シャトルバスで隣になった、地元の女子大生が、楽しそうに話しています。
私、アルウィン行くの初めてなんだよね。今日は、アイシャドウも緑にしちゃった。気合入れすぎだよね。
先輩に、山雅行くんだって言ったら、ユニホーム貸してくれちゃった。やっぱ、着てきてよかったね。
スタジアムの中、隣の席の50代の男性は、照れ臭そうに話してくれました。
私、岐阜から来てるんです。車で2時間半くらいかな。豊田の方が近いですよ。岐阜にもサッカー見に行きますよ。でもね、やっぱりここに来たいと思ったんです。だから、シーズンチケットも買ってしまいました。
試合後、名古屋の鶴舞駅。緑のシャツを着たミーハーな私に、ユニホームを着た大学生が話しかけてきました。地下鉄で緑2人が向き合います。
今日は帰省のついでに、観戦に行きました。今年は3回目くらいかな。今度、是非一緒に、ゴール裏でアルプスイチマンジャクやりましょう。長野との対立?いや、松本の人は、あんまりそんなこと考えていませんよ。興味ないですから。
松本山雅。気になって、スタジアムまで行きました。松本駅から、無料バスで揺られること30分。広大な広場に沈むように、アルウィンはあります。空には近くにある松本空港から、近距離で飛行機が飛び立つ。広場では、親子がボールを蹴ったり、お弁当を広げたり。夢のような空間が、そこには広がっています。
奇跡。田舎町に出来てしまった、フットボールの聖地。
なぜ、人は、松本山雅に魅力されてしまうのか。
答えは簡単。スタジアムが素晴らしいから。
応援が素晴らしいからです。
楽しい所には、もう一度行きたくなる。そんな、単純な構造。
応援は、格好つけない。誰もが知っている曲を、分かりやすくシンプルに叫ぶ。新参者もすぐに入れるウエルカムな雰囲気があります。
何を言っているか、分からない。小難しいチャントを歌っているクラブの方々。観客動員が伸びないのは、あなたたちのせい。
誰もが、マフラーを買えば、緑になれる。敷居はないんです。
クラブ史に興味がある方は元川悦子さんが書いた「勝利の街に響け凱歌」を参考にして下さい。ヴェルディに触発されて、ユニホームが緑になったんだとか。面白いですね。
J1だろうが、J2だろうが、生き抜いていける強さ、情熱、魂が彼らにはある。
バスで隣だった彼女は、ママになっても、何度もアルウィンに行くんだろうな。
選手も偉いけど、それ以上に、誰もが楽しめるスタジアムの雰囲気を作ったゴール裏のリーダー達に、一番の敬意を。
あなたたちは天才です。
なんて、羨ましい街。