう事かその絵図は森海の腹部をモロに蹴るというものとなってしまいます。
ボールはこぼれたものの、すかさず反則を告げる笛が鳴り土壇場で徳島のPKに。(才藤に警告)
絵図が絵図だけに……といった雰囲気で異議も殆ど無く、時間も押し迫っており素早くPKに移り。
森海がキッカーとなり、ゴール右へ蹴り込んでGKの逆を突き。
しっかりと決め、徳島が同点に追い付きました。

寸前で勝利がスルリと逃げていった格好の秋田。
何とか残り少ない時間で、自陣からのFKという放り込み体制を作りますがモノに出来ず。
結局1-1で試合終了を迎え、望んでいたホームでの勝利は上げられないままシーズンを終える事となりました。

中位を確保(13位)し、大分J2でもその立ち位置を固めつつある秋田ですが、別方向での問題は依然解決の糸口を見せず。
つまりはシーズン中に持ち上がった「ライセンス剥奪騒動」であり、新スタジアム計画ならびに着工が一向に進んでいないのを突かれる事となり。
課題は保留という形で翌年もJ2で臨むものの、こればかりは「秋田一体」の精神をピッチ内で貫くだけではどうにもなりません。
秋田の自治体は別の問題(クマ出没騒動)も抱えている状況でその余裕は無さそうですが、何とか歩み寄り真の秋田一体を発揮できるかどうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 藤枝MYFCvsいわきFC

2023-11-23 16:00:36 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の藤枝の記事はこちら(41節・徳島戦、0-0)
※前回のいわきの記事はこちら(41節・山形戦、1-3)
※前回対戦時の記事はこちら(1節、いわき 2-3 藤枝)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節退場(警告2度)となった中川創が出場停止。
  • 前節負傷交代した横山はベンチ外に。

<いわきスタメン>

  • 前節出場停止だった遠藤・下田がスタメン復帰。
  • 谷村が累積警告により出場停止。
  • 開幕節以降ずっとベンチ外だった宮崎(負傷離脱は2か月程度との事だったが)がベンチ入り。また坂元が22節以来のベンチ入りと、昇降格の無い最終節らしい人選に。

開幕節⇒最終節という組み合わせの一環のカード。
それが昇格組同士という、意図的なものを選んだ日程くんの意味合いを存分に味わう事となりました。

初のJ2故に、「既存のクラブに良い所を見せる」「自分達のJ2での立ち位置を推し量る」事をしなければならない序盤戦。
それにも拘らず、開幕節でこの2クラブがぶつかる事となり。
これは恐らく推測ですが、怒涛の勢いで下部リーグから駆け上がってきたいわきの方が、ダークホースとして何かと注目を浴びる存在に。
対する藤枝は前年のJ3で最終節で昇格決定したとあり、いくら特徴的なサッカーをするといえど、壁にぶつかるという予想が多かったはず。(自分もそうでした)

しかしその対戦では、前年いわきに勝てなかったという成績も手伝い、藤枝が反骨精神を発揮するかの如き勝利を挙げました。
これで勢いに乗った藤枝は、序盤は「超攻撃エンターテイメントサッカー」の神髄を発揮し、勝利を積み重ねて旋風を巻き起こし。
一方躓く事となったいわきは、その後持ち直したかに見えたものの、J2の厳しさを嫌というほど味わう結果となりました。

こうして明暗が分かれた前半戦ですが、無事に残留を決めて最終節での対決を迎え。
後半は、J3で貫いてきたスタイルの調整を余儀なくされた両クラブ。
既に低迷していたいわきは、監督交代も敢行した末にボールポゼッションをある程度取り入れ、また頻繁にフォーメーション変更を行うなど奥深さを発揮。
一方夏の移籍で戦力低下を余儀なくされた藤枝は、「超攻撃」一辺倒を改め、リトリート・カウンターの指向を強く押し出して窮地を乗り切り。
上位カテゴリでは信念のみでは戦えない、という事を如実に示す経緯を描きましたが、かくして1年間の戦いを経て進化したのはどちらか。

いわきより一足早く残留を決めた藤枝は、前節で「超攻撃的」の色合いを再び強め。(しかし中川創の退場で本領発揮には至らず)
それに対し、前節で敗戦ながらも辛々と残留決定に至ったいわき。
この日採った策は、その藤枝との3-4-2-1でのミラーマッチというものでした。
やはり開幕節の結果を強く意識していたのか、マンツーマンの色を強めて藤枝の持ち味を消す作戦に出て来た感があり。

そんないわきの守備に対し、繋ぐ事が出来ずアバウトな蹴り出しを余儀なくされる藤枝。
しかし前半5分、ゴールキックでのロングフィードが一気にいわき最終ラインの裏を取り、走り込んだ矢村がGKと一対一に。
それでも左にかわさんとした所を、前に出たGK田中謙が抑えて防ぎます。

出遅れる藤枝を尻目に、いわきは本来のスタイルである縦に速い攻撃を繰り返すという具合に、こちらも残留争いを制した事で肩の荷が下りたようであり。
しかし13分GKからの繋ぎによる攻撃……とはいっても次の瞬間、山下ロングパス→近藤胸で落としと一気に運んだものでしたが。
それでも下田の左→右のサイドチェンジを受けた加瀬がクロスと、藤枝ディフェンスの薄い部分を取っていく流れを経て、最後は近藤慶がヘディングシュート。
ゴール左へと突き刺さり、先制点を齎したのはこの日11試合ぶりの出場となった近藤慶と、最終節らしいメンバー選択が奏功します。
ちなみに得点自体も8節・大分戦以来の2点目と、期待に中々応えられなかった特別指定の近藤慶、正式入団する翌年はブレイクできるでしょうか。

いわきのプレッシングの前に、リズムを掴めない藤枝。
リードされた後は、GK北村がエリア外に位置取ってのビルドアップと、本来のスタイルを発揮せんとしますが状況は厳しく。
開幕節の4-4-2とは違い、3-4-2-1故に後ろにも硬さが加わったいわき。
あの時のような、プレッシングをいなした末に裏へのロングパスで崩すという事はほぼ不可能となり。

30分に初めてといってもいい、細かい繋ぎでアタッキングサードを突く好機。
それでもいわきディフェンスに遭いこぼれた所を拾うというトランジションを突く格好で、榎本が左サイドをドリブル。
クロスはブロックされるも、中央で拾った水野が速水に反則を受け、直接フリーキックのチャンス。
中央~左ハーフレーンの中間辺りという横位置で、シュートを放ったのは中川風でしたが、落とせずに上へと外れて終わります。

いわきのプレッシャーのなか繋ぎを図るものの、前節八面六臂の活躍をしていたアンデルソンが、その影響で冴えず。
下田のタイトな寄せに難儀しており、反則にも見えるアタックにも主審の笛は鳴らずと、やや精神的にまいっていた感が伺えました。

それでも37分にはコーナーキックからの流れで、小笠原の左からのクロスをフリック気味にヘディングシュートを放ったアンデルソン。(GK田中謙セーブ)
この30分台は藤枝の独壇場という流れで、いわきの攻撃機会は皆無。
着実に反撃の機運が高まっていただけに、あのワンシーンが文字通り勝負を分ける事となってしまいます。
その問題のシーンは40分で、いわきのロングボールからの流れで、こぼれ球となった所にスライディングで確保しにいったアンデルソン。
しかしそこには同じく拾いにいった下田の姿があり、後ろから激しくなぎ倒す結果となってしまい、たまらず反則の笛が鳴り響き。
そして直ぐさま赤いカードをアンデルソンに付き出した主審。(吉田哲朗氏)
下田の脚よりも先にボールに触れていただけに、アンデルソンそして藤枝にとってはまさかという一発退場の判定に。
しかし審判も人間であり、度重なるアンデルソンvs下田のやり合いを経ての流れだけに、その激しいスライディングが報復行為と取られた可能性も無きにしも非ずであり。
ピッチ脇では須藤大輔監督はじめスタッフが激しく4審に対し異議を唱えるも判定は変わらず、これで2戦連続で10人での戦いを強いられる事となりました。

前節よろしく、矢村・中川風の2トップにして4-3-2という布陣を採る藤枝。
しかし徳島とは違い、いわきの縦への推進力とフィニッシュ数は熾烈を極める事となり。
その後一方的に攻められ続け、アディショナルタイムには右サイドを細かく繋いで前進ののち、戻しを経て下田がエリア内へ縦パスと中央から崩し。
そして山口ポストプレイ→宮本キープからシュートと決定打を放つも、水野がブロックして凌ぎ。
何とか前半は1点差を保って終了させます。

前節は交代をできるだけ引っ張った藤枝ですが、ビハインドという状況もあり、ハーフタイムの段階で西矢→大曽根へと交代。
水野を実質アンカーとし、その左右に攻撃的な選手を配置する策を採りました。

追い掛ける立場な以上、10人になってもボールポゼッションによる攻めは必須であり。
しかし後半3分、宮本が右ハーフレーン深めでボール奪取していわきのショートカウンターと、早くも暗雲が立ち込めます。(その後溜めてクロスも近藤慶には合わず)

早いうちに追加点を挙げたいいわきも、5分に藤枝のFKを妨害した加瀬が警告を受けるなど良くない流れに。
その直後に藤枝は、敵陣深めでの左スローインから、ディフェンスに遭いながらも矢村がカットインに持ち込んでミドルシュート。
GK田中謙にキャッチされるも、前節同様、劣勢のなかの一刺しという流れを作らんとします。

しかし懸念されたビルドアップでそれが台無しに。
7分、GK北村から左へと展開して運ばんとするも、ドリブルが詰まらされた大曽根のバックパスを中央でカットしてそのままエリア内を突いたのは山口。
そして横パスを送り、フリーの近藤慶が悠々とシュートをネットに突き刺します。
ショートカウンターをしっかりとモノにする本領を発揮し、2点差としたいわき。

どうやら後半の藤枝は、中川風が1.5列目という感じの立ち位置になり、守備時は水野の脇に入って4-4-1に。
攻撃時も、自陣に降りて縦パスを受ける出口役を務める等、彼の動きで苦境を打開せんとした感があり。
しかしパスを受けた後のドリブルが奪われる等、結局好循環を作る事が出来なかった中川風。
その後は榎本と入れ替わり、左SHというような立ち位置になります。

何とか一糸を繋ぎたい藤枝、13分に小笠原のパスカットからカウンター、スルーパスを受けた矢村が右ポケットへ切り込み。
そして切り返しを図った所速水に倒されると、反則の笛が鳴りPKを獲得します。
先程の退場のシーンとは比べ物にならない軽度な倒れ方でしたが、速水のアタックがしっかりと足にいってしまったため言い訳は利かず。
このPKをキッカー矢村がゴール左に強く蹴り込み、GK田中謙のセーブも及ばずゴール、1点差に詰め寄ります。

キックオフの前に両ベンチが動き、藤枝は小笠原・中川風→前田・平尾。
一方のいわきは近藤慶・加瀬→河村・永井で、これにて下田がアンカー・宮本と山下がシャドーとなる3-3-2-2(3-1-4-2)へシフトします。

初出場となった特別指定の前田、投入されていきなりの16分に出足の良いパスカットから攻め上がり、大曽根とのワンツーを経てクロス(誰にも合わず)と活きの良さを見せ。
この前田の存在を槍としながら、いわきの布陣変更も物ともせず攻め上がる藤枝。
矢村1トップの色を強めながら、中盤では水野がバランサーとなり、他の3人を攻め込ませる役に努めます。
守備時では一列下がって5バックとなるシーンも作るなど、数的不利による破綻を防ぐ陰の立役者と化する水野。

それでも相手を上回るのは厳しく、フィニッシュに辿り着けない時間が続き。
そんな中で26分、再びこぼれ球に対し鈴木と山下がスライディング同士激しく接触するシーンが描かれ。
今度は山下の反則となりますが、これに対し「カードじゃないのか」という異議を激しく唱える鈴木。
それを受けて主審はカードを突き出し、その絵図から放送では鈴木の異議による警告と出たものの、記録ではしっかり山下への警告となっており。
なお鈴木の異議は一発レッドを求めてのもので、それに従うようにベンチでの紛糾は止まずと、アンデルソンの退場劇がやはり尾を引いているようでした。
(ちなみにこうした間違いは後に修正され表記するDAZNですがこの日は無し、最後という事で仕事もいい加減になったか?)

28分に自陣での久富のカットから攻め上がる藤枝、ミドルパスを受けて右からクロスを入れたのは例によって前田。
ディフェンスに当たりこぼれた所を矢村がシュートしましたが、ブロックに阻まれ決まらず。
こうした細いながらも作られる糸口を作り続けたい所。

32分、再び双方の交代カードが交錯。
藤枝は水野を退かせて岩渕良を投入。
一方いわきは再度布陣変更を絡め、速水→宮崎へと交代し4-4-2へシフトします。
右サイドバックに宮本が入り、下田・山下のドイスボランチに。(2トップは有馬・宮崎)

後方で支えてきた水野が退いたのが影響したかは不明ですが、ここから崩れてしまう藤枝。
35分、またもアタッキングサード中央で山口のパスカットに遭うと、今度はそのままミドルシュートを放つ山口。
ゴール左上に突き刺さり、この時間帯で奈落に突き落とすかのような追加点が生まれます。

その直後の36分にも、中盤で有馬がパスカットしてドリブルで持ち込むいわき。
反則で止めた川島が警告を受けるその姿は、決壊寸前という状況を如実に表す事となり。

そして38分、左サイドでの四角形を作ってのパスワークで揺さぶるいわき、宮崎のカットインから状況を動かし。
こぼれ球を拾った山下がエリア内を突いた事で混戦となり、クリアを有馬がブロックして尚も狭い局面での攻防。
その末の有馬のシュートこそ岩渕良がスライディングで阻止しましたが、拾った鈴木のクリアを永井がブロック、その跳ね返りが直接ゴールに吸い込まれ。
懸命の守備を、力でねじ伏せるといういわきらしい攻めの4点目となりました。

これで余裕も生まれたいわき、41分に芳賀・坂元を投入(山口・有馬と交代)と、経験の浅い選手の育成?モードに。

意地を見せたい藤枝、45分にGK北村からの攻撃、坂本に倒されながらも久富へパスを繋ぐ北村。
ここから左右をくまなく使いながらのパスワークで前進していき、大曽根のエリア内へのパスはカットされるも、その後のクリアを大曽根がブロックして継続。
そしてエリア内で拾い直し、シュートにまで繋げる大曽根、見事にゴールネットを揺らす事に成功。
最後の最後で今季初ゴール(並びにプロ初ゴール)を挙げ、一矢報いました。

結局このまま試合は2-4のまま動かず、試合終了の時を迎え。
いわきが開幕節の借りを返す勝利で、双方シーズンの幕は閉じられました。

町田のどんな手段も辞さないような大補強による優勝、清水・磐田の血で血を争うような自動昇格争いなど、何処と無くギスギスとした今季のJ2リーグ。
それとは距離を置くように、独自の戦いを続けた昇格組の2クラブが無事J2残留を果たして終えたのは、一種の清涼剤というべきでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 ロアッソ熊本vsレノファ山口FC

2023-11-22 18:12:55 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の熊本の記事はこちら(40節・清水戦、3-1)
※前回の山口の記事はこちら(38節・大宮戦、1-2)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 40節で負傷交代した岡崎の詳細が発表され、全治8週間との事。

<山口スタメン>

  • 前節負傷交代したGK関はベンチ外。代わって途中出場したのは寺門だが、この日は初スタメンとなるチェヒョンチャンを選択。

ともに残留を決め、一安心というボトムハーフ同士の対決。

既に熊本は、大木勉監督の続投も発表されており来季に向けて足場固めの最終節。
プレーオフに最後まで残った前年と違い、主力の大量流出は今の所無さそうな雰囲気であり。(あるとすれば平川・竹本・島村辺り?)
それでも、そうなりそうな原因が成績低迷・長期離脱(石川・三島)というネガティブな要素なのが皮肉な事ですが。
また選手層の薄さも相変わらずなので、浮上のためには来季はサッカーの練度に加えてタフなチーム作りも目指したい所。

そんな状況で、その足掛かりとして有効利用したい最終節。
相手の山口は、無失点ゲームが途切れて以降、フアン・エスナイデル監督の指向が色濃く表れたチームへと徐々に変貌。
彼の持ち味であるハイライン・ハイプレスの趣が強まり、その成果はオフサイドを取った数はリーグ1位という数字(放送席の談)に表れており。
水戸戦(33節、1-2)・ヴェルディ戦(34節・0-2)・大宮戦の8という数字は圧巻の一言ですが、全体の成績的には今一つ。(その3試合はいずれも敗戦)
前節(町田戦、0-2)は試合前に他力で残留決定と締まらない結果となっただけに、「終わり良ければ……」の格言通りにしたい所であり。

早速熊本はその山口の姿勢に対し、開始4分間でオフサイド3度を記録する事に。
ならばと続く前半5分、細かいパスワークを経て左サイドを松岡がドリブルで奥へ切り込むも、これも成岡に蓋をされてクロスは入れられず終わります。

すると直後の山口、ゴールキックから短く繋いで運ぶビルドアップを敢行。
道中成岡が平川に倒されるもアドバンテージというシーンを交えながら、池上→吉岡へのミドルパスがカットされかかった所をすかさず吉岡が拾い直した事で好機を迎え。
そして河野が中央から前進を経てミドルシュート、熊本は大西・江﨑の2枚掛かりでブロックするも、跳ね返せずエリア内へこぼれてしまったのが運の尽き。
駆け込んだ五十嵐が詰め、ゴールネットを揺らして先制点に辿り着きます。
やはり複数での守備は、完全に防がねば傷口を広げてしまうだけに終わる事を再確認させる得点でした。

これでペースを握るかと思われた山口ですが、直後の7分にハイラインを支える守備陣が乱れ。
竹本の縦パスが流れた所、拾いにいった生駒と平瀬が被ってしまい、こぼれ球を拾った松岡のドリブルに繋がる事態に。
左ハーフレーンを突き進み中央の阿部へラストパス、遮断されるも自ら拾い直し、エリア内からシュートした松岡。
戻った生駒にブロックされるも右コーナーキックで継続すると、最初の絶好機の直後という事もあったか、サインプレーを選択するキッカー平川。
グラウンダーのクロスに対し、ニアに走り込んだ竹本がスルーすると、その奥で上村がダイレクトでシュート。
ボールは右ポスト内側を叩いてゴールに突き刺さり、奇襲を見事に決めきり同点に追い付きました。

リードした矢先の思わぬ失点となった山口。
何とかボールポゼッションで落ち着かんとするも、11分には田中の左→右へのサイドチェンジがマイナス方向にズレた結果タッチラインを割るなど、文字通り色を失ってしまった感があり。
続く12分に島村が、13分には松岡がそれぞれエリア内からシュート(いずれもGKチェヒョンチャンがキャッチ)と、厳しい流れに突入する結果となります。

そしてそれを堰き止められず、迎えた17分。
最終ラインから江﨑の縦パスで攻撃開始する熊本に対し、山口は受けた島村を掴まえにいけずに、最終ラインも中途半端な位置に。
すると島村→上村縦パス→平川ポストプレイ→島村スルーパスで完全に裏を取られる結果となり。
オフサイドにもならず、抜け出した伊東がGKと一対一を迎えた末に、エリア内からGKチェヒョンチャンの股を抜くシュートで仕留め。
10分弱の間に倍返しを決め、逆転を果たします。

その後も攻勢を続ける熊本。
それでも山口のハイラインは壮観の一言で、22分にはパスワークで前進する熊本に対し、しっかり高目の位置でフラットとなる最終ライン。
しかし右サイドで平川のスルーパスで裏を取る熊本、抜け出した阿部がクロス(大外で松岡が走り込むも手前で遮断)と、常に危機と隣り合わせという状態であり。
何度もボックス内に運ばれる危機を招き、CKも量産となるなど押し込まれ、反撃どころの話では無く。

何とか落ち着かせ、主体的な攻撃体勢に入る山口。
そのビルドアップは、一言で言うならばウイングバックを高めに位置取らせるものであり。
センターバックとWBの間に選手を立たせて出口を作るのを基本とし。
その方法は、

  • ボランチの一人がワイドに張り出す
  • シャドーが降りて来る
  • 3CBが変形し、左右のCBが前に出る

のいずれかで、熊本サイドも完全に掴まえるのは困難という風でした。

しかし29分、上村が前に出てボランチを切る姿勢を取り、前方の3トップ+トップ下が最終ラインに規制を掛けるというハイプレス。
そして左サイド(山口から見て右サイド)に追い込んだ末に上村が前に出てボール奪取、そのまま左ポケットに入りキープと、絶好のショートカウンターという状況となりますがフィニッシュには繋がらず。
このハイプレスを続ければ山口も非常に困るといった印象でしたが、既に30分を迎える時間帯で、かつリードしている事もあり以降控えめとなる熊本のプレス。
それでも34分には、攻め込んだものの作り直しを選んだ山口に対し一斉にラインを上げ、規制を受けてボールキープしながら自陣へ追い込まれる成岡。
そしてGKへ戻すも、チェヒョンチャンのパスがズレてタッチを割るという具合にここぞのプレッシャーは半端無く。

苦戦する山口、38分に後方から成岡が一気にロングパスを送ると、エリア内でバウンドしたボールに走り込んだ梅木がボレーシュート。
GK田代がセーブと、窮鼠猫を噛むといった脅かしを見せると流れは変わります。
続く39分には池上がGK田代にプレッシャーを掛けると、そのパスをエリア内左でカットする絶好機に。
しかし直ぐにシュートは撃てず、左奥でのキープを経てクロスを入れる池上。
ファー奥で合わせにいった河野、ディフェンスに遭いこぼれた所をすかさず戻って反応しシュートを放ちましたが、大西の頭でのブロックに阻まれ。

決定機を続けた山口、その圧巻は45分。
吉岡が右サイドをドリブルで持ち運ぶと、クロスでは無く小さな浮き球を選択し、右ポケットで受けた河野がカットインで狭い所を破った末にシュート。
GK田代が足でセーブ、こぼれた所をさらに池上が追撃するも、これも黒木のブロックで防がれ。
GK・DF一体となっての死守を受け、中々ゴールに辿り着けません。

結局2-1で前半は終了。
この反撃ムードを保ちたい山口、左WBにメスを入れ田中→野寄へと交代したハーフタイム。

いきなりの後半1分、池上が右サイド深めでボール奪取してショートカウンターという入りに。(吉岡がクロスを送るもフィニッシュには繋がらず)
前掛かりな姿勢を見せる山口、投入された野寄も5分・7分にそれぞれシュートを放つなど積極性を披露。(前者はGK田代キャッチ・後者は黒木がブロック)

しかし8分、攻めの姿勢を続ける山口ですが、後方に戻されたのちキムボムヨンの縦パスがズレて奪われると熊本のカウンターに。
右サイドから前進する熊本、黒木のボールキープで減速するも、スルーパスを受けた平川から島村経由で中央へ戻し。
そしてダイレクトで上村がミドルシュートを放つも、大きく枠を外して命拾い。
焦って無理に前へ入れるのは禁物、といった警告となり。

リスクを抱えながらの攻撃を強いられるも、迎えた12分。
左サイドを細かく繋いでいき、池上のスルーパスを受けた河野が左ポケットを突いてシュート。
GK田代がセーブするも、右サイドで吉岡が拾って継続、マイナスのカットインを経てミドルシュート。
しかしこれもGK田代がセーブし、詰めにいった河野の(黒木に対する)反則で終了。
複数シュートを浴びせる放つ分厚い攻撃が目立つも、いずれも決めきれません。

そんな山口は守備の姿勢も相変わらずで、14分には前進する熊本に対し、極限まで高くラインを取る最終ラインの姿が再び。
熊本は左サイドから松岡がドリブルでそれを突破し、カットインを経てポケットへスルーパス(伊藤が受けるもその後奪われる)と、冷静に攻めきる姿勢を貫きます。

19分に再度ベンチが動く山口、吉岡・河野→高橋・沼田へと2枚替え。
これによりポジション・布陣ともに大きく変わり、最終ラインはCBにキムボムヨン・平瀬、サイドバックが右=生駒・左=沼田。
一列前にはアンカーとして成岡で、更にその前には池上・五十嵐のインサイドハーフ、その右に高橋・左に野寄。
そして梅木の1トップと、4-1-4-1のような立ち位置で、変節に望みを託す事となりました。

以降、生駒が前に出る右肩上がりの状態を重視し、高橋と2段構えでの右サイドアタックが多くなり。
左に野寄という一本槍を作ったので、逆サイドのテコ入れを図ったという感じでしょうか。
一方の熊本も、22分に松岡→東山へと交代。

25分に山口のパスミスから、矢印を反転させて攻め込む熊本。
右ワイドで持った島村がカットインすると、ポケットへのスルーパスを選択し、奥で受けた平川からエリア内での攻防に。
混戦の中、拾った阿部がマイナスのクロスを浮き球で送ると、ファーサイドで伊東がボレーシュートを狙うもジャストミート出来ず。
その後も28分にパスミスから熊本が好機と、ここに来て精度が乱れてきた山口。
東山が左サイドをドリブル突破してクロス(制度を欠く)と、交代選手もその力を見せ付け状況は変わりつつあり。
これまでのリーグ戦、特に目立った働きはないという個人的な印象の東山でしたが、この日は前掛かりな山口を相手に本領を発揮。

ミスが目立つようになり、疲労度も考慮しながらの戦いとなる山口。
直後の好機、池上の裏へのミドルパスを収めにいった梅木、勢いのままに黒木とのデュエルを制してボール確保。
そしてエリア内に切り込みシュート、ゴールネットを揺らしましたがその前に反則を告げる笛が鳴ってノーゴール。
強引な姿勢も交え、何とかしようという気概が行動に表れてしまい。

32分にドリブル突破を図った野寄が、阿部に反則で止められた事で長らく倒れ込み。
このタイミングで最後の交代を敢行する山口、野寄の無事を確認したのちに梅木・池上→シルビオ・皆川へと2枚替え。
一方の熊本もすかさず動く形となり伊東・竹本→大崎・田辺へと2枚替え、山口の左からのFKの前に、慌ただしくなった両ベンチ。
このFK、入れられたクロスが流れた所を五十嵐が折り返し、ゴールに向かう軌道となった所にキムボムヨンがフリックで追撃。
コースを変えられたものの、GK田代はこれをしっかりキャッチして防ぎます。

以降山口は2トップ(シルビオ・皆川)となったため、五十嵐がボランチに降りる事で4-4-2へとシフト。
しかし時間も浪費されるなか、再び攻め急ぎの意識が顔を出してしまったでしょうか。
38分、平瀬縦パス→高橋フリックの流れが繋がらず田辺に拾われると一転して素早く運ばれ危機に。
スルーパスに走り込んだ東山のグラウンダーでのクロスは遮断されるも、平瀬がクリアでは無くカットを選んだ事が再度裏目となり、小さくこぼれた所を島村が拾って継続。
そして奥へ切り込んでのマイナスのクロス、受けた大崎がキープする所に、先程ワイドでクロスを入れた東山がサポートに。
その目論見通りに、ディフェンスにこぼされた所を詰めてシュートした東山、ゴールネットに突き刺さるボール。
最終節で見事初ゴールという結果を叩き出し、貴重な追加点を齎しました。

一方度々好機を作りながら、同点どころか2点差とされてしまった格好の山口。
その苛立ちも最高潮といった感じで、41分には江﨑に反則を受けた成岡がヒートアップし、倒れたまま脚でチャージし返すという蛮行に出てしまい。
直後の42分には島村のドリブルを反則で止めた沼田が警告と、精度を欠いた末に粗さが顔を出す展開を強いられます。
(熊本は42分に大西→宮㟢へと交代)

残り時間も少ないなか、何とかゴールを目指す山口。
しかしそれを嘲笑うかのように、アディショナルタイムにカウンターに持ち込む熊本、平川がドリブルで長い距離を運んだ末にエリア内へスルーパス。
オフサイドも無く、走り込んだ大崎が撃つと思いきや、逆サイドに走り込む東山へとさらにスルーパスを送り。
しかしこれは流石にオフサイド(映像では結構際どかったが)となり、跳び込んでシュートした東山でしたがこの日2点目とはなりませんでした。

結局そのまま熊本が攻め続けた末に、試合終了ならびにシーズン終了を告げる笛が鳴り響き。
快勝した熊本、この日の東山の活躍を切欠に、控えの層の向上に努めたい所でしょう。

一方の山口は、試合翌日にエスナイデル監督の退任が発表される事となり。
破天荒なサッカーへの期待とは裏腹に、無事にチームを残留させた末に颯爽と半年で去る事となりましたが、次のキャリアへの前段階だったのかもしれません。
何せ2019年以降監督業は皆無という状況なので、助走を付けるには渡りに船とばかりに、山口のオファーに乗ったという可能性も無きにしも非ず。
どんな道を選ぶのかはまだ判りませんが、その武運を願いたいと思います。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 ツエーゲン金沢vsファジアーノ岡山

2023-11-21 16:00:32 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の金沢の記事はこちら(39節・山形戦、0-1)
※前回の岡山の記事はこちら(40節・栃木戦、1-1)

<金沢スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(大分戦、2-2)で最下位が確定し、同時にJ3降格が完全に確定。
  • 基本布陣は4-4-2だが、マンツーマン守備故に加藤潤がアンカーを見る役となるので実質ダイヤモンド型4-4-2(4-3-1-2)という感じに。
  • 柳下正明監督の今季限りでの退任が決定。後任は現在のところ不明。
  • GK白井の負傷が発表され、39節に発生して全治2~4週間との事。

<岡山スタメン>

  • ルカオが累積警告により出場停止。
  • 今季限りで退団のヨルディ・バイス、永井がスタメン出場。
  • 同じく今季限りで退団の濱田・福元がベンチ入り。(福元は正式発表は試合後だが、放送席で語られていた)
  • 井川が今季初のベンチ入り。

来季から新スタジアム(金沢ゴーゴーカレースタジアム)開場となるため、ラストマッチとなる金沢のホーム・石川県西部緑地公園陸上競技場。
そして前節の翌日に7年間指揮を執った柳下監督の退任を発表と、色々なものが最後となるこの試合。
既にJ3降格が決定しているクラブ故に、これがJ2最後の試合とならない事を今後祈るばかりです。

一方の岡山も、前節で昇格の望みが完全消滅。(といっても、前日の甲府の結果で試合前に既に決まったものですが)
そのため肩の荷を下ろしたかのように、この試合は既に退団が決まっている選手を一斉に起用する選択を採り。
今季一桁の出場試合しかない永井・濱田・福元が揃ってメンバー入りする事となりました。

試合が始まると、金沢は左サイドハーフ・加藤潤がほぼ中央に張りっぱなしの布陣を取り。
マンツーマンディフェンスを貫くスタイルで、相手のアンカー・輪笠のチェックを請け負うが故の現象なのは言うに及ばず。
前半4分にはその加藤潤が右サイドで縦パスをカット、その後味方が同サイドでパスを繋ぐなか最前線までボールを受けにいきコーナーキックに持ち込み。
この右CKから、二度目の逆サイドからのクロスを孫が合わせヘディングシュートを放ちましたがゴール上へと外れ。

そんな金沢のシステムが齎す流動性に手を焼く岡山。
9分、金沢の敵陣深めでの右スローインをバイスが直にカットするも、ここからの運びを強いられるビルドアップ。
当然ゲーゲンプレスを受けるものの、鈴木ミドルパス→坂本ポストプレイ→輪笠ダイレクトで縦パスという定番の流れで脱出し、木村太のドリブルに繋げます。
そしてアタッキングサードで晒す体勢から縦突破し、ポケット奥からマイナスのクロスという好機を作る木村太。(クリアされ実らず)

中々激しい攻防となりましたが、12分にミスから試合は動き。
GK山田大からショートパスでのビルドアップを選択した岡山ですが、左へ展開ののち縦パスを受けた田部井、前を向けずにバックパスを選択。(ここで輪笠が前に出てパスコースを作ったもののそちらは見れず)
しかし山田大が左(田部井から見て右)に寄っていたため、杉浦を視野に入れたのが影響したのか、そのパスが反射的に彼を避けたかのようにズレてしまいます。
その結果中央で反応した林にダイレクトでシュートされ、ゴールに流し込まれるボール。
これが金沢にとって31節(順延)・群馬戦以来の先制点と、得点するのに難儀しているチームにまさに献上する形となってしまいました。

気を引き締めて反撃したい岡山。
その後も金沢の守備対応に苦しむ中で、先程良い突破を見せた木村太を活かす方針を採ったでしょうか。
17分、再びゴールキックから短く繋ぐ姿勢を経て、左への展開でボールを持った木村太がドリブル。
今度は奥を窺ってからマイナスのカットインを選んだ木村太、そのままミドルシュートを豪快に放つもGK三浦がキャッチ。

木村太という鋭い槍で左サイドを脅かす姿勢を取りながら、金沢のマンマークにも徐々に対策を取り始め。
流れの中で輪笠と仙波の位置が入れ替わると、金沢サイドは加藤潤は輪笠のマークを受け渡して中央に張ったままに。
ある程度はこうしたゾーン守備も取り入れていたようですが、18分には本山がボールを持つなか、仙波が前に走って梶浦を引き付け。
そこに出来たスペースを本山が持ち上がったのちスルーパスを送る(右奥で受けた仙波がクロス)という具合に、その境界線は曖昧(というよりは、加藤潤システムと言うべきか)といった感じでした。

こうして無事に反撃体制を形成した岡山。
好機はCKからが多く、19分の右CK、キッカー河野のクロスをファーサイドで木村が合わせヘディングシュート。(GK三浦セーブ)
24分のCKでも、同じく河野のクロスを中央でヘ鈴木がディングシュート(前方の坂本に当たって跳ね返り)と、得点が生まれるならばセットプレーという印象を強くする流れに。

しかし28分、流れの中から好機をモノにします。
再三行っている左サイドアタックですが、今度はスルーパスに田部井が走り込んで深さを取ってからの攻撃。
そして例によって木村太のキープを経て、手前から輪笠の低いクロスが入ると、合わせにいった永井が巧みな動きで脚から跳び込んでシュート。
これがディフェンスに入った孫の前を取る姿勢から一転、瞬時に後ろに回って右足を出すという唸らすもので、ゴールネットを揺らして同点に。
今季初スタメンの選手が満点の働きをした岡山、契約満了の発表が例年早いクラブだけに「勿体無い」と思わせてくれるのは果たして嬉しい誤算か否か。

一方最後に勝利で締めたい金沢、35分に小島ミドルパス→杉浦足下でフリックを経てから、お馴染みの距離感の近い繋ぎで強引な中央突破。
エリア内に切り込んだ梶浦がシュート、河野のブロックでこぼれた所を杉浦が拾い、追撃せんとするもディフェンスに阻まれます。
ここからCKを2本続けるも、見所はこれぐらいとなり、以降再び岡山の攻勢に。
やはり金沢ディフェンスを攻略したという優位性が、試合の流れに色濃く表れる格好となり。

最大の好機は39分で、左から田部井のクロスが流れて金沢ボールとなるも、河野がボール奪取してショートカウンターの流れに。
坂本が右からのカットインを経て左へ送ると、今度は木村太が左ポケットでカットインという激しい展開を経て、ラストパスが鈴木に渡り。
そしてゴールに近い位置でシュートを放った(放送席ではクロス)鈴木ですが、ダイレクトで撃てなかったのが影響し寄せた庄司のブロックに防がれます。
その後も敵陣でボールカットするシーンを目立たせた岡山ですが、結局逆転は果たせず。
1-1で前半を終えます。

次第に劣勢を強いられた金沢は、ハーフタイムで動き2枚替え。
林・杉浦→木村勇・加藤大へ交代と、2トップをそっくり入れ替えて後半に臨みました。

始まった後半、岡山はやや微調整。
守備時には木村太が降りて来ず、オーソドックスな4-4-2という布陣で構える姿勢を取り始め。
この日絶好調の木村太をより活かすべく、システム面で調整を図った感じでしょうか。

しかし、結果的にミラーマッチのようになった事が拙かったか。
あるいは開き直りか、金沢サイドの動きが良くなった感があり、出足良くこぼれ球を繋ぐシーンが増加。
特に岡山選手のトラップ際を素早く奪い、好機に繋げる事でペースを掴んでいきます。

岡山サイドのミスも目立ち始め、10分には金沢の左スローイン、直接裏へと投げ入れたボールを奥で加藤潤が受け。
ここからのボールキープで囲まれてこぼれるも、岡山のクリアが味方に当たった所を拾い直した加藤潤。
戻しを経て藤村がミドルシュート(GK山田大キャッチ)と、相手の乱れを突く流れを作り。
その前の6分にも、木村勇のドリブルでカウンターになりかけた所をバイスが反則で止めて警告という具合に、劣勢ぶりが色濃くなる岡山。

その岡山が交代カードに手を付けたのは14分。
仙波→田中へ代えるも大きくは変わらず、微調整の通りに木村太を活かすべくの攻撃で応戦しますが、圧され気味な印象は拭えず。
一方の金沢も、良い時間帯に突入したものの、その中で得点出来ないのはこれまでと変わらず。
ともに好機は作るものの、11分の永井のヘディングシュート(GK三浦キャッチ)を最後にフィニッシュが生まれず試合は進んでいきます。

22分に岡山が交代、木村太を諦めて末吉を投入。
同時に今季初のメンバー入りとなった井川(退団はまだ決まっていない)を起用(輪笠と交代)する2枚替え。
末吉も木村太同様に推進力を発揮し、自らのドリブル・スルーパスへの走り込みで脅威を与えていき。
初出場の井川も、中盤の底でパスを散らすその姿は、臆する事無くという意識を保てているようでした。
(金沢は25分に奥田→石原へと交代)

両陣営の采配を経て、岡山が盛り返すという展開になり、ノーフィニッシュの均衡を先に破るに至ります。
28分には最終ラインからの前進を経て坂本がミドルシュート、庄司にブロックされてCKに。
その右CKから、クロスの跳ね返りをダイレクトで田部井がシュートにいくもミート出来ず。
こちらも金沢同様決定打を欠いているようであり。

それでも、最終戦故に退団決定選手を起用せざるを得なく。
濱田・福元を投入したのが35分で、それぞれバイス・坂本と交代し同ポジションに入り。

その後はお互いパスミスから危機を招くシーンを作るなど乱戦模様に。
岡山の最後といってもいい好機は39分で、ロングパスを永井が受けて敵陣左サイドで深さを取ってからのパスワーク、ドイスボランチ(井川・田部井)双方も加わった末に左ポケットに末吉を走らせるミドルパス。
そして奥でのキープを経てグラウンダーでクロスを送りましたが、合わせにいった福元が(梶浦への)反則を取られて撃てずに終わります。

直後の40分、金沢も加藤潤・梶浦→毛利・小野原へ2枚替えと、カードを使いきり。
この後、毛利がトップ下の位置取りで加藤大が右・石原が左となる、所謂4-2-3-1のような布陣を採ります。

これが効いたようで、岡山にとって普段サイドアタッカーの毛利が掴まえ辛くなるミスマッチを生み出し。
44分、岡山の縦パスのズレを庄司がダイレクトで縦パスで返してからの好機、受けた木村勇のポストワークを経て右から攻め。
そして加藤大がカットインでエリア内へ切り込み果敢にシュートを放ちますが、ゴール左へ際どく外れ。
続く45分、GKのフィードを毛利がカットしてからの攻撃。
木村勇へのスルーパスは遮断されるも、こぼれ球を毛利がダイレクトで遠目からシュート。
これがループでゴールを襲うも、上へと逸れて惜しくも決められません。

総じて中断が少なく、2分と短めとなったアディショナルタイム。
尚も押し込み、勝利に向けて諦めない姿勢を貫き続ける金沢。
しかし無情にもゴールは生まれず、試合終了の時は訪れます。
1-1で引き分けとなり、金沢は結局29節(甲府戦、2-0)以降未勝利で今シーズンを終える事となりました。

柳下監督の試合後インタビューに引き続き、感涙一色という雰囲気となるセレモニー。
同じ降格クラブである大宮のそれが怒号に包まれる時間が多かったのに対し、スピーチ中のブーイングの類はほぼ無く。(流石にフロント批判の断幕は掲げられたが)
最後は降格で締める事となったものの、柳下氏の下での7年間の冒険に終わりを告げるという意味合いが大きかったでしょうか。
再びの出直しを経て、J2に戻って来る時を待ちたいものです。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 栃木SCvsジュビロ磐田

2023-11-20 16:00:31 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の栃木の記事はこちら(40節・岡山戦、1-1)
※前回の磐田の記事はこちら(40節・ヴェルディ戦、1-1)

<栃木スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 時崎悠監督が今季限りでの退任を発表。次期監督は現段階では未定。
  • 前節(ヴェルディ戦、0-1)出場停止のイスマイラがスタメンに復帰。
  • 前節退場(警告2度)となった石田が出場停止。

<磐田スタメン>

  • 自動昇格の条件は、勝利の場合は清水が引き分け以下(ヴェルディは勝利しても得失点差で5差を縮める必要あり)。引き分けの場合は清水が16点差以上での敗戦……とまず無理。
  • GK八田が今季限りでの引退を表明。今季の出場は、三浦の負傷交代(脳震盪の疑いによる)でATに出場した28節・いわき戦(1-0)の1試合のみ。

磐田にとっては、自動昇格が掛かった最終節。
勝ち点差は1ながら、得失点差から勝利以外は駄目という状況で、あまりにも重い42分の1。

その最終節、一方の栃木は時崎監督の最後の試合という冠が付く事となり。
試合前インタビューで「4局面」というフレーズを出した(初めてかは不明)事から、就任してからそのスタイルを落とし込んだ監督業を自身で(脳内で)振り返っていたでしょうか。
あの「ストーミング」色が濃厚だった栃木でも、ボールポゼッションに取り組むなどこれまでとは一線を成すサッカーを展開。
その姿は、現代サッカーのトレンドを取り入れる事で、J2でも下位を彷徨うクラブが必死にしがみつき生き残りを図らんとするものか。
成績的に浮上出来ない中で、最後にその価値を示すような上位クラブとの対決が待っていました。
前節も上位のヴェルディ相手に、数的優位のなか敗れるという悔いの残る試合を強いられ、何とか存在感を見せ付けたい所。

磐田のボールポゼッションに対し、ストロングポイントであるハイプレスを嵌めにいかんと積極的な姿勢を見せた立ち上がりの栃木。
しかし前回でも触れた通り、イスマイラの規制の掛け方がどうにも今一つであり果たす事が出来ず。
上原を切りながら……という追い方が出来ず、横パスを交えるだけで簡単に彼へのパスコースが生まれるので、揺さぶられて運ばれる事を繰り返します。
それでもハイプレスを貫くものの、前半4分に磐田は松原のロングパスから好機、セカンドボールを繋いで溜めを作り上がってきた松原に再度ボールが渡り。
そしてエリア内へスルーパス→走り込んだドゥドゥのポストプレイ→山田大シュート(GK藤田キャッチ)と流れるようにフィニッシュ。
ショートパス主体な所にロングボール攻撃も織り交ぜる姿勢で、頭の中を掻き回しに掛かる磐田。

そんな盤石な姿勢をキックオフから10分ほど続けた磐田ですが、昇格へのプレッシャーからか次第にリズムが悪くなり。
12分栃木の自陣での右スローイン、大島→イスマイラと強いFWへ託し、磐田のプレッシャーを浴びながらもキープする姿勢。
前に出た鈴木海のディフェンスを受けるも、こぼれ球を佐藤が左へ繋ぎ、吉田が細かいタッチでのドリブルでエリア内を突いてシュート。
グラッサのブロックに阻まれるも、「4局面」を接続するトランジションで優位に立つ事で生まれた好機。
その後は高嶋のロングスローを交えながら、敵陣でサッカーを展開する事で磐田のペースを乱し。
18分にもこぼれ球を西谷がダイレクトでスルーパスを送る事で好機。
シュートには繋がらずも、ゲーゲンプレスで福森がボール奪取して継続、エリア内中央でパスを受けたイスマイラが反転を経てシュート。(ブロックされコーナーキックに)
完成度の高い磐田に対し、トランジションの部分を制する姿勢が冴え渡ります。

そして24分、最終ラインからパスを繋いでいき右から攻める栃木。
福森の早めの中央への浮き球パスに対し、グラッサがクリア出来ず大島に収まると、その流れのままエリア内に進入してのシュートがゴール左へと突き刺さり。
実に変哲の無い攻撃ながら、手前で跳んだグラッサの頭を越えていく姿に、上記の姿勢が磐田へのプレッシャーとなっていたかのようなゴールだったでしょうか。

先を行かれてしまった磐田。
ライバル(清水・ヴェルディ)の途中経過はこの時点ではスコアレスも、重くのしかかる先制点なのは変わり無く。

まずは失いつつあったペースを取り戻すのに着手したか、細かく繋ぐ姿勢を強め。
28分には自陣でのスローインからダイレクトパス重視で前に運び、山田大がドリブルで中央のチャンスエリアへ切り込み。
そして上原→後藤ポストプレイで受け直し、エリア内左からシュートを放った山田大でしたが枠を捉えられず。
しかしその後もポゼッションを高める事で、リードした栃木は次第にリトリート偏重を強いられます。

こうなると磐田の苛烈な攻めが冴え渡る展開で、33分にはエリア内を執拗に突きながら、ポストプレイを経て最後はドゥドゥがミドルシュート。(枠外)
何とか専守から脱したい栃木ですが、続く34分には縦パスをドゥドゥにカットされて反転攻撃を浴びる(その後後藤経由で左ポケットからドゥドゥマイナスのクロス→上原シュートもジャストミートせず)等ままなりません。

そして39分、再びエリア内へ縦パス→ポストプレイという流れでゴールに迫る磐田、エリアからすぐ手前という位置で上原が高萩に倒されて反則。
これで直接フリーキックの絶好機となり、中央~右ハーフレーンの中間という横位置から、キッカー上原が直接シュート。
壁を直撃しこぼれた所を松原が再度シュート、吉田のブロックに阻まれ、跳ね返りをドゥドゥが三度シュートに持っていき。
これも大島がブロックと、三連撃も決まりませんでしたが、続く左CKでそれが無駄で無かった事を証明します。
上原はショートコーナーを選択し、戻しを経てドゥドゥが受けると、(彼にとって)絶好のシュートレンジ故にまたもミドルシュートを狙うドゥドゥ。
当然栃木のブロックが入るものの、これに当たった事でコースが変わり、GK藤田はセービングに入れずゴール右へと突き刺さります。
遠目からのフィニッシュの連続が決壊を齎し、同点に追い付き起死回生となった磐田。

その後は磐田も硬さが取れたかのように攻撃を続け、ミドルシュートの連続では無く、後方からの押し上げも冴え渡り。
上原・鹿沼のドイスボランチも、開幕時は控えとは思えないくらいに躍動し成長を証明。
中盤でゲームを作りながら、サイドで上げられたクロスに対し最前線で合わせにいくなど、多方面で活躍を見せます。
一躍注目を浴びている後藤の働きが今一つに思えましたが、ともかくこれだけ若手が伸びを見せて終盤の緊迫した戦いの輪に加わっているのは好材料であり。

そして1-1のまま前半が終了。
ともにハーフタイムでの交代は無く、磐田にとっては勝負の後半戦となります。

当然ながら、後半に入り再びハイプレスの色を強めに掛かる栃木。
シャドーも果敢に前に出て、磐田のビルドアップを阻まんとしますが、相変わらずイスマイラの守備時の弱点はそのままなので脅威とはなれず。
磐田ペースは後半になっても変わらず、という流れが出来上がるのは必然でした。
栃木にとってはまざまざと差を見せ付けられたような格好で、いかに「4局面」を意識した取り組みを続けても限界があるといった内容でもあり。
選手の力量の差というよりは、それに適した選手を集める段階での差というべきでしょうか。(前者は清水のようなクラブとの比較で使うべきだとうか)
磐田は補強禁止という制約がありましたが、逆に既存戦力を活かす方針をせざるを得なかった事で、以前の鈴木政一監督時代のサッカー(もっと言えば、磐田伝統のサッカーか)に適合する人材を残しての戦いが奏功した感があり。

そんな磐田、後半は右サイドで徹底的にショートパスを繋ぐ姿勢を重視。
そして栃木ディフェンスを密集させて、そのまま右で攻めきるか、逆サイドへ展開して松原中心に薄い左を突くかの二択を掛け。
14分、その姿勢の通りに右サイドで数多パスを繋いだ末に、上原から左へ展開。
そして松原とのワンツーで左奥を突かんとしたのは最後方のグラッサで、収めた所をディフェンスに遭うも左CKへ。
このCKでキッカー上原のクロスが誰にも合わずも、ディフェンスにも入れず中央をバウンドするという具合に、振り回され続ける栃木は如何ともし難いような絵図を描き。

後は決めるだけといった磐田、その直後の16分でした。
敵陣で上原が奪い、パスを繋いでの前進によるショートカウンターを経て山田大がミドルシュート。
ブロックされるも拾って作り直しとなり、栃木サイドもリトリートの姿勢を取るなか、再びグラッサの左サイドでの前進を交えた末にドゥドゥが左ポケットへパス。
これを栃木のブロック間で受けた松原がクロスを入れると、大外から走り込んだ松本が中央でヘディングシュート。
GKの手前でバウンドさせてネットを揺らし、全員で崩すという攻撃を結実させて奪った勝ち越し点。
これよりすぐ後に、清水が(水戸に)先制を許すという途中経過も生まれた事で、昇格ムードを一気に高めます。

ホーム最終戦も兼ねており、意地を見せたい栃木。
ロングボールを交えての攻撃で何とか敵陣に運び、高嶋のロングスローを活用しながら同点を狙います。
しかし以前のような「ストーミング」スタイルに近付く結果となるなど、そこには敗北感もあり。
19分にその高嶋のロングスローから、こぼれ球を拾いにいった高嶋が(ドゥドゥに)反則を受けた事で右サイドからのFKに。
これをキッカー福森が、アウトスイングのキックで、ややもすると直接狙ったかのようなボールを入れ。
GK三浦が辛うじて弾いた所を、高嶋がヘディングで詰めるというほぼ完璧な流れを描きましたが、シュートは左サイドネット外に終わり同点ならず。

ワンチャンスを逃した格好の栃木、22分に吉田→森へと交代。
当初は福森が左に回り、右ウイングバックに入っていた森でしたが、26分のセットプレー(磐田の左からのFK)の流れからそのまま左右を交代し結局左でのプレーに終始した森。

尚も栃木がカードを切っていき、29分に佐藤→矢野へと交代。
これで2トップとなり(イスマイラ・矢野)、高萩がアンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)へシフトします。
その一方で、交代カードを使わずに我慢を選ぶ磐田・横内昭展監督。
そんな彼を試すように、松原やグラッサが反則チャージを受けて長らく倒れ込むというシーンが生まれてしまい。
それでも、好循環を保つ事を第一に選択し粘り。

矢野が入った事でプレッシングも多少の向上を見せ。
激しいプレッシャーでGKに蹴らせたフィードを回収して攻める(31分)という具合に、やりたい事も何とか行えるようになったものの状況は厳しく。
そして37分に最後の交代を敢行し、残っていたカードを全部使って3枚替え。
大森・西谷・イスマイラ→ラファエル・植田・宮崎へと交代します。(高嶋が左CBへ回る)

しかしブーストを掛けるどころか、以降攻撃機会を作る事が出来ず。
磐田がボールキープの意識を一層強めた事で、狙いたいトランジションの機会も中々作れず、時間が進んでいきます。
41分にようやく最初に動いた磐田、山田大・松本→藤川・ゴンザレスへと2枚替え。(後藤・ゴンザレスの2トップとした4-4-2へシフトか)
これ以外ではカードを使わずと、ベストメンバーを貫く人知れずの戦いとなったベンチ。
他方、清水は同点に追い付いたものの、それでもこのままならばOK。
ヴェルディは2-0で勝利濃厚なものの、自身が勝てば気にしなくても良し。
ひたすら自身の勝利への進軍の意識をピッチに高める事に邁進していたでしょうか。

そして突入したアディショナルタイム。
ようやく栃木は、ゴールキックでのロングフィード→宮崎フリック→矢野収めた所に、上原に反則を受けた事で攻撃のチャンスを得ます。
中央からの直接FKとなり、キッカー植田が直接シュートを放つも壁を直撃して決められず。
ここから攻め直しを図る栃木ですが、途切れた所を磐田がカウンターに持ち込み、ドゥドゥ→上原と経由してゴンザレスに渡り。
そしてドリブルで切り込み、ボックス寸前という所で平松に倒されて反則・警告。
PKかどうかという位置でしたが異議もそこそこに、切り替えて直接FKに挑む磐田。
却って近すぎたため狙い辛い位置で、その通りドゥドゥの直接シュートは壁を直撃。
しかしここでの切り替えも見事で、右へとこぼれたボールを拾った藤川、コーナーでのボールキープに入ります。
時間を使い、その後の栃木のスローインも跳ね返して再び右奥へ持ち込む逃げ切りモードに。
それでも、ゴンザレスが入れたマイナスのクロスをドゥドゥが合わせ、ゴールネットを揺らしたもののその前にゴールラインを割ったという判定で無効となる一幕がありましたが。

そして栃木の最後の攻撃、右から高嶋がロングスロー。
跳ね返りを尚も繋いでクロス攻勢にいく栃木ですが、無事に凌いだ磐田。
試合終了の笛が鳴り響くと、堰を切ったかのように歓喜一色に染まり輪を作る磐田ベンチ。
その姿に、ピッチ内の選手も昇格達成を実感するのに時間はかかりませんでした。

清水が引き分けに終わり、逆転で2位に上がった結果、自動昇格の座を掴んだ磐田。
シーズン後には、この日再三倒れ込んでいた松原の長期離脱が判明するなど、まさに満身創痍という戦いだった終盤戦。
今後エレベータークラブと化すのを避けるべくの、前年行えなかった補強・編成に入ると思われますが、まずはその喜びを存分に味わいたい所でしょう。

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