私の不安解消法

誰しも多かれ少なかれ何らかの不安を抱えて生きているでしょう。がんと診断されて手術までの間、術後の苦痛の間、病理結果の出るのを待つ間、多くのがん患者が考えるようにネガテイブな方向に考えが向かっておりました。平常心だよとカミさんはじめ周りから言われても、すぐに平常心になれるようなわけでもありません。

ことに私は、白衣を見ると血圧が上がるような神経質で臆病者ですので、不眠も続きました。排液が多いですね、血圧が高いですねどうしてでしょうとか、患者に不安を増強させるような言動の看護師もおりました。高血圧外来で患者を診たり、医学部で長い間、高血圧治療の講義をしたりしておりましたので、「測定値だけ言ってくれ」と駄目だしをしました。

不安は、前頭前野領域の一部（背内側）でコントロールされていると言われています。酒を飲んだりなどで忘れようと計ったり、不安にフタをするようにすると不安は増大する性質を持っています。大丈夫ですよ何でもないですよと合理的な理由も証拠も示さずに不安を隠すように対応されるのも、不安を拡大するように対応されるのも患者にとっては不幸なことです。不安が暴走するとパニックです。

これらの諸々の背景でパニックに陥るのを和らげるのは、今日のテレビでも実験しておりました。「目をつぶって小川のせせらぎを思い浮かべて下さい」「水面を木の葉が流れていきます、見えますか」「その木の葉の上に、あなたの不安に思っていることを載せて流してやってください」、これを１５分位やって、自分の不安に思うことを一つづつ、流してやるのです。１週間から１０日で不安が軽くなるというのです。私の場合は、釣りの時には、コマセの中に、炊事仕事で皿を洗っている時には、その皿に一つの不安を載せて流しております。雪を投げる時に、その雪に辛い思いを一つづつ載せて投げております。大腸がんの為だよエンヤコウリャ、と心の中で（俺はがんのことを考えていたのだと、客観視するのです）口ずさみながら。