Chef's Note

『シェフの落書きノート』

賄い

2006-10-01 | 美味しいお話
賄い(まかない)とは、従業員の食事の事。

アウラの賄いは?
パスタの時もあるし、ランチをそのまま賄いにしてしまう時もある。
時間に余裕がある時は、試作が賄いになったりもします。

多くの飲食店のキッチンでは、「賄いなんだから…」
…という言葉を良く耳にすることがある。

この「賄いなんだから…」
…という言葉は、僕は好きではない。

無駄やロスを少なくするのに、工夫を試みて美味しい『おばんざい』を作るのは、大変に良い事だと思うが…。

スタッフには、餌を与えていればいいんだ。
…という考え方は大嫌い。

賄いこそが大切。
僕は、昔からそう思っている。

スタッフが賄いを楽しみにする店の料理は、気遣いがあったりして、文句なく美味しいお店が多いと思う。

今、色々な業界で人手不足が問題になっているが…
飲食業界は、ことさらに深刻な状況。

チェーン店の多店舗の出店や進出もそうだが…

スタッフの食事が、卵や納豆だけ…とか。

「えぇ!?これが食事?」と言いたくなるような残飯に近いものを食べさせるお店もあるそうだ。

今、賄いを出さない店やメニューから食べたいものを選ばせて50%OFFで食べさせたりする店も多いらしい。

そんな飲食店に共通することは…
「食べさせてやってるんだ!文句いうな!」
…という態度がありありだとか…。

飲食店で働いているのに、コンビニ弁当を食べていたり、毎日見飽きている料理を食べ続けたり…。残飯に近い食事だったり…。

仕事は、マニュアルにしばられ…
自分の個性も伸ばせず生かせず…。

労働時間も長かったりで、忙しくて結構ハードな仕事。

飲食業界で働くことに魅力を感じないのは当たり前なのでは?
…と僕は思う。

勿論、こんなお店ばかりではない…。

そして利益をだすのも大切なことだと思う。
無駄な経費は節減しなければならない。

でも、スタッフが食べる食事は無駄ではないでしょう?

スタッフが美味しいものを沢山食べて、元気で頑張ってくれれば…
きっと仕事も頑張ってくれる。

良い仕事を目指して、頑張ってくれれば、成長もしてくれるし…
お客様にも大きく還元される。
お客様に還元されれば、またそのお客様はお店に来てくれる。

僕は、いつもそう思っている。

孫子も言っている。
「兵の食事を考えない戦いは、兵の士気も上がらず必ず敗れる」と…。


料理というものは、不思議なものだ…と思う。
料理には、作り手の気持ちそのものが反映する。

美味しいとかマズイとか…そんな領域をこえて…
作った人の心そのものが反映される。

失敗しても成功しても…。



もちろん、賄いには高価な材料は使えないけど…。

お金も大切…
物も大切…
でも、人が一番大切。

スタッフも…
美味しい材料を届けてくれる業者さんも…
店にも僕にも、人が一番大切なんだ…と僕は思う。

我慢しなくてはいけないことがあったら、まず僕が我慢をすればいい。


スタッフの食事をケチるより、良い仕事をしてもらって…
スタッフやお客様に愛されるお店にするほうを僕は選ぶ。

それは、いつか必ず何かの形になって帰って来るさ…。

色々な事情や状況があって、辞めていく人もいる。
それは、それ…。
去る者は追わず、来る者は拒まず…。


賄いは、働いてくれる人の明日の意欲であり、命の源なのだと僕は思う。
僕がそうだったように…。






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