小樽市・高島町の建築探訪(一部再訪)
高島町は江戸時代からニシン漁の漁港として栄えた
小樽とは別の村~町として漁業中心の街であった。
小樽港が貿易や石炭の積み出し、旅客船の航路などが中心となり
高島港は漁港と色分けが出来ている。
1940(昭和15)年に小樽市に合併される
祝津までの道路を境として海側と山側に分かれる。
それまでの役場や蔵、古民家が残っており港近辺にも古い建物がある。
「旧高島町役場庁舎」 *小樽市指定歴史的建造物 第45号
所在地 小樽市高島4丁目1番1号
建築年 昭和10(1935)年
構造 木造2階建
建築時の用途 役場
指定年月日 平成5(1993)年11月24日
高島町で唯一の市指定建造物(旧吉田医院は平成17に解体)
町役場から小樽市と合併後は小樽市役所の高島支所、昭和21年から診療所となった。
現在は使用されていないように見えた。
2020年10月撮影
2017年、北海道新聞社発行による「小樽蔵めぐり イラスト帖」今村敏明著
によると高島町から2棟が記載されていた。
いずれも山側にあり
「T氏家 蔵」
所在地 小樽市高島2丁目4番15号
建築年 明治時代建築
構造 木骨石造り2階建
建築時の用途 漁具倉庫
2022年3月撮影
「A氏邸 蔵」
所在地 小樽市高島3丁目13番7号
建築年 不詳
構造 木骨石造り2階建
建築時の用途 漁具倉庫
2022年3月撮影
ほかにも蔵は数棟ありほとんどが漁業関係の倉庫と思われる
中には倒壊している蔵もあった。
また山側には木造のレトロな住宅がある。
全部は把握していないので機会があれば再度行ってみたい
現存している家には素敵な家がある。
1994年、小樽市教育委員会発行による「小樽市の歴史的建造物」日本建築学会北海道支部編集
では高島町で11軒記載されている
調査年が1992~1994年時の現存建物で、現在は上記の高島町役場以外はほとんどが解体か改築されている。
蔵が1棟記載があるが未確認。
その中で名残りがあったのは
「O氏邸 店舗」
所在地 小樽市高島3丁目
建築年 不詳
構造 木造
住宅は大正7年の建築であったが現在は綺麗に新築されている
だが隣接している店舗か倉庫は古い建物のようだ。
2022年3月撮影
車道を超えて漁港のある海側に行ってみる
上のO氏邸も海側だが、古くからの住宅が現存していた。
立派な玄関だが雪かきがされていないので空家のようだ。
さらにマニアには有名な未成マンション。
3階部分で建築を停止し鉄筋が延びたまま
裏側は壁が未施工である。
内部はもちろん敷地内にも入らないようにお願いしたい。
2022年3月撮影
港に出てみる
なんともいい眺めである。
奥にあるのは「弁天島」 海鳥の数がすごい
岩壁に漁船が係留され、そこに南北の長い施設がる おそらく魚市場と思われるが
南端は廃墟化しているように見えた。
ただ意匠などモダンな箇所もある。
2022年3月撮影
そのまま北端から海沿いに狭い住宅街を抜けると
目の前にレンガ色の年期を感じる建物があった。
「北海道麦酒酒造(株)」
所在地 小樽市高島1丁目8-16
建築年 不詳(おそらく1990年代?)
構造 鉄筋コンクリート4階建てと思われる。
この建物は見た目ほど古くはなかった。
1980年代と思われるが、ここに「フィッシャーマンズハーバー」という
海鮮のレストランが出来た。
その後にこの建物が「ロシア美術館」として建設された
当時は外壁はブルーに塗装されていたようです。
その後、海鱗丸ビールとしてクラフトビール製造を始める
隣接して新しいフィッシャーマンズハーバーが建設される。
会社倒産により、現在は北海道麦酒酒造がクラフトビールを製造販売している。
こちらが旧フィッシャーマンズハーバー
2022年3月撮影
敷地内は立入禁止のためギリギリ敷地外から撮影。
もっと古い建物かと思った。
個人的には初代のフィッシャーマンズハーバーに一度だけ利用あり。
すごく人気のある話題のお店だった。
現在の店舗で復活してくれたらよいが…。
旧荒田商会、旧高橋倉庫(再訪)
「小樽の建築探訪」では旧荒田商会と旧高橋倉庫は同じナンバーで記載されている
それはこの2館が中で繋がっていることからかと思う。
高橋倉庫が大正12年、荒田商会は昭和10年の竣工です
ニトリさんの芸術村構想ではいち早く、この2館にステンドグラス美術館が作られた
運河に面している旧荒田商会には受付と売店、トイレなどがあり
奥の旧高橋倉庫にステンドグラスがある。
繋がっている
高橋倉庫を裏側から見たところ
共通チケットを受付に渡して入館
すぐにファミリー客やカップルが出てきた。
中は他の館より客が多い
ほとんどが若い人でカップルや女子カップル、ヤングファミリーなど。
後ろを振り返ると倉庫なのがやっとわかるくらい中は洗練されていた
素晴らしいステンドグラス群である
素人で何もわからぬが素晴らしいことはわかるつもりだ。
ここはステンドグラスを見るための施設であり、倉庫や古い社屋を見るものではない
ここだけ見るなら700円
私なら3館全部見れる共通チケット(2,000円)にするなぁ
今回来れたことでしばらく内部まで見ることはないだろう
ただ新しい風が吹けば眠っていた建物も内部が見れることもあるし
ニトリのような救世主が現れたらまた見に来てみよう。
小樽芸術村は施設3館が囲む形で広場がある
季節柄風鈴が取り付けられ爽やかな風に音を合わせている
バックに旧越中屋ホテルと旧三井銀行小樽支店を写るようにして撮影し、小樽から離れた。
2021年8月撮影
旧三井銀行小樽支店(再訪)
「小樽の建築探訪」の発刊時は「さくら銀行」であったが、ここからは竣工時の「三井銀行」名を使います。
一つ前のレポートで旧北海道拓殖銀行小樽支店が似鳥美術館である旨紹介したが
この建物もニトリさんが所有する「小樽芸術村」の一つです
似鳥美術館と違い、こちらは銀行建築そのものを魅せる施設になっており
レトロの建物好きにはぜひとも中を見てほしいですね
入館料は3館セットで2,000円、この建物だけなら500円なんだよね
昨年の写真だが実に堂々としたファサードで銀行建築ならここが一番好きだ
エントランスから中に入り3館チケットで入場
1階の吹き抜けが素晴らしい窓口業務の場所からスタートだ
大理石の大きなカウンター
天井装飾、古い電話室やカウンター内側、中央階段に応接室に金庫室にと見どころが多いね
1階にはステンドグラス(何でも鑑定団に出たんですって)とプロジェクションマッピング、それとガラス細工などが
過去にはなかったもの その程度なので昔の銀行内部を充分に見ることが出来た
窓口内部にある中央階段から2階へ上がる
2階からは、こんな感じで見える
会議室や応接室、支店長室などが2階に
下を覗いてみた 実に重厚
次に地下へ降りてみる
この床の模様が良かったなぁ
地下には金庫室がある これは主に個人用で金庫室の周りが回廊になっている
1階の奥にも金庫室
MITSUI BANKの文字有り
この中は歴代の看板だ
この銀行はなんと2002年まで営業していた
その後、石屋製菓が所有し現在はニトリが所有している
似鳥社長は特に小樽の歴史的建物を所有し、見学を出来るようにしてくれている
理由はあれどレトロ建物ファンとしてはとてもありがたい人だ
なるべく手を加えていないこの旧銀行は特に好きだなぁ
思えば15歳くらいのとき、海外短波放送の受信に凝り
今は亡き親父にこの銀行に連れてきてもらいアメリカの会報誌を購読するため
ドルを送金した
そのころから重厚なこの銀行に緊張した
懐かしいことを思い出させてくれた。
2021年8月撮影
旧北海道拓殖銀行小樽支店(再訪)
前回のレポート(旧小樽商工会議所)の続きでお盆のお参りのあと行って見た。
旧北海道拓殖銀行小樽支店の現在は似鳥美術館です。
昨年は外観だけの撮影で終わったが、今回は時間がありかつ有料施設で今般の状況では
混雑をしていないと判断した。
この建物の隣にあるコインパーキングは「小樽芸術村」の3館入館チケットを購入すると
2時間無料になるので重宝である。
それでは内部へ
銀行建築としてエントランスは重要であり、当時の威勢を見るかのようだ
まずは似鳥美術館の受付で3館分のチケットを購入し、駐車券にスタンプをもらう
展示は階層ごとにテーマが分かれており、まずは1階から
ここは旧銀行の窓口にあたるので吹き抜けの天井や
太い円柱は竣工時のもので見事だ
床や壁の模様は銀行の後に営業したホテルが造作したようだ
ステンドグラスが素晴らしい
似鳥社長の趣向が伺えそうだ
次に2階へ上がるがエレベーターはもったいなく階段を利用する
やはり階段が素敵だ
エレベーターは2基あるが、1基の意匠がいい
2階は半分が吹き抜け部分で
できればテラス状の廊下に出たかったが出来ないようだ
2~4階の展示ホールは撮影禁止
日本画の大家の作品が中心で私でも知っている横山大観や葛飾北斎など
ホール前は撮影もいいだろうと
4階旧階段部から下を覗く
興味深かったのは竣工時の階段を撤去したあと いわゆる第二階段か
ホテルの開業時に撤去したらしい
現在は美術館が再度新しい階段を設けた
こんなところにニトリさんの建築物に対する取り組みや意向が見える
地下は撮影OKなので行って見た
まず金庫室を改装した展示部屋があった
これは入口上部にあったもの
地下のテーマはアールヌーヴォー・アールデコ グラスギャラリー
ほとんど興味がないものだったが実際に見て廻ると面白く
何事も体験してみるもだよね
美術館など入った覚えがないが、とても楽しかった
この後に2館へいかねばならなかったので駆け足になったが、3階4階の絵画などは本来はじっくり見たいところ
建築内部でメインの1階がステンドグラスが素晴らしすぎて建築の意匠がやや薄れているか
それでも長い年月に様々な使われかたをされて、綺麗にもされている
この建物の歴史は
大正12(1923)年に北海道拓殖銀行小樽支店として竣工。 かつての社員として作家・小林多喜二が働いていた
平成元(1989)年 小樽ホテルが開業 この時に宿泊施設として改装された
平成7(1995)年 小樽ペテルブルグ美術館が開業
平成14(2002)年 ホテル1-2-3小樽が開業 *ホテル1-2-3は関東から九州まで現在は9ホテルを経営をしている
平成18(2006)年 ホテルヴィブラントオタルが開業
平成29(2017)年 似鳥美術館が開業
このように銀行の後はホテルと美術館が切れ目なく活用している
そのたびに補修や修復が行われているのが古い建物でも綺麗に見えるところだろう。
確認したいのは小樽ホテル時代に旧ソ連の都市名の部屋があり(レニングラード)、
次の活用がペテルブルグ美術館(ソ連前のレニングラードの都市名)
小樽市はソ連時代からナホトカと姉妹都市であり、小樽港にもソ連の船が多く入港していた
その関係でロシア系の名前が使われたのか、経営、市の関係か、ただの偶然なのか…
ちょっと気になった。
2021年8月撮影
旧小樽商工会議所(再訪)
小樽市内の色々を紹介している有名なブログ様に
旧小樽商工会議所のフェンスが取り払われたとの情報があり、お盆のお参りのあと行って見た。
トップ画が今年8月の撮影
これが昨年10月の撮影
写真の右側に工事中のシートが掛けられているが、完成しています
ホテルで「ホテルWBFイルオナイ小樽」といいます
このホテルの一部として再利用されることになりました
外観からは伺えないが内部のリノベーションは済んだかも知れません
朝食会場にするのか客室にするのか興味ありますね
コロナ過のため開業を延期していたようだが、フェンスを取ったということは
近いうちにオープンする可能性がありますね
このフェンスのおかげで昨年の撮影は消化不良だったので
情報がありがたかった!
この写真の右側に写っているように1階が新築のホテルと連結されています
また駐車場のラインも綺麗に引かれていますねぇ
2021年8月撮影
小樽で歴史的建造物のホテル再活用は
旧北海道拓殖銀行小樽支店をリニューアルした小樽ホテル~ホテルヴィブラントオタルが
似鳥美術館になったので「旧越中屋ホテル」だけでした
それが2館になるんですね
機会があればぜひ内部も拝見したいのでしばらくHPを注視しよう