この文章は全てフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝114」
ヴァルキリーマンティス
少数の群れで行動するカマキリの一種
群れの個体数は大体9匹位である
名前の由来は発見された時の状況によって付けられた
前翅にスジ状の美しい黄色の模様を持っており
その美しい姿で
死んだカマキリの死体に群がっているところを発見され
その時の様子がまるで
北欧神話の戦女神ヴァルキリーが
戦死者をヴァルハラに導く様に発見者には見えたようで
このように名付けられた
ちなみに発見者の名前はドリムメル・ヘン・ハクチュム
夢見がちな人だったようである
このように
なかなかに神々しい名前を付けられたこのカマキリだが
もちろん死んだカマキリを見取ったり
ヴァルハラに導いているわけではなく
死体を捕食しているのである
このカマキリの実際の特徴はその同種に対する捕食性の強さである
カマキリの仲間で内では比較的小型のこのカマキリだが
その集団行動性のため
自分達よりも非常に大型の種でさえも獲物とするのである
本来カマキリが共食いをするのは
交尾後に弱りきった体の小さいオスに対してであり
メスが
自分より小さい物に飛び掛る習性を持っている為に過ぎない
また季節によって捕食昆虫が少なくなり
餌が少なくなった時の食料としてである
しかしこのカマキリは
どんなにほかの餌が豊富なときでも
その他のカマキリや孤立している自分達の仲間を捕食するのである
このような習性を持つカマキリの仲間は
この種のみしか発見されておらず大変希少な種である
このカマキリの狩では
それぞれ獲物とするその他のカマキリに対して
攻撃する箇所があらかじめ分担されているようである
とある研究者が一つの集団を捕獲し飼育したところ
同じ固体が毎回必ず獲物の体の同じ部分を攻撃し破壊するのである
この習性は群れの固体の数が減少しても変わらず
いなくなった個体が担当していた獲物の体の部分は
攻撃されること無く残るのである
この為
前脚担当の固体が二匹とも狩で死亡してしまった場合
その後の狩の効率は極端に低下する
飼育下でこのような結果であるのだから
自然条件下ではさらに狩の効率は下がるであろうと思われる
また
カマキリの最大の武器である前脚の担当は
必然的に群れのその他の個体より死亡する確率が最も高く
ゆえにこのカマキリの捕食能力は高くないのである
体が自分達より大きい固体を獲物に選ぶことが多いことも
狩りの効率の低下を招いているようである
研究中に与えた餌のうち
自分達の体の大きさ以下の獲物には
見向きもしなかったそうである
上で述べた狩りに対する習性のため
その他のカマキリの天敵になってもおかしくないはずの
このカマキリだが
イマイチ生息数は伸びずに現在にいたっているのである
今後は減少傾向に向かうだろうと言うのが
動物学者たちの意見の大勢である
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