88グリーンビートル

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八丈島の庭 ヘゴの森、裏見ガ滝

2022年01月31日 | 日記
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八丈島の庭園② ヘゴの森ツアーと、裏見ガ滝

日本は南北に長い国です。

亜寒帯から、亜熱帯まで伸びており、植物相も豊富です。













ヘゴは木性のシダ植物ですが、日本でも亜熱帯地域に自生しています。すなわち、奄美大島、沖縄、小笠原、八丈島などで、特に八丈島が地球上に生息するヘゴの北限になっております。

しかし、八丈島ならどこにでも生えているかというと、そうではなく、南側の三原山に限られます。ヘゴの胞子はすぐ隣の八丈富士にも飛んでいくのでしょうけれど、ヘゴの生育には適さないみたいです。

八丈島には、ヘゴの森を散策するツアーがあって、それに申し込みました。集合場所についてみると、参加者は私一人だけでした。聞けば、コロナの関係で、別のグループの人たちと、一緒に組まないということで、結局私一人だけのツアーになりました。

ガイドしてくださる方は、農学博士の肩書を持ち、海外で研究活動をなさっていたとのことですが、ここ八丈島に移り住んで、植物の研究の傍ら、ガイドをなさっています。

この森は私有地で、場所は秘匿になっており、ガイドの方と一緒でないと、入山できない仕組みです。場所は公にされておらず、地図などで調べてみても、特定できません。

はじめに、私は造園業で、最近は特にシダ植物に興味を持っていることを伝えました。

そのおかげで、目にするシダをひとつづつ丁寧に説明してもらいました。







その様子を写真に撮られ、「ヘゴの森ツアーブログ」に掲載されていたのを、後日拝見しました。ノート片手にメモをとる、いかにも熱心な参加者みたいに書かれていました。


翌日は、裏見ガ滝というところに、ヘゴを見に行きました。

沢の両岸に沿ってつくられている、散策路を登っていくと、小さな滝があり、その滝の内側をしぶきを浴びながらくぐっていくと、そこが終点でした。









今回は、この2か所しかヘゴを見ませんでしたが、想像するに、三原山から四方に流れて海に注いでいる小川のような川沿いにだけヘゴは繁殖しているようです。そして、この三原山が、世界のヘゴの北限となります。

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八丈島の庭 大里集落の玉石垣

2022年01月28日 | 日記
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八丈島の庭園 大里の玉石垣



八丈島では、江戸時代の初めごろから、死罪にするほどでもない罪人を、いわゆる島送りにしてきました。

鬼平の異名で盗賊どもに恐れられた長谷川平蔵から、罪一等を許されて、永代橋から島送りになるのですが、中には悪い人ばかりではなく、幕府に逆らったり、意を唱えたりした人までも島送りになりました。そういう人達の中には、学問もでき、優れた技術を持った人もいて、そのような人たちが、八丈島の人たちにいろいろ教え、文化をつくってきたといわれています。

八丈島に着いた罪人たちは、粗末な宿舎はあっても、牢屋などはなく、島の中を自由に歩き回れました。中には小舟で島を抜け出そうと試みた人もいたそうですが、飛行機の窓から海を見るていると、とてもそんなことができたとも思えません。

島では自由だと書きましたが、食べるものは、自分で何とかしなくてはなりません。魚を捕ったり、木の実を拾ったり、原始人みたいな生活をすればいいと誰もが思いますが、現実には厳しいです。

幸い港の高台に、島役人たちが住んでいる地区があって、そこの石垣を積む仕事が与えられます。



石は、海岸に無数に転がっている、丸い石です。重さ20キロくらいの、その丸い石を、海岸から急な坂道を登って運び上げると、おにぎりが二つもらえます。八丈島は、雨もよく降るので、そのことも計算に入れて、運べるときに、運んでおかないと、空腹で倒れてしまいます。



また、石は、どれでもいいわけではなく、大きさ、形がそろったものだけが、石垣に使われています。

石垣は写真の通り、丁寧に積んであります。あれだけ粒のそろった石なら、私のみならず庭師ならだれでも簡単に造れます。

私たちが田舎で目にする、棚田や、段々畑の石垣は、平べったい石や、長細い石もあり、大きさもまちまちです。丸い石ばかり選んで使っていると、仕事になりません。そこで、私たちは、どんな形の石であろうと、それらを上手に使って石垣を組んでいきます。要は、崩れなければいいのですが、これには相当の技術がいります。

八丈島の場合、人手も時間もたっぷりあるので、おそらく、海岸で石の大きさや形を選別する人がいて、規格に合った石だけを運び上げていたようで、積み手も、これならかなり楽です。

とはいっても、隣接する上下左右6つの石と、真ん中にくる石が嚙んでいないと、強度が落ちるから、それは同じ罪人でも、上手な人が選ばれたと思います。まあ、私の腕だと、一日積んで、おにぎり10個くらいはもらえたのではないでしょうか。

いまでもそれら石垣の上に家屋が立っていて、数少ない八丈島の観光スポットとなっています。





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八丈島の庭 はじめに

2022年01月28日 | 日記
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八丈島、東京の庭園 はじめに

(写真 八丈富士)


毎年恒例のようになってしまった、正月明けのガーデニングの旅も、一向にコロナが終息の日を迎えないので、今回もまた沖縄かなと考えていました。

そんな中、たまたま2メートルくらいのヘゴを手に入れたので、事務所前の小さな庭に地植えして、屋外で冬越しできるか、実験することにしました。育ててみると、10日ごとに大きなゼンマイができ、みるみる伸びて大きな葉をひろげました。すっかりヘゴが気に入った私は、ヘゴなら沖縄に行かなくても、八丈島に生息していることを思い出し、急遽八丈島行きを決めました。

(写真) 裏見ガ滝の、ヘゴの自生地


結果的には、それがよくて、正月ごろから沖縄はオミクロン株が、爆発的に増え始め、とても行ける状況ではありませんでした。無理押しして出かけても、現地ではほとんどの施設が閉鎖されて、何の得るところもなく帰るところでした。今思えば、ヘゴのおかげで、今年の正月は、コロナを避けて、うまく立ち回ることができました。

10日間の旅は、前半が八丈島、後半は東京の博物館や、植物園を計画しました。

東京ではぜひ行きたかった施設は閉館されていたり、人数制限で、インターネットからの予約が必要だったりして、思うように行動できませんでしたが、その分みんなが行くように浅草を歩いたり、スカイツリーに登ったりして、東京見物みたいなことを体験できました。

(写真) ホテルの25階から見た朝の新宿


都庁の前にホテルをとり、歩いて数分の新宿駅を拠点に、あちこち出かけるのが、当初頭の中で考えていた計画でした。

ところが、一日の終わりに、新宿駅に戻ってくると、どこに自分がいるのかわからず、まともにホテルに帰れたのは、最後の一日だけでした。あとは、迷いに迷って、タクシーで帰ったこともありました。初めて来た人はみなさんそうですよと、タクシーの運転手も言ってました。そんなバカなと思うけど、そうなんです。

さて、今回のように10日も旅行すると、国内旅行とはいえ、かなり費用がかかることに気が付きました。宿泊費や食事代、現地での交通費、施設の見学費用などですが、考えてみると、これらの費用は、海外旅行をしても、一日当たりに計算すると、日本で旅行するのと同じようなものです。

同じ日程で、ハワイや、シンガポールに行ったとしても、違うのは航空運賃だけです。

確かに沖縄や、八丈島に行くことを思うと、高いといえば高いですが、海外行きの航空運賃と国内旅行の鉄道、航空券の差額は3万円か、4万円くらいなものです。

さて、コロナ騒ぎのおかげで、日本にもいいところはたくさんあることに気づかされましたが、ガーデニングの目で、海外の庭をもっと勉強したかったのに、という残念な気持ちもあります。

まだこの先、次々新たな変異株が地球のどこかで生まれて、瞬く間に世界に広がり、もう聞き飽きましたが、第7波、第8波、第9波、第10波と延々と続き、誰かが詠んだように、ハワイのことは、夢のまた夢ということになるのでしょうか。

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