Chef's Note

『シェフの落書きノート』

美味しさに出会いたい

2009-09-30 | 美味しいお話
予約が最短で3ヶ月待ちのフレンチのランチ
この間、後輩といっしょに行きました。

業界でちょっと噂になっていたお店。

「ごちそうさまでしたぁ~」
…と、お店を後に…。

「普通でしたね~!」
「うん、普通だったね」
…と、共通の感想。

レストランジャーナリスト 犬養裕美子さんの言葉を思い出す。
「ランチといえども、紙のナプキンはありえない」
この価格だったら、言えてるな…。
そう思った。

なるほど…なのだ。
ビジネスランチではないからな。

「日が悪かったですね~」
「うん、悪かったみたいだね」

ナプキンの話とは全く関係ないが…
日が悪かったで済ますしかない。

その後輩は、1年前にも同じ店に行って感動したそうだが…
全くそういう感動は、今回はなかったそうだ。

当分の間、そのお店のことは忘れることにした。


今度は、あそこに行こうか?
…と、次に行く店の提案をする。

「あれっすか?」
「そう~あれだね」

ちょっと不思議なことをやっているお店。

店名は明かせない。

何故かというと…
皆さんが行っちゃうから…。

以前は、気軽に書いていた。
美味しいお店のお話し。
けど…
時が経過したとき、そのお店の数々は軸がブレていた。

「しまったぁ~。ブログに書いちゃったよ」
そう思った。

日が悪かったね。
では、なく…
軸…ブレちゃってるね~。

…だった(^^ゞ

何回か足を運んだが…ブレたままだった。
しばらくして、お店の前を通りがかったら、影も形も無くなっていた。

今、誰にでも本当にお奨めできる店は、2軒。
大阪の「淺井」さんだけなのだ。
あのお店は、大丈夫。
あの気合というか志しが他とは違う。

関西には、そんなお店が多くあると思う。
今、知っているのは「淺井」さんだけだけど。

ちょっと通りがかったお店に入って…
『うどん』や『おばんざい』を食べても美味しいお店が多い。
関西には、そんなホッとする美味しさに沢山出会う。

…が、東京は違う。
昔の東京には、確かにそんなお店が沢山あったように思うが…。
今は違う。

皆さんにご紹介するほど自信がない。
「行ってみてよ!美味しいよ!」
…とは、言い切れない。

どんどん変わっちゃう。
同じお店で同じ人が作っていても…
変わっちゃう。

ちょっと雑談ででも…
「あのお店は良かったよ」
…と、僕が言うと…。
それを聞いてた人が、行ってることが多いことに気がついた。
聞き漏らしていないことに驚いた。

お店の話をする時は、慎重にしなければ。
そう思ったのでした。
こんなにも影響力あるとは知らなかったもんね。

だから、簡単には、店名は言えない。
まして、ブログにはとても書けない。

今、僕が足を運びたくなるお店は、やっぱり和食系かフレンチ。

う~ん。
イタリアンには、何故か足が向かない。
意外性を打ち出している新進気鋭のイタリアンの話も聞くが…
何故かあまり興味がない。

僕が食べたいな…
…と、思うイタリアンは、素朴で温かみが溢れていて、身体と心にしみこんでくるような料理がいい。

そんなお店が日本のイタリアンのお店には少ないような気がする。

自分が仕事モードに突入してしまうようなお店には足を運ばないようにしている。
ド~ンと、疲れてしまうから…。

そんなに綺麗に着飾った料理でなくていい。
手に届かないような食材でなくていい。
まして、心に届かない説明なんていらない。

言葉なんていらないから…
口に含んだとき。
ふ~っと笑みがこぼれたり…
「食べる」という欲望が意識の外でわきあがってくるような食に出会いたいと思う、今日この頃なのです。








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