建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

総合図その2

2019-03-18 14:43:21 | 建設現場

総合図その2 *********

その1から 続ける前に・・・

設計図があり施工図のとおりに創るのが工事現場監督の仕事である中で、
話を直近の業界失墜の事件「レオパレス21」を少し解析してみたくなった。

賃貸住宅の設計で行政が厳しく審査する『界壁』を造っていなかった(手を
抜いた)では済まされない事件である。

賃貸住宅で隣家から出火しても延焼を防がねばならない構造である事から
施工中の会議時も竣工検査も消防検査設計者・設計図・(総合図)施工図
を幾度となく
監理検査し施工写真も提出して竣工・建物使用認可となるのだ。

それをどうやってごまかした?組織+(設計事務所)ぐるみで、しかも全国で
多くの建物が同じ犯罪をした事だ。

小屋裏(天井裏から屋根の下地迄の空間)に界壁を造るのに1壁15万円とか
表されているが、隣家との境壁を延長するのは、仕上がっている入居者の
居室に境界仕切り壁の両面に足場が必要で、天井も大半破って屋根裏まで
人の手
が届く範囲の足場を組む必要があるが、その足場の材料や新たに延長
する界壁の
材料はどこから搬入するのだ?

壁も天井も工事用に一旦破った部分でも、継ぎ足し補修では済まされないのに
15万円で造れると公表した根拠(大々的に手抜きする計画かな)が全く理解
できないし、同等金額範囲で補修が責任範囲との方針ならば言語道断だ。

工事期間中にも施工図・総合図で隣家壁面にはコンセントも設けてはならな
いと
念押しして定例打合せで確認していて、設計図がありながら総合図
(今回は展開図だった
かも)を承諾しながら工事をした筈だが、
完成させた物件が『行政検査をも丸めこんで?』
界壁手抜きとはね、
(火事になったら隣り部屋へ延焼する仕切り壁を消防署がOKしたの?)

では『総合図その2』の話に戻しますから、建設業界の舞台裏の見当は
出来るでしょう・・・

********   *********   ********
『総合図 その1』の続きに入ろう。
  話を戻せば、

「設計図に書かれてない事柄を、請負者側で判断して作図するのですか?」
「そうだ、設計図の一枚毎に、全てを網羅した図面にして、R設計が判断を
すから………」

設計図の中の展開図には各部屋の壁にコンセント、スイッチ、消火器BOX・
棚・下駄箱、ロッカー、備品類を寸法を入れて記入して図面を出せと言うのだ。

竣工時の完了記録図面ならば現物を実測して作図は出来るが、寸法が記入
されていない設計図に
カタログ寸法を考慮して、備品を配置し通路が
何センチ有りますという図面を今、
私が描く必要は全く無い。

前にも述べたが、設計図の不備、設計事務所の仕事を誤魔化す手伝い
ゴメン
である。

マイホームを建てるオーナーに一枚一枚親切に設計図の説明をされている
二級
建築士さんのように『イイ物を創ろう』と言う心構えのひとかけらも
見えない
まま、昔ながらの《設計の先生》と言う肩書で、

《ゴリ押しすれば何でも出来る》
という考えが残念でしょうがない。

設備機器や完成後に使用する備品を学校側と決めて設計図を書いて(それも
100枚未満の設計図面)である。

《この設計図で》入札して請け負ったのでしょ!文句は言うな!)

決まり文句の様に、受注した業者に総ての責任があるかの如く、
机を叩いて
仰った。

「設計図に書いてある内容すら100%出来ないのに、書かれていない内容を
『総合図』に反映させるなんて……そんな能力は土建屋には御座いません」
皮肉・イヤミよりも怒り心頭・一発炸裂の打合せ会議となった。

設計図どおりに》作るのが貴方たちの仕事でしょ!」 

「だから創れる設計図を下さいと言っているだけですが―――では、この
設計図
の通りに創ります。教室の窓際に『縦樋』が露出していて
生徒がぶつかるけど、
それでもOKですね?」

「『総合図』を出してくれれば、検討するから……」

「残念ですが設計図で指示して下さい、我々は《この設計図で請け負った》
ので
『総合図』からは何の恩恵も期待して居ません」 

販売のマンションでは完成予想図がパンフレットに見栄え良く作図されいて、
それでも内装の説明欄には写真はイメージであり「一部変更の場合有り」と
注意書きが載っている。

車のパンフレットも、写真は実際と違う場合もあると書いてありユーザーも
納得している。

中学校のこの設計図がイメージだと言い訳をする相手(先生・生徒)も
無いし、
着工した物件が竣工時に一分の違いも無くて、設計図の通りに
出来上がる筈
が無いのは、誰にでも分る。

分ってないのはこのR設計事務所さんだけであろう。

まともな設計図ではないモノをまともらしく『総合図』として仕立て上げたと
して、1か所変わればその都度1か所『総合図』を修正していくらしいが、
その図面から更に数回、変更修正を重ねて工事を竣工させるとしても、誰が
何時、図面を修正するのだろう?

修正しながらの設計図で中学校を建てているのを黙認しながら、市が設計料
(もちろん税金)を払って工事監理をも委託させているのは、何らかの理由が
あるとしか考えられないのだ。

******    ******    *****

話はそれるが、森友学園のゴミ処理の問題にしても、設計者側と行政側が
仕組んでいるから、ゴミの量が増えたりゴミ測定写真でごまかそうとして
いるのは明確だ。

工事設計監理として君臨している人から国会提出した写真の言い訳に
「業者が
間違って提出したもので……」
なんて言える筈はない。
一級施工管理技士が設計者に提出し、設計者から国会に手渡されて、証拠
として提出する写真を間違うという建築技術屋がいるワケない。

現場監理者は通常の月間工事施工写真でも多くの写真にクレームをつけては
ボツにして、再提出させて都合のイイところだけを記録に残す。

行政から竣工後何らかの追及を受けたくないのが分からないでもないが、
行政(政府)がからんでいるからこそ桁外れの金額となり、つじつまの
合わない事をあわせようとの言い訳ばかりである。

「私は言った覚えはない」なんて堂々と言う人もいるが、当たり前の事で、
「お前らで何とかせい!」はこの業界では日常言うているのだ。

建設工事物件が詐欺事件として扱えるように仕向けたのも設計者が絡んで
いるからで、設計図・施工図・工事報告書を見ればわかるのに・・・

とにかく設計図・総合図が工事現場にあって、それでも不良物件と
なってしまうのは 次回の話としよう。

*****************  ***************

 

 

 

 

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総合図その1

2019-02-21 13:05:18 | 建設現場

………『総合図』その1………

『総合図』って訳のわからん図面が出回っている。

設計図があるのに総合図が必要で、しかも施工業者が設計図に書かれてない
事柄まで記入して設計者へ提出するという図面が・・・総合図と云うらしい。

建築工事にも工事監理者に対しても世間一般の人々から信頼を頂いていない
ところに「レオパレス21」の不良物件(組織ぐるみの手抜き物件)が発覚し、
対処(弁明)の仕方もオソマツで、建設業が未だに手抜き産業から脱却して
ない事が浮き彫りとなった。

自社の設計施工(多分)で、一級施工監理技士がいて、社内竣工検査も合格
させて、バレたので仕方なしの謝罪TV会見を見て悪質さに憤りが沸く・・・。

設計図があっても施工物件がこういう風になるのは「どうしてか?」との
答えが見つかるかも知れない話に今回はなりそうだ。

設計図があり、設計監理者の承認があり、施工図があり総合図(賃貸パンフ上
の展開図)があり一級施工監理技士が常駐する現場で信用失墜させる現場事情
になる筈がないのだが、原因はどこの建築現場にでも起こりうる
事を・・・私の
現場から本音より怒りを発信するつもりはないのですが……のお話です。

……では『総合図』について語ってみよう………………

「『総合図』を至急提出しなさい!」
といきなりの、命令が届いた鈴鹿市のH中学校の工事(平成**年)の話
から始めよう。

入札時の条件や設計図のどこにもそんな『総合図』の文言は見当たらない。
それを受注が決まって新しい設計図を受け取った時に、
総合図を検討した上で施工図を承認する……」
ともっともらしい文面が書かれた書類をR設計事務所から手渡されたのである。

『総合図』って一体、誰が言い出したものだろうか?

私が現場所長の時代に聞いた時、
「設計図により請負範囲の《施工図》は作図しますが『総合図』は設計事務所
さんの仕事です」
こう答えたのであるのに、何故今の時代の現場所長が同様に返答出来ないのか
理解出来ない。

技術屋として「しのぎを削る」には労を惜しまないが、設計監理者側の責任
範疇まで工事最初から首を突っ込む余裕も無く、まして『総合図』を書く
意味も意志すらもないのが請負者(技術屋)のプライドである。

国交省の標準仕様書にもその言葉は載っていない筈だ。
(私の勉強不足なら許して)

設計図に『総合図』の三文字が記載されていないのは、世間に設計能力の無さを
知らせる図面になるのを恐れて、記録に残さない別の図面で建物を創らせよう
という魂胆なのである。

設計図のとおりに工事を捗めていく為に、設計者の意図を確かめる為にも
詳細図をかねて「施工図」を作図する事は《建設現場の子守唄》《――の風来坊》
《――の玉手箱》でも相当なドラマが繰り返される話をしました。

それも設計図さえしっかり書いてあれば施工図は不要な筈なのに、ここ鈴鹿市
H中学校の工事では施工図よりも『総合図』を最初に提出しなさい……とR設計
事務所からの通達である。

「チョット待ったア!」

何の為に総合図が必用なのか、請負者側からは全く判断出来ないものだから、
「何が書いてあれば『総合図』なのですか?」

白々しく訊ねて、R設計事務所にて作図された設計図の充実内容を聞き出そう
とする。

説明を聞くと、設計図に備品(机・黒板・ロッカー・スピーカー・掲示板等)
それに天井照明・コンセント・空調機器・タイル等々)を書き込んで、設備の
スイッチ迄もありとあらゆるものを、書き込んだ図面を我々請負者側で作図
して提出するのだそうだ。

「御冗談でしょ、それが書かれてあるから『設計図』なのでしょ」

厳しい言葉だが、設計者のプライドを深く傷付ける質問である。

「…………(お前ら…黙って言われた通りすればイイのだ!)・・・」

「設計図に書かれてない事柄を、請負者側で判断して作図するのですか

「そうだ、設計図の一枚毎に、全てを網羅した図面にして、R設計が判断を下
すから………」

「エッ!?(冗談じゃあねえよ!…あんたそれで設計屋なの?建築士なの?)

「今までどこでもそうやって来た。近くのK中学校の現場の時も……」

「私はそんな設計事務所の《お手伝い図面》を書くように言われた事はあっても、
今の時点では施工図を書き上げる事が《全国の建設現場》で常識です。総合図は
施工図の承認の目途が立ってから書くのなら、やぶさかではございませんが・・」

設備が別途工事であるので、教室内でさえ照明やTV・スピーカー等が天井の
どこからブラ下がっているのかを気にせず工事が始まったばかりの杭工事の時に、

「設備業者と打ち合わせをして、総て網羅させた図面を早急に出せ!」
には、『R一級建築士事務所』の看板が泣く設計屋の集団に見えてしまった。

******    **********

設計図が机の上にあっても、現場で設計の先生の言葉には逆らえず、言われるが
ままの現場が大半である。

森友問題のゴミの写真とかも、施工業者は設計者の指示とおりに撮影して報告書に
承認印を
もらってから工事費を頂いているのだから、調査官としては
設計監理者から事情を
分析すればイイものを、立場の弱い業者は口止めされ
(コメントはもっての外)ていて正解は出るわけない。

設計図があるのに『総合図』云々がまかりとおるのは、続きで話ましょう。

 

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設計図が何だ(3)

2019-02-06 16:18:59 | 建設現場

…………………………(設計図が何だってんだ) 3…………

『何だってんだ、1~2』で設計図、建築設計図面に向かって本音を言いかけて
みたところで、施工する側から見れば何も変わらないのが現状であろう。

設計監理者として現場で最大限の権威(権力)を以ていて、何かにつけ設計の
先生方の承諾を受けて工事が進む。

何だってんだ1の冒頭でも述べたが、森友のゴミ問題で写真からの判断で
業者が説明を求められているが、写真を撮るように指示されたから施工撮影した
ので、撮影の仕方に於いてどういう風の写真が必要かは設計者が指示している
のだ。
業者の施工写真を判断してOKした設計事務所へゴミの量を計算する資料

を追及するのがスジである。

設計者は追及から逃れるための施工写真を提出して・・・

設計図にない所を記録に残す(写真指示)事はかなり厳しい内容だろうが、
設計図とおりであろうとも、出来つつあるものに、

「それじゃあダメだ」

の一言で、誰も言い返せない。

(設計図の通りなのに……)
と憤懣やるかたない思いを抱いたまま、皆が耐えてモノ造りして、果たして
イイ建物が創れるのだろうか。

オリンピック競技場を設計図競技にしても、聖火台のない競技場である事を
審査する人が気が付かない。
オリンピックが目的で設計してその後は一般競技場
として活用するのが分って
いるのだから、聖火台の位置デザインも含めて設計者
の能力で設計図として
仕上がるが、今回は一級建築士がグループで設計したと
いうだけで設計図決定
とあいなったのであろう・・・

名称が国立競技場からオリンピック目的としての施設となっての設計のやり直し
であっても、聖火台のないオリンピック競技場が設計図なのである。

聖火台は別途設計して設計料がフトコロに・・・(設計ミスじゃあないの??)

最高を競う設計図面がこれであれる中で、一般の設計図を鑑みれば・・・
それらを仕方なく受け入れながら・・・

………その1 + その2より 話を続けてみよう………

《設計の先生様》あるいは《神の声》として、設計図が間違っていようとも
施工業者は言われるがままにペコペコ頭を下げ、尻尾を振っていた時代は終わ
っているのである。

建築ブームが去った今になって、施工図に頼るような設計図面の内容が多く
あるのは、かつて天狗になっていた反動である。

業者まかせでバブル時代に鼻は伸び切ってしまい、業者にVE(仕様変更)を
認める条件を出したのは、設計者がプライドを無くしたのだと私は思っている。

私ならば自分が描いた設計図に施工業者が変更を求めて来てもノーと言う。

「この設計図で入札したのだから、この通り創れる筈だ」
と昔、一級設計士さんに言われた事もある。

「変更希望があれば、書類で出してください」
と今は施工側がいくらでも自分勝手な変更が出来そうな気配である。

ゼネコンの設計・施工というものもあり、こうなると好き放題で、間違えて
創っ
ても設計変更として処理し、すんなり世間をごまかしている。

間に合わせるためには好き放題の仕様変更がまかりとおる。

柱の鉄筋の本数を少なく(手抜き?)したまま、階を重ねて造り、バレたら、
「構造上まだ余裕があるから、大丈夫・・・」
と構造設計の背広族のコメントもあった。

自社設計ならば余分な鉄筋は入れず、耐力限界値近くまで鉄筋を少なく設計し
余分な事に金をつぎ込む設計は毛頭ないものだ。

モノ造りの世界において、造る基本となるものとして設計図があるのだから、
その通りに創れる筈であり、その通りに創るのさえ
《設計者の承認が必要》
という意味が分からない。

設計図とおりに創るのに『施工図』が何故必要なのかも一般の人には分から
ない。

例えば、工場製作用に渡した図面に設計監理者の承諾印がないままに製作した
場合、それがたとえ設計図と同じものであっても「やり直し」の命令が
出される場合もある。

副所長時代にEVメーカーの工場《製品検査立会い依頼書》を提出時に、
「私はこのメーカーの施工図に承認印を押した覚えはない!」

「特記にあるメーカーです」
「施工図承認していないのに、勝手に作るな!

その場で言い争うほど、私の不利になってしまうのだ。

設計図を書く時にはそのメーカーの機械が入るように大きさを決めて、
半強制的に「このメーカーを使用しなさい」とらしく特記に書いてある。

設計図に書いてある品物(固有名詞)だからその通りに事を運んでいても、
「設計監理者の承諾が必要だ」
という仕組みは工事進捗上、邪魔になってしょうがない。

あの苦い経験を踏まえて後、私は所長になってから、
「設計図通りのものについては《承諾願い》は総て省略します」
と最初の定例打合せで宣言する方針を貫いている。

設計図に書いてある事の、小さな事までこちらから《願い書》を提出する方が
不自然だし、設計事務所との打合せ時間は短くなったし、何ら困る問題は
発生しなかった。

設計図を施工図と対比して定義してみれば―――、

施工図は創る側が創る手順を考えて描く部分詳細図面であり、設計図はあく
まで仕上がった状態が書いてあり、食い違いのない総合図面でなければならな
いのが、最低条件ではあるまいか。

設計図が手書きからCADで書かれる時代となって、図面1枚のデータから
専門職が追加記入して、設計図としての食い違いが少なくなっている。

この設計図のデータを共有すればいい建物になるのだが『著作権がある』言い
ながら、データを施工者側に『有償売却』している設計事務所がある。

 完全なる設計内容ではないのに施工業者へ売却すると言うのは、設計料を施主
ら受け取っている上に、更に作図料金を搾取しようとの魂胆しかない。

著作権が感じられる程の設計図面なんぞ、今まで見た事もないし、ここまで
述べて来た事からみても、設計図は皆で育てるからこそ完成されるものである。

創る人達へ、設計者の意図を完全に伝えたいならば、データに著作権がある
とか、1枚★万円で買え、なんて言える筈はない。

無償でデータを提出する設計事務所ほど、いい建物を創るために真剣である。

いい建物にするべく図面として『設計図』を描く技術者でなくて、設計図で
金儲けしようという時代の流れを断ち切るべきだろう。

「さすがに『設計図だ!』」
とあがめる時代は・・・期待できないのだろうか………。

********     *********   ******* 

設計図というものがありながら『総合図』というものを施工者側に要求する
設計事務所もあり、いかに建築の設計図がオソマツなのかという事で、
設計図・施工図・総合図→承諾図の意味を文科系の人に説明の場も必要だね。

次回は設計事務所から『総合図』を依頼された時の顛末をお話しよう。

++++++++++     +++++++++

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設計図(2)

2019-01-09 10:05:36 | 建設現場

………………(設計図が何だってんだ)2 …………  

2への本題に入る前に、設計図について忌憚なく言いたい放題を続けよう。

設計図とはお粗末なものだと職人さん達が一番感じているものだ。
建設現場経験が豊富な所長さんや腕に自信のある職人(親方)さんから

「何じゃこれ?何でこうなってるの?」

と半分見下された発言に
設計者はデザインとかアクセントとかを
錦の旗のごとく振りかざして、現場で
神の声らしき発言をされる。

設計図がどうのこうのと言うても、地面から湧き出たモノじゃあなく、建築士
というしかも一級建築士という看板から発信されて建物を創る(築く)図面
でなければならないものだ。

ところで 原発の地下水処理に凍土壁を設計し350億円以上の国費投入で
止水成果が10%しかないのは設計ミスか施工ミスか。

(直径2センチほどの底穴でも大タンクの水は空になるし、その穴が凍土壁面に
あれば外部地下水は流水中の最高高さで水平になるまで逆流してくる→10%成果
があるという意味が不明、100%だから止水と云うのだ)

総工費に対して設計料5%、凍土壁工事の欠陥(止水大量漏れ)に対しても
止水完成迄の施工責任もとらずゼネコンは7~10%の施工純益が懐に入っていて、
ここでも『想定外』を持ち出して設計の責任に・・・すりかえ………。

まあこの重大な物件でさえ作る(止水)という目的でも設計図と言われている
から、設計図としての重みが消えていく・・・

話を 設計図が何だってんだ その2 へ進めよう。

   ………その1より つづき………

設計図は意匠・構造・設備(電気・衛生)と大まかに分けてある。
意匠図とは一般の人達が見てもある程度は理解出来る平面(間取り)立面図・
断面図・展開図・仕上表などであり、新車のカタログのようなものである。

完成した状態を想定するには意匠図を優先とするのだが、構造上の柱とか壁
や梁が意匠図で消えている場合があっても設計図である。

例えば、ロビーの中央に柱が1本あれば、邪魔になるのは分かるが、この柱
が意匠図で消えていたり、構造図では四角柱がデザイン上で円形の柱になって
いたり、
少し動いた位置に柱が書いてあったり……もしたものだ。

「ここは図面修正前の図面です」
と言い訳をしながらも設計者として図面に印鑑を押して
設計図として施工者側に手渡されたモノである。

柱の場合は早く食い違いに気がつくが、壁の場合は判断が難しいのだ。
平面詳細図といっても30分の1(大概は50分の1)の設計図から判断する
のであるから、設計者の意図はなかなか伝わって来ない。

壁の厚さが200mmか180mmかを50分の1の図面で判断するのは許せるに
してもコンクリートなのか軽量鉄骨間仕切りなのかはどっちつかずの図面で
ある。

「コンクリートの壁では邪魔になるから軽量鉄骨で間仕切にしよう」
なんて、工事最中に必ず変更発生しても平気なのは今に始まった事ではない。

設計事務所から設計図の変更最終版として頂いても、意匠図と構造図の食い
違いがある度に協議し、検討しながら創ろうと言うものでも設計図だろうか。

私のこだわる創るに対して、工作の作るスタンスであるのが設計図である。

食い違い部分の検討結果の返事が来るまでに日数がかかるような図面でも、
確認申請許可が下りている図面なのであり、何とも情けない設計図である。

世間では一級建築士事務所の会社で描いた図面の価値観は相当に高いもので
あると思い込んでいる以上、設計図があるのに更に《施工図》が必要とは考え
られない事だし、施工図の言葉さえ知識にはない。

建築の世界の一級建築士さんを見る目は、素晴らしい技術者として尊敬して
(あが)められていて、我が家を建てる時に、
「一級建築士さんに設計してもらった」
と鼻高々で設計図面を片手に自慢されているものだ。

木造住宅にまで一級建築士の図面が出回っているが、木造住宅の設計図面は
二級建築士のほうが使い勝手のよい間取り空間が設計できるようだ。

木造住宅専門の設計図と高層(高級)マンションの設計図を比較しても意味が
ないように、建築物により設計図の価値観が変わってくる。

例えば美術館のようなデザインの出来る人に、住宅の玄関をデザインさせる
よりも、入居者が身近に知りたいのは下駄箱と玄関ドアのほうである。

見せる(魅力)設計図なのか住む(生活)設計図なのかを基準にして、設計
図の良し悪しを評価する事になるのである。

一級であれ二級建築士であれ、設計図の使命・役割は同じである。

江戸時代に棟梁が頭の中で描き、いつしか板切れに墨で書き、やがて紙に詳
を描くようになって以来(現在はCADで作図して)設計図として発展しつつ
あった良き伝統がこの先
数年でついえる気がしてなりません。

《設計の先生様》あるいは《神の声》として、設計図が間違っていようとも
施工業者は言われるがままに………

    何だってんだ その3につづく

 

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設計図が何だ

2018-12-04 11:34:16 | 建設現場

設計図が何だってんだ その前に一言」

森友問題で地下のゴミ問題でゴミの金額で値引きとか実際にゴミの有無が
国会で質疑されているが、大量ゴミが埋設しているところへ学校を設計した
のかは設計図を見ればいい。

仮に、ゴミのあるところへ杭を打つ設計図面を建築確認申請して、官公庁が建設
許可したのも、現場から言えば『神風が吹いた』からだ。

ゴミのある所へオーガー(杭の錐(きり))で杭穴掘削すれば杭穴相当の土量分
のゴミが
地上へ噴き出て来るし、杭工事施工状況写真や杭打設記録写真・報告書
からも、
ゴミを貫通しての杭打ちだったとの工事竣工図書で証明か即決できるのに、
現在は建物が出来ており、建物所有者が決まってないから埋設ゴミ調査が出来ない」
と国会でA氏がワケのわからん答弁をしてる。

国交省も設計図で建設認可したのだし、大量ゴミ貫通で構造計算書も成立(許可)
させたのたら耐震偽装建築物であり、杭打設報告書を開けばゴミの量もわかるの
にね。

設計開始前段階でボーリングは最初に行い地盤耐力を確認して建築物の設計が
始まるのだ。

ゴミがあることを隠して設計図を書いて工事させて、ゴミを隠しながら設計監理
していた事になるならば設計図は何の価値があると云うのか………
地中で土と接しているから杭の耐力(水平力方向)が発揮されるところをゴミが
杭周辺にあっても建物に対する杭設定強度は偽装構造計算書を認可したのか・・・

ちなみに我が家は夫婦そろって20代で一級建築士に合格して施工現場を飛び回って
いますが、昔から 設計図・設計される先生方は・・・の話をしよう。

  …………………………(設計図が何だってんだ) 1  ………… 

「所長、今度の現場の設計図です」
と最初に手渡された設計図は、幼い頃オモチャを買ってもらった時のような
嬉しさに似たものを感じるものだ。

平成時代初期迄は表紙を開く時に青焼きコピーの鼻を突く臭いが多少気に掛かって
いたものの、(現在は白焼き図面になっている)、平面
図と立面図をゆっくりと
眺めて、立体的な感覚を描いてから特記仕様の最初か
ら読み始める。

工事概要から建物概要へと目を移し、各階の面積と延べ面積から、建物の規
模が想定出来れば、次ぎは指定条件には何があるのかと特記詳細を見る。

1枚の図面毎に内容の説明は不可能だから、設計図の最初に特記として文章
にしたためて書いてあるが、読み飛ばしたくもなる内容である。
それもかなり多くの決め事が列記されていて、中には強制的にメーカー指定
の箇所もあり、図面のそのままで創るためのものが設計図である筈なのだが、
建築の設計図に限っては、そうでない。

「一応、建築確認検査を行政機関で受けて建築基準法に適合していますよ」
というだけのもので、建物の使い勝手までは法律の範疇外である。

「こんなところにトイレがあるのかよ」
と思っても、換気と照明設備があれば狭い洗面所になっても、何ら問題のな
《設計図》としてあがめられるのである。

それにしても最近の設計図は設計図の枚数が少なすぎる。
なおかつ設計図を外注している為であろうが、図面の食い違いがやたら多い。
《子守唄》《風来坊》でも設計図について苦言を呈したが、施工図を書かなけ
れば納まらないような図面がいまだにあるのは、こと情けない限りである。

今回で三度も言う事になるのだが、厳しく言えば、完成状態の《総合設計図》
になっていなくて、不明確なところが多くても「設計図」として取り扱いをし
ているのが問題なのだ。

昨今の建築設計図を飛行機に例えれば、滑走路さえ走れない飛行機が出来る
程度の図面である。

飛行機の設計図まではいかないにしても、せめて試験飛行は出来る程度の内容
まで書かなければ「プロの設計図」として世間に顔向け出来ないのでは
なかろうか。

         (設計図が何だってんだ) 2へ つづく  ………… 

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談合が何だってんだ(2-3)(再UP)

2018-01-25 10:45:25 | 建設現場

大手ゼネコンが談合責任を取ったかの報道だが、
その順番も談合に含まれてるとしか………
前回の尻切れトンボを続けてみよう。
談合の善悪・あるなしは念頭に入れずに読んでね。

*****************  **************

談合が何だってんだ(2)
(2019.5月UPより)

 業者同士で談合をして高値落札を画策しても《官》の予算以下でなければ入札が成立しないのであるならば、談合を行う意味もない。

 仮に《官》の予算が間違っていても《官》の予定価格以下に従うのならば、《官と業》の話し合いとなり、談合とは
《官》の言う金額に話し合いで相談の事」
 と定義づけましょうよ。

 だが、《官》は卑怯にも
「まだこれから先にWXYの工事発注がある」
 と計画図をちらつかせて、
「今回従わないのなら次の物件以降《入札指名から外す》」
 という態度を示して《業》の弱さをもてあそぶ。

 とにかく想定範囲の中の業者に、赤字覚悟で受注させながらも、談合はなく予定価格より下回った『正当な入札』だと発表する。

 応札をした11億円の業者達に談合があったかなかったかと調査するのは勝手だし、業者は談合をしなくても、競争相手の入札金額は想定がつくものだ。


 大手ゼネコンは利益部分を大胆に削ってでも名誉の為に受注競争をする場合があるだろうし、工事建設地域に根を張っている会社ならば職人単価を削って応札するだろう…とかで予想をしたとしても、億の単位の工事から応札をみれば数%の金額の違いしかないのである。

 《官》は大規模の工事になれば、数工区に工事を区切り発注して、分割毎に大手ゼネコンを頭にしてJV(共同企業体)を組ませているが、暗に談合があるから競争相手でも組めるグループが作られるし、反対に会社更生法申請中の会社でもJVに名を連ねる事が出来るのだ。

 ゼネコンから見ればどんなに大きな物件であろうと、1社で受注したいのは必然である。

 工区分割発注・しかもJVの条件指示が発令になり、天の声と言うのか《神の声》によって大規模事業が落札決着しているようでは《業の談合》の是非の話ではないのだ。

《神の声》とはいわずもがな《政》が官を飛び越しての関与であり、まさに、《政・官・業》の一体となった裏工作と言えるものである。

『ロワーリミット』
 これは土木工事の入札時に使っていた言葉である。
 現在、使っているかは定かでないが、消えてはいないだろうと私は思う。

 有名な話がダム建設において残っている。
 順当に見積もってみればH組が受注すると、一般的には思われていたのが、K建設に入札会場で逆転した。

 見積り金額の高い・安いの判断ではなくて《ロワーリミット》と言う発注価格の線引きラインを越えた最初の業者だったのである。

この金額より上でなければ、出来ない筈だ)
 と線引きを決めるのは勝手だが、業が他社より1千万円でも安く受注しようと努力しても、何にもならない仕組みになっている。

 《業》に対し《官》も口が出せないところに、手を出せるのは《政》しかない。
 この《政》の力でロワーリミットを操る限り、談合よりも根深い『裏工作』を私は感じるのである。

 入札開封時に、受注させたい業者の応札金額のすぐ下を《ロワーリミット》と瞬時決めて発表すれば、誰も逆らえない。

 となれば、入札以前に業者が決まっていたという事である。
 上手に組み上がった、
《政・官・業》の三角形であれば、談合や汚職を論ずる隙間も無いと言う事だろうか?

 官庁工事を受注するのには《官》には逆らえず、まして《政》には返事すら困難な仕組みの中で、JV(共同企業体)という工事を発注して《業》から不満が出ないように押し切っているのも………としか私には思えない。
*****************  ***************

談合が何だってんだ(2)
2009.5.28

  話を(Z物件)に戻して―――、

そんな中でもし「談合に関係ないです」と言う顔をして最安値の7億円でP建設が乗り出せば、官はそのP建設に落札しますか?

 最安値のP建設は外すとしても、8億円のQ建設が応札した場合に、官はそこに決定するとは限らないから落札の裏面が不透明になるのである。

 建築の世界でも、安いところから二番目という金額だけでは落札せず、どうも隠れた不文律が潜んでいるようだ。

 落札の目的は最下価格を提示した業者…であるはずが、何故かそうではない。

 オークションのように公然と価格を下げる競争をして、
「ハイ、9億8千万円で決まりました」
 とTV中継でもすれば、談合がなくなるとも限らない。

 金額面から悪く考え着く事は8億円で落札し、5億円の工事が進んだ頃に、工事実績の少ないQ建設が計画倒産を最初から仕組んでいれば、以後の工事は誰が責任を持つのですか?

 談合予防に対して入札制度を改革した結果、Q建設が8億円で落札し、予定価格の20%削減が入札の適正な成果であると報道するのは構わないが、Q建設が責任のある工事として建設遂行可能なのかは判断出来ないものだ。

 11億円の応札をした業の各社から実績の少ないPQ社を見れば、必死で取ったにしろ赤字覚悟の上にしろ採算が合わないのは目に見えるし、手抜き工事に走るか途中で逃げ出すかも…と瞼の裏に浮かんで来る。

 その結果がやがて欠陥構造物となって、数年後に《官》は補強修理工事を発注する事態となり、又、現在多く目にする◎◎補強工事とやらになっているといえないだろうか。

おだんご(談合)とお魚さん(工事)のどちらも美味しいのに
無くするなんてイヤだわサ。

                              

「談合は、必要悪」
 と言うからには、談合は必要であり、行われている。
談合をーしていない」
 と言いながら、影でコソコソ動いているようだから、悪い事をたくらんでいるように誰しもが思う。
談合はーけしからん」
 と圧力をかけられて大昔から日本の土建業界にある習慣の一つ、

談合をー止めました」
 と今の時代になって言える根拠と保証があれば、示してもらいたいものだ。

 官としては自分の県の業者に建設業登録を認可して業者のランクを決め、発注工事高によって入札指名業者まで発令する時に、数ある物件を指定ランクの中の1社のみに片寄る事なく、公平に落札させようとするのもよくわかる。

 談合組織を解体し、入札金額だけで判断するならば資金力のある会社が片っ端から安値落札を始める事も可能だし、さすれば官はどのような対策が出来るのだろうか?

ジャングルの野生の動物は自分のテリトリーを護り、ジャングルの王者になろうとは思っていないでしょう。

 建設業社は他社を押し退けてでも大きくなりたいのは、あながち悪いとは言えないが、自分がシマウマなのかライオンなのか一度想定してみませんか。

《官》としては談合していないはずの業者を選択したのであるから、応札金額だけを見て事務的に判断したいようであるから、もう入札会場を設定する必要もなく、ネット上で入札結果発表が出来る制度で十分でしょう。

 談合が必要なのか、不要なのか、善か悪かをここで結論付けは致しません。

 何故、大昔から、談合があったのか・・・。
 何故、今になって悪いモノとして決め着けているのか・・・と。

  

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談合が何だってんだ(再UP)

2018-01-12 09:20:07 | 建設現場

設計図について話す予定だったが、
談合の言葉が最近多すぎる(リニア・舗装・下水道………)ので
昔(約10年前)のブログの1項を再登場させてみた。
業界側もいろいろ手を尽くしているが、まあ談合が終止符を打つこと
はなかろう………と思える話です。
    *****************  
(2009年投稿より)
☆ 『談 合』 が何だってんだ(1)  

建設業界の最近のニュースと言えば、手抜き・欠陥・献金・偽装・談合等、次から次へと悪いイメージばかりが強調されて、世間を騒がせている。

 一昔前は三面記事に(犯人は労務者風の男)なんてキィワードも目にしたものだし《手抜き》という言葉は古来、土建業界からなくならない言葉で扱われてもいる。

 それらの中でも昔からある《談合》は土建業者専用の言葉として暗躍し続けていて、それによりあたかも巨額の利益を談合業者達が得たかのごとく悪者扱いであっても、現在、何故か建設業界から誰もマスコミに反論していないのが情けない。

 談合をしている情報があったとか、談合が明るみになったとか、新規入札方式により落札額が予定価格より大幅に下回ったと言う報道に対して、私の本音を言ってみよう。

 建設業界・ゼネコンが報道に対して堂々と内容を述べない(述べられない事情もある)から、皆が口ごもっているモノを私が吐き出してみるだけである。

断っておくが私は談合に対して賛成もせず、反対論者でもありません。

 官民の物件に限らず、設計図の内容を積算して発注者側にて工事予定価格が決まっているから、入札が始まるのである。 

**************
仮に《10億円のZ物件》として話をすすめてみよう。

  そもそも、予定価格は建設物価基準なるものから積算して工事総額を割り出したのであるから、10億円があたかも正当な金額と発注側《官》は認識し、建設業者《業》からその価格以下の応札でなければ当然、入札行為を繰り返しても落札は成し得ない。

各種工事毎に工事単価基準の幅なるものを官が決めているので、談合をしたとしても基準単価の範囲で民が積算し入札する以上、談合によるボロ儲けは考え難い事なのだ。

設計図から数量を拾い出した場合、入札参加の業者が同じ面積・同じ容積になりません。
 私の経験でも《官》の積算数量に対して、生コン一つにしても100㎥前後の数量の食い違いがあったり、また、塗装面積は《業》の積算数量が少ない等もよくある事でした。

 数回の入札も落札に到らず応札金額に大きな隔たりがある場合の原因として、明らかに《官》の積算ミス(小数点の間違い・積算欠落)等の場合であっても、《官》は予定価格を修正しない。
《業》が11億円程度で応札している中で、《官》はあくまでも10億円以下でなければ落札できないのが入札・落札の仕組みである。

《官》の金額に応じるには《業》の経費(純益)を含めた部分で業が自分の首を締めて、再度入札をせねばならない。
《官》の予定価格では赤字になるとしたならば、自社に決まるのを避ける為に、何度入札を行っても『安値』を提示する事はせず、他社の落札を願うものだ。

 《業》の言う価格迄に工事予算が変動するならば、《業》が集まって総工費をつり上げるために《談合》は行われるだろうが、赤字受注を強いられる場合には《官》が指定業者を決める権限がない以上、順番制か抽選かでもどこかの業者が受注しなければならない。

 無理やりの受注にも話し合いが必要で、それも《談合》と言い拒否されるならば、ゼネコン同士にては話し合いをするまでもなくシッポを丸めて帰るだけで、困るのは官側である。  

                《その2へ 続く》・・・

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一斉清掃

2018-01-09 10:35:43 | 建設現場

…………………………(一斉清掃) 2 …………
昨今では『一斉清掃』は現場で決まり事になったものの、その心
意気が引き継がれて
いなくて、言われた範囲の、やりたくもない掃除を
するから、毎週掃除しても
成果が上がらないのだ。

中にはその時間はまだ近隣の食堂で昼飯とか食後のコーヒー
タイムの延長で、現場の
掃除時間が終わった頃に戻ってくる
《お馬鹿さんチーム》がある。

私はお馬鹿さんチームを見過ごさない。
何年も掃除を皆でしていれば、誰がどこで掃除をしないかくらい
「お見通しでござんす」だ。

掃除をしなかったンだから掃除して集まったゴミの処理はアンタ持ちだよ」
と山積みのゴミパレット処理代金を、当月の工事費請求金額から相殺させて
頂いている。

ゴミパレットのゴミ処分代金は1箱3~5万円だった時代から、私としては
毎月のゴミ
処理代金の予算が少なくても、お馬鹿さんチームのお陰?で
何とか凌(しの)いで来ていた。

*************  ***********
そう言えば、この一斉清掃が思うように出来なかった現場もあった………。

中学校の増築現場でいつものように音楽を流して、

(さあ掃除だ)
と腰を上げたと同時に、
「いま中間テスト期間中ですから、静かにしていただけませんか?」
と仮囲いの横の職員室からの電話だった。 

「済みません。ごめんなさい」 

一斉清掃中止のアナウンスはやめて、音楽もすぐ止めた。

(あれっ?もう終わり?)
いつもは終わるのが今か今かと思っている人に限って、心配をしてくれる。

「今日は一斉清掃の時間が16時30分からです」
と朝礼の時に伝えるのをコロッと私は忘れていたのだ。

この現場の掃除時には仮囲いを越えて面白い物が舞い込んで来ていた。

紙飛行機を「一緒に捨てて…」と飛ばして来る。
それも採点済みの答案用紙である。

「点数が軽いから、よく飛ぶね」
と言ってやったら、窓から飛ばす生徒がいなくなった。

とあるマンションの現場の時は、
「所長さん、お願いですから一度に埃を出さないで、洗濯ものが大変です」
お隣の奥様が事務所までお願いに来られた。

埃飛散防止にネットを張っていてもメッシュシートだから、完全
遮断になり難い。

20分間ほど集中して一斉清掃をすれば、我々のまつげも鼻も埃が積もり息苦しいから、送風機で風を送るが、吹き出た強い風は
その細かな埃を吹き飛ばしメッシュシート貼を
通り抜けて、
お隣さんの庭先に舞い落ちていたのだ。

それも1ヶ月程度も、お隣へ迷惑かけているとも気がつかず…
大変失礼したものだった。

その現場はお隣さんが接近していたので、一斉清掃は中止して、
毎日自分の周囲を掃除して帰るようにしよう」
と皆で決めたけれど、キレイな状態での週末には程遠いものだった。

無理矢理の掃除も昨今はどこの現場でも決まり事にしているが、
マンネリ化されていて、
昔のようにキレイになる喜びに感動して
いない。

毎日場内を片付け掃除の女人夫さんがを掃除しているが、ゴミを出す人の量に
追い付かない。

ゴミは誰かが処分してくれると思い切っている輩がいまだにいる。

キレイに片付いた場所で、イイ仕事をしたい気持ちがなければ、
腕は上達しないものだ。

掃除の仕方からでさえ、職人さんの腕の優劣を私は査定しているのである。
   *************
次は『設計図が何だ』と本音を言うと………の話をしよう。

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一斉清掃

2017-12-15 11:32:39 | 建設現場

      
 

…………………………(一斉清掃)1 …………

                                                                   

「自分の出したゴミは自分で持って帰りましょう」
と看板はあるが守られたためしがないのが建設現場の常である。

多種多様の職人さんがいて、誰の仕業で場内が汚れたままになるのか
特定出来ない。
ゴミについては《風来坊》で因果関係を話ているので、もう一度見て
ください。

ゴミを片付ける時の話を、これからしよう。

私は毎週金曜日13時から20分間、全員で掃除をする事を、
昔から決めていた。

現場に始めて来た職人さんには「新規入場者教育」を全員に行い、
その時に必ず説明しているし、又、協力業者の社長にも工事契約条件書には記載が無いが
「一斉清掃」
を伝えている。


聞いていないとは言わさないし、掃除をサボる事も許さない。

「俺達は請負仕事だから、掃除は関係ないよ、組(元請)の仕事だ
よく言いのがれの口実を聞いたが、私は首を縦に振らないで、
「板を切って両方使えばゴミにはならないが、
   鋸(のこ)クソはどうするンだい?」
「仕方ないよそれは…」
「鋸クソを持って帰らないなら、そのゴミ処理を何で俺に掃除させるンだ?」
「そんなあ…どこも組がやってるぜ」
「週に1回、皆で掃除しているのに、あンたの会社だけ廻りの人が
掃除中にも仕事するの?」
「・・・(掃除は嫌だ)」

この会話はまだ現場に一斉清掃の言葉のない時代の出来事の一コマだ。
やんちゃを言っていたのは、私の方だったのかと…今思う。

保護帽は被っていても、朝礼はまだ制度化されていない時代に、強引にも
一斉清掃を強制させていたのであるから、職人さんから
(生意気な若造!)
と言われていたのだろう。


当時の職人さんが、自分の家で箒を持つのは年末の大掃除くらいのもの
だった筈である。

「箒(ほうき)なんて持ったのは何年振りかなあ?」

面白半分で掃除時間に会話が弾むものの、本気で掃除する気分にはなっていない。
それでも掃除時間はダンスミュージックを流し、場内放送では、
「みんなで掃除、掃除。みんなで片付け、片付けよう」
と暗い雰囲気では面白くない作業に元気を植えつける。


とにかく、一人に一本ずつ竹箒を渡して、
「今日も3階の掃除を皆でお願いしま~す
先週も掃除したのだが、誰が出したとは言い切れないゴミが、又、足元に
散らかっている。

水バケツを持ってきて、手で水をまいて埃が舞わないようにしている職人さんもいた。

何だかんだ言っても、皆でやって作業周辺がキレイになれば、誰だって仕事を
しやすくなり、片付いた場所で仕事をするのが当然だとの気持ちになれば、
イイ仕事が出来る筈である。 

20分はあっという間に終わるが、清掃の成果は当てにしていない。

《皆で掃除》の方針をチームワークとして育てたいのである。

掃除終了の頃には缶ジュースを配って廻り、
「来週もお願いしますね」
と一斉清掃の参加品と思えば安いけれど、気持ちの問題だ。

無理矢理やらされたと言う人よりは、やって良かったと言ってくれた人が
多かったのは何よりの支えになったし、昔も今も私の現場の掃除スタイルは
変わっていない。

そんな風評が他の現場にも伝わったのか、一斉清掃の輪は
じんわりと拡がり始めた。

  一斉清掃 後半へつづく

(PS)
   (トラブルもあり、掃除をサボった奴への対処とか……を)

 

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魚釣り(2)

2017-11-27 14:12:02 | 建設現場

…………………………魚  釣 2…………

 話を戻して、
 魚屋で売られている魚も、人間に食べられるために海で泳いでいたのかも
知れない。
だが、私が釣った魚や釣り上げたが捨てた魚は、・・・
********    ******   ******

だが、私が釣った魚や釣り上げたが捨てた魚はまだまだ生きる事が出来たハズ
である。

私の生きるが為の手段として釣り上げたのなら、魚の持つ運命だったのだろう
思う事も出来るが、私の趣味で釣られた魚には運命ではなくて
「事故」なのだろ
とも思う。

それは私の現場で、仮囲いの中で毎日働いている人が、天からの一本の糸
釣ら
れたのと同じ「事故」として怪我をし、あるいは命を落とす事と同じ事
では
ないのか……と。

運命を握っている者、司(つかさど)る者がいるならば否、いるハズだ……と。

ならば、魚の運命を握っていたのは私であり、人間界の運命である。
魚の命を奪った私に対して、天は私をどう裁くのか…と。

天によって子供が世に生まれる前に二度も召され、母をも召されそうになり、
万一、現場の職人さんを事故に遇わせでもすれば、私が償えるものは何一つ
持っていないのだ…と。

そう考えている内に母の願いを聞けない間は、子供は授からないだろう…と
思えた。

魚釣りは仕事の付き合い上、すぐに止める訳には行かなかった。
船釣りの場合には糸は垂らしていても、餌に引っ掛かって来ても
知らない振りだ。

ハナから引き上げるつもりは無くて、船畳の上で酔っ払っては寝ていて、
釣りを
している仲間からは嘲(あざ)けられても、魚を釣り上げる事は
しなくなった。

調子悪いね、所長!またエサ、食われてるよ」
(食い逃げ魚さん、よかったね)

つぶやきながら、エサを取られるようにくっ付けて、食い逃げ魚に
協力していた。

「釣竿一本で一国を釣った《太公望》を見習えってもんだ。
    魚の一匹二匹で
騒ぐな!」

魚釣りの話になるとよく《太公望》の名前が出て来ますが、老人で白い髭を
はやした釣の名人のように思っている人が意外と多いものである。
------    -----     ----   -----
念の為、《太公望》さんは、魚釣りの名人ではなくて、斉の国
起した人である。

紀元前11世紀、商王の暴政に対してたった一人で商王朝を倒しに
起ちあがり、
倒したとも言える天からの化身のような人物である。

三年間、釣竿を使わずに糸を垂らして、鉤針(かぎばり)は真っ直ぐで、
川に沈めず、
魚が飛び上がるのを待っていたから一匹もつれず、
周の国王がその話を聞いて
飛びついた・・・のである。

周の国召の国を釣ったのごとく中国大陸を操ったのは、中国を統一した
秦の
始皇帝より九百年も前の話であり、魚釣りの話は伝説かもしれないが、
中国の歴史は面白いものだ。
-----     ―----     ------    -----
不調続きを見かねて魚釣りに誘われるのもだんだんと疎遠になっていった。

魚釣りをしなくなったからではないが、現場での《運》が強くなって来た事は、
思い上がりと雖(いえど)も自分でも気がつき、驚いている。
全責任を負うべき所長として現場を10年以上も経験したが、
労災事故報告書
紙切れ1枚たりとも書かずに、現場勤めが終わった。

事故寸前・危機一髪の状態も経験しなかったのは、偶然にしては
不思議である。

また、どうしても雨が降ったら困る日に、用件が終わるまで
雨が待っていてくれた
ような日もあり、天運に抱かれ始めている
と感謝した事も数回あった。

仮囲いの中で所長として現場を見渡す変わりに、雲に乗った仙人の気分
見れば、
危険という餌を付けて釣り糸を垂らしさえすれば、誰かが食いつくのは簡単に想像出来る。

だから、釣り糸を垂らさないように安全監理をすればよいのであって、
ならば、
釣り糸さえ持たねばよいとの気分になり、魚釣りの道具も
いつしか処分してしまった。

人に「魚釣りを止めろ」とは一切言っていませんし、思ってもいません。

大勢の職人さんを集めて仕事をさせる中で、トップに起つ人の徳が薄い
よりも、
篤い方が良いのに決まっているのだから、徳が増やせないならば
減さない努力は
出来る筈だ。

私はただ、魚釣りに対して母の言葉から《天命》を考えただけである。

魚釣りと現場の因縁は一切関係ありませんし、あくまで私の偏見ですから、
魚釣りの好きな人がこの稿を読まれた時は、サラッと読み捨てて
くださるよう
お願いします。

現場での火災事故原因を撤去するため、二十年来の喫煙を私が勝手に
やめた
ように、この魚釣りも勝手にやめた個人の『つぶやき』としての
話である。

 次は現場一斉清掃の話をしよう。

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