センター突破 これだけはやっとけ 鳥取の受験生のための塾・予備校 あすなろブログ

鳥取の受験生のための塾・予備校  あすなろ予備校の講師が、高校・大学受験に向けてメッセージを送るブログです。

修了宣言!

2013-03-20 19:06:34 | あすなろ予備校
夕方から春の嵐、みなさんお久しぶりです^^

今日は大学受験科の修了式!!


いつも写真係の谷川ですが、ろくな写真撮ったためしがないほどへっぽこな腕前。。。


でも、今日はいい写真が撮れたよ!









旅立って行っても、いつでも帰ってきてほしい、といつもの言葉を卒業生たちに

投げかけたのですが、今年は谷川も旅立ちます!


あたらしく

あすなろ塾

という塾を立ち上げ、そちらの塾長となって今度は小・中学生を育成していきますよ!!


もちろん、予備校のほうもいくつか授業は持ちますが、

メインのフィールドは塾になります。

あすなろ塾もよろしくお願いいたします!!

http://asunaro-juku.jp/


市バスにのって

2013-03-17 17:57:37 | 洛中洛外野放図
 午後一番の講義が終わって、その後授業を取ってないので夕方の約束まですることがない。近眼の度合いが少し進んだようなので、眼鏡を見に行くことにした。どこの店という当てもないけれどいろいろあるだろうと大学前で四条河原町界隈へ行くバスに乗った。天気が好くて、眠たくなるような淡淡とした喋りをされる先生の講義の続きでどうにも眠たい。前寄り、降車口に近いところで進行方向の左側を流れる町並みを眺めながらつり革に掴まっていると、大きな欠伸がいくつも出てくる。あるバス停で賑やかな声のカタマリが乗り込んできた。なんだと思って後ろの乗車口の方に目を向けると、揃いの黄色い帽子をかぶった、小さな4、5人がわちゃわちゃと、耳障りでない甲高い声で喋っているというよりも囀っている。皆が赤いランドセルを背負って、それには黄色いカバーのかかっているのもいないのもある。小学校の下校時間に当たったのだろう、小学生が乗り込んできても何ら問題はない。だのに二度見をしてしまったのは、中の一人に紅毛碧眼、クリーム色がかったぽってりとした色合いの白い肌にはご丁寧にもそばかすまで散らばっていようかという、コーカソイドの見本のようなお子が混じっていたからである。キャサリンだとかケイティだとか、カ行で始まる名前ばかり浮かんだのは、多分『アーノルド坊やは人気者』の「キンバリー」を髣髴したからだろうが、カ行で始まる名前をいろいろと思い浮かべながらぼんやりと眺めていた。同系統の色の上に黄色い帽子が乗っているのにちょっとした違和を感じたのである。それでもどうやら見慣れたかしてさして興味もなくなったのでまた窓の外を流れる景色に戻って欠伸の出るにまかせていると。乗り込んでから二つ三つ後のバス停で黄色いかたまりは二手に分かれて、半分ほどがそこで降りるらしい。ピーチク、パーチク囀りながらぞろぞろと前にやってきて、運転手になにやら見せながら「ありがとぉ」と言って降りていく。「ありが」は平板で「とぉ」が強くなる挨拶に運転手もマイク越しに小さい声で「はぃありがとー」と答える、そんなほんわかした光景は、降車口のステップを下りていくキンバリー(仮名)のひと言によってぶち壊しになった。
「そんなんアカンて言うてるやんけぇ!」
「やんけ」ておい。京ことばではない関西弁、しかも「る」は巻き舌ぎみになっている。幾人か関西弁を恣(ほしいまま)に操る異人種との付き合いもあったが、これほど外見との違和感を覚えた例もそうはない。ぽかぽかと明るい陽光の中を友達と楽しそうに歩いていくキンバリー(仮名)の背中に向かって、走りだしたバスの窓越しに小さく突っ込みを入れた。
「いやいや、おまえがアカンやろ」

 まったく、天気の好い休日の真っ昼間、観光スポットの名前がそのまま付いたバス停を経由する路線になんぞ乗るものではない。何の用だったか、当時滋賀県に住んでいた知り合いに久しぶりに会いに行った。会いに行ったら久しぶりなのでお酒になり、そのまま泊めてもらった。京都駅に帰ってきたのは翌日曜日のお午少し前で、ターミナルで発車待ちをしていたバスがちょうど下宿最寄りのバス停を通る路線なので深く考えることもなく乗り込んだ。座席はふさがっていたが窮屈ではない。中ほどのところに右側を向いて立っていた。そのうちにぽつりぽつりと乗り込んできて窮屈らしく感じられるようになってからようやく発車した。天気の好い町並みを眺めながらなんだかむしゃくしゃする。どうやら左側に立っている女の香水だかお化粧だか、とってつけたような臭いに馴染めないらしい。それでも我慢できないというほどでもなく、しょうがねぇ、くらいに思っているとバス停に止まるたびに人が増え、三つ四つ過ぎるころには立錐の余地もないほどになった。当然左側の女の臭いとも近づくことになり、むしゃくしゃを通り越して不快になったがすでに遅い。腹を立てていると、ふと左足の甲に妙な感触を覚えた。冷たい、熱い、痛い、痒い、そのどれとも分類できず、「点」を感じたとしかいい様がなかったが、とにかく鋭い。それが次第に熱を持った「痛み」に感じられて、だんだんと強さを増して、やがて刺されるように感じだした。バスが揺れるたびにえぐり込むような鋭い痛みが新たに感じられて、喉の奥から空気とともに「か」という音が漏れたまま開いた口を閉じられない。なにしろ、突然のことで原因がわからない。脂汗は出てくるし、窮屈な体勢でどうにか下を見てみると、キャンヴァス地のデッキシューズに横の女の履いているピンヒールの「ピン」が食い込んでいる。場所は左足の薬指の筋と小指の筋の間の肉の上。女はこちらに背を向け、後に置いた右足のかかとに体重をかけるようにしているらしい、そのかかとのピンが乗っているのである。必死に女の肩を叩くと、口を半開きにして脂汗を流し、涙目になって下を指差す男を最初は汚いものでも見るかのように顔をしかめて睨んでいたが、下を見るなり「あ」と言って足をのけ、そのまま降り口のほうにねじ込んで人ごみにまぎれてしまった。ひと言くらい詫びろ! 二条城前で大勢が降りて行き、座席も空いたので腰を下ろしてようやく人心地付いた。下宿に戻って靴下を取ってみると赤く腫れあがって内出血ができている。已矣哉(やんぬるかな)。いろいろとコインを乗せてみると50円玉とちょうど同じくらいの大きさだった。

 木屋町通の店でほろ酔い機嫌になって阪急電車で河原町から西院まで。そこで大阪へと帰る連れと別れて、西大路四条のバス停で西大路通から今出川通を行くバスに乗り込むと乗車口のやや前寄りに一人掛けの席が空いていた。一人のときはバスで座ることもあまりなかったけれど、朝からあちこちと歩き回って草臥れているし、他にも座席に余裕はある。躊躇なく座って昼間に買った文庫本を取り出し、ナップサックを脚の間に置いた。バスに揺られながら酔眼朦朧、理解できているのかいないのか曖昧なままに字面を追っていると乗車口から「たへ、たへ、たへ」と犬の息遣いが聞こえる。びっくりしたが盲導犬だとわかったので本に戻ろう、としたのだがどこまで読んでいたのかわからない。しょうがないので開いているページの最初から文字を辿っているとすぐ側で「たへ、たへ」という呼吸に混じって小さく「くぅ」と喉の奥を鳴らす声が聞こえた。脇に目をやると見上げるレトリーバーと目が合った。それを連れている人はステップを上がりきったところに、バーを握って立っている。何事だろう思ったが、立ち止まっている犬の足もとを見て納得がいった。間に荷物を置いて脚を開き気味に座っていたので、左足が少し通路にはみ出している。それを障害物と判断したのだろう。「あぁ、ゴメン」足をのけると「ありがとう」なのか「やいこら、気をつけろ」なのかわからないけれど、「ふぅん」と鼻息を漏らした。
「足が邪魔になってたみたいで、すんません」
「あぁ、いやいや、どうもすいませんでした」
ハーネスを握っている人に声をかけると、困惑気味な表情をしていたのがにっこりと笑顔になった。
どんなときでも声を立てないよう訓練されていると聞いていた盲導犬に「くぅ」と注意されるとは、そんなに非道いことをしていたのか。酔った頭で反省しながら見ていると、いくつか空いている左側の二人掛けの座席のうち、中ほどにあるシルバーシートに導いていった。偉いねぇ。