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庭師のブログ(34) ヤブレガサウラボシ顛末記

2019年02月04日 | 日記
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(第34話) 古代植物 ヤブレガサウラボシ / ブキ・ティマ自然保護区

ジュラ紀には、私たちの地球は、古代植物に覆われていた。

今でも生き残っている植物はいくつかあるが、ヤブレガサウラボシというシダの一種もそのひとつで、ジュラ紀から白亜紀にかけて繁茂していたという。

ジュラシックガーデンをデザインするにあたって、欠くことのできない植物であるが、現在では地球上に少ししか残っていない希少種でもある。マレー半島には現存しており、かってはシンガポールにも存在していた。シンガポールから姿を消したのは、20数年前になると報告されているが、もしまだ生き残っている個体があるとしたら、手つかずの自然が保たれている、ブキ・ティマ自然保護区です、とシンガポールに行く前に、古植物学者のT博士からアドバイスをいただいた。

シンガポール2日目、一縷の望みを持って、さっそくそのブキティマ自然保護区に出かけた。







ブキティマ自然保護区には、シンガポールの最高峰があり、標高はわずか163メートルであるが、ちょっとしたハイキングが楽しめる。頂上を取り巻くいくつかのコースがあり、それぞれに簡単コース、難しいコースと色分けした地図が、スタート地点の案内板に表示されていた。

シダの写真を撮りながら、簡単コースを回り道をして頂上についた。


頂上の石に、私の帽子をかぶってもらった。

特に山の名前はなく、頂上と書かれた石の写真を撮って、今度は近道の階段を下りて、分かれ道にでた。そこから、脇道に入って、山を下って行ったが、途中右に折れていく道があまりによく整備されていたので、そのまま細い道をまっすぐ進んでいった。



シダの写真を撮りながら下りていると、道の右側に、これまで目にしなかったシダの株を見つけた。




拡大写真

直感が、「ヤブレガサウラボシだッ!」と、私の頭にささやいた。

すぐに、写真を撮った。胞子嚢が決め手になると思い、葉の裏側も撮った。ついでに、最近覚えた動画も撮った。

結果的には道をまちがえていて、雨の中、長い距離を歩く羽目になったが、この大発見に比べると、そんなことは私にとっては些細なことであった。

翌日、シンガポール植物園を訪れた。インフォメーションセンターで、事情を話し、写真からシダを同定してほしいので、研究員の方に会いたいと伝えたところ、その日は日曜日で、研究員は休みなので、明日電話するか、メールをして下さいとのことだった。

せめて、ほんもののヤブレガサウラボシをみたいので、植物園のどこに行けばいいか尋ねたところ、係員の方は広大な植物園にある全植物が記載されている分厚いリストを取り出して調べてくれた。

驚いたことに、リストの中には、ディプテリス(ヤブレガサウラボシ)もその仲間のマトニアもなかった。

翌日、言われた通り、電話もし、メールも送ったが、返事は来なかった。

次の日、自然が手つかずの状態で残っていると言われている、ウビン島に船で渡った。そこで、再びヤブレガサウラボシに似たシダの群落を見つけた。あっちにもこっちにもあった。よく見るといくつかの似た種類があって、一部はツル性で、枯木に這い上っていた。

ここに至って、ブキ・ティマで見つけたシダは、ヤブレガサウラボシではなく、このウビン島にいる仲間ではないかと疑い始めた。

ともあれ、再び植物園を訪れた。今回応対してくれた親切なインド系の女性係員は、私の撮った動画を、自分のスマートフォンに移し撮って、必ず研究員の方から連絡するという返事をもらった。

帰りのシンガポール空港で、その研究員の方から、メールが届いた。

動画ではよく同定できないが、カニクサの一種ではないかと思われる。別の写真を送ってもらえば、はっきりしたことを伝えることができるという内容だった。

写真はデジカメで撮っているので、帰国してからでないと、プリントできないので、そのまま返事をせずに飛行機に乗った。

帰国して、何日かたってから、郵送で4枚の写真を、植物園と、T博士に送った。

T博士からは、残念ながらヤブレガサウラボシではないといいう返事をもらった。私の中ではすでに、95%、ヤブレガサウラボシではないという結論に達していたので、失望することはなかった。

だいたい、学者でもない私のような素人が、そんな大それた発見をするわけがない。そもそもの間違いは、私が本物のヤブレガサウラボシを見たことがないという、初歩的なことであった。あまり写真や絵で見続けたので、よく知っているような気になっていたようだ。

シンガポールでは絶滅したが、沖縄の西表島には自生している場所があるので、いつか機会があれば行ってみたいと思っている。


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庭師のブログ(33) リー・コン・チアン自然史博物館 

2019年02月03日 | 日記
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(第33話) 恐竜図鑑と、自然史博物館





外国に行くと、必ず現地の博物館を訪れる。

社会人になって、学問に接する機会のなくなった私たちが、知らないことを学んで、充実した気持ちが味わえる場所が、博物館である。特に、科学博物館や、歴史博物館は面白い。

最近、古代植物だけでつくるジュラシック庭園なるものをデザインしているところなので、考古学全般に興味を持つようになってきた。

そういう志向を持った私みたいな人が多いとみえ、書店に行くと、分厚い恐竜図鑑がたくさん並んでいる。こどもはもちろん、あれは大人向きにも編集している節がある。確かに恐竜の名前に関しては、低学年の小学生にも及ばないが、恐竜時代の背景については、図鑑の解説を読んで、にわかに物知りになった大人が勝る。かくして、こども恐竜博士と、おとなインスタント恐竜博士がたくさん輩出される。







そんなわけで、シンガポールに着いて、一番最初にリー・コン・チアン自然博物館を訪れた。

ここには貴重な標本ばかり展示されているので、入場料は13ドルと安いが、現金では入場できなくて、身分証明代わりのクレジットカードが必要である。万一展示物を損傷した場合、あとでそのクレジットカードから差しいかれるようだ。そのせいか、館内は10数名の中学生の団体をのぞいて、見学者はまばらだった。


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シンガポールの庭園 シンガポール大学 

2019年02月01日 | 日記
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シンガポールの庭(2) シンガポール大学





アジアの大学ランキングというのが、毎年発表されているそうです。

世界はともかく、アジアの中なら、東大が一番かなと思っていたら、なんとランク1位は、シンガポール大学でした。何を基準にランク付けしているのか知りませんが、東大はアジアで8位に甘んじているのでした。

狭い国土にも関わらず、大学には手厚く、あまりの敷地の広さに、歩ききれませんでした。

構内のカフェで、コーヒーを飲んでいたら、10人くらいの若者と、先生らしきグループが入ってきて、何やらミーティングを始めました。アジアをリードしているという自負のようなものがあるのでしょうか、みんなきりりとした顔立ちでした。






校舎の階段の横に、同じ階段が作ってあり、そこは水だけを流し、階段状の滝にしてありました。不思議な発想です。


広い階段の角を、サンセベリアの植え込みで、やわらげてありました。


リサイクルは、シンガポールの大切な資源と、フクロウたちは訴えていました。




大学の敷地内にある森に入っていく入口。奥までは入っていけないけれど、外からまたは、校舎の高いところからみると、こんもりしたジャングルになっている。









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