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庭師のブログ(38)  大英博物館

2019年06月27日 | 日記
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第38話 大英博物館









ロンドン2日目。

初日に、地下鉄、バスをマスターし、もう、一人でどこへでも行けるようになった私は、由緒ありそうな建物をキョロキョロと眺めながら、駅から博物館に向かって歩いた。

道端の、お乞食さんにも声をかけ、ポケットに溜まっていたコインを全部あげた。

日本では、乞食をすることも、乞食に物を施すことも、法律で禁止されているので、こうして外国で、ほんもののお乞食さんをみると、妙になつかしい。

大英博物館に着いたときは、まだ誰も来ておらず、移動販売車のコーヒーを飲みながら開館を待った。

イギリスに来て、一番楽しみにしていたのは、ロゼッタストーンをこの目で見ることだった。入口に展示してあったので、人垣でなかなかじっくり見られなかったが、人がいなくなった瞬間を待って、撮ったのがこの写真である。



私の記憶にあるロゼッタストーンの物語はこうである。

ナポレオンがエジプトに遠征した時、シャンポリオンという人が、軍隊について行った。あるとき、ロゼッタ村で、何やら字の書いた大きな石を見つけたので、それを夥しい戦利品と共にフランスへ持ち帰った。

シャンポリオンは、もともと商人だったので、エジプトから帰国後も、お金儲けにいそがしかった。晩年になってやっと暇と金がたっぷりできたので、いよいよ、古代エジプト文字の解読に取り組んだ・・・というのが私のシャンポリオン像である。

研究者でもない一老人が、時間をかけて、誰もなしえなかった古代エジプト文字を読み解いたという話は、私ならずとも読者を感動させた。

帰国後、シャンポリオンについて調べてみたら、史実はだいぶ違うみたいで、彼も数多くの歴史学者たち同様、早くから解読を試みていたようだ。

まあ、彼のおかげで、あちこちの石造物に彫られているエジプト文字の意味がわかるようになった。


展示品の石板には、当時の様子が、石に彫られている。



軍人が、弓矢、盾、槍などを携えて行進しているものが多い。

その背景に植物が描かれている。ヤシかソテツの仲間のようだ。これを見ると、数千年の昔、エジプトにも樹木を扱う技術者がいて、道路に沿って、等間隔にヤシ類を植えたのだろうか。


上の植物は、葉と実の形からすると、イチジクだろうか。










針葉樹のような木が彫られている。切り出して運んでいる様子からすると、レバノンスギかもしれない。

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ロンドンの庭園  キューガーデン 

2019年06月22日 | 日記
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ロンドンの庭(2) キューガーデン/王立植物園


大温室ヤシ園の全景

イギリスのキューガーデンは、世界最大で、最古の植物園と聞いていたので、ロンドン初日は、ここに行くことに決めていました。

親切なエリオットさんは、休みをとって、道不案内な私を、植物園に連れて行ってくれることになっていました。

地下鉄をいくつか乗り換えて、キューガーデン駅に着きました。出発が遅かったので、着いたときは、昼を過ぎていました。

一人旅に慣れているので、こうして、だれかと一緒に行動を共にするのは、戸惑いもありました。

私としては、気に入った個所をじっと見ていたいし、一旦離れても、また戻って見てみたいときもあるし、つまり、順路通り歩くのではなく、あっち行ったり、こっちいったりしたいのですが、同伴者がいると、どうしても気を使って、これまでのような気ままな行動がとれません。

大きな温室の中を2つ見てまわり、ハスの池を見た後、園内の売店で、遅めの昼食をとりました。

サンドイッチとワインを食べながら、話しているとき、エリオットさんの息子さんから電話が入り、なにか家で手伝ってほしいことがあるようでした。

見るものは見たから、もう出ましょうかと、私から申し出て、植物園を後にしました。





園内のあちこちで、先生に引率されて、植物園の見学に来ている生徒たちを見ました。




いろいろな印刷物で紹介されているのを見ましたので、多分これは有名な芸術作品だと思います。この写真ではよくわかりませんが、おでこから、頬、あごにかけて、カエデの葉が無数に浮き彫りにされていて、ところどころ剥げているように見えるのは、葉と葉の隙間です。


ウオーターリリーの池。白いのは、プラスチックか、ガラス細工のようなもので、この池に限らず、園内いたるところにこのような原色の構造物がありました。植物を引き立ててるわけでもなく、私には意図がよくわかりませんでした。


石垣と、シダ。日本的なものを感じたので、撮りました。


2棟の巨大な温室です。普通は、熱帯植物を入れているのですが、これは温帯植物の温室です。ロンドンも、名古屋も温帯気候なので、戸外にそのまま植えておけばいいようなものですが、貴重な植物もあり、温帯なら温帯らしく、ちゃんと管理の行き届いたところで、栽培しているのかなと思いました。





階上から眺めた温帯温室園の全景






植物園の周辺は、立派な家が立ち並んでいました。

急にそこを歩いてみたくなったので、植物園を出たところで別れることにしました。エリオットさんは、帰りの電車のことを心配してくれましたが、路線図を持っているので、ひとりで大丈夫と伝えました。

日本で一番広いと言われている、名古屋の東山動植物園が、合せて60ヘクタールあるのに対し、キューガーデンは120ヘクタールあります。

温室や、ハスの池は、ほんの一部だったようです。ロックガーデンもあったのに、見ずに出てしまいました。惜しいことをしました。

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ロンドンの庭園  はじめに

2019年06月15日 | 日記
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ロンドンの庭(1) はじめに



今回のガーデニングの旅は、ロンドンです。

数年前に、チェルシー・フラワー・ショウが、毎年イギリスで開催されているという話を聞いて以来、いつか行ってみたいと思っていました。

問題は、その開催時期でした。

5月というと、そう簡単に休みが取れないからです。もう一つは,10何時間も、飛行機に乗っていなければならないことで、そうまでしてという思いがありました。

昔、北タイのチェンマイに行く列車で知り合った、ロンドン在住のエリオットさんに、チェルシー・フラワー・ショウに行ってみたいと、今年の年賀状にちょっと書き添えたところ、是非にと、いろいろ資料を集めてくれたので、準備不足もありましたが、急遽行くことにしました。

宿泊は、ロンドンのホテルは総じて高いので、彼に探してもらったのが、今回の宿泊先である、民家を改装した、ベッド、バス、キッチン付きの部屋でした。おかげで、ロンドンの下町に住む人たちの生活を垣間見ることができました。

正味5日間の日程でしたので、何かと忙しくて、のんびり旅行を楽しむ余裕はなく、食事もパンと水だけあればいいというような生活でした。そうはいっても、近くのコンビニみたいな店で、ハムやら、バターやら、キュウリやら、そのまま食べられそうなものだけ買ってきて、あとはワインで締めくくって、質素な夕食はおしまいです。

昼食は、出かけた先の施設で売っているサンドイッチか、外に出た時は、パブに行きました。

交通は、ありがたいことに、空港から、私の宿泊先まで、一回の乗り換えで一本の線でつながっており、それをベースにして、目的の施設に簡単に行くことができました。

市中を走っている例の二階建てのバスにも乗り、その日の施設を見終わった後、時間に余裕のある時は、二階席の前のシートに座り、ロンドンの街を眺めるのが楽しみでした。何しろ、夜の8時になっても、昼のような明るさでしたので、アフターファイブの時間はたっぷりありました。

たいへん充実した5日間でしたが、唯一残念なことは、世界で一番美しい村と言われているコッツウオルズに行かなかったことです。

準備不足で、勝手にコッツ地方は、どこか遠いスコットランドの方にあるものと思い込んでいたので、初めから予定に入れてなかったことです。ロンドンにいた時でさえ、そこがロンドンからさほど遠くないところにあることに気が付きませんでした。

今、イングリッシュガーデンンに大変興味を持っていて、チェルシーに行ったのもそのためだったのに、庭づくりのベースでもある、コッツウオルズのライムストーン(石灰岩)で覆われた、石造りの家や、石垣を見ることなく帰ってきたことは、悔やみきれません。帰国後、色々調べてみると、数多くの日帰りツアーもあったようです。

旅に限らず、思い込みと、準備不足は、戒めなければと、よくよく自分に言い聞かせました。

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