理想国家日本の条件 さんより転載です。
幸福実現党
2021/04/22
「言論チャンネル」では、政治や経済、社会保障、国際関係などの時事問題の中から
気になるテーマを取り上げながら、本音の議論を進めます。
2021年4月20日収録
幸福実現党党首 釈量子
◆二股外交の元凶、親中派と公明党
4月16日、菅首相とバイデン大統領が会談し、共同声明を発表しました。
共同声明では約半世紀ぶりに「台湾」を明記しました。「香港」や「ウイグル」の人権も問題視し、中国を牽制しました。
欧米は中国の人権問題について制裁に動いており、「人権中国包囲網」が出来つつあります。
まず、今年1月、トランプ政権のポンぺオ国務長官がウイグルの人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に認定しました。同月、ウイグル産の綿やトマトの輸入を停止しました。
国連の「ジェノサイド条約」では、殺人のほか、集団構成員に重大な肉体的または精神的な危害を与えることや、意図的に出生を妨げることなどが含まれています。
最近、ウイグルから逃げ出した女性たちの勇気ある証言が出てきていますが、レイプや拷問に加え、不妊手術があったと証言しています。
日本はそもそも「ジェノサイド条約」を批准していません。加藤官房長官は、米国のジェノサイド認定を受けて、「懸念を持って注視している」という懸念表明を行いました。会見の中で「ジェノサイド」という言葉も使用しませんでした。
3月には、EUがウイグルの人権弾圧に関わった当局者に対する制裁を発動しました。天安門以来初の制裁です。
その後、米国、英国、カナダはEUに足並みを揃えて、制裁を課しました。
これで、G7(アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランス、イタリア、カナダ)の中で、制裁に参加していないのは、日本だけになりました。
公明党の山口代表は、「欧米に足並みを揃えるべきか」と質問を受け、「人権侵害の根拠がないのに、制裁を課せば、外交問題を引き起こす」と答えました。
こうした状況なので、日本の国会はウイグル人権侵害を非難する「国会決議」も行っていません。
そんな中、4月6日には「人権外交を超党派で考える議員連盟」が発足しました。自民党の中谷元・元防衛相と国民民主党の山尾志桜里・衆議院議員が発起人代表です。
発起人の一覧を見ると、共産党議員も参加し、まさに超党派です。しかし、なぜか公明党議員の名前が見当たりません。
共産党の志位委員長は、「毛沢東を一番礼賛したのは公明党」と皮肉を述べましたが、言い得て妙です。
このように日本の二股外交の元凶は自民党の親中派や公明党にあると言わざる得ないわけですが、これが欧米の不信感を生んでいます。
米国はウイグルの人権弾圧に加担した企業をブラックリストに載せ、米国企業の輸出先を失いました。米国は身を切って、中国の人権弾圧に対峙しようとしています。
しかし、米国は今、同様の覚悟が、日本政府にあるのかを問うています。
◆世界に広がりつつある北京冬季五輪ボイコット
日本政府が躊躇っている間に、2022年2月に開催予定の北京冬季五輪をボイコットすべきかどうか、米国で議論が始まっています。そして、世界に広がりつつあります。
ボイコットの支持者は、ウイグルやチベット、香港の民主活動家弾圧、台湾への軍事的威圧を許してはいけない。北京五輪をボイコットし、中国を罰する必要があると考えています。
中国にとっては、北京五輪は国内支持を固め、世界中にプラスのイメージを広めるまたとないチャンスです。各国政府が難しい対応を迫られるのは間違いありません。
イアン・ブレマー氏が創業した米国のコンサルタント会社「ユーラシアグループ」は、ボイコットの方法を3つに分類し、どれほどの可能性があるか、算出しました。
◆北京冬季五輪ボイコット、3つの方法
「ユーラシアグループ」が提唱する「北京冬季五輪ボイコットの3つの方法」の一つ目は、外交的ボイコットと呼ばれるもので、可能性が60%あると見ています。
これは、政府高官を北京に派遣させないことで、オリンピック開催国としての立場を外交面から批判するものです。
参加国は、米国、カナダ、英国、オーストラリアに加え、EUの数か国と予想し、日本やインド、韓国は中国との経済的なつながりが大きく、参加しないと見ています。
二つ目は、アスリートのボイコットで、可能性が30%あると見ています。
アスリートのボイコットは、米国内の政治圧力により、オリンピック選手が競技に参加することを中止させることです。
また、米国民が観客として北京に行かない、米国内でテレビ放映も行わない、スポンサーにならないことによって中国に利益を与えない、という経済的ボイコットもあります。
アスリートのボイコットや経済的ボイコットは、外交的ボイコットよりも厳しい対応になるので、米中関係は冷戦状態に入り、中国政府は欧米ブランドのボイコットを指示するだろうと予想しています。
三つめは、当たり障りのない中国非難声明を出すものです。これは、公式のボイコットではありませんが、一番可能性が低く10%と見ています。
米上院議員(ロムニー)の中には、外交的ボイコットと経済的ボイコットの併用が最善の策だと主張しています。
なぜなら、米国民が観光客として北京に行かないので、中国はホテルや食事、チケットで儲けることができない。
一方で、人生をかけて練習してきたアスリートの舞台を用意することができるからです。
今後も、米国やヨーロッパで北京オリンピックのボイコットについて議論されると思います。
米国務省は、「ボイコットを公式に決めてはいないが、今後大いに議論したい」と、ボイコットに含みを持たせています。
◆ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本企業
日本はウイグル人権弾圧に対する制裁と同じく、新たな外交姿勢が問われることになります。これまでの加藤官房長官や公明党・山口代表の発言を見ると、これからも「中国忖度政治」が続くような気がしてなりません。
民間企業にも影響が出ています。衣料品ブランドは批判リスクを負って、新疆綿を使い続けるか、取引を止めて中国の不買運動を受けるか、難しい対応を迫られています。
スウェーデンのH&Mは強制労働の疑いがあるので、新疆綿を使用しないと発表しましたが、中国の不買運動に直面しています。
ナイキも、同様の理由で、新疆綿の使用を停止しました。
しかし、無印良品の良品企画は新疆綿の使用を継続し、問題があれば取引を停止すると発表しました。ユニクロの柳井会長は「政治問題なのでノーコメント」と答えました。
日本企業は歯切れの悪い対応となりました。そんな中、カゴメが新疆産のトマトペーストの使用を中止すると発表しました。
総じて、H&Mやナイキなどの欧米の企業は、ウイグルで人権弾圧の疑いが残っている限りは、取引しない。日本の良品企画は、確かな証拠がないので、取引を継続する。このように判断が分かれています。
日本政府や日本の企業は新たな対応を迫られています。日本が中国との経済的関係が深いのは確かですが、現在、経済原理を超える価値判断が求められています。
日本人の意識も変わりつつあります。産経新聞とFNNの世論調査によると、ウイグルや香港の人権問題について、日本も国会決議や制裁で関与すべきかどうか聞いたところ、8割が「関与すべき」と答えています。
中国の人権弾圧に対して、日本は宗教観や政治哲学に基づいて、価値判断すべき時が来ているのではないでしょうか。
今後は欧米に足並みを揃えるという消極的姿勢ではなく、アジアのリーダー国として日本が率先して人権擁護に動くべきだと思います。
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執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
2022年北京冬季五輪ボイコット、3つの方法。ウイグル弾圧で加速する人権中国包囲網。二股外交の元凶は自民親中派と公明党。日本企業(ユニクロ、良品計画など)のウイグル対応は?(釈量子)【言論チャンネル】