総合図その2 *********
その1から 続ける前に・・・
設計図があり施工図のとおりに創るのが工事現場監督の仕事である中で、
話を直近の業界失墜の事件「レオパレス21」を少し解析してみたくなった。
賃貸住宅の設計で行政が厳しく審査する『界壁』を造っていなかった(手を
抜いた)では済まされない事件である。
賃貸住宅で隣家から出火しても延焼を防がねばならない構造である事から
施工中の会議時も竣工検査も消防検査も設計者・設計図・(総合図)施工図
を幾度となく監理検査し施工写真も提出して竣工・建物使用認可となるのだ。
それをどうやってごまかした?組織+(設計事務所)ぐるみで、しかも全国で
多くの建物が同じ犯罪をした事だ。
小屋裏(天井裏から屋根の下地迄の空間)に界壁を造るのに1壁15万円とか
発表されているが、隣家との境壁を延長するのは、仕上がっている入居者の
居室に境界仕切り壁の両面に足場が必要で、天井も大半破って屋根裏まで
人の手が届く範囲の足場を組む必要があるが、その足場の材料や新たに延長
する界壁の材料はどこから搬入するのだ?
壁も天井も工事用に一旦破った部分でも、継ぎ足し補修では済まされないのに
15万円で造れると公表した根拠(大々的に手抜きする計画かな)が全く理解
できないし、同等金額範囲で補修が責任範囲との方針ならば言語道断だ。
工事期間中にも施工図・総合図で隣家壁面にはコンセントも設けてはならな
いと念押しして定例打合せで確認していて、設計図がありながら総合図
(今回は展開図だったかも)を承諾しながら工事をした筈だが、
完成させた物件が『行政検査をも丸めこんで?』界壁手抜きとはね、
(火事になったら隣り部屋へ延焼する仕切り壁を消防署がOKしたの?)
では『総合図その2』の話に戻しますから、建設業界の舞台裏の見当は
出来るでしょう・・・
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『総合図 その1』の続きに入ろう。
話を戻せば、
「設計図に書かれてない事柄を、請負者側で判断して作図するのですか?」
「そうだ、設計図の一枚毎に、全てを網羅した図面にして、R設計が判断を
下すから………」
設計図の中の展開図には各部屋の壁にコンセント、スイッチ、消火器BOX・
棚・下駄箱、ロッカー、備品類を寸法を入れて記入して図面を出せと言うのだ。
竣工時の完了記録図面ならば現物を実測して作図は出来るが、寸法が記入
されていない設計図にカタログ寸法を考慮して、備品を配置し通路が
何センチ有りますという図面を今、私が描く必要は全く無い。
前にも述べたが、設計図の不備、設計事務所の仕事を誤魔化す手伝いは
ゴメンである。
マイホームを建てるオーナーに一枚一枚親切に設計図の説明をされている
二級建築士さんのように『イイ物を創ろう』と言う心構えのひとかけらも
見えないまま、昔ながらの《設計の先生》と言う肩書で、
《ゴリ押しすれば何でも出来る》
という考えが残念でしょうがない。
設備機器や完成後に使用する備品を学校側と決めて設計図を書いて(それも
100枚未満の設計図面)である。
「《この設計図で》入札して請け負ったのでしょ!(文句は言うな!)」
決まり文句の様に、受注した業者に総ての責任があるかの如く、
机を叩いて仰った。
「設計図に書いてある内容すら100%出来ないのに、書かれていない内容を
『総合図』に反映させるなんて……そんな能力は土建屋には御座いません」
皮肉・イヤミよりも怒り心頭・一発炸裂の打合せ会議となった。
「《設計図どおりに》作るのが貴方たちの仕事でしょ!」
「だから創れる設計図を下さいと言っているだけですが―――では、この
設計図の通りに創ります。教室の窓際に『縦樋』が露出していて
生徒がぶつかるけど、それでもOKですね?」
「『総合図』を出してくれれば、検討するから……」
「残念ですが設計図で指示して下さい、我々は《この設計図で請け負った》
ので『総合図』からは何の恩恵も期待して居ません」
販売のマンションでは完成予想図がパンフレットに見栄え良く作図されいて、
それでも内装の説明欄には写真はイメージであり「一部変更の場合有り」と
注意書きが載っている。
車のパンフレットも、写真は実際と違う場合もあると書いてありユーザーも
納得している。
中学校のこの設計図がイメージだと言い訳をする相手(先生・生徒)も
無いし、着工した物件が竣工時に一分の違いも無くて、設計図の通りに
出来上がる筈が無いのは、誰にでも分る。
分ってないのはこのR設計事務所さんだけであろう。
まともな設計図ではないモノをまともらしく『総合図』として仕立て上げたと
して、1か所変わればその都度1か所『総合図』を修正していくらしいが、
その図面から更に数回、変更修正を重ねて工事を竣工させるとしても、誰が
何時、図面を修正するのだろう?
修正しながらの設計図で中学校を建てているのを黙認しながら、市が設計料
(もちろん税金)を払って工事監理をも委託させているのは、何らかの理由が
あるとしか考えられないのだ。
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話はそれるが、森友学園のゴミ処理の問題にしても、設計者側と行政側が
仕組んでいるから、ゴミの量が増えたりゴミ測定写真でごまかそうとして
いるのは明確だ。
工事設計監理として君臨している人から国会提出した写真の言い訳に
「業者が間違って提出したもので……」
なんて言える筈はない。
一級施工管理技士が設計者に提出し、設計者から国会に手渡されて、証拠
として提出する写真を間違うという建築技術屋がいるワケない。
現場監理者は通常の月間工事施工写真でも多くの写真にクレームをつけては
ボツにして、再提出させて都合のイイところだけを記録に残す。
行政から竣工後何らかの追及を受けたくないのが分からないでもないが、
行政(政府)がからんでいるからこそ桁外れの金額となり、つじつまの
合わない事をあわせようとの言い訳ばかりである。
「私は言った覚えはない」なんて堂々と言う人もいるが、当たり前の事で、
「お前らで何とかせい!」はこの業界では日常言うているのだ。
建設工事物件が詐欺事件として扱えるように仕向けたのも設計者が絡んで
いるからで、設計図・施工図・工事報告書を見ればわかるのに・・・
とにかく設計図・総合図が工事現場にあって、それでも不良物件と
なってしまうのは 次回の話としよう。
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