この文章はフィクションです
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝61」
マンジュシャゲハマキチョッキリ
オトシブミ科の甲虫である
その名の通り
蔓珠沙華こと彼岸花の葉を食害する
日本の秋の美しさの一つ
水田の土手に群生する蔓珠沙華
その赤色は瞳を焼くかと思う程である
この素晴らしい景色に
いまいち威勢が無いなと思うときは
葉が茂る段階で
この虫にやられていた可能性が高い
成虫は蔓珠沙華の葉に卵を産み付け
卵から孵化した幼虫はまず葉を丸めて巣にする
蔓珠沙華の葉は細長いが
一本の葉に何匹もの幼虫がたかり
先端から順番に一匹ずつ巻いていく
卵の中に居る内に会議でも開いていたかのように
きれいに先から順番である
こうして無事葉を巻終えた幼虫は
その中で葉を食害する
このことによって
光合成が阻害され
花を咲かせる養分の生産がままならず
あの美しい赤色に翳りが出るのである
この虫が大量に発生した蔓珠沙華の群生地は
クリクリときれいにまかれた葉が
地面にまとまっているので
まるでアフロヘアのカツラが生えているようで
面白くはあるが
あの素晴らしい紅がくすむのは
非常に残念な事である
しかし幸いな事にこの虫
少々病弱な模様
カビなどの菌類に滅法弱いようである為
2・3日の雨続きですぐに数が減る
それゆえ滅多に大量発生することはないそうである
この虫の幼虫は
食べようと思えば食べられないことは無いと思う
が
蔓珠沙華には毒が有る
尚且つ
幼虫は非常に小さい為集めるのが困難である
私は今のところ
食べようと思わないのである
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この文章はフィクションです