著者 深沢美潮
イラスト 迎夏生
出版 電撃文庫
p35より引用
“ 壁の色が違うとか、曲がり方が急だとか、
扉があるとか、天井が高くなってるとか。何
か特徴のある地形であれば、「あ、ここは
さっき通ったところだ」とか「ここは見たこ
とがない」とかっていう判断がつく。
でも、これほど同じような何の変哲もない
ダンジョンでは、見たことがあるような、な
いような……という状態ばかりがずっと続
く。”
方向音痴のマッパーを主人公とした、RPG
風ファンタジー小説。
すでにクリアされているダンジョンを、元
通りにしていくこととなった主人公パーティ。
敵を倒すわけにイカず、宝も手に入れてはな
らず、ストレスが溜まるばかりだが、それで
も前向きに次へと取り掛かるのだった…。
上記の引用は、二番目のダンジョンについ
ての一節。
同じ幅の舗装道路に、同じ形の建物ばかりが
並んでいるようなものでしょうか。樹海や砂
漠で迷うときも、こういう理由なのかもしれ
ませんね。
旧シリーズからの読者には、懐かしいキャ
ラクターが登場します。前巻でも旧シリーズ
からの違うキャラクターが登場していました
が、著者は自分の作品世界を大切にされてい
るようです。これは、巻末の著作紹介を見て
も、良くわかります。長く読まれ続けるのは、
こういうところにも理由があるのでしょうね。
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読書録「新フォーチュン・クエスト9」4
著者 深沢美潮
イラスト 迎夏生
出版 電撃文庫
p76より引用
“「いいんじゃ。それで。そうやって一歩一
歩、確かめながら歩いていけば、おのずと正
しい道に出ることができる。現に、もうずい
ぶんと歩いてきておるではないか。いずれ、
その道がどこに通じておっても、胸を張って
歩いていくんじゃ。よいな」”
方向音痴のマッパーを主人公とした、RPG
風ファンタジー小説。
かつての冒険で知り合ったブラックドラゴ
ン・JBと共に、問題のダンジョンを作った本
人に会いに来た主人公パーティ。JBの案内で
会えたダンジョン作製者の姿は…。
上記の引用は、キットン族の古老・ゼンば
あさんがパステルにかけた言葉。
どんなに出来上がっているように見える道で
も、自分が歩いた後にしか、自分の道は出来
ないものなのかもしれませんね。
クエスト一段落、このクエストの
始まりの巻が2000年7月出版、この巻が2003
年9月と3年にまたいで書かれています。4冊
に渡った長編でした。
出版当時リアルタイムで読んでいたら、やき
もきしていたことでしょう。
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読書録「新フォーチュン・クエスト10」4
著者 深沢美潮
イラスト 迎夏生
出版 電撃文庫
p47より引用
“「パステルが本当にこうしたいと思うこと
があれば、迷わずやってみることです。パス
テルの人生は、パステルだけのものです。た
とえ、前言を撤回することになったって、誰
も非難なんてしませんよ。というか、たとえ
非難されたっていいじゃないですか。自分の
こと、自分がわかってあげれば。それでいい
んだと思うんですよ。わたしは」”
方向音痴のマッパーを主人公とした、RPG
風ファンタジー小説。
クエストに関わる異常に、一応の解決をみ
た主人公パーティ。拠点の村に戻ってみると、
モンスターの襲撃の爪痕が…。
上記の引用は、仲間の一人・キットンの言
葉。こんな仲間に恵まれていれば、どんな厳
しい決断をしても、前を向いて生きていけそ
うですね。
副題は「キットンの決心」、キットンのこ
の後に関わる大きな出来事が書かれた巻と
なっています。
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読書録「新フォーチュン・クエスト11」3
著者 深沢美潮
イラスト 迎夏生
出版 電撃文庫
p208より引用
“「おれたちだって似たようなことやってん
じゃねえか。ダンジョンの住人からしてみれ
ば、迷惑な話だと思うぜ。不法侵入されたあ
げく、勝手にあれこれ持ち出し、勝手に暴れ
て、壊しまくって、掃除もしないで帰ってく
んだから。”
方向音痴のマッパーを主人公とした、RPG
風ファンタジー小説。
離れ離れになっていた家族との再会を無事
に果たしたキットン、リーダー・クレイの体
のことを考え、少しクエストを控えようと移
動していたとき…。
上記の引用は、ダンジョンに対する冒険者
の行動についてのトラップの言葉。
人の家のタンスを勝手に開けたり、宝箱の中
身を持っていったり、勇者や冒険者というの
は何とも傍若無人なものです。しかし、世界
一有名なひげのおじさんも、RPGになった時
は同じことが出来ていたそうなので、そうい
うものなのでしょう。
PSの「ムーン」では、そういう勇者にやられ
たモンスターの魂を成仏させていた記憶があ
ります。あれもラブこれもラブ。
副題の通り、リーダー・クレイに不幸が降
りかかります。前回の冒険でした怪我もある
のに、気の毒な役回りばかり押し付けられて
います。しかし、それを補って余りあるくら
い、本人は色んな所で恵まれているので、ト
ントンなのではないでしょうか。
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読書録「新フォーチュン・クエスト12」4
著者 深沢美潮
イラスト 迎夏生
出版 電撃文庫
p49より引用
“ 倒さずに逃げるという手段もあったが、
どうせ逃げてもまた追いかけてこられるのが
わかっていたからだ。新たな敵を相手にして
いる時、こいつが背後からやってきたらと考
えると、ここで戦っておいたほうがいい。”
方向音痴のマッパーを主人公とした、RPG
風ファンタジー小説。
クレイトトラップの幼馴染の病を治すため、
必要な物を求めてクレイの曾祖父と縁の深い
ダンジョンに挑む主人公たち。しかし、入っ
てすぐに、風の壁が行く手を阻み…。
上記の引用は、ダンジョン内での敵との戦
闘についての一節。
後顧の憂いを断つ、ということでしょうか。
目に見える敵がいて、時間が許すのならば、
一匹一匹始末しておくほうが、安全そうです
ね。
貴重なアイテムを求めてダンジョンを探索
と、冒険らしい冒険をする。そんな時に限っ
て、肝心のメンバーが不参加となってしまう
とは…。面白くはありますが、意地の悪いこ
とです。
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