序章 ファンドマネージャーだからわかる会社の真の姿『厳しい』にも色々種類があるから・・・
本書の内容は、あくまでプロの投資家という立場から見た良い会社、悪い会社のそれぞれの特徴を「法則」として紹介するものです。
ですから、ビジネスマンの立場で見れば、まったく逆に受けとめられるかもしれません。一般に収益の高い会社は従業員には厳しく、悪い会社は従業員を甘やかすものですから、その見方も間違いではないと思います。
でも、長期的に見れば、私の法則はビジネスマンの視点と一致すると思います。厳しいということは、その人の能力を最大限に発揮させざるを得ず、結果として能力そのものを向上させることになります。逆に甘く楽な勤務が可能な会社では、人の能力を委縮させてしまうのです。
それはともかく、会社の『法則』の本。
「~している会社が全て伸びる(ダメ)とは限らん」
「しかし!」
「伸びる(ダメな)会社は皆すべからく~しておる!!」
いや、そこまで言い切らないけどネ。
第一章 社長の性格や人格で決まる会社の運命経済評論家やコンサルタントなどの『他者評価』は例外とした上で、
【法則3】社長の自伝を本人からプレゼントされたら、その会社への投資は控える。
しかし、一般に自伝というものは、自分自身の行為に対する評価であり、結論とも言えるものなのです。目標に到達したという意識を持った人でなければ完結しない物語です。hmhm。
ですから、自伝を書くことができる人というのは、挑戦が終わってしまった人、幕がおりたと判断できるのです。こうした社長が率いる会社に成長の可能性があるとは考えにくいのです。
ここまでで納得できるけど、さらに続きがある。
また、たとえ社長の自伝がそうした性格のものでなかったとしても、プライオリティ(優先順位)ということがあります。いやーなるほどなー。
現役の社長が自伝を書くというのは、結果的に事業に対するプライオリティが下がってしまうということなのです。嬉々として社長自身が自分の自伝をプレゼントすることで、投資家の意欲を減退させてしまう理由はそこにあるのです。
ストライク・ワン!
第二章 要注意! 会社を滅ぼす危ない社長キワドイところだが、ボール!
【法則11】社長室の豪華さとその会社の成長性は反比例する。
社長室は経営者の意志が反映する場所といえます。豪華すぎる内装や調度品は会社の風通しの悪さを示しており、成長する可能性は少ないのです。
背の高い観葉植物や磨き上げられた切り株、動物の剥製、ひと目で作者のわかる絵画、高級酒、ゴルフのクラブ、コンペのトロフィー、有名人とのスナップ写真のうち、ふたつ以上が社長室に置かれていれば、その会社の成長は終わっていると思います。
カウントは1ボール、1ストライク!
第三章 ダメな会社、こんなところに落とし穴!・・・ボール!これもキワドイところ!
【法則25】社員に体操を強制する会社は儲からない。
この法則は従業員二〇人程度の中小企業、それに工場では当てはまりません。体操することが安全性とスムーズな業務活動への準備であるという意味では合理的な行動です。
しかし、全社員を同じ時間に集合させ、一体化を求めるという管理面での効果をねらって体操を強制するのはアナクロニズムであり、時代に対応できていない証拠です。しかも、従業員が批判的な意見を言い出せない雰囲気があるのです。それが問題なのです。
【法則30】社員同士を「さん」づけで呼び合う会社への投資はリターンが高い。「部長が次の日課長になる」のもよくあることなのが「外資系企業」か。
年功序列が守られている会社では、人事の下剋上が起きにくく、社員を役職名をつけて呼び合うのが普通です。しかし、下剋上が当たり前の会社では、いちいちそのときの役職名で呼んでいては、いろいろと面倒なことが起きます。
なんてややこしい世界なんだ・・・!
ボクは風で舞うから関係ねっスけどね!
第四章 良い会社と悪い会社の分かれ道「オレは「納得」したいだけだ」
【法則42】良い会社は社員が社会的意義を感じて、プライドを持って仕事をしている。
優れた経営者は社員に思想教育ができます。
十代、二十代の若者はゼニカネでは動きません。ボランティアをやりたい人も多いし、根本的には働かなくてもいいと思っている人もいます。ミーイズムが強く、何をやりたいか模索し、自分の目的意識に執着しています。若者はなによりも使命感を重要視するのです。
だからこそ、経営者は旗を掲げる必要があります。仕事に対する社会的意義や、やりがいについて徹底的に教え諭し、会社の業務がどのように日本の文化に貢献するか、といった具体的な事柄を明確に説明するのです。
「「納得」は全てに優先するぜ!!」
でも『ボランティア』については冗談じゃねーと思う。
「素人が使う諸費用」を「プロへの依頼料」にするべきじゃねぇ?
付け焼刃に何ができるというか!
第五章 常識にとらわれると判断を間違える「論外な話」を比較対象に挙げるのはどうかと思うんですお・・・
【法則56】モラルの低い業界、企業は遅かれ早かれぼろを出す。
倫理観をどう考えるのかという問題は、非常に難しいものがあります。短期的に見れば収益の高い会社が良い会社ということになるのですが、長期的に見た場合、倫理観の低い会社は社会の批判を受けて消費者の支持を得られなくなります。
ですから、投資期間というものも考慮する必要があります。もちろん、犯罪行為であることが明確な場合は論外です。
「余所もやってる」のが事実でも「だから大丈夫」では決してないはず。
遅かれ早かれに巻き込まれるのは避けたい・・・否、避けるためにどうするか、だナ。
あとがき「15年目の亡霊」に過ぎないなら、ワタクシとしては安心でございます・・・
ここにある「法則」は、あくまでも考え方のヒントです。また私のこの「法則」は、あくまでもカンの部分を言葉に置き換えたものであり、最終的には客観的かつ論理的な分析が必要なことは言うまでもありません。
またこれが十年、二十年と続く普遍的な「法則」だとは、私自身、まったく思っていません。大きな時代の変化の中で、ここに書かれている「法則」が、どのくらい有効であり続けるかに、著者としても関心があります。
あっ、あの亡霊は世界の命運を左右してたわ。
この「法則」は、何度も繰り返しますが、半分冗談、半分まじめというものです。もしダメな会社の「法則」に自分の会社がたくさん当てはまっていたとしても、笑い飛ばすくらいの度量も必要でしょう。常に「レイセイ」であれ・・・
笑い飛ばしつつも、ひょっとしたら本当にダメ会社の部分もあるかもしれないぞ・・・・・・という冷静さもあれば、なお楽しめると思います。
今わかりました!宇宙の心は、彼だったんでs
『序章』の「ファンドマネージャーという職業の紹介」は、それを詳しく知りたかった訳じゃないからスタートダッシュがよくなかったけど、本編はお気楽かつ真剣に読める本。
読めば一喜一憂つつ一息つける、かもしれない。