ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 蜜月 」  小池真理子

2018-02-14 11:27:41 | 
      「 蜜月 」   小池 真理子

        

久し振りに本を読みました。 目に付けば買って仕舞ってある小池さんの本。
~~~~~~~~ネタバレ
新聞・テレビで、天才洋画家・辻堂環の死が報じられた。
死因は急性心不全で44歳だった。

その報道を目にした環と親交のあった6人の女の回想形式で物語は始まる。
環と蜜月に溺れた様々な境遇の女たち。

環は5歳の時、母を病気で亡くし、家は裕福だったが、父・薫には愛人が3人いて、ほとんど家にいなく、お手伝いと父の妹である双子の叔母に育てられた。

「 花のエチュード 」 恭子は叔母にピアノを習いに来ていた女学生。 環に言い寄られるもプラトニックで終わリ、今は結婚して14歳の息子がいる。
「 交尾 」  弥生は父の愛人の一人だった。 環と会う内に惹かれあい関係ができるが、薫に知れ、薫とは別れることに。
囲われていた家を出てアパートを借り、今度は環が通ってきた。 或る日、薫が55歳の若さで亡くなったのを知らされる。
今は故郷に戻り、結婚して夫と小さな居酒屋をやっている。
「 ただ一度の忘我 」 杳子は28歳の時、18歳年上の夫・伊佐夫がいるにも関わらず、仕事で知り合った環と恋に落ち、家を出て環と暮らし始める。
いろいろあって、今は伊佐夫の元に戻り、伊佐夫が定年後に脳梗塞を起こし脳血管性痴呆になったのを世話している。
「 裸のウサギ 」 志保子は11年前に東京から故郷に戻り、今は母と姉と3人で落ち着いた暮らしをしている。
東京では奔放な生活をしていて、バニーガールをしていた店に環がやってきて知り合った。
環に口説かれ一緒に暮らし始めるが、自堕落な生活をするうち、お互いに精神的に落ち込んで、薬を飲んで心中しようとするが失敗。連れ戻される。
「 バイバイ 」 千里は、子作りしか頭にない夫に嫌気がさし離婚後、大型書店に就職。そこでサイン会に訪れた環と出会い関係を持つようになる。
環には久保という若い秘書がいて、彼の世話をしていた。 久保は知美と同棲中だったが、環とも関係があることがわかり、或る日、自死しているのが見つかる。
環と別れ、今は広告代理店で働いて一人で暮らしている。
「 夜のかすかな名残り 」 美和子は14年前に夫の修平に死なれ、娘の仁美と暮らしている。
環のところにアルバイトに通っている仁美が、婚約中にもかかわらず環に惹かれていくのを止めるため環に会いに行くが、反対に一目ぼれされて口説かれ関係を持つ。
環はその頃から心臓の具合が悪そうで、病院に行くよう勧めるが仕事が忙しく暇がなくてかなわない。
仁美がアルバイトを辞め、環とは自然に疎遠になったが、間もなく環が亡くなったと知る。
~~~~~~~~
それぞれが、環の訃報を聞き、自分と環の蜜月に思いをはせる6人の女性たち。
夫がいても、立場があっても、環に会うと恋に落ちてしまう。そして憎めない。軽くて本能のままで、だらしないけれど、女性が惹かれる魅力的で不思議な男性のようです。
母親を早くに亡くし、子供のまま大きくなったような、容姿と才能と経済的に恵まれた苦労知らずな坊ちゃんで、愛に対して純粋と見るか、ただの色男と見るかは、読者次第。
私は、名声とお金に恵まれ、好きな男性も女性も手に入れたけれど、心は満たされず、孤独で可哀相な人だったんだなと。

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