【骨折61日目・両足歩行中】
久々に高校野球をみた。
オーバーだけど、このスポーツは本当に人生の縮図みたいだ。
後で知ったが、超名門校のピッチャーはMAX145キロを出すプロ注目の右腕だった。
何も知らずに見ても、ボールがうなりを上げているのかわかった。格下であろう私立校も声を上げて立ち向かったが、バットはクルクル空を切った。あんな固い物体が近距離で凄まじいスピードでやってくる。普通に見ていて怖くなった。
格下にはアンラッキーが重なった。打ち取ったゴロが何度もイレギュラーした。実力者に運まで加わっては、流石に流れに抗いきれず失点が重なった。
安全にフェアゾーンに飛んでいたサード線の辺りは、誤審でファウルになった。
久々にスタンドに入った観客からは文句のようなどよめきが起こった。流石にあれはかわいそう、そんな声がボソボソと聞こえる。
でも、どんな理不尽があっても切り替えてやり続けなければいけないのが、きっと人生なのだ。
一方の超名門だって完璧ではなかった。新チームの初戦だ。スーパー野球エリートだって、人間だからミスをする。
キャッチャーは、盗塁を刺そうとセカンドに投げて三塁ランナーに帰られてしまった。
他にもワンアウトなのにレフトフライで一塁ランナーが三塁ベースまで行ってしまった。
アウトカウントを間違える超凡ミスでチェンジ。熱中症を疑いたくなるような走塁だった。
さてさてキャッチャーはその後、控え捕手と交代させられていた。
超名門校の背番号2を秋に取ったからと言って、春もしくは夏に同じ番号を背負える保証はない。もちろん他校との勝負もあるから、センバツに行ける保証ももちろんない。
これからも戦い続けるしかない。毎日がヒリヒリとした戦いだ。頂点というフワッとしたものを目標に日々、歯を食いしばるのだろう。
こんな環境で鍛えられる高校生は本当に強くなるよなー、と思う反面、脱落したり燃え尽きた時のギャップを考えると胸がドキドキする。
ま、遊びまくってサボりまくっている高校球児だっているのだろうけど。
ちなみに試合は8回コールドだった。
ミスは同じようにするけれど、2チームには圧倒的な実力差があったように思えた。いくら頑張っても逆転できないこともある。それも人生では良くあることだ。そんな時は土俵を変えるのが賢明だ。
9月の日差しは、全く弱まることなく厳しかった。でも青い空と、黒土にわき起こる拍手がある幸せは素晴らしい。
コロナさえなければ…失った夏の大きさを逆に実感する1試合だった。
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