88グリーンビートル

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サンディエゴの庭(5) 日本庭園 

2018年01月26日 | 日記
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日本庭園

サンディエゴ市の真ん中、緑に覆われた台地に、有名なバルボア公園があります。

その台地の南の一画に、山襞をを利用して作られた本格的な日本庭園があります。台地の上から谷川を伝って水が流れ、池に達します。池には大きな錦鯉が悠然と泳ぎ、見学者たちを魅了していました。設計は、作庭家の中山氏、施工は清水建設ですが、実際の工事は、地元の造園業者が担いました。

日本庭園となると、何十年この道に携わってきたので、庭を一巡しただけで、何もかも事情がわかってしまいました。

すばらしいのは、この地形を活かした設計です。普通ならだれも見向きもしない荒れ地の斜面を、季節の移ろいを楽しむ散策路に、かえてしまったことです。そして、谷川の行きつく先に、池泉回遊式の日本の伝統技術を取り入れた、庭園が待ち構えています。写真ごとに私の感想を書いてみました。















写真(1)谷を流れる水は、池に到達します。おそらくポンプでくみ上げて、谷川の上部まで運び、循環させているのだと思います。サンディエゴの近辺の崖からは、白くて、丸っこい石がいくらでも取れます。日本庭園でも、これらの石がふんだんに使われています。日本の庭石のように、石に表情がないのと、現地の職人が、機械的に谷川に沿って並べただけのような感じがして、設計図通りだけど、奥深さがないように思いました。気候風土の違うところに、日本と同じものをそっくり持ってくることの難しさを感じました。


谷へ下りていく、遊歩道です。グリーンビートルが、独自で工夫を重ねて考案したと思っていた”防草土仕上げ”が、この道に既に施されていました。








マツが、園内に10数本植栽されていました。ていねいに葉むしりがかけてあるので、これは日本人の手に違いないと思って、受付できいてみました。毎年2人の庭師が日本から来てマツの手入れをしていくとのことでした。同じく園内にマキの木がたくさんありした。日本では、マキはマツと同じように仕立てますが、こちらのマキは手付かずでした。マキは、サンディエゴのいたるところでふつうに見かけるので、雑木くらいにしか思ってないのかなと思いました。





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サンディエゴの庭(4) サンディエゴ動物園

2018年01月25日 | 日記
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サンディエゴ動物園



サンディエゴ動物園は、世界一の動物園として、昔から知られています。

具体的に何が世界一かまでは知りませんが、総合的に判断した結果そうなったのだと思います。

一つだけ言えるのは、入場料の高さです。日本円で、大人6000円、子供5000円は世界一かもしれません。まあ、それだけ維持管理に費用をかけている立派な動物園ということができます。

名古屋の東山動物園も、日本一と言われてきたような記憶があります。東京上野動物園の2倍の敷地面積があるそうです。

私のこどもの頃から、既に恐竜が三匹池の中にいました。あまりにもよくできているので、本物の恐竜だと思ったこどもたちも、たくさんいたように聞いています。その歴史ある動物園でさえも、隣接する植物園の入場料まで含めて、大人料金がたったの500円、中学生以下にいたっては無料です。


確かチンパンジーの住まいです。















ガーデニングから話がそれてしまいますが、動物園というと、せまい檻の中に、見世物のように飼われていた時代から、今ではその動物が棲んでいる環境を再現して、自然界に近い姿で、のびのびと生活している様子を、みてもらう動物園に変わってきています。

愛知万博を動物園に見立てると、日本館は300坪 (1000平方メートル)の敷地があり、その敷地の中に、実際人が住み、食事をしたり、日常生活ができる簡単な日本家屋が建っています。もちろん畳を敷いた部屋があり、家の前にはちょっとした和風庭園もあります。敷地の周囲は、里山を思わす林があり、小川も流れています。魚も泳いでいるし、スズメも飛んできます。

まあそのようなパビリオンが、世界中の国の数だけ、150あるとします。そうすると、15ヘクタールの敷地面積が必要で、パビリオン以外の面積をその倍としますと、東山動物園の面積が32ヘクタールあるので、ちょうどそれにぴったり一致します。

そこで登場するのが、植物を知り尽くした庭師や、その他大工、石工、左官などの職人です。4人の職人でチームを作り、一つの国のパビリオンを担当し、完成させます。150チーム、600人のボランティア職人が自費で、現地にいって、どういう住宅環境で人々は生活しているか、つぶさに観察してくるところから始まります。サンディエゴ動物園も、それに近い考え方をしていたのではないかと思います。

そんな夢みたいな話は、そこまでにして、話を元に戻します。

東山動物園は、ありがたいことに、日本一の植物園があります。二つを合わせると60ヘクタールの敷地面積になり、サンディエゴ動物園の43ヘクタールをしのぎます。世界第二の動物園になる可能性を十分秘めた動物園なのです。

でも、サンディエゴ動物園が凄いのは、その先です。

例えば、サルの環境に合わせて、高木を植え、ジャングルをつくっても、サルは木のてっぺんに登ってしまい、下から見上げてもよく見えません。

そこで、人が歩く空中回廊をつくって、木の上のサルと、目が合う高さにしてあります。ゴルフ練習場のような大きな金網の中で飛び回っている鳥たちの檻にも、その回廊は続いていました。

上の写真は、空中回廊です。サルの国へようこそという、サルの形をしたアーチが迎えてくれます。




空中回廊から、下を見下ろした写真

水中にいるカバは、池の断面を水族館のようにアクリル板で仕切って、5分おきに呼吸をする様子が、地中の通路から見れるようになっていました。魚も水族館なみに。群れを成して泳いでおり。なんでもカバが汚す水を、きれいにしてくれるのだそうです。

池は、かなり大きく、池の岸辺もそれらしい草が生え、なかなかリアルに作ってあります。





こうして、サンディエゴのメリーさん(私が勝手に名付けた)は、“アフリカ池”で、毎日スイミングを楽しんでいます。一方、東山動物園のカバの福子さんも広い池にいましたが、こちらはコンクリートでできたプールでした。


日本庭園もありました。この池は、カバの池ではありません。


アフリカの植物です。ゾウや、キリンの入り口です。

せっかく世界一の動物園に行ったのに、植物ばかり見て歩き、ほとんど動物をみなかったことが、今になってちょっと悔やまれます。











以上、世界のソテツでした。


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庭師のブログ(27)国境の町ティファナ

2018年01月22日 | 日記
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第27話 ティファナ/メキシコ

サンディエゴまできたら、メキシコもちょっと覗いてみようと思っていた。簡単に行けそうだったからである。

トロリーに乗って、終点のサン・イシドロ駅まで行くと、そこはもう国境だった。入国手続きを済ませて、街に向かってテクテク歩いていった。

途中、カントリーロードの一節だけを繰り返しバイオリンで弾いている賢そうな顔立ちの女性がいたので、バイオリンケースに1ドル入れて、しばらく聴いていた。入国を済ませたアメリカ人観光客が大勢前を通って行った。

この曲はアメリカ人観光客のために弾いているのかと尋ねた。

アメリカという言葉だけがわかったとみえて、「はい」といった。そのあと何を聞いてもわからないようだった。

その後、行く先々で道を尋ねたりしたが、英語は全く通じなかった。聞いてはいたけれど、これほどとは思わなかった。うかつなことに、メキシコでは私のワイファイは機能せず、頼りにしていた地図アプリが使えなかった。

人でにぎわう繁華街(写真)を通り抜けて、街の通りを(写真)をどんどん進み、はるか遠くに見える、高台の住宅地目指して歩いた。
高台は、急な崖の上の台地に広がっていた。







庭はたいして期待していなかったが、とにかく住宅地を歩いてみたかった。滑り台のような急な道路を登りきると、台地にでた。そこには、住宅地が広がっていた。庭のある家も、庭のない家も、そこそこの高所得者層が住んでいるのだろうか。しかし、住宅地といえども、ゴミだけは、下の町同様道路に散らかっていた。

こうもゴミをポイポイ捨てるのは、公徳心の問題ではなく、国民性なのだろう。ゴミが散らかってないと落ち着かないのは、程度の差こそあれ、誰にでもあるのだろうけれど、ゴミで街を汚くして平然としていられるのは、ちょっと日本人感覚では理解できない。













十分満足したので、早めに切り上げて帰ることにした。アメリカの再入国手続きに、何時間もの行列ができると聞いていたからである。

高台から見えるティファナのシンボル、巨大アーチに方角を合わせ、コンパスを頼りに帰り道を急いだ。おかげで無事元の繁華街にたどり着いたが、そこから入国手続きをする建物に行く道がわからない。誰に聞いても分からなかったので、最後の手段、タクシーを使うことにした。

ようやく反対車線を走っていたタクシーを呼び、行先を伝えた。驚いたことに、タクシーの運転手も英語を話さなかった。ゼスチャーで、なんとか通じたようだったが、心配なので大丈夫?と念を押したら、値段を聞かれたのかと思ったのか、10ドルといった。本当はもっと安いはずだと思ったが、この場合仕方がない。助手席に乗った。

乗ってみると、ずいぶん違う方向に遠くまで歩いていたとみえ、かなりの距離だった。ありがたいことに、行列緩和のため新しくできたという入国管理事務所の方に車を回してくれた。おかげで、たいして並ばずに再入国手続きをすませ、サンディエゴに戻った。外はもう暗くなり始めていた。

100ドルを換金したが、結局ペソを使ったのは昼食にタコスを食べたのと、博物館に入っただけで、ほとんどドルが戻ってきた。




擁壁というより、崖にコンクリートを張り付けただけの上に、家が建っているようにみえた。

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サンディエゴの庭(3) 州立サンディエゴ大学 

2018年01月19日 | 日記

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州立サンディエゴ大学

トロリーに乗って、サンディエゴ大学前で降り、エスカレーターで地上に出ると、そこはもう大学の広いキャンパスの入口でした。

月曜日でしたが、人影があまりなく、ひっそりとしていました。

広い敷地内には、見慣れた植物が、それぞれの校舎や、ホールをとり囲んでいました。



















このころになると、主だったガーデニング植物は、だいたい10種類ほどだということがわかってきました。大学のキャンパスも、ほとんどがこれらの木や草で占められていました。
ざっと挙げてみると、ワシントンヤシ、ロエベレニー、シュロ、ソテツ、カナリーヤシ、アガベ、ストレチア、サンスベリア、トベラ、ベゴニア、シャリンバイなどです。これらは、公園、街路、住宅地、などでも必ず目にします。


キャンパスの中を歩いていると、生物化学センターがありました。そこの建物をぐるっと回って裏庭に出ると、シダ園がありました。100坪ほどの敷地は柵に囲まれていて、園路が8のつくってありました。園路の両脇には、一応世界中から集めたと思われるシダが30種ほど植えてありましたが、写真のように貧相なものでした。シダを研究しているゼミか、研究室があるのか、鉢で栽培しているシダも別の棟に棚をこしらえて、並んでいましたが、ほとんどが萎れていました。



私が思うに、元は砂漠に近いようなところに、シダは無理なのではないか。シダ園をつくるなら、日陰になるような下枝を落とした高木を植えて、グリーンビートルで施工しているような散水装置で、頻繁に水を与えてやらないと、とても育たないと思いました。誰かが水を手まきしているのか、ホースだけは伸びていますが、量と頻度を満たす時間が割けないとみえました。ここにきてシダを見に来る人も、まずいないから、管理にもあまり力が入らないと思いますが、せめて水だけは充分やらないと、枯れないまでも、繁殖しません。せっかくあるのだから、しっとりしたシダ園にして、学生たちの憩いの場になればいいのにと思いました。

園の扉には、箱がかけてあり、寄附を募るプリントが入っていました。シダを購入したり、ラベルをつくったりする費用に、お金が要るそうです。その箱に入れるのなら、その場でできたのですが、寄附の送り先と、方法等が書かれていて、そこまでして寄附をするのはたいへんですので、立ち去りました。

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サンディエゴの庭(2) オールドタウン 

2018年01月18日 | 日記
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サンディエゴの庭(2)オールドタウン

歴史の浅いアメリカは、特に西部開拓時代を懐かしく思うのか、各地にオールドタウンがあります。今はこんな便利な世の中になったけど、ちょっと昔は、こんな風だったのかと思いながら、みて歩きます。

実は、私は西部劇が好きで、同じ映画を何度も何度もみるので、こういうところに来ると、アメリカ人でもないのに、何かこう、懐かしい気持ちになります。

下の地図は、園内の看板の一部を撮影したものです。

敷地内に点在するホテルや、住居や、店舗や、学校や、劇場や、教会などが、当時の姿で、乾いた土の上に、建っていました。現在建物の周囲に植えられている植物は、当時の写真を見ると、ほとんどなく、殺風景な景色でした。そのころ私のような庭師がいれば、緑で潤った、いい町にしたのにと、自分の夢を押しつけながら、オールドタウンを散策したのでありました。



警察博物館というのもありました。

当時使用されていた拳銃や、ライフルが、現在使用されている銃に変遷していく様子がよくわかりました。町の治安を担う保安官は、今も昔も、命を張って仕事をする、人々から頼られる大事な職業でした。平和を乱す悪党どもよりも、ガンさばきが上手くないといけないので、そのあたりから、色々なストーリーが生まれたのではないかと思いました。

銃の話をしてくれた警官姿の係員に、ずっと疑問に思っていたことを聞きました。

映画では保安官のことをシェリフと言ったり、マーシャルと言ったりしていますが、どちらの言い方が正しいのですか?

係員の方は、大きなカリフォルニア州の地図の前に案内してくれました。

アメリカの州は、日本の県みたいな捉え方を、ついしてしまいますが、カリフォルニア州だけで、日本より広い面積があります。

そのカリフォルニアを5つ位の地域に分けて、その一番南が、名前は知らないけれど、ナントカという郡です。北海道位の広さです。そこを担当しているのが、マーシャルで、その郡の左端の下にある、赤く塗った小さな部分が、サンディエゴです。その小さな町を守っているのが、シェリフということでした。















下の写真は、当時の町の人たちが育てていたいろいろな種類の木や、食料になる木イチゴなどを集めたガーデンがあって、そこで見つけたカシの一種です。私はこれと同じものを取引先の植木屋から譲り受け、今も大事に自宅の庭に植わっています。なんでも、たいへん珍しいカシで、チジミガシと言って、江戸時代にウバメガシが変化したものだということでしたが、こんなところにたくさん植わっていました。



オールドタウンは、愛知の明治村とは、ちょっと趣が違いますが、そういえば久しく明治村に行ってないので、暖かくなったら一度行ってこようかなと、思いました。

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