いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
アフィリエイト広告が有ります
「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

読書録「0能者ミナト3」ほか

2025-01-26 | Weblog
読書録「0能者ミナト3」4

著者 葉山透
出版 メディアワークス文庫

p8より引用
“普通の死刑囚は移送された当初、取り乱し
ていることが多い。あるいは最初は静かでも、
死刑が近づくにつれ取り乱す。病気を訴えて
みたり、再審請求を提出し系の執行を先延ば
しにしようと必死になったりする。”

目次より抜粋引用
“第一話 『蘇』
 第二話 『夢』
 閑話 『贈』”

 霊力や法力を持っていないにも関わらず、
怪異と相対する青年を主人公とした、短編連
作小説。
 競馬に勝ってご機嫌に事務所へ帰ってきた主人公・九条湊、ソファにいるいつもと違う人物に軽口をたたくミナトに対し、その人物は黙って名刺を渡す…。

 上記の引用は、一話プロローグでの一節。
自分は死にたくないのに、死刑判決を受ける
ということは、複数人を殺しているんでしょ
う。おかしなもんです。通り魔の現行犯など
は、今よりも早く裁判が進んでもいいのでは
ないかと思います。
 どれほど不可思議な出来事でも、現実から
手段を講じる事が出来るという物語の展開が、
知的探究心が旺盛な方にはよく響く作品では
ないでしょうか。

ーーーーー

読書録「0能者ミナト4」5

著者 葉山透
出版 メディアワークス文庫

p75より引用
“ 昨夜、船幽霊を退治したあと礼として船
内の有料メニューを全部無料にすると言われ
た湊は寿司をたらふく食べ、高い順から酒を
飲み、バーで美人バーテンダーを口説き、カ
ジノでチップを換金できないと聞いて暴れ追
い出され、しまいにはシガーバーで葉巻を吸
いながら寝てしまいボヤ騒ぎを起こした。”

 目次より抜粋引用
“第一話 『船』
 閑話 『叫』”

 霊力や法力を持っていないにも関わらず、
怪異と相対する青年を主人公とした、短編連
作小説。
 自腹では乗ることが出来ないであろう豪華
客船への乗船を条件に、船の怪異退治を引き
受けた主人公・九条湊達。それほど大変そう
にない依頼内容から、船旅を楽しむ事に気を
向けていた一行だが…。

 上記の引用は、船で一仕事を終えたあとの
主人公・ミナトの行動を描いた一文。
こういういわゆる主人公らしい主人公ではな
いミナトの言動に慣れると、たまらなく面白
い作品ではないでしょうか。
 今巻も一冊で一エピソードの長編仕立て、
それほど長すぎない文章量で、読みやすい話
となっています。
 オカルティックな話と科学的な考え方の療
法を楽しめるならば、読むのが楽しいシリー
ズではないかと思われます。

ーーーーー


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読書録「0能者ミナト」ほか

2025-01-24 | Weblog
読書録「0能者ミナト」4

著者 葉山透
出版 メディアワークス文庫

p34より引用
“ユウキ君らしくない考え方だと思いますよ。
信じて積み上げてきた努力をあっけなく否定
されて、喜ぶ人間はいません。君ならわかる
んじゃないかな?”

目次より抜粋引用
“第一話 『嫉』
 第二話 『呪』
 閑話 『告』”

 霊力や法力を持っていないにもかかわらず、
怪異と相対する青年を主人公とした、短編連
作小説。
 歴史を調べても何時からあるかわからない、街の中心にある人が踏み入ってはいけない場
所。地元の住人は禁足を守って立ち入らない
その森に、好奇心を満たす快楽の為だけに土
足で踏み荒らす集団が現れ…。

 上記の引用は、法力僧達の総本山の渉外担
当・荒田孝元が、十歳の法力使いの少年・ユ
ウキに向けた台詞。
自分でもあまり意味のない努力だなと思って
いても、それを続ける事が楽しみになってい
ることを悪く言われたくはないものですね。
日頃から気を付けていたい考え方だなと思い
ます。
 超常の能力や現象がある現代を舞台に、そ
れらの能力無しに現実的な手法を駆使するひ
ねくれた主人公・ミナト。ミナトの言動が現
実的ではありますが、その性格が合わない人
には読み辛い作品かもしれません。怪奇・超
常の力や呪いに対してのミナトの戦い方は、
感心せざるを得ません。

ーーーーー

読書録「0能者ミナト2」5

著者 葉山透
出版 メディアワークス文庫

p123より引用
“ あれほどの怪異であれば、何かしら他に
影響が出ているかも知れない。一見なんの関
係もないように見えても、数字やデータが重
なるものがあれば、偶然の一致ではないかも
しれない。”

目次より抜粋引用
“第一話 『鏖』
 第二話 『真』
 閑話 『謝』”

 霊力や法力を持っていないにも関わらず、
怪異と相対する青年を主人公とした、短編連
作小説。
 怪異との戦いで、主人公・ミナトのやり方
から自分の所属する集団とは違う学びを得る
ため、ミナトの事務所に出入りする巫女・山
神沙耶。しかし学びたい事よりも、掃除をす
ることの方が多く…。

 上記の引用は、強大な怪異とかかわりのあ
る事象を調べる巫女・沙耶の行動についての
一節。
偶然も複数回重なるならば、そこには何らか
の必然がある事もあるのかもしれません。
ただ、悪い偶然は目に付きやすく意識に残り
やすいようなので、悪いことが重なっても気
にし過ぎないようにしたいものです。
 短編連作ですが、今巻は一冊で一エピソー
ドとなっており、読みごたえがある内容では
ないでしょうか。超常の力が確かに存在しな
がら、現実に起こっている出来事には科学的
に対処できるという世界観です。科学知識が
多い人ならば、ミステリの謎解きのようにも
楽しめる作品ではないでしょうか。

ーーーーー


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読書録「ジーヴズの事件簿」

2025-01-21 | Weblog
読書録「ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻」
3
著者 p・g・ウッドハウス
編訳 岩永正勝、小山太一
出版 文藝春秋

p113より引用
“「ばかもいい加減になさい、バーティ。
彼女こそあなたにぴったりの伴侶です」”

目次より抜粋引用
“ジーヴズの初仕事
 ジーヴズの春
 ロヴィルの怪事件
 ジーヴズとグロソップ一家
 ジーヴズと駆け出し俳優”

 20世紀初頭のロンドンを舞台に、金持ちの
青年と優秀な執事を主人公に繰り広げられる、
コメディ短編連作小説。
同社刊行作「p・g・ウッドハウス選集I ジ
ーヴズの事件簿」文庫版。
 あまりにも優秀なために叔母から「飼い主
」とまで言われる、主人公・バーティに仕え
る従僕・ジーヴズ。いまいち抜けているとこ
ろのあるバーティに仕えることになったきっ
かけは…。

 上記の引用は、主人公・バーティを馬鹿に
しながら世話を焼こうとする叔母・アガサの
台詞。
このひとつ前の話で、バーティの婚約相手と
して盗人でペテン師の女を紹介して、一月も
経たずに放った言葉。ズ分のした事を省みる
事が出来ない上に、自分はきちんとしている
と思い込んでいる身内は、敵より厄介な存在
ですね。
話を回す上で便利な役柄なのでしょうが、主
人公に対する言動が不愉快です。
 読みやすく面白い、良作短編コメディ。
TVドラマにもなっているくらいの名作の古典
作品なようで、英語圏ではよく知られる作家
と作品群とのこと。数多くの著作が残されて
いるようなので、一冊読んで合うようならば、
今後の読書生活が楽しくなる出会いになるの
ではないでしょうか。

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読書録「試験に敗けない密室」

2025-01-19 | Weblog
読書録「試験に敗けない密室」4

著者 高田崇史
出版 講談社文庫

p17より引用
“あと、兜町も近いけれど、そっちはぼくに
は何の興味もないし、行ったこともないんだ。
好きじゃないんだよ。他人の会社の努力を利
用して一儲けしようと企んでる奴らが、うじゃ
うじゃいるからね。”

目次より抜粋引用
“密室の始まり
 続いて密室
 さらに密室
 やはり密室
 密室の終わり”

 浪人生と美貌の天才高校生を主人公とした、
長編ミステリ。シリーズ第二弾。同社刊行作
文庫版。
 夏休みを利用して、天才高校生・千葉千波
の家の別荘へ泊りに行く事にした主人公・八
丁堀と友人・饗庭慎之介。タクシーに乗って
たどり着いたのは、本来の目的地ではなく…。

 上記の引用は、目的地とは違う場所でタク
シーから降りてしまい、感傷に浸る主人公・
八丁堀の心の声。
浪人して尚且つ予備校生でありながら、夏休
みに遊ぶことに余念がない人物のわりに、人
としてまともそうな事を言っていますね。
将来に備えて投資を、というようなCMが数多
く流れてきますが、本質は博打だということ
を忘れないようにしたいところです。
 死人が出ない穏やかな良作ミステリ。気軽
に読める作品です。本格的なミステリ好きに
は物足りないかもしれませんが。

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読書録「世界極悪人大全」ほか

2025-01-17 | Weblog
読書録「世界極悪人大全」3

著者 桐生操
出版 文藝春秋

p210より引用
“ ジョルジュ・サルマナザールは、行った
こともない国の旅行記を詳細に著し、その国
の文字まで創り出し、さらには現地の風俗を
描いた「架空の国見聞録」を出版して、一躍
悪名をはせた男である。”

目次より抜粋引用
“世界を震撼させた独裁者・暴君たち 近・
現代編
 世界を震撼させた独裁者・暴君たち 古代
~近世編
 世間を騒がせたペテン師たち
 残虐人間たち”

 歴史の隠れたエピソードを紹介する著作を
多数持つ著者による、歴史に名を残す悪人た
ちについて記した一冊。
 国を動かす政治家から個人の快楽を追い求
めた犯罪者まで、時代背景や彼らの生い立ち
などを交えて描かれています。

 上記の引用は、ペテン師を紹介する章での
一文。
ここまでの事が出来るのならば、普通にフィ
クション作品を書けば、一作家として成功し
生きていけるのではと思うのですが。何かに
つけて調べるのに、多大な労力を必要とする
時代だからこそ、出来たペテンなのでしょう
ね。自分で調べることの大切さがわかる話で
す。
 人類悪の煮凝りのような内容となっており、
人によっては途中で気持ち悪くなってしまう
かもしれません。反面教師として、自分への
戒めとして読んでおくにはよい一冊でしょう。
 膨大な参考文献は、興味をもって調べる人
には資料をたどる道標に良いのではないでしょ
うか。

ーーーーー

読書録「ザイム真理教」5

著者 森永卓郎
出版 三五館シンシャ

p19より引用
“ 総突合は儀式だ。こちらで予算の金額は
何度も何度も、そして人を替えて、検算して
いる。間違っているはずがないのだ。それで
は、なぜそんなことをしているのかと言えば、
私は「マウント」だと思う。主査の言う数字
を真剣に繰り返し聞き、出した合計の数字が
合っていたときの達成感を積み重ねていく。
そうすると、主査の声が、まるで神の声に聴
こえるようになるのだ。”

目次より抜粋引用
“ザイム真理教の誕生
 宗教とカルトの違い
 事実と異なる神話を作る
 アベノミクスはなぜ失敗したのか
 信者の人権と生活を破壊する”

 経済アナリストで大学教授である著者によ
る、日本経済の現状を作る原因の一つに迫っ
た一冊。
 旧大蔵省の内情から現在の財政政策に及ぼ
す影響まで、直接関係を持っていた著者なら
ではの視点から書かれています。

 上記の引用は、予算の確認作業について書
かれた項での一節。
日本の最高学府を出て、日本の中枢で働く人
のすることが、こんなことなのかと思うと、
色々複雑な思いです。世の中人手不足だと言
われていますが、しなくてよいことをしてお
金をもらっている人が多いからではないでしょ
うか。
 この本に書かれている事の全てが本当であ
るならば、もう誰も国の予算についての話を
信じなくなってしまうのではないでしょうか。
これからの生き方について、考える一助にな
る作品ではないかと思われませ。

ーーーーー

読書録「インプット大全」4

著者 樺沢紫苑
出版 サンクチュアリ出版

p178より引用
“ 会社での仕事や自分のビジネスに直結す
るもの、つまり、自分の分野に特化したニュー
スだけを読めばいいのです。
 私たちの「時間」と「脳のリソース」は有
限です。ニュースをインプットしたら、その
分、別の情報や知識がインプットできなくな
るというデメリットが発生しているのです。


目次より抜粋引用
“インプットの基本法則
 科学的に記憶に残る本の読み方
 学びの理解が深まる話の聞き方
 全てを自己成長に変えるものの見方
 最短で最大効率のインターネット活用術”

 精神科医で作家である著者による、より良
く学ぶ為の方法について記した一冊。
 基本的な情報の取り入れ方から上手な休憩
の取り方まで、著者の長年の実践と結果を基
に書かれています。

 上記の引用は、世の中のニュースを上手く
読む方法について記された項での一節。
一方的に発信されるTVのニュースが、いかに
デメリットに満ちているかが書かれています。
してくれなくていい事をしていながら、自分
たちは世の中にとって必要不可欠であるかの
ように主張する、余分な人が多い世の中であ
るかのように思われます。
 若いうちに手に取ることで、その後の勉強
がより良く実を結ぶようになる一冊になるの
ではないでしょうか。書かれている方法を始
めるにあたって、あまりお金を掛けなくて良
さそうなのも、良いところだと思います。

ーーーーー


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読書録「指輪物語1」ほか

2025-01-16 | Weblog
読書録「指輪物語1」4

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p240より引用
“「わからないんだなあ!」と、ピピンがいい
ました。「あなたは行かなきゃいけないんで
しょーだから、ぼくたちもまた行かなきゃな
らないんです。メリーとぼくはあなたと一緒
に行きますよ。サムはすばらしいやつです。
あなたを救うためには竜の喉元にだって跳び
込むでしょう。自分の足に蹴つまずいたりさ
えしなければね。だけど、あなたの危険な冒
険旅行には、連れは一人ではたりませんよ。
」”

目次より抜粋引用
“待ちに待った誕生祝い
 過去の影
 三人寄れば
 茸畑への近道
 正体をあらわした陰謀”

 大いなる力を持った指輪を巡り繰り広げら
れる、主人公達の長い旅の道程を描いた長編
ファンタジー小説。
 指輪の来歴やこの物語の世界背景について
から、主人公達の旅立ちまで、細かく丁寧に
描かれています。

 上記の引用は、生きて帰れないかもしれな
い旅に一人で行こうとする主人公・フロドに
対してのホビット仲間の一人・ピピンの台詞。
生きるか死ぬかが掛かった場面で、一緒に誰
かがいてくれると言う事は、多分その人の生
き方が正しかった事の証明なのではないでしょ
うか。たとえ普段は一人で過ごしていても、
死に際に誰かが居てくれるように、日々を過
ごしたいものです。
 ファンタジー作品に登場する、人型の他種
族を一番初め位に物語の中で描かれた作品で
あったように記憶しています。世界背景や情
景、ホビットを中心としての種族の生活様式
等が、行間を空想で補う必要が無い位、緻密
に描かれています。
 あらゆるファンタジー作品に影響を与えた、
偉大な作品なのでしょう。しかし、その緻密
な描写のために、ある程度読書が好きでない
と、読み辛さを感じるかもしれません。


ーーーーー

読書録「指輪物語2」3

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p63より引用
“かれはマゴットじいさんのことを、かれら
が思っていたよりずっと偉い人であると考え
ているように見えました。「じいさんの足の
裏には土、指には泥がある。骨々に知恵があ
り、あの目は二つながら開いている。」と、
トムはいいました。”

目次より抜粋引用
“古森
 トム・ボンバディルの家で
 霧の塚山丘陵
 躍る子馬亭で
 馳夫”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 指輪を捨てる旅を続ける、主人公・フロド
達ホビット一行。出来れば踏み入りたくはな
い森を通ることとなり…。

 上記の引用は、主人公達の危機を救った人
物・トムの、ホビットの農家のお爺さんに対
する評価についての一節。
長年の経験を積み重ねた事による、知識と技
術というのは、尊い物であると言う事でしょ
う。昔はよく、「老人一人が亡くなると、図
書館が一軒無くなるのと同じ。」というよう
なことわざを聞いたものですが、最近は正直
疑問に思わざるを得ないような、老人の姿を
見ることが多い気がします。大切にするべき
人とそうでない人が、はっきり分かれるので
はないでしょうか。
 訳者あとがきに、作品の概要が記されてい
て、作品が創られた背景や周辺への影響等に
ついて知ることが出来、より作品への理解が
深まるのではないでしょうか。


ーーーーー

読書録「指輪物語3」3

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p88より引用
“暗黒の塔を相手に昔から度々くり返された
戦いにさいして、わしらの最大の敵は常に裏
切り行為じゃった。”

目次より抜粋引用
“数々の出会い
 エルロンドの会議
 指輪、南へいく
 暗闇の旅”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 指輪を手に入れようとする黒い敵の追っ手
によって、深手を負わされた主人公・フロド。
朧げな記憶をたどりながら目を覚ました、そ
の枕元にいたのは…。

 上記の引用は、闇の勢力に対する指輪の処
し方について語る、魔法使い・ガンダルフの
台詞。
安心して後ろを守ってもらっているはずなの
に、敵と挟み撃ちにされてしまっては、どの
ような戦い方をしていても負けることが多く
なるでしょう。背中を預けるのは、よくよく
見定めた相手にしておかなければなりません
ね。
 ファンタジーでは定番になっている種族の、
エルフとドワーフも旅の仲間に加わり、指輪
を捨てる旅も本番といったところ。敵の追っ
手だけでなく、雪といった自然環境もあって、
旅は厳しいものになってきました。
苦境を助け合って進む主人公達の姿は、パー
ティープレイのお手本と思わざるを得ません。

ーーーーー

読書録「指輪物語4」3

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p167より引用
“エルフにとってもこの世は動いている。そ
の動き方は非常に速やかでもあれば、非常に
緩やかでもある。速やかというのは、エルフ
自身がほとんど変わらないのに他のものがこ
とごとく飛ぶように去っていくからだ。これ
はエルフたちにとっていたましいことだ。緩
やかというのは、エルフたちは流転する年を
数えたてないからだ。”

目次より抜粋引用
“カザド=ドゥムの橋
 ロスロリアン
 ガラドリエルの鏡
 さらば、ロリアン
 大河”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 敵の襲撃を避けて入った大広間で、養父の
かつての仲間の墓を見つけた主人公・フロド
と旅の一行。残された故人の記録を読み解く
につれ、その最期の様子も明らかとなり…。

 上記の引用は、旅の一行のエルフ・レゴラ
スによる、エルフと時間の感じ方についての
台詞。
長命を生きるなど想像の範囲外ですが、人生
も半分以上過ぎてまだ半分近く残っているだ
けでも、正直しんどさを感じている身として
は、長く生きるのは辛そうに思います。
 この巻は、序盤から急展開となっていて、
悲しい出来事も描かれています。それでも前
へ進もうとする、主人公・フロド達の旅立ち
に際し、またもやイヤな出来事が。ハラハラ
する話の進みに、次を読みたくなる気持ちが
湧き上がる展開です。


ーーーーー

読書録「指輪物語5」4

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p155より引用
“やつは一大権力になろうと企んでおるな。
やつの心は金属と歯車でできてるのよ。そし
て生え育っているものには、その時々かれの
役に立つものでない限り、何の愛情ももたぬ
のよな。今やかれは極悪の裏切者であること
がはっきりした。”

目次より抜粋引用
“ボロミアの死
 ローハンの騎士たち
 ウルク=ハイ
 木の鬚
 白の乗手”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 指輪の持つ力にあてられ、主人公・フロド
を裏切ってしまった仲間・ボロミア。一緒に
いるのは危険と判断したフロドは、追いかけ
てきたサムと二人で別行動をとることに。
一方、いなくなったフロドを探すアラゴルン
は、ボロミアの角笛の音を聞き…。

 上記の引用は、裏切者の賢者・サルマンに
ついて、生きていたガンダルフが吐いた台詞。
能力が高くなれば、それに応じて権力も欲し
くなってしまうのでしょうか。ここまでの巻
の中でガンダルフが言った、味方の裏切りが
一番厄介だとの意味の台詞が、仲間たちに突
き刺さる話の展開です。
 離れ離れになった各集団ごとの場面が描か
れるので、しっかりと読まなければ、時系列
が混乱してしまうかもしれません。
 いよいよ闇の勢力との戦いが本格化してき
た今巻、指輪を持ったフロドとサムの行動に
ついては、ほとんど触れられずに話が進みま
す。
 巻頭にあらすじが書かれているので、ここ
までの話を忘れていても、大体把握出来るの
が親切です。

ーーーーー

読書録「指輪物語6」4

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p139より引用
“「危急の時に宝物が捨てられない者はわれ
とわが身を縛ってるようなもんだ。あんたは
正しく行動したんだよ。」”

目次より抜粋引用
“黄金館の王
 ヘルム峡谷
 アイゼンガルドへの道
 漂着物
 サルマンの声”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 生きていたガンダルフと再会し、裏切りの
賢者・サルマンとの戦いの為にローハンの宮
殿へと進むアラゴルン達。なんとか王に謁見
は出来たのだが、王の隣には一行に敵対的な
側近がおり…。

 上記の引用は、行方を探していた二人のホ
ビットの一人・ピピンが、誘拐をされていた
時に、仲間への目印としてブローチを落とし
ておいた事に対しての、アラゴルンの台詞。
命を守る為には、どれ程大切な物であっても、
おしみなく使い捨てる決断が必要になってく
るのでしょう。
 裏切者がその軍勢と共に敗北するという、
胸のすくような物語の展開となっています。
しかし、一難去ってまた一難、新たな難事に
ガンダルフは走り回る事になります。
 今巻も、主人公と言えるフロドとお付きのサムは出番なし。その動向が気掛かりな所ですが、その分フロドの仲間達の活躍が思う存分楽しめる巻となっています。

ーーーーー

読書録「指輪物語7」3

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p248より引用
“頭部がなくなっていて、その代わりにそれ
を嘲り真似て、粗く切り出した丸い石が載せ
てありました。そしてそこには野蛮な者たち
の手で、額の真ん中に大きな赤い目が一つに
たりと笑った顔と見せたものがぞんざいに描
かれていました。坐像の膝に、巨大な椅子に、
また台座に余すところなく、モルドールの蛆
虫どもが用いるけがらわしい記号をまじえた
落書きがありました。”

目次より抜粋引用
“スメアゴルならし
 沼渡り
 黒門不通
 西に開く窓
 サムワイズ殿の決断”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 ボロミアの裏切り以降、アラゴルン達と別
れて行動していた主人公・フロドとお付きの
サム。出来るなら素早く旅を進めたい二人だっ
たが、荒れた岩山の道のりは険しく、見えて
いる平地へ下りる事もままならず…。

 上記の引用は、古代からあるであろう石像
に対して行われた、闇の勢力の者共の行いに
ついて書かれた一節。
現実でも、よその国の史跡などを損壊したり
落書きしたりする人達がいますが、闇の勢力
とか悪の軍団と判断されるようになっても、
仕方ないかもしれません。
 今巻になってようやく、主人公であるフロ
ドの行動が描かれています。しかし、アラゴ
ルン達の話と比べると、極めて地味で忍耐が
必要な様子が描かれているため、読む方も少
し気が重くなりがちになるのではないでしょ
うか。

ーーーーー

読書録「指輪物語8」4

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p310より引用
“思うに、自分が愛するのにふさわしいもの
をまず愛するのが最善じゃなかろうか。どこ
かで始めなきゃならないのだち、どこかに根
をおろさなきゃならないんだから。”

目次より抜粋引用
“ミナス・ティリス
 灰色の一行 罷り通る
 ローハンの召集
 ゴンドールの包囲
 ローハン軍の長征”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
 見通す力を持った石を覗き込んだピピンを
連れて、闇の軍勢との戦いが今まさに始まろ
うとしているゴンドールへと向かうガンダル
フ。どこにいたとて安全ではない戦いへと突
入しようとする世界で、少しの望みを繋ぐ為、
ガンダルフは馬を走らせる…。

 上記の引用は、負傷して治療中のメリーの
台詞。
苦しくて辛い時ほど、身近な物事を大切にし
て、一つ一つこなして乗り越えていかなけれ
ばならないのかも知れません。
 冥王・サウロン率いる闇の軍勢と主人公達
のゴンドールでの戦を中心に描かれる巻。
多勢にまかせて押し寄せるサウロン軍に、少
数で悲愴な戦いを強いられるゴンドール側。
読んでいて苦しい展開が続きます。
そして、最後にカギを握るのは、やはり主人
公・フロドという所になるのが、胸を熱くさ
せます。

ーーーーー

読書録「指輪物語9」5

著者 J・R・R・トールキン
訳 瀬田貞二、田中明子
出版 評論社

p130より引用
“探索の旅は成就し、今はすべてが終わった
のだから。お前がここに一緒にいてくれてう
れしいよ。一切合財が終わる今、ここにいて
くれてね、サム。」”

目次より抜粋引用
“キリス・ウンゴルの塔
 影の国
 滅びの山
 コルマルレンの野
 執政と王”

 大いなる力を持つ指輪を巡って、帰れるか
わからない旅をすることになったホビットた
ちを主人公とした、長編ファンタジー小説。
完結巻。
 スメアゴルの裏切りと怪物の毒によって瀕
死の状態になり、なおかつオークに攫われた
主人公・フロド。フロドを助ける為、単身オー
クの要塞へ、サムは侵入を試みる…。

 上記の引用は、旅の目的を果たしたフロド
の台詞。
旅の最初から最後まで、常にフロドに寄り添っ
て助け合ってきたサム。彼が居なければ、何
度も旅が終わっていたであろう機会があった
ように思われます。その他の主要な登場人物
も、重要な役割を果たしていますが、何より
も彼のフロドに対する忠義と献身が、旅の成
功へ大きく貢献したのではないでしょうか。
 一冊の半分以上が、旅の後日談のようになっ
ています。主だった登場人物たちのそれぞれ
の道へ進む別れや、ホビットたちの故郷での
一悶着等が描かれています。
 作品全体を通してみると、序盤・中盤の緻
密で丁寧な情景描写に、冗長さを感じる事も
多く見受けられました。しかし、それを含め
て、読み終わった後の心地よさを感じ取れる
作品ではないでしょうか。
読書に慣れていない人には、読みにくい書か
れ方がされているとは思いますが、じっくり
と時間をかけて読み通すことで、良さを味わ
える作品であると思われます。

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