建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

生コン車争奪の戦い

2023-08-28 12:22:15 | 建設現場 安全

 八月  九日(水) 晴れ    

 朝一番、朝礼後にガーンと一発電話で冷水を浴びた。

「『ポンプ車の手配が付きません』との事です、所長、どうします?」 
とN子が取り付いだ。

「なにーッ!?どうもこうも俺はそんなヘマはしていない。俺が手配したのは、もう2週間前、
否この前4階のコンクリート打設時にもここで・・・そうこの場でポンプ工の松田さんと打ち合
わせをして、配車係と『予約確認OK』迄してたのに、何でだ!!」
と目の前はクラクラだ。

「松田さん、どうしていま頃、何言ってるの!(何をねぼけてんだ!?)」
「お盆前の時期はどこの現場も、打設してから休みに入ろうとしているので、ポンプ車が足ら
ないのです」
「そんな事はここ10年ちっとも変わっちゃいないのでしょ!私は前もって、ずーっと前から予
約をしていたし、4階のコンクリート打ちの時、ここでアナタと確認したでしょ!!」
「はい、覚えています。手帳にも書いてあります」
「じゃあ何とかしろヨ!ではなくて、決まっている事ですね!!」

「それが・・・」
「今更、理由を聞きたくもない。Kビルはいつも通りの『予定変更無し』だからね」
「所長の所は絶対に予定変更ありませんね?」
「俺が、直前になって割り込んだりズラした事あるのかね、前回のAマンション、ここのKビ
ルでもあったかね?」
「そうだよねえ……所長ン所は固い(動かない)からなあ・・・」

お盆前は余裕を持って11日にしたのだが、明日でも打てる。
とにかく今、ここへ来て各下請けへの予定変更が無理なのは目に見えているが、
「所長らしくもない」
 とこの際何と言われ様とも、盆前には打たねばクニへは帰れない。
何の為にこのクソ暑い中を、職人達が汗水流して頑張ったんだ。
型枠工事は今日残業すれば完了だ。

―――配筋検査もなしで明日朝一番からでも生コンの打ち込みは可能だ。
    最終チェックの一日
が、出たとこ勝負のコンクリートになるだけで、このフロアーは
    精度ぬきだ―――。

こう考えれば、突貫工事から比べれば、楽勝で打設可能だ。
しかし、横から自分の配下の現場のみ
を考えて割り込む神経でないと《権力のあるお方》
にはなれないのだろうか・・・

私は一所長でチームワーク楽しく建物を創って世に残して行きたい。
あと10年働いたとして15
棟も建物を創っていられない歳だ。
楽しい思い出で定年後には創った建物巡りをしてみたい。

「夕方にまた電話します・・・済みません」
「悪い知らせは待っていないからね!」
「はい、何とかします・・・」

 イライラするのはポンプ工に対してでなく、仲間内でこちらがケリ出される事だ。
(Kビルは工程があるので盆明けに廻しても間に合うから……)
なんて例え配下の現場に権力があろうとも一体何考えてンだと言いたいよ。
お互いに予定を組んで
『横の連絡、縦の報告』を行っているではないか。――――むッ!。

万一明日になってもと至急チェック体制に入って、5時半頃に事務所に戻った時はアワの
るモノが片手にヘバリ付いていた。
ふと電話の『デンゴンアリ』に目が行くと、
「ポンプ工の松田です。手配出来ました」
と留守番電話に入っていた。

これが逆目の伝言なら窓ガラスにガッチャーンとぶつけて、風通し良くなる所だった。

早速電話を入れた。
「松田さん、OKなんだね、それで明日かい?」
「いいえ、いいえ11日ですよ、打ち合わせ通りのね」
「11日なら、今日はもう残業止めても良くなったわけだね。有り難う

ここでアリガトウもないものだが、口癖か本音かは分からないけれど、つい答えていた。
場内スピーカーで作業員全員を打ち合わせ室へ呼出した。
待つ事3分。
机の上には冷たくてアワの出るモノをたくさん出しておいた。

「残業は中止だヨ。決めていた通りの11日でポンプ車もOKとなったヨ」
嬉しくて仕様がない私のサービスだ。
さあさあ道具片付けて、掃除は明日でもいいし、時間はタップ
リ有るのだから、もう今日は
御苦労様でした…だ。
明日に向けて頑張っていた感謝の意味で、
『一杯飲もう、少ないけど水よりはいいさ、さあ、皆で乾杯しよう』となった。

作業服を着替えた人、頭に水道の水をかけて体を冷やしている人、様々に帰る準備を
しなが
らチョット(つまみ飲み?)のビールは格別に美味(うま)いものだった。

設備工が一番ホッとしている。
夜通しかけて配管をしないと(間に合いそうにもない)と夜
食迄段取りに取り掛かっていた
のが、急遽(きゅうきょ)解散だ。
七時からなら何とか作業が出来るから……と三時頃に緊急集合をかけていたのが解除だ。
夕方、Kビルの応援に来た人の中には、ビールを飲みにだけ来た様になった人もいた。
(運のいい奴め!)

もう今日は朝っぱらから、午後、夕刻、夜と何だか騒々しくもあり、結果的には、
『楽しんだ一日』とでも言う事だろうか。
これだから、現場は生きている。
自分で『育てハグクム』様な『魂』が入って行く。
この気持ちを若者達に伝えて行くのが私の義務でもあると思うのだけれども―――。

M店舗の事は完全に忘れてしまって、今日は快い疲れを感じてグッドナイト・・・。

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真夏の息抜きに

2023-08-14 08:31:03 | 建設現場 安全

八月  一日(火) 曇り       

 八月になった。

 Kビルの話を一番初めに聞いたのは冬だったのだから、もう半年も経っているのだ。
実質4月から工事着工したとしても丸4ヵ月ここで仕事をしている。

 この付近の人達とも、随分と顔見知りとなった。
   喫茶店等で食事をしていても、
「大分出来ましたね。何階建てですか?工事は順調ですか?」
とよく聞かれる様になった。

「ええ、お蔭様で順調でね・・・ええ6階建なんですよ」
「マンションですか?」
「いえテナントビル、そう、貸し事務所です、お店屋さんは入りません」
「入る会社は決まっていますか?」
「いいえ、まだパンフレット作製中でしてね、建物の名称を考えているんですよ、いい名前
有りませんかねえ」云々。

(私はいつからこんなに誰とでも話が出来る人間だったのだろうか―――)と思う。
本人としては『人見知り』する内弁慶的な性格だと思っているのだがね・・・。

コミュニケーションと言うべきか、おしゃべり好きというか、現場としては全く
『明るくて
楽しい現場だ』
自他共に認めている。

「ここへ来ると何かホッとするし、よその現場のモヤモヤをここでは落とせるので、
立ち寄っ
てみた」
と言いながら、今回の工事にはチョッピリしか仕事のない(斫はつり工事)の杉浦組の社長
が来られた。
 私は他の現場の情報を手にいれるには好都合だけれど、その現場に対してどうの
こうのとは
言わないし、何を言われても、
「うんうん……そうですか・・・困ったねえ―――」
としか、答え様がない。

それでも積もった話を話終わる頃には、元気回復しているみたいだ。
話を中断して、
「現場をチョット見て来るので10分したら戻るから待ってて……」と言いながら、
『王様の耳はロバの耳』と言う話があるでしょ杉浦さん、あの足場板の向こうに穴があるので
《△△現場のバカヤロウ》と言っておいでよ」
と冗談を言い残して私は事務所を飛び出して行った。

現場のおさまり具合が気になってた部分を世間話に夢中で約1時間見過ごしているので、
サッと
指示して来る予定だった。
しかし、出たが最後・・・とまではいかないにしても、
「あのねえ、所長」
と問いかけられて、目的地迄は一直線という訳にはいかなかった。

早めに事務所に戻ったつもりだったけれど、20分近くは過ぎていた。
それでも杉浦さんは待っ
ていてくれて、喫茶店へ行こうと誘ってくれた。

(うーん、アイスコーヒーは飲みたいし、仕事も気になるし―――。)
でも折角の好意だからと
30分間現場をエスケープした。

 今日は一日なので定例の安全大会があり、この資料が作成途中であり、書き上げねば
ならない。
フロッピーには大会用の資料をかなり入れてあるので、ワープロ作業は早く終わるけれども、
参加者人数分のコピー
に時間がかかる・・・。
安全大会資料のレイアウトと今月の安全テーマをどうするかを、気にかけながらのコーヒー
タイムではあった。

「それにしても暑いねえ、現場は大変だよねえ、所長の所は休憩所にもクーラーが効いて
いるからイイけど
□□は大現場なのに設備がなってなくて困るよ、ここは楽勝だね
全くのお上手、ヨイショ話と言うものだろう。

喫茶店から戻り、昼食もそこそこに安全大会の資料を作成し、何とか間に合った。 
これは事務のN子の頑張りによるものだった。
 ワープロがある程度操作出来る様になったの
で、彼女専用のフロッピーを渡していた。
 その中から先月度を参考にしてN子のセンスで、今月度の配布資料を私がエス
ケープし
ている間に作っていてくれていた。
一部修正はあったもののOKだった。

ここまで出来る事務補助(女性)には今まで出会っていないので、感服した。
(Kビルが終わっても、次の現場にも連れてってやるからネ―――)

安全大会ではあるものの真昼の13時の炎天下のさなかに全員集合しての安全立ち話も、
クソ暑いだけなので1階テナント広
場を会場とした。
コンクリートの臭いがまだある部屋だけれど、サッシュはまだないし、風通しは抜群だ。
多少ほこりっぽいけれど、一部分は休憩室になっている。
誰が作ったのか机も椅子もある。
弁当の包み紙兼用とも思えるスポーツ新聞が転がってもいた。

いつも通りの挨拶から今月度
の安全テーマ、そして私のコメントが続いた。
この際だ、アドリブで一発
「廻れ右して下さい………この休憩室は誰のものですか?皆のものだから皆で片付ける
事にし
よう」
と言ってフト横に竹ホウキが立て掛けてあるのが目に入った。
「今から5分間、この1階を全員ではき掃除しよう・・・その後で今日の記念品の軍手
配り
ます、以上」

1階はあっという間にきれいに片付いた。
作業服、弁当箱、道具類等がきちんと置かれて、
ごみ箱の中のゴミも処分した。
ついでに1階室内状況写真を記念に撮っておいた。
せめてこの状態が一週間保ち続けたら―――

今月はお盆休み迄が勝負の10日間だ。
コンクリート打設もあるけど『夏バテ・熱中症』に気をつけて
頑張ろう。

7月末日で出来高27%、予定より3%アップしている。
工程は順調だ。

 

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ダメコン打設

2023-08-01 08:24:17 | 建設現場 安全

 七月二十七日(木) 晴れ  

Kビルの4階コンクリート打設だ。

朝9時半頃迄はF君の手配、段取りを確認していた。
職人さんの顔ぶれも下の階とほぼ同じメンバーである。
後はハプニングが起きない事を祈るだけだ。

この階も110㎥前後の生コン予定だ。
その後は、1~3階のダメコン(後で打とうと計画していた所や材料取り出し用仮設の穴の
数か所を復旧)を3㎥位打つ必要がある。

これを今日確実に打ち終わって(塞ふさいで)おかないと、サッシュとか設備工事が入って来
る時になってから、穴のままだとその場になって、あわててしまう事になる。
次の5階のコンクリート打設がお盆前だけれど、その時に打つとしたら、型枠解体するまで
の期間を考慮して、仕上げ工事の工程は9月から着手になる。

 これでも遅くはないけれど、後にズラしてまとめてダメコンを打つとすれば、ポンプ車も
土工も手配し、5~7㎥の生コン打設に一日費やしてホースを引きずり廻すだけで、時間の
無駄だ。

今日も昼過ぎには打設終了するだろう。
ポンプ車自体の残りコンクリート(ホッパー、ホース内)も含めて、全て打ち切ってしまえ
る時間がある。
3時迄有効にポンプ車を稼働させ清掃して回送しても、定時迄には作業完了する。

 しかし、今日の予定を「4階の打設だ」との先入観で場内に入って来た人に、ダメコンを打
つと言うと余分な仕事の如くに思えて、
(えッ?次の機会にしてよ)
と顔に書いてある。

ここを押し切って打てるかどうかが、F君と下請けさんの親密度の判断材料だ。
「前に来たヤツが残した所なら、前のヤツらに打たせりゃいいがねえ・・・」

 ――ご最もな意見でございます。でも――――
「自分達だって『面倒クサい所は後から打とう』とその時は言っていて、他の仲間にカバー
してもらっている事を忘れるな
私が親方ならそう言ってやる。

まあこのダメコンも定時以内に終わるように予定を組んでおけば、余程の事がない限り職人
さん達も動いてくれる。
お盆前でクニへ帰ろうとあせっている時だと無理だがネ……。

私の若い頃はポンプ車で少量のダメコン打ち等は勿体(もったい)ないという主任の考えで、
ネコ車(手押し一輪車)からバケツリレ ーで穴を埋めたものだ。
中には高さ1.2m積んだブロックの上部型枠の中へ脚立に跨(また)がって……。

この記憶がダメコン、雑コン、穴埋めコン等の言葉を聞いただけで
『やりたくないもの』
と反応してしまうみたいだ。

10時にはM店舗にいた。
『鉄骨本締め』も今日で終わるだろう。
弋工が仮締めしていたボルトを正規のハイテンションボルトに差し替える仕事は
鍛冶(かじ)工』
と称する職種の仕事だ。(鍛冶工の説明は後日しましょう)

鉄骨を製作した工場から、鉄骨組立のベテランが「本締め」に来る場合も多い。
施工図が悪かったり、うっかりすると本締めの工具が入らない狭い部分があったりすると、
工場で原寸図を引いた(書いた)人を呼んで勉強させている事もよくある話だ。

―――吊り足場がなくてハシゴでも架けると本締めは出来るけれど、本締めを止めて吊り
足場を解体する訳にはいかない。
「困ったねえ」
と言うより先に
「この部分はリフト(信号機を直すような車)を持って来て足代解体後に・・・」
となり、もう今となってはそれしかない・・・という現場もかつてあったなあ。
 こういう事の繰り返しも幾つかあって、鉄骨工事は終了していくのだ―――。

ここM店舗は待ったなしの短期工事だという事で手戻りは絶対に許されない。
それに私の性格を見通して鉄骨工も弋工もそれなりの対処をしていてくれた。
それでも窓の変更図面を打ち合わせをしていたにもかかわらず、変更前の状況が2ヵ所出
て来た。

鉄骨がやっと組めた、組めたと安心するには、まだまだ先なのかも知れない。
他にもチェックミスがないか気掛かりになり始めてきた。
ボルトの締めつけ忘れだってあるかも知れないし……。
心配のタネは尽きないものだ、全く。

夕刻にはKビルへUターンだ。

ダメコンは予定カ所全て打ってあって合格だ。
但し、ダメコンを打設時にホースからはみ出たコンクリートの処理がまずい。
これは早急に処分しておく事だ。
コンパネの上に牛の糞(ふん)の如く無造作に置いてあり、固まっている。
これも誰かが片付けねばならないのだ。

設計事務所、オーナーが来られた時、それ(牛の糞)を見てどう思われるかも建築技術屋の
神経の配り所の一つと私は思うが・・・。

七月三十一日(月) 晴れ
 
とにかく暑い。                                                                                              
朝礼中でも建物の影に入ってのラジオ体操だ。 
久し振りに朝礼時に雑談をした。                                                             
「この暑い太陽の光は、太陽からどの位の時間で地球に届くか知っている?」
(ひたい)からもう汗がキラキラと光っている人もいるこの暑い時に、頭なんか使えない
だろうけれど、一応訊(たずね)てみた。

「光でもかなりかかるよ、星は何光年というし……」     
「太陽はもっと近いから早いさ」
「雲に隠れたら届かない、測れない」
「俺そんな事知らんでも構わん」

まあそれぞれ好きな事を言っていた。
「F君、どの位だと思う?」と訊(きい)た。
「多分・・・10分位だと思います」
そう正解だ。
太陽から地球まで1億5000万キロメートル、時間にして8分30秒で到達するのだから、暑い
のだ。
オゾンがなくなるともっと環境が変化するから、スプレー塗料のガス、クーラーのガス
(フロンガス)を撒(ま)き散らす事のない様にしましょうと言ったけれど、建築現場で
なおかつ安全とは何のかかわりもない朝礼話だった。

5階のコンクリート打設は8月11日だ。
これはもう大分前に決定している事だ。
そして、翌日墨出しを午前中行って、昼から現場は休みに入る……盆明けは・・・。

「所長、いつからいつ迄Kビルは休みなの?…クニへ帰るの?
こういう会話が来客と言わず、電話と言わず、挨拶代わりに多くなった。

盆、正月はクニへ帰るし、また、この業界は出稼ぎ(この言葉は使いたくない)が、かなり
多い。
クニへ帰る人に現場再開予定は○○日だというのも、カワイソウである。

「お盆前に頑張った分、ゆっくり戻ればいいよ」
と優しい心か、甘い考えか分からないけれど私はいつも言うている。

 長期連続休暇取得の正当性をマスコミはニュースにしているけれど、この業界は働きバチ
働きバカ?)から抜け出せそうもない。
まとまって休めるのは我々も含めて盆・正月しかないのだから、若者が嫌う5Kの内の一つの
『休日がない』のKも理由の一つとしては、かなりのウェイトを占めて当然だ。

でも、『現場は楽しいものだよ』と言いたくて書き始めたこの物語も、今読み返してみると
『楽しい所なんか何もない』様だ。
私の偏見がさらに一方的に書いてあるだけで、私自身悩んでしまった。
これでは私のウップン晴らしを言いたかったと受け取られそうだから、失敗談の所はカット
してみよう。

これからは仕上げ工程に移って行くので、現場の雑談記録をテーマにして行こう。
今日の朝礼の様な話もしょっちゅうヒマツブシ(失礼、自由時間内言動)としては有るし、
駄洒落(だじゃれ)やクイズやギャンブル予想やアッと驚かす事から、チョットHな会話も
この集団(Kビル軍団)内では、日常茶飯事だ。

電気の担当者のK君、空調衛生担当のH君、わが社のF君、事務のN子と年令が22から30で
くっ付いているのに私だけダントツの42。

まさにトウが立っている私だが、彼らの中でも通用する
ヤンパー(ヤングパパ)だ』(設備総合担当のMさんもヤンパーの部類だナ)

 体力では負けるけれど口数はこっちのものだ。
教養(雑学)だってこっちのものだ。
太陽光線知らなかっただろうよ、教えてやったンだぜとフクミ笑いだ。

しかし、若者の中にいると気分的にも楽になるのは何故だろう。
『こいつらアホか!?』 
と言えない分、私もその集団側に近い方にきっと居るのだろう。

仕事の厳しさ、口うるさ型、ヤンチャ度は職人からも指摘されるけれど、それは特定の時期
特定の内容による場合で、常に監視状況ではない。
言い合える雰囲気、コミュニケーションの充実、雑学の押し売り、明るい笑い、これらは
現場には不可欠だと思う。(自己納得というけども…)

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熱中症完璧防御の為に

2023-07-18 07:44:42 | 建設現場 安全

  スピンオフ  として熱中症 完璧防御の為に必要な事を、真夏の安全大会
の資料として活用してください。
**********************************

熱中症の『自己防衛』をいかにするか―――私の安全大会時の《熱中症対策》を公開しよう。

安全大会の講演を聞いている元気のいい職人さん達に、 

 「『熱中症になるかも知れない』と心配な方は手を挙(あ)げて下さい」
と訊(たず)ねると、聞き漏(も)らした訳ではないが、手を挙げる人はマレである。

(俺たち、炎天下で仕事してるから、そんなヤワじゃあ職人は勤まらん

と健康なのか強靭(じん)な体力を自慢してなのか、熱中症で倒れるとは思ってもいない。
だから熱中症の予防についての話を誰がしても、馬耳東風って事なのだ。

「じゃあ、の体について話をするね」から対策話が始まる―――

            人間の体温は一般に36℃です。
          子供が風を引いて、熱が出てぐったりしている時が大体39℃だったでしょ?
          大人でもたった3度体温が上がっただけで、仕事を休もうか……と思うよね。
          体温計の目盛を見ましたか?
          体温計は42℃までしか目盛が無くて、それを越えると人間の細胞が止まるって事
    です。

    つまり、ぐったり状態の人の体温が、それからたった3℃上がると心肺停止状態
         なるのです。(逆に8℃下がって28℃が底限界)

         36℃から3℃ほど上がるまでの状態を覚えている人はあまりいなくて、体温を測って
       初めて熱が出ているのを納得する人のほうが多いと聞いています。
   
       風を引けば極寒の冬でさえ体温が上がる(熱が出る)のだから、真夏に太陽に照らさ
      れながら仕事をしていれば体温はどうなるのでしょうか?

  冬、寒い時には手足を動かして、体全体を温める行動を取りますが、夏場でも体を動
  かせて仕事をしていれば、同じように体内から熱は発散しているのですよ。

      炎天下、直射日光をモロに受けての作業をしていて、体温が36℃のままでしょうか?

  健康の為サウナ風呂に入り汗を出している時、体温が36℃のままでしょうか?―――
    サウナ風呂の室内は90℃前後であっても、発汗作用によって体温は調節されるから
  熱中症
のよ うに体温を蓄える事は殆んど無い。

  炎天下で作業している人は日射病になる可能性はあるが、汗を大量に出せば、のどの
  渇き
により水分を絶えず摂取補給となって、体の温度は上がらず熱中症にはなり難い。

      しかし、現場で室内作業をしている場合には、熱中症に罹(かか)る確率が高いのです。

     それは、外気温33℃でも工事中の室内にエアコンはなく、埃飛散防止に窓は閉めて
  ある中
での作業でもあり、風通しの悪いのは慣れているから、

  「今日は特に暑いなあ……もう少し頑張って早目に帰宅しよう」

  と休憩時間を省略して、キリの良いところまで無理矢理仕事を進めるものだ。
   汗をかいて肌着にベトついていても、水分補給があまりなされず、作業を強行する場合
 が多い。

  発汗作用の機能が発揮されていないまま、水分補給が不足してくれば、体を動かした
 熱量が
体内に蓄積され始めて、熱中症の症状が徐々に現われて来る。

 我が家に帰ってエアコンが効いていればいいのだが、クールビズが家庭でも実行されて
 室温
はさほど低くないので、蓄積された体温はなかなか下がらない。
  夕食前後から体調不調を感じて救急車の世話になる……こういう話が夜中に入って来る
 のだ。


 ではどこで手を打っていれば《熱中症が防げる》のかがポイントである。

  「汗をかくのと水分補給のバランスを理解して下さい」
 と私の講義は第二段階に入る―――

    人間の体重の60%が水分です。 
    例えば60㎏の人の場合は36㎏つまり36㍑が水です。
     その中から水分を2%失うと喉が渇いた(カラカラ)と感じる状態になります。

         2%と言えば720㏄ですから、水分損失量はカップラーメン2個分以下の量なのです。
    10%=3.6㍑失うと脱水状況で、12%の4.3㍑(バケツ半分)失うと死亡なのです。
        ちなみに寝ている時の発汗量が200㏄と言われていますので、水分の補給は大切な
         事なのです

     サッカーの試合中、僅(わずか)なブレイクタイム時には、選手がこぞってスポーツ飲料
    をガブ
飲みしているのを見たり、マラソン競技でも走りながら必ず水分補給をしている
    のを
 見れば発汗の量は相当あり、水分補給が大切であり、運動エネルギーの源に
        なってい
るのがよく分ると思います―――

  話を熱中症に戻して―――
『炎天下で作業する人より現場では室内作業に従事する人こそ《熱中症に罹(かか)り易い》
という事に気が付いた頃を見計らって、

「やっぱり熱中症になるカモ知れないな……と思われた方は手を挙げて下さい」
ザワザワと音がして、
(多分大丈夫だろうけども…絶対ならないとも言えないから……) 

と先程の健康自慢を取り消して、ゆっくり手が上がる……数秒後には半数近くも・・・
 手を挙げた人は私の注意事項が琴線に触れて、熱中症対策を素直に理解した顔になって、夏場を乗り切る自信が出来たのが伝わって来る。

 安全大会終了後自社に戻り、自分達のグループや仕事仲間にリーダーとして
《熱中症対策の呼びかけ》
の中で人間の
体について数値を示してくれる筈であり、7月・8月の厳しい暑さの中でも、元気に頑張って頂ければ、私の役目は終りである。
 熱中症に気を付けさせるのか、命の危険を伝えるのか、私の話を活用してください。
『ご安全に・・・』

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7月熱中症完璧防御

2023-07-03 08:46:10 | 建設現場 安全

   七月二十五日(火) 晴れ 

バカヤロウ、この柱もアンカー違うじゃあないか、どこ見てるんだ!アンカーボルトを直す迄、
俺たち帰っているよ、監督さんよ、組の方で直しなよ!!」
「何とか建ててよ、鉄骨の搬入トラックも入って来た事だし・・・」
「何ともならねえよ、そのまま工場へ持って帰らせろ!
と言い争って、汗がグッショリ出ている所で目が覚めた。

夜中の3時だった。
もう鉄骨建方が工事が終わってホッとしているつもりだったのに、神経の疲れは体に入り
切っていたのだ。
抜け切っていないのだった。
(もう大丈夫だ、大丈夫なのだ・・・)
自分に言い聞かせても、心臓のドックンドックン音が脳裏までも聞こえて届いて来る。

冷蔵庫からビールを出して、心を落ち着かせようと飲んでいたら、
(昔もこんな事があったなあ……)と思い出していた。
(私が計画したレッカーで果たして建方が可能だろうか?鉄骨の手配や作業手順にはミスがな
いか?つり込みワイヤーロープの予備は?安全ネットは?全てチェックしたにもかかわらず、
鉄骨建方中には眠れない日々があったなあ)
と、そういう事をしみじみ思って、
(俺もトシを取ったんだ、あの頃のひたむきさは何処へ行ってしまったんだろうか―――)
と悩んでしまった。

朝、少し遅れてKビル出勤となったがM店舗へ廻った。
夢が何となく現実と重なっているようで、まるで昔の自分が歩いている様だった。

小さい鉄骨造の建物でも、むき出しのままの鉄骨本体の組立完了姿は立派だ。
(今は骨組だけだが、自立しているんだ、ここに建っているんだ、さあ仕上げ材料を何なりと
くっ付けて飾ってくれよ、裸は寒いゼ・・・)
とでも鉄骨柱君が言っているみたいだ。

 鉄骨造は(橋、鉄塔もそうだが)意匠面(見ため)でも全体のバランスが良く設計されている。
絵になる構造体でコンクリート構造物より「美しさ」がある。
こう思うのは私の偏見だろうか。

 鉄骨工事は『眺められている』事を一般の工事以上に気をつけておく事が必要だ。
鉄骨工事の建て方中は青空・特に今は真夏の真っ盛りと言うのに日陰が全くない。
炎天下で日陰もない工事現場に、
「これから暑い時期になりますので熱中症に気を付けましょう」
のポスターが1枚掲示してあるが、熱中症になれば現場の責任の如く言われる。

気を付けているだけで防げるのならば、建設業界に熱中症や《労災》は発生しない。
挨拶用の言葉になっているだけだから、気に入らない。
水分を十分補給し、気分が悪くなったら涼しい所で休息して、体を冷やす時は……等の話を耳
に入れ、ポスターを目にすれば《気を付けられる》とでも思っているのでしょうね。

最近、建設現場から熱中症で病院へ運ばれる人が年々増加しているのだから、もっと有効な熱
中症対策があってしかるべき話が聞こえて来ないのが、現状であるみたいだ。

「車の運転には注意して安全運転しましょう」
と車の免許更新時に言われるのだが、死亡事故は発生するし、少なくもならない。
掛け声をかけている側から、どこまで本気なのか熱意が伝わって来ません。
交通安全に掛け声をかけて運転席にはショックアブソーバーも装着されているし、死亡事故の
責任は運転手側に原因があるとでも言いたげな《車は安全だ》と言う様な宣伝もある。

 これは熱中症対策を呼びかけていても、救急車で搬送される人が年々増えていて、注意喚起の
ポスター枚数を増やすだけの《呼びかけ》と似た様なモノであろう。

「安全に注意しなさい、スピードは控えめに」
の決まり文句に対して、
「温度が高くなったら、涼しい所で作業しなさい、水分補給をこまめにしなさい」
と、まるで選挙カーからの叫び声のようで、炎天下で保護帽を被り、命綱を腰に巻き、重装備で
働く人の為を思っている呼びかけでは決してない。

 屋上で作業していて頭上には太陽しか無いような場合に、クールビズではないけれども保護帽
を脱いで麦わら帽子でも与えて、日射病も熱中症も気に掛ける事なく《軽装備》で作業した方が
よほど安全作業になると思えるのだが、誰も麦わら帽子を準備しようとしないで、
「熱中症に気を付けよう…(暑いのは我慢しよう……)」
の繰り返しであり、《我慢をさせながらの安全監理》だから熱中症にさせているのだ。

  朝礼も安全大会でも、労基署署長さんの訓話からも、
「暑くて大変だけど、職人さんだから何とかするだろう」
と他人事の問題として、エアコンの効いた部屋から現場を眺めて、熱中症対策会議が終わるのだ。

 墜落防止を呼びかけていても、墜落死亡事故が発生するのは、落ちる空間があって墜落防止の
ネットが張ってないからであり、ポスターや言葉で事故は防げはしない。

 熱中症に注意させながら、涼しい所で体温を冷やしたくても、職人さんの休憩所にクーラーが
設置されてない小さな現場が大半であり、対策の手立てを差し伸べない限り、熱中症に罹(かか)る
人は増える一方である。

熱中症の『自己防衛』をいかにするか―――私の安全大会時の《熱中症対策》を次回述べよう。

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鉄骨工事の第一歩は

2023-06-19 07:44:16 | 建設現場 安全

七月 二十日(木) 晴れ    

M店舗の『鉄骨建方』開始だ。
T組の25㌧レッカーが中央にいる。
これでも全域カバーは出来ない。

届かない所はレッカー移動してでも何とかしなければ人の力では材料を動かす事すら出来ない。
隣地の駐車場へ5㌧レッカーを入れさせてもらうのも、一つの方法ではあるけれど、とにかく
自分の敷地内で建方の計画をする事だ。

今日鉄骨建方を監理しながら、鉄骨建方の基本を考えていた。

―――鉄骨建方の基本―――――
         鉄骨を精度良く建てるには、様々な要素がからんではいるけれど、アンカー
      ボルトの取り付け精度が一番だ。

        ボルト自体も垂直にコンクリートに埋まってないと、一つの柱に8~12本
     (それ以上が多いけれども)このボルトが好き勝手に空に向かっていたら、
       レッカーで吊り上げた柱が垂直に降りようとしても、ボルトにひっかかって
      設置出来ない事態がよくある。

     「柱一本建てるのに何分かかるってンだ?」弋(とび)は怒鳴る。

  ボルトの誤差は水平の方向で5㍉以内、垂直方向は0㍉にしておかないと、柱
  はいつまでも取り付けられない。
   (ズレた位置に更に傾いてボルトが埋まっている)
      1本も鉄骨柱が建てれないという事だ。

  そうならない為にアンカーボルトのチェックを建方前に行うけれども、ボルト
     を基礎に打ち込んだ位置、精度に間違いがあれば建物は《ダイナシ》なのだ。

  鉄骨建築物の命にもなる『柱脚』《あっち向けホイ》では、後々の工事の
      お粗末さが目に見えて来るというものだ。

  チェックした時に間違っていた事が判明したら、ボルトをガスで加熱して、
  根元から曲げ直すしかないが、手間暇と相当な金額がかかる。
  この『台直し』がイヤでボルトを擦(こす)りながらでも建て込んでボルトの
  ネジが潰(つぶ)れたなんてのも多い話だ。
  (ナットで締め付ける事が不可能になってしまうのに、気が回らない)

  ボルトの台直しが出来ないとなると、ベースプレート(柱脚の平板)の柱を
  通す穴をガスで大きく切りまくって、建て込む不届きな作業員もいる。
  何の為にボルトを通す穴のクリアランス(精度許容誤差範囲)が5㍉以内と
  取決めてあるのか、おかまいなしだ。

    「設計図に書いてある通り工場で作っただけの事で、現場で納るワケないよ」
    と鉄骨建て方担当者は平然たるものだ。(前回の現場でもヤッタし…)

     普通、何も考えない計画だと、このアンカーボルトは基礎のコンクリート打
    設に先立って、型枠工がボルトを吊り下げる(埋め込む)事を当然と考える。
 鉄筋(地中梁筋)を押しのけて、所定の位置へ入れようと努力はするものの、
 アンカーボルトの先端がステッキの様にフックが付いていたりして・・・
 しまいには、
「適当に入れときゃあ弋が建てる時に何とかするだろう………」
  と投げやりになった現場も数知れずだ。

                   

   静岡県S市でキビシイ(仕様書以外は認めない)鉄骨監理の建物を創った時、
       「台直しは一切認めない、ベースプレートのガス切断などもっての他だ!」
         とキツク監理監督官に言われて、それなりの仕事をした事が有る。

         1本の柱脚(90㌢x90㌢)には直径40㍉以上の「特注アンカーボルト」が
   20数本有り、それで1セットだ。ボルトの長さも90㌢は越えていた。

   こうなると現場でのやり方は一つしかない。
       鉄骨工場でアンカーフレーム(鉄骨組み)を作って基礎鉄筋工事の前に設置
      しておく事だ。
       これだけのものをセットするとなると、大重量となってレッカーで吊り込む
   必要もある。(だからフレームは面倒だとヤメた所長も昔いたなあ……)

      そして鉄筋工が基礎配筋を組むのだが、フレームやボルトにX・Y二方向から
  上筋・下筋の梁筋が柱脚に入り込み、手も入らない狭い場所になる。
     頭に来た鉄筋工が、
      『明日からもう来ない』
  何て言わない様に事前チェックは慎重にしておいた。
       フレームを少々ケ飛ばした位ではボルトは微動だにしないので、鉄筋加工を
  やり直して組み直しするしかない部分もあったが、何とか組上げて鉄骨建方を
       スムーズに行ったものだった。

        M店舗は型枠大工にて設置したものだから、鉄骨のフレームは無しだ。
      型枠大工に取り付けを頼む事が決まった時に、私は基礎の柱脚部分の変更
  H設計事務所に申し出ていた。
  アンカーボルトの位置を鉄骨図面から抜き出して、ボルト周辺5㌢には鉄筋が
  来ない様に施工図を書き上げた。

   当然柱脚部分は大きくなるけれど埋まってしまう部分だし、コンクリート
  の増量(全体でも6㎥以下)に目をつむれば事は丸く済むのだ。

  (ここ迄アンカーボルトの精度に気を配っていますので、認めて下さい)
        と暗に認めさせている施工図の承諾願いだった。
        それによって大工がボルトを設置するのは、半日で終了してしまった。

      「よく考えてたね」
       H設計事務所から言われたけれど、私の《やりかた》としては当然の事だ。

  建方中の鉄骨は『いつでも倒壊する』という注意事項がある。
       ボルトは通してあるが、仮締めでボルト数の3分の2は最低でも締め付けね
      ばならない規則だけれど、正直そんなに締め付けてはいない。
      そんなに締めると『建て起こし(垂直、水平に調整する事)』が出来ないものだ。

        今地震が来たらと思うとゾッとする場面もままある。
       アンカーボルトだけは全てナットを締めつけた。
  アンカーボルトを《本締め》しているだけでも、鉄骨はかなりしっかり自立して
  いるものだ。
                            ―――  ―――  ―――

 M店舗は昼までには柱は全て建ち、梁も半分以上は組上がった。
念には念を入れてロープで転倒防止用の柱控えを取りつけておいた。

 昼食をしながら鉄骨を見上げている気分も爽快なものだ。
 鉄骨建方工事は1日にして型がはっきりと見えるし、進み具合が早いので、
「もう出来たか」
と言う気分にもなる。

 この建方中には弋工にかかわらず墜落という重大災害の危険性がある。
安全ネットを張りながらの建方作業ではあるが、ネットがあると仕事がしにくい部分があっ
ても、弋工は自分の為の墜落防止用に必要とはあまり考えてはいない。
 高所作業に慣れているとは言え、安全とは
『自分の身は自分で守るのだ』
という観念が非常に強いモノが弋工には特にある。

 地上5.5mの所で梁巾35㌢の所を歩く(命綱はあるけれど)のは、私は好きではない。
一瞬でも「怖い」と思うと、鉄骨の梁の上で足がすくんでしまい、金縛り状態になって、前
にも行けず後戻りしようと振り向く事すら出来ない様な経験も数々あった。

実際に(何とかが縮みあがる)と言う表現そのままだ。
何処へ行ったかワカラナイ・・・。

弋工が作った仮設通路、棚足場の上でやっと歩行出来る。
それまでは地上からワイノワイノと大声で言っているだけでまさに、
『見上げたもんだよ屋根屋のふんどし―――』という所だった。

今日は建方も行ったし、安全に一日が終わった。
柱にはお神酒をまいて『清め』を行った。
古い人間なのでつい昔ながらの方法を私は守ってみただけの事だ。

もう一日建方、レッカー作業があり、緊張は続くが、頑張ろう、安全に。

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生コン打設のハプニング

2023-05-23 07:36:54 | 建設現場 安全

七月 十四日(金) 晴れ       

 昨日が打設予定日だったけれど一部変更が発生して、順延した3階のコンクリート打ちだ。
 今回もコンクリート打設中にハプニングが発生してしまった。

 10時頃、突然ポンプ車の故障に見舞われたのだ。
車体の中のフレキシブル圧送ホースが裂けてしまって、まさにパンクした恰好になった。
生コンの出荷はストップ出来るけれど、運搬中の車と現場で待機中の一台には困ったものだ。
工場出荷より1時間以内に生コンを打ち込んでしまう原則から外れそうだった。

協力しあえる所は土工も左官も手伝ってポンプ車の応急修理だ。
「昨日の雨で車両の点検はしていたのに………」
今更ボヤいても始まらない。
生コン打設にポンプ車は通常1台であり、予備用のポンプ車を車庫から急遽配送しても1時間
以内に到着は無理な話でもあった。

とにかく現場でこの状況打破するしかないのだ。
手の空いた人は見当たらない。私位のものだった。

皆何かと次の段取りをしている。
バイブレーターの配線ルートを変えたり、型枠を洗ったり、ジュースを配ったり、鉄筋が乱れ
た所を直したり、鉄筋上では通路用の足代板を移動したり・・・何かと仕事をしている。

約45分の中断になってしまったけれど、ポンプ車は再稼働が始まった。
何とか生コンを捨てなくて済んだけれど、ポンプ会社にはキツク叱った。

「スミマセン所長―――お詫(わび)に伺います、今から・・・」
「それより、次回はパワーのある大型ポンプ車を入れてヨ。今日のような小型のポンプ車じゃ
あダメだよ(打設能力限界だ)、約束だよ、いいね牧野さん」 
と人が弱みを見せている間に、ダメ押しの一手だ。

これも私の得意の手だ。

今日の打設コンクリート予定数量は110㎥の予定だ。
1~2階の打設実施データからペースをつかむと5時間で打ち終わる。
途中ロスはあったものの、14時にはポンプ圧送は終わっていた。

タイムロスで昔の事を思い出した。
  ―――昔の事――――――
   S倉庫の現場の時、ポンプ車3台で計1100㎥の1階躯体コンクリート打設
   だった。
           真冬だったけれど、朝の6時から打設開始予定を組んで、生コン工場も
   何とか出荷を了承してくれた。
             真っ暗で寒い朝の5時に全職員の集合だ。
    火炊き場所(残材焼却場)では暖の取れる様に手配したり、照明点灯に
   走り廻ったり、土工約20人と打ち合わせをして、グループ毎に打設場所の
          確認をした。

   リーダーは無線を持って上と下との調整(階高7.5m)も行い準備OKだ
   が、生コン車は来たものの肝心のポンプ車がいない。

   3台の予定が2台しか今いない。
          1台当たり1時間に最高35㎥打設の計算でも10時間はたっぷりかかってしまう
   というのに何て事だ。

   「3台目はどこだ?」
       早朝の5時半に電話をしても呼出し音がリーンリーンと鳴るだけだった。
      (どうなってんだ馬鹿野郎!)
      早朝出勤している土工も騒ぎ始めたし生コン車は3台のポンプ車用に台数を確保
  している(組合からの応援車両もある)ので次から次へと来た。
         そもそもラッシュを避けての早朝運行計画だから生コン工場も8時迄には3往復
  させると計画していたのがプッツンだ。

   早朝にポンプ車は出たのだけれど、途中乗用車のスリップ事故があり、渋滞
  に巻き込まれ、動くに動けず7時になってやっと現場に来て、打設開始が7時
  半だ。
       この1時間半の間に生コン車が道路際に並んだのは言うまでもない。

  生コン車運転手も我々も、ポンプ車を待つだけだった。
  「話が違う、生コン車を他へ廻すから帰してくれ、今日はもう出せない」
  と、かなり生コン工場とモメもしたし、叱られた。(当然だけれどネ)

  でも、つぎの2階で1000㎥の打設時は生コン車の姿が見えないと、かなりの
  『しっぺ返し』を言ってやった。
      「土工の出面(でずら)=日当)待機時間分、請求するぞ!」
      へへへ。俺も若かったもんだ。  
                  ――――――  ――――――

  コンクリート打設には昔から   
   『現場のドラマ』
  が集約されている様に思われてならない。

  Kビルは6階建てで今日が3階だからやっと半分終わった事になった。
  コンクリート打設完了まで、Kビルもまだまだドラマは続くね。

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本音の安全パトロール

2023-05-09 08:08:27 | 建設現場 安全

  七月 十一日(火) 曇り   

今日は丸一日、安全の日だ。

朝からKビルの7月度の安全パトロール、そして午後からM店舗の安全協議会、さらに夕方
にはM店舗の《再パトロールの日》である。
『安全第一』と看板を揚げていても『安全は全てに優先する』と言っても、どこまでが安全な
施設、安全設備なのかがはっきりしない。

 誰が見ても危険と感じるのは安全でない証拠とはなる。
でも、これくらいは何とかなると言う考えもある。例えば―――――

M店舗で前回のパトロールの時、90㌢も掘り下げていないのに
「落下の恐れがあるので手すりと昇降階段を取り付けなさい」
と指示があった。

仮設工事の見積書の内容にはその項目はない。
 その様な低い所には不要(=節約?)という考えで、その予算さえどこにもない。
現地を見に来た人が危ないと言えば『手すり』を付ける。
黙認すればそのままでは要は、パトロールの『主観』で安全施設がどの様にも変化して
行く・・・・という事だ。

今日のパトロールで、
「Kビルは道路に接して足代があるので朝顔(落下物を受け止める棚)を取り付けなさい」
「高圧線の間をぬって弋工に危険な取り付け作業はさせられない」と私。
「規則では・・・」
「送電ストップして頂ければ朝顔取り付け工事は出来ますけれど―――」
「それは所長が電力会社へ・・・」
「結構です!」(てやンでェ全く!

 言いたい事を言って何が
後は所長がよろしく」とは、
下手な落語じゃああるまいし何たる言い勝手(グサ)だ。

私も意地だ。
足代の外側に絶対に物を落とさない、落ちない設備を代わりに作ってやる。
要は物さえ落ちないで、通行者にも迷惑が掛からねばよいではないか。落とさせてなるものか、
朝顔を取り付けなくても、足代の組立てた内部を完全密閉すれば朝顔は不要だ。

《規則、規則と言って本当の安全はどこにあるのか―――》と勝手にイキがってしまった。

昼からのM店舗のパトロールでもまた同じ様な内容の『電線対策』話が出た。
最接近部分で水平離隔1.5mだ。
規則上の2m以上離れている事に引っ掛かっているが、上空8mの所で1.5mだ。
1.5m離れていて人間がどうやって触れる事が出来ますか?

触れる前に墜落しますよ。
それに電線には杭打工事の時に電力会社より保護カバーを《過剰防護申請依頼》取り付けて
あるままではないか。(撤去申請書提出引き延ばし中)

この上、危険作業としては足代解体中に材料(鋼管類)が引っ掛かり……という懸念が
あるには有る。
KビルもM店舗も同じ様に高圧線が接近していて、電力会社もそれなりに電線の迂回
(うかい)や保護カバーを付けてくれている。

これ以上何をしろと言うのだ。

 私も神経を使ってはいるが、電線を撤去しない限り、現場でこれ以上の設備を望むのは無理な話だ。
 万一の場合でも電気事故が起きない様な設備迄すれば、パトロールとしては《合格点》になるのだろうか。

上空ばかりを見るより《手もと足もと》の整備が先決だ。
自分の足元がぐらついていて、他人の事を言えるかってンだ。

両方のパトロールで共通指摘事項に
電動工具の二芯コード使用有り、三芯に取り替える事減点2点』があった。

 確かに丸鋸(まるのこ)、ドリル等は一般家庭のコンセントに差し込んで使えるプラグになっている。
三芯とはアース線が一本あり(丁度洗濯機に緑色の電線が付いている様に)その線は分電盤で
アースされている事と『安全規則』にあるものだ。

電動工具も一般工具にはアース線が付いている。
現場へ電動工具を運び常にアースを接続してたのでは能率ダウンだから、コードも三芯を使用して
(持って来て)差し込みも三芯にして・・・というのだ。

しかし、三芯プラグは二芯のコンセント(一般家庭用)に差し込めない不便さがある。
その逆で二芯プラグは三芯のコンセントには使える(アースを無視使用)。
プラグ(差し込む側)に足の数が1本飛び出している故だ。
どこの現場に移動しても常に三芯用のコンセントが整備してあれば、職人達も三芯の電動工具を選ぶだろう。

しかし、他の建設現場へ行った時、二芯の設備しかしてないと、その電動工具は使えない。
三芯から二芯へそれ用のプラグアタッチメントをさらに加えると使う事は出来る。
だが待てよだ。
一方で使える工具が何故他の建設現場で使えないのだ?

この逆も有るのは何故だ。
△△の建設会社では三芯で◇◇の建設会社は二芯でもOKなら、三芯のKビルは一体何の為に
規制を強(し)いられているのだろうか…という事になって来る。


三芯(アース付)が正しくて二芯がダメと正論をとやかく述べたって何になる事だろうか。
電動工具を選ぶ時三芯を理解していても、二芯の現場へも持ち込む様なたくさんの現場を抱えて
いる親方としては、
「悪いとは思うけれど、自分の都合の良い方(道具)を選ぶ」
のは自然だ。

大手建設会社へ出入りする時はこっちの道具、そうでない時はあっちと分けて迄はいない。
ライトバンに一式工具を積み込んで毎日走り廻っているのが現状で、パトロールの度に、
「その日は失礼致します、二芯のモノを使っておりますので……」
と姿を見せないのでは、安全管理の目的が違う。

私もある程度は親方の立場を理解しているけれど、会社の方針を守らせる為にも、あえて
三芯の説明はする。(黙認使用ではあるが…)
パトロール直前には二芯のコードを回収して《使用禁止の札》まで付ける。
だが、当日だけの事であって、再使用するのを見つけても、
「持って出て行け!」と迄は言えない。

『三芯が望ましい』と今は指導の段階ではないかと思う。
なのに二芯を場内で発見しようものならば、三芯を使う事(指導不備)と減点項目に揚げる。

一体何の意味があると言うのだ。
雨の降る中での作業ではなくて、室内の作業(押入れ、床組、棚板付け)等の日曜大工と変わり
ない作業(腕は全く違うけれど)の時点でさえ三芯というのは何なんだ。
家で使っているCDラジカセでも現場でBGMとして聞く時は三芯(アース付)使用が決まりだ
から守れ、守らせろというポリシーのなさに私はついて行けないので、正直に(隠すのを忘れて)
二芯を使っていた1台を発見されたので、また減点されてしまった。

また呼出して言われるかな? 
 「お前の所はまだ二芯使わせているのかい!?・・・上手くやればいいじゃないか・・・!」
ってね。

こればっかりは横を向いて鼻で
「へン!(聞きたくもネエ!だ。

今日はパトロール、安全協議会にて建前論ばっかりを交わしている安全対策に無性に腹が立って
嫌気がさしてしまった。

  安全に事故を起こさない様に誰だって思っているんだ。
 パトロール隊も言わねばならない事かも知れないけれど《主観》で安全を指導、採点して欲しくない私の
《妙な意地と偏見》
が妙に気に障(さわ)ったみたいな一日だった。

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再パトロールを要すと

2023-04-25 07:46:00 | 建設現場 安全

七月  三日(月) 雨   

『全国安全衛生週間』真っ只中でのM店舗の安全パトロール日だ。          

                     

あいにくの雨で職人はいない。
開店休業の所へ6名来られた。
ここの現場事務所はモービルハウスといってトラックで運んで置いただけのハウスだから6名
も来られたら、机の一つも外へ出さないと全員座れない。

雨さえ無ければ外で打ち合わせも出来るけれど、今日は何ともならずだ。
現場の第一印象としても良くないのは分かる。
小さい現場だし後60日で終わり(引き渡し)だ。

それを宝物でも見つけたかの如く《言いたい事を言う》パトロール隊だった。
片付けが悪い、書類の不備、看板類は少ないし記入漏れもあり―――ぬかるみの中を歩いた
その印象の悪さで、雨対策及び通路の整備も出来ていない現場だと受け取られてしまった。

安全靴の靴底にドロをくっ付けながら、のぞいて見ただけでの言いたい放題でもあった。
「再パトロールを要す」
と解釈付きの69点で評価はCだ。(Dはない、つまり最低点だ)

掛け持ちだからと言い訳はしない。
Kビルは良くてココが極端に悪いのは私も反省している。
だが、ここへ来る職人の安全意識はKビルの職人とは《気持ち》からして違う。
請負った金額も条件も悪いのだ。

現場が大でも小でも安全意識に変わりはない」
と井上部長の一言。

確かにそうだ。
しかし、子供のお使いで、20円30円のモノを買うのに一万円札を親は用意するだろうか?それ
なりのお札、お金を渡すのも常識ではないのかと私の『屁理屈』が出る。

 同一条件で仕事をしているのではないのに、安全監理だけは大も小も同じだとの理論が決し
て悪いとは言わないけれど、安全関係の予算でも格差があるのだから、全現場を同一視するに
は(疑問符)が付く……という事を私は言い返してしまった。

「再パトロールを要す」
と記入された書類の控えも、当然店内の各部署へ回覧し捺印されるのだ。
事情を知らず報告書だけを見る上層監理者(つまり上役)は、
「何だこの現場は?・・・何やってんだ?―――バカったれ!!」と思うだろう。

多分『呼出し』がかかるだろうが、それよりももっと《安全の直接教育》を誰かがしない事
には、危なっかしくて見ていられない。(安全担当者として、私だとおっしゃいますか?)

 現場としてはオーナーを集合させて安全協議会を行ったけれど、
『忙しい』『そんな事やっとれん、代わりの者を行かす』『都合が悪い』
等の理由で集まったのは4社だけだった。

4社以外の(さらに小さい業者)へはどうやって私が《安全教育をしろ》って言うのだ。
小さい現場でも、協力業者を育てるという大義名分で困るのは所長、現場だ。
 これで工期に遅れるな、安全にさせろ、書類を出せとはどういう神経をしているのだろうか?

 私は小さい協力業者の職人さんが、毎日現場にやって来る事を首を長くして待ち、足まで引
っ張られ、バランスの悪いスタイルのオッサンになってしまったようだ。

今日のパトロールは私が所長として経験した中では最低点。
この為あえて記録を残しておきます。

        七月  六日(木) 晴れ

朝現場を一廻りして現場事務所に戻ったら、
「支店の稲田建築部長へ至急電話して下さい」
と不安そうにN子が言った。

悪い予感だ。コーヒーを一杯飲んで心を落ち着けて電話を入れた。

「何だヨM店舗の安全パトロール報告書は!―――こんな内容を書類に書かれて、黙って認め
たのか?……現場は何してたんだ・・・!」
「・・・(やっぱりこの事だったか)・・・」
「こんなの支店長に出せないので、もう一回早急にパトロールを行かせる。その前にF工事部
長と対策を考えて、支店に説明に今日中に来い!」

(てやンでェ、現実がその通りなンでェ、どうなるモノでもないゼ、イマサラ・・・)
と言えば首が飛ぶだろうか。

「はい、工事部長と連絡取ります」ガチャン。
工事部長には先日パトロール内容をFAX送信してあったけれど、
《そこまでは言わないだろう》との返事だった。

「そうか、それなら、一応説明に行こう、2時にT工事事務所へ来てくれ、対策を考えよう」
と工事部長は以外と落ち着いておられた。

現在、M店舗は地中梁の配筋中である。
半日で様子が違って来るほど現場は小さい。
午前中に鉄筋工三人、午後から型枠工が来るという綱渡り的工程でも
(たったの一日でコレだけも出来たの?)
という程、目に見えて違って来る。

 しかし、安全の整備をするのにこんなに後手を踏むとは思わなかった。
協力業者(K店のNさん)に『まかせっきり』ではなかったのだけれど、ついつい現場の急
ぐ所に追いまくられて『取り敢えずの安全』になってしまっていた結果だ。

あと1ヵ月半で竣工だが、一週間は確実に工程表から遅れている。
私が常駐していないので、工事打ち合わせも確認連絡もスムーズに行かないのは覚悟してい
たが、実際の現場の流れを完全掌握してないのでは
『私の力不足』
と言われても仕方ない。

ともあれ、T工事事務所へ現場対策を打ち合わせる為に伺った。
労務部パトロール報告書の控えがFAXで建築工事部からも再び届いていた。

訂正事項、確認事項を記入する為の手配を再チェックした。
現状ではそんなに大危険が迫っている訳では無いのだが、M店舗での職人さん達は、
今まで通りにやっているのに、この現場で急にダメと言われても……それなら○○建設の
現場へ行って仕事をした方がまだマシだぜ・・・)
と顔に書いてあるのが目に浮かぶが、とにかく指摘事項には手を入れておいた。

そして支店へ行った。
もう支店長のデスク迄『報告書』は届いていた。

でも、関係者の中から『大変なのだから手伝ってあげよう』とか『協力業者の応援を差し向
けようか』と言う会話のカケラさえ出て来なかった。

結局F工事部長と私が、
《一切の責任を任されて安全に作業をすすめ、なお且つ工期も厳守する事》
を念を押され口頭で約束となった。       

                    

 帰途、F工事部長曰く。
「今からあれだと鉄骨が建った時にパトロールが来たら《心臓止まる》でヤツらは……きっと
『作業中止させろ』なんて事を言い出すよ、きっとネ―――」
と冗談とも本気とも取れる会話があった。

これから先が一気に危険な仕事になるので、安全作業にするにはチェック項目が有り過ぎる
事を、今日の事で尚更痛切に感じた。

 ズルズルと行っておれば必ず事故に繋(つな)がるだろう。
これを鉄骨工事の前に一発気合を締め直す意味だと考えれば、パトロールの《助言・指摘》が
無駄にはならないだろうし、無駄にしてはいけない問題として心しておこう。

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全国労働安全週間だ。

2023-04-11 08:46:26 | 建設現場 安全

七月  一日(土) 曇り  

 7月だ。今日から一週間『第62回全国労働安全衛生週間』が始まった。

この一週間は安全大会はもちろん安全協議会、自主パトロール、安全パトロール、健康診断
等のチェック、反省会迄計画がある。

この期間中の結果内容は本社労務安全部迄報告書が閲覧されるが、かなり厳しいチェックも
支店パトロール隊にて実施される。
労基署も所轄の現場に《立入り検査》をされるであろう。

先月6月30日を終わって出来高は16.2%で工程消化日数は34%だ。
工事は順調に進んでいる。
今月は3階と4階の2フロアー分はコンクリートを打設するのがメインの仕事だ。

3階から6階迄は同一スタイルだからピッチは早くなりそうだが、夏休みも始まるし、夏バ
テ、熱中症も出るので無理は禁物だ。
お盆迄に5階、8月末で最上階が出来れば申し分ない工程だ。

 だが、M店舗は今月が勝負だ。基礎のコンクリート打設、下旬には『鉄骨建方』になる。
Kビルが同一作業の繰り返しの間に、M店舗を重点的に工程監理しよう。
鉄骨工事は危険が多いし、思ったより手配ミス、段取りミスが多いものだ。

―――レッカーが届かない、鉄骨納期が遅れる、主要部材が前後して入って来る、搬入大型
トラックの手配が付かない、アンカーボルトがズレている、鉄骨の建て方精度が悪い―――
等もよくある話だ。
この鉄骨造というものは昔からのクセものだ。
鉄骨工事については後でまた述べよう。

毎月1日は定例の安全大会だが今月は特別な大会である。
今日は特に(20分間)も行い、大会実施状況の写真も撮った。
暑い中、ダラダラせずに各職種毎に並ばせるのも、小学校の朝礼の様に賑(にぎ)やかだ。
どうしてペチャクチャと話が出て来るものだろう。

「黙って並んでくれよ、さあ並んで、並んで……若林君ヘルメットのあご紐どこへやったの?
命綱は?……」
とF君もテキパキと動きが執(と)れる様になって来た。 

私の挨拶よりも安全についての私の講釈(講演とまで行かない)が始まった。
今日は特に《足元廻りの片付け》について話をした。

3階の躯体工事を行う為に1階の支保工(材料)を3階へ転用しているので、1階は休憩所
とか資材を置く場所としても使える様になっている。
夏には弁当をここで食べるのには絶好だ。

器用な職人さんが足代板等でテーブル、長椅子を作って、各々の職種のグループが作業服を
置いたり道具を置いたりしてはいるが(掃除、片付けは俺知らん)という男衆ばかりだ。

灰皿はあるけれど煙草をついつい投げ捨てる。
ジュースの空き缶も足元に転がっている。
スポーツ紙、競馬新聞も風に舞う。
弁当屋さんから買ったおかずの残りがビニール袋に入ったままゴミ箱に入り、夜、ノラ猫に
荒らされる。

まあ、建設業を嫌う理由の5Kのうちの一つ『汚い』『臭い』の紛(まぎ)れもない事実を
認識せざるを得ないものだ。

「誰が片付けるんだ?」
と私は常日頃言っているのを今日は訴えてみた。

ゴミを跨(また)いで通るうちはまだマシだとして、足の踏み場もすぐになくなる神経は何なのだ。

人間が歩いている時、つま先は床からどの位離れていると思いますか?」
と皆の前で聞いてみた。
「5㌢位だろう」というのが最も多かった。
2㌢と上がっていない」と私。
「えーッ?」
「けつまずいたモノを振り返って見てごらん、桟木(27×54㍉)ですべり止めを作るけれど、
上がる時は楽だけれど降りる時は親指に神経を使うでしょ。足は殆ど上がってないんだヨ、足
元片付けがいかに大事か気にして欲しい」
と私の蘊蓄(うんちく)である。

 それから《ジュースの空き缶》の問題もある。
マナーの問題だが、刑務所の時は『モラルの向上』というテーマで自作の看板迄掲げてみた
ものの、立派な看板が泣く程《空き缶拾い》を行ったものだった。 

Kビルでも空き缶は相当ある。
私は現場から事務所に帰る時、空き缶が目に付いた範囲のものだけでも拾っているが、土の
う袋にすぐに一杯になってしまう。
空き缶はこれからのシーズンには悩まされる問題として、皆で取り組む(片付ける)事に
なろう。

「所長は片付け好きだねえ―――」
と蔭で言っているのが、聞こえて来る。

片付け(空き缶に限らず)の姿は皆に『印象付け』をしているつもりである。
所長が勝手に片付けてれば………とは思わないだろうから、自主性を植え付けるか、待つか
は私の行動をみて、本人達が決めてくれればいいと思う。
誰が片付け好きなものか・・・。

コメント
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