でかい小型犬

近所の家が「でかい小型犬」を飼い始めた。

初めは、窓枠に置かれたぬいぐるみだと思ったのだけど

よく見るとつぶらな瞳はこちらを見つめているし、しっぽが嬉しそうに動いている。

なんだあいつ！

ガラス窓に足をかけて通る人を眺めるのが楽しいらしく

帰りに通りかかったときも同じ格好でこちらを見つめている。

ものすごく可愛い。

顔かたちからすると、小型犬だと思うのだけどなんだかでかい。

わたしは小型犬が好きじゃないのだけど

「でかい小型犬」にメロメロである。

惜しいことにこのご近所さんとは付き合いがない。

どうにかお近づきになりたいものだ。

別れ

近所の犬が死んだ。

わたしが今の家に越してきた10年以上前には、すでに飼われていた犬。

両親と、小学生の二人の子供、可愛い子犬。

絵に描いたような幸せな家庭だった。

離婚して母親が出て行ったらしいと噂を聞いたのは何年前だろう。

犬の散歩をしていた小学生の男の子が、いつの間にかぐれた感じになったのはいつからだろう。

数年後、ぐれた（ように見えた）男の子はいつの間にか社会人になって

友達と車の前で笑いながら、犬と遊んでやったりしていた。

そのうち、犬小屋の前で寝てばかりなのを見るようになった。

姿が見えないときは心配したが、暑さや寒さが厳しいときは家の中に入れてもらっていたらしく

いつの間にかまた、外で寝ていた。

そして先日、犬小屋がなくなっていた。

名前を呼んでもわたしに愛想を振りまくことはしなかった犬。

さようならというほどの関係ではないのだけど。

いろいろ買っちゃう

テレビで、猫グッズの店のオーナーが

なぜ犬グッズではなく、猫グッズを売ることにしたかと聞かれ

「犬は同じ犬種じゃないとグッズを買ってくれないけど、猫グッズはどんな種類も売れるから」

と、答えていた。

前にも似たようなこと聞いたことあるなあ。

そういう傾向はあるかもしれない。

猫好きの人って猫の絵柄なら守備範囲が広い。

でも、やっぱり自分ちの猫と同じ毛色とか種類を選ぶ人も多いと思う。

犬を飼ってないけど、犬グッズ買っちゃう人もいるし。

わたしは犬は雑種派なので、グッズがないのが悩みです。

無事に。

犬を探すチラシが新聞に挟み込まれていた。

電柱に貼られているのも見かけた。

飼い主の心配と悲痛な思いをひしひしと感じた。

見つかりますようにと、祈らずにはいられない。

つれないあの娘

近所で飼われているほとんどの犬は人懐こく、

自分の家で飼えない代わりによその犬たちを可愛がっている。

ロコは身体は大きいがおとなしく、「猛犬注意」のステッカーはあるものの

通りかかると家の柵から顔を覗かせて、わたしのことを舐める舐める。

ランは知らない人には吠えるが、

わたしのことは遠くからでもわかって尻尾を振って待っている。

クッキーもハナちゃんもみんないい子なのに

アスカだけはいつまでも打ち解けない。

朝、アスカが悲しそうに「ふんふん」鳴いているので

もしかして紐がからまってしまったとか？と心配して覗いてみると

どうやら一家でお出かけしてしまったらしく、玄関のドアを見つめて鳴いている。

さびしいのね。

アスカちゃん、どうしたの。

声をかけた途端に振り向き

「ワンワンワンワンワンワン！」

かわいくねー。

お散歩ハナちゃん

うちの近所は犬を飼っている家が多い。

9割は飼っているといっても過言ではない。

そして、うちも隣の家も猫を飼っているので

「犬猫飼育率」は100％、すごい地区だ。

物心ついた頃から犬のいない生活をしたことがなかったので

この三年弱は初めての「犬空白時間」といえる。

もちろん引越し当初から犬を飼いたかったのだが、なんせ借家だし

うちにはたらがいるし。

仕方なく近所の犬を可愛がって我慢してきたのだが

最近、また犬が飼いたいと思い始めたのだ。

これまで飼った犬のほとんどが子犬のときに拾ったということもあり、

わたしにとって犬は買うものではなく、拾ったりどこかで生まれたものをもらってくるものである。

明日にも処分されてしまう犬がいっぱいいるのに、なぜペットショップで買わねばならん。

昨日の帰り道、子犬が歩いてないかなーとぼんやり考えていた。

すると向こうから中型犬がへこへこと歩いてきた。

びっくりした、ハナちゃんか。

犬の放し飼いはいけないことだが、ハナちゃんは利口で大人しく

しょっちゅう一人でお散歩している。

淡々としていて会ってもあまり喜んでくれないときもあるが

昨日は道端でごろんとしてくれた。

猫を飼えるだけで幸せだと思っている。

多くを望むのはワガママというものだ。

でも、犬も飼えたらどんなに幸せだろう。

もちろん、たらが嫌がらなければだけど。

贅沢なのか？

犬飼っていい？

親に聞いたら怒られちゃった。

小学生か、あたしは。

発端は妹のメールだ。

いきなり子犬の写真を送りつけてきて

「この犬、飼える人いない？」

聞けば友達の友達が6匹拾って3匹は飼い手がついたという。

残り3匹か。

どうしても決まらなかったらわたしに声かけて。

とか調子のいい返事をしておいて家に帰って親に聞いたら怒られたというわけだ。

「借りてる家なのに犬なんか駄目に決まってるでしょ」

えーん、家が欲しいよう。

これまで気ままな借家暮らしと思っていたが

犬が飼えないと思うと、無性に持ち家が欲しくなる。

家じゃなくて犬が欲しいんだけど犬を飼うには家がいるわけか。

前の家も借家だったがちょっと事情が違っていたので

飼いたい放題、４匹も飼っていた。

猫を飼えているだけでも幸せと思っているが

犬も飼えたならどんなに幸せだろう。

なにしろ、物心ついたときからずっと犬と暮らしていたんだから。

猫と犬とはまるで違う生き物であるから

犬がいれば猫はいいとか、猫がいるから犬はいいとかいうものではないのだ。

泣く泣くわたしは妹にメールを打った。

『ごめん、父母がダメだって』

拾った犬を捨てて来いと言われた小学生のごとく切ない。

犬も好き

猫派の印象を持たれるわたしだが、動物はみんな好きである。

特に犬は、物心ついたときから必ず家にいて

一時期は迷い犬やら拾った犬やら4匹も飼っていた。

去年、最後の犬が16歳で死んでしまってから迷い込んできたのが今の飼い猫。

不思議なもので犬はオスしか飼ったことがないが猫はメスばかり。

そしてこれまで一度も（36年間一度も！）動物のいない生活をしたことがないのである。

買ってきたりもらってくるわけではなく、いつもなんだか迷い込んでくる。

そして、飽和になるとそれ以上増えない。

不思議としか言いようがない。

（写真は去年死んだパロという犬が子犬の頃）