silly ski squadronスキー雑記

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アバルマンと伸身抜重ターン

2006年01月08日 01時58分07秒 | スキーテクニック編
立ち上がり抜重は、別名伸身抜重、ストレッチングとも言われます。
ごく普通にスキーを始めた時に用いる手法で、しっかりした足場(これはどのターンをするのにも不可欠)から、身体をターン方向、つまり斜前下方に伸び上がって(投げ出して)やる抜重法です。
伸身する方向さえ間違えなければ、たやすいターンと言えるでしょう。
一番の間違った伸身方向は上…これは後傾を生み出し、結果ターンがしずらくなり、無理やりな内倒でターンしなければならなくなると言う悪循環を生み出します。

写真下が、まっとうな伸身抜重によるターン(スキーヤー:ジャン・ピエール・オージェ)です。
左から4コマ目で、既に外スキーは雪面を捉え始め、その後徐々に外向傾姿勢が見えてくるのが、よく分かります。
いいアングルの、イメージを抱きやすい写真ですね。

写真上の、当時ワールドカップで連戦連勝だったパトリック・リュッセルの使っている技術が、いわゆるアバルマン・テクニックです。
強いエッジングからの力を、進行方向へ下肢を投げ出すようにして捌いている。
一瞬の空中ターンのようにも見えます。又、左から4コマ目だけを見ると、まるで後傾で腰掛けているように見えますが、それが重心の遅れからではないことを理解して下さい(上体は安定している)。
身体の後ろにあったスキーが、つよいエッジングによって前方へ弾き出されると、板は重心を追い越し、前へ出るので、いっけん後傾のような腰掛け姿勢に見えるのです。
この時に、板の走りが生まれています。
現代のスキーでも、フォールラインを過ぎてからのターン後半では板は踏まずに走らせますよね。それと同じことです。

このふたつの技術に優劣はありません。
多分、使いどころが違うだけです。低速では伸身。高速ではアバルマンとなるのではないでしょうか。
アバルマン以前は、ここからは憶測ですが2コマ目から3コマ目へ移行する際に、もっと強い外向傾を取り、ターンを終え、そこから再び立ち上がる(伸身抜重)ことで次のターンに入っていたと思います。
アバルマンは無理やり作られた技術ではありません。
それまでと違った、硬いプラスチックブーツ、しなりの良い粘り強いグラスファイバー製のスキーを使って、競技で自然と選手たちが使い始めたテクニックなのです。
つまり、沈み込んで強い外向傾を取ってからターンを終え、再度伸身してターンを始めるという手間を、一気に解決する手法というわけです。

以前から何度も申し上げているように、オーストリアのヴェーレンテクニックや日本の曲進系は、コブを滑るために生まれた、後付けのターン手法のような気がしてなりません。
G・ジュベールが名付けた、アバルマンの姿勢だけを取り出して、換骨奪胎させたものと言えば言いすぎでしょうか。
そして現代に到るまで、アバルマンテクニックは生き続けているのですが、あえてそれを黙殺するような気もしています。これにはフランス国内でのジュベールの失脚も関係しているのでしょう

また、皮肉なことを言えば、その年の「売り物」がないとスキー教程が売れないために、本当はいじる必要のない理論を、いじってみたり、昔のまっとうな理論は意識的にか、無知のせいか、無視されているのが現状だと思います。

うさぎのメイデンのWeb Pageもよろしく。
ラパン・アジール(Lapin Asile)ウサギの隠れ家

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