にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

ボディ・サイレント

2010年03月28日 | 日々のこと
数日前から、ロバート・マーフィーという人が書いた、『ボディ・サイレント』という本を読んでいるのですが、とても面白いです。本の裏表紙には、次のように書いてあります。

「脊椎に出来た「良性」の腫瘍によって神経系が次々に破壊されるという死に至る病に冒された人類学者が自分自身や家族、周囲の社会をフィールドワークした感動のドキュメント。オリバー・サックスやレヴィ・ストロースも激賞!!」(平凡社ライブラリー)

ある日突然、「障害者」となることで、周囲との関係性をつくりなおすことを余儀なくされた著者が、生きるということについて、あるいは生きることと背中あわせにある死について、また、「障害」「障害者」がいかに社会によってつくられていくのかについて、自分自身の身体と対話を続けながら書いた本です。

著者の言葉を借りれば、「自分自身を観察の主体であると同時に客体として見ること」、あるいは、「書き手であると同時に主人公であり、調査者(エスノグラファー)であると同時に被調査者(インフォーマント)であることの難しさ」が痛いほど伝わってくれると同時に、周囲との関係性の中で絶えず変容する自分自身を見つめながら、文章を書いていくことの可能性を垣間見せ、勇気づけてくれます。




***ロバート・マーフィー/辻 信一 訳『ボディ・サイレントー病と障害の人類学』新宿書房、1992年。Robert,F,Murphy, "The Body Silent-The Different World of the Disabled",1987.***