札幌・北海道のレトロ建物大好きおぢさん日記

札幌(北海道)のレトロでモダンな建物を見たり撮影するのを趣味としています。

小樽 蔵めぐり ①

2021-10-18 18:37:38 | 小樽市

 

前回は札幌のレンガ倉庫を廻った記録だが、今回は小樽の蔵です
小樽市には石造りの蔵が多い
企業にしろ一般住宅にしろ歴史が伺えるものが多いのも小樽の特徴と思う
参考図書は資料として素晴らしくかなりの軒数が記載されているが廻ったのは半分を少し超えたところ
今後、機会をもち追加していきます。

*参考図書「小樽 蔵めぐり イラスト帖」2017年6月16日発行
*一般住宅の名前・住所は略で 地図は載せません

 

「カフェバーcanal   旧向井呉服店支店倉庫」 現CANAL運河

 

稲穂1丁目4-13
明治40(1907)年建築
木骨レンガ造り4階建て
市指定歴史的建造物第73号

4階建てのレンガ倉庫は珍しいのと、歴史的建物が多い運河や小樽ウォール街とはやや離れているので
地域で目立つ建物。

元は呉服店が左隣にあり、その倉庫であった
現在は所有者がカフェを営業していたが閉業したようだ?
隣のビルとの間に「レンガ横丁」いわゆる屋台村があるが、この倉庫から取った名前ではないか。



「龍宮神社蔵」

 

稲穂4丁目11-11
明治34(1901)年建築
木骨石造り2階建て

龍宮神社は小樽市内でも中心部にある神社で、その参道は坂道で海まで続く
この倉庫は龍宮神社の下にあり、隣も倉庫である
以前は隣をラーメン屋が営業したときは接続されていたのでラーメン屋の一部のようだった
現在は敷地内に福祉施設が新築され表通りからは陰になっている。

所有は神社でも様々な使われ方をしており質店や焼き肉店にもなった
妻側の「志」のマークは質店時代の名残りであろう。



「喫茶店 叫児楼 旧田居呉服店蔵」


稲穂2丁目17-17

大正14(1925)年建築
木骨石造り2階建て

元は呉服店の蔵で隣が店舗であった
その後は質店~酒場などに活用し1976年に店を借り受け喫茶店になった

現在はツタが全体を覆い、どんな建物かわかりづらい
堂々とした石造りで細い入口は後から付けたのではないか

叫児楼は小樽の個性ある喫茶店の代表でもあり
長い間ファンを作り続けていた
現在は店に出入りしていた常連さんが二代目としてマスターとなった。



「曲サ佐藤倉庫 旧松田倉庫」

 

稲穂5丁目3-7
明治時代建築
木骨石造り2階建て

元の所有者はここでニシンを入れる箱を製造していたとのこと
その後、建築施工会社の曲サ佐藤が購入し作業場として活用
現在は機械化が進み機材倉庫で使用のように見える

この倉庫を見るのは廃線になった手宮線を散策するときが良い
以前はここを機関車が走っていたのである。



「新海金物店蔵」

 

稲穂1丁目3-5
明治38(1905)年建築
木骨石造り3階建て

新海金物店は古い街小樽でも老舗中の老舗
その店舗はアーケードのあるサンモール一番街で中心部にある
店舗の窓の上飾りの意匠なども歴史を感じる

倉庫は店舗を横に入ったところにあり道路に面している
夏になればここもツタが這い表面が覆われるのだろうか



「北海道タオル倉庫①」

 

稲穂1丁目2-8
明治22(1889)年建築
木骨石造り2階建て

この倉庫は元々漁具をしまう倉庫として建てられ
北海道タオルが取得したときはまだ魚の匂いがしたとのこと

明治のころは海はすぐ近くだったようだ
倉庫は日銀通りに面していて人も車も多い 綺麗な白い窓はたくさんの目を引くだろう

 

「北海道タオル倉庫②」

 

稲穂1丁目2-8
明治22(1889)年建築
木骨石造り2階建て

表通りに店舗と倉庫①があり、そこから建物沿いに中道に入ると奥にもう一つ倉庫がある
窓が引き戸になっているのが特徴
軟石は小樽産と言われる。

 

「北海道タオル倉庫③ 旧小黒商店倉庫」

 

稲穂2丁目2-2
明治38(1905)年建築
木骨石造り2階建て

北海道タオルの前身が小黒商店で、その創業時の倉庫
当時は呉服の販売会社であった

場所は現店舗から日銀通りを渡った中小路にある駐車場の奥に倉庫がある
ビルの裏手でもあり、あまり人目に触れない場所にひっそりとある

 

 

「H氏邸蔵」

 

花園2丁目
明治38(1905)年建築
レンガ造り2階建て

元は材木商の自宅と蔵だったようでどちらも見事な造りになっている
レンガ造りの倉庫は目立ち、庇や窓の造作も素晴らしい

表通りには住宅が面しており倉庫は小路に入らないと見えない
その住宅にまず目を惹かれるだろう
しかしH氏邸は現在は堀に囲まれ住人は居ないようで今後どうなるのか気になる。

 

 

「E氏邸蔵 旧久野回漕店蔵」

 

花園2丁目
大正時代建築
木骨石造り2階建て

嵐山通りにあるお屋敷で和風住宅と石造りの蔵で趣がある

久野回漕店は施主の祖父で廻船問屋を営んでいた
窓には板張りが多く使用され鉄製の窓とは違う見どころがある
堀を巡らせた和風住宅も少なくなり残してほしい建物だ。

 


札幌のレンガ倉庫

2021-10-12 22:19:45 | レンガ倉庫

 

札幌市には「札幌軟石」を使用した石造りの倉庫と
レンガ造りの倉庫があります。

大型のレンガ造りといえば札幌では「旧北海道庁」や「札幌ファクトリー」など
函館では「金森倉庫」などが有名ですが

ここでは個人所有のような小型のレンガ造りの倉庫を記載していきます。

 

レンガ造りの倉庫がよく見られるのは豊平区、南区、清田区で
これらの地域は昭和30年代まで「りんご」の栽培が盛んな果樹園が多かったのです
そのりんごを保管するためにレンガで倉庫が作られ現存しているものが多い。

月寒、西岡、福住には昔煉瓦工場があったことも要因かと思う。

特に西岡や福住には有名なレンガ職人である「長浦数雄」氏が手掛けた作が残されています


*今回は「とよひら煉瓦散歩」 2005年3月発行 とよひら煉瓦発掘会様の本を参考にしています

 

まずは国登録の有形文化財に選ばれた2軒

「旧沼田家りんご倉庫」 現(LLOYD'SCOFFEE西岡店)

豊平区西岡4条10丁目
札幌景観資産 国登録有形文化財
【建築年】昭和28(1953)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

水源地通りに面した地域のランドマーク的な建物
以前はりんごの保管倉庫だが職人気質が見られる細かい造作が随所に見れる
現在は珈琲豆の販売店で購入者のみ内部を見ることが出来る。

2020年9月撮影

 

「柳田家住宅旧りんご倉庫」 

豊平区平岸2条5丁目
国登録有形文化財
【建築年】大正8(1919)年【構造】レンガ造 【施工】

札幌市で現存する最古のレンガ倉庫と言われる
平岸地区もリンゴの栽培が盛んであった
平岸街道の中央分離帯には、リンゴの木が植えられ実をつける。
端正な倉庫はイギリス積の造りで軒飾りがある。

敷地外から見るだけで、内部を見ることはできなかったが
現在は空間レンタルスペース「Apple Lodge」としてリニューアルオープンしバーもイベントもあり。


2021年3月撮影




同じく平岸には有名な倉庫がある

「旧中井家りんご倉庫」 

豊平区平岸3条2丁目
札幌景観資産
【建築年】昭和10(1935)年【構造】レンガ造 【施工】

かつては平岸街道沿いにあったものを曳家で20メートルほど中に入った場所になった
外壁のれんが積みには、断熱性を高めるために中空を設けてれんがを積む「小端空間積み」と呼ばれる工法で作られた。
なお後部には札幌軟石の石蔵が隣接している。

現在はYOSAKOIソーランで有名な平岸天神の太鼓道場として使われている
内部観覧は要相談で。

2020年8月撮影



 

「ながおか商店倉庫」 

清田区清田1条2丁目
札幌景観資産
【建築年】昭和32(1957)年【構造】レンガ造 【施工】

旧国道36号線にあり、商店の食料貯蔵庫として建てられ昭和50年代まで使われた。

小学校の前にあり、子供たちにも印象に残るだろうね
今だ綺麗なレンガ倉庫は施主の愛着のたまものではないか

当時はかなり高価な建設費の倉庫だったようだ。

2020年8月撮影

 

 

「八鉱学園 栗林記念館内 白煉瓦のリンゴ倉庫」 

豊平区月寒東1条12丁目

【建築年】昭和31(1956)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

八紘学園は設立者の栗林氏が豊平区月寒の広大な吉田農場・牧場を購入し学校法人を設立した。
 
栗林記念館は旧吉田家の住宅を昭和20年まで住居として使用してその後に記念館となる。
現在はコロナ過もあり見学は出来ません
よって門外からの撮影となりました。

住宅と別の方角、木々越しにかすかに見えるのが白煉瓦の倉庫
これは材料やセメントを混ぜることによって白くなるそうだ
いつか記念館の庭が見学で開放されたらきちんと撮影したい。

 
 
2020年11月撮影

 
 
 

「K氏家りんご倉庫」 

豊平区福住2条6丁目

【建築年】昭和29(1954)年【構造】レンガ造 【施工】

倉庫というよりは農家住宅と思ってしまうくらい見事な倉庫だった
ギャンブレル屋根が印象的だが、ドアや窓の上部に煉瓦の庇があり装飾に見える

1階にはりんごや農作物を保管し、ほかに馬や鶏のために使用しているそうだが現在は?
2階には柱がなく、牧草の出し入れが楽だそうだ。

2021年3月撮影

 

 

「M氏家りんご倉庫」 

豊平区福住2条7丁目

【建築年】昭和37(1962)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

正面両サイドの扇形の飾り積みが見事である
塗りこまれた色や施工法など技術の高さがうかがえる。

横側にある継ぎ跡は、都市計画により倉庫を2メートルほど切り詰めたという
作業にはクレーンを用いた大仕事であった

長浦氏の作品を残すべく施主が判断したのであろうか。

 

2021年3月撮影

 

 

「IT氏家りんご倉庫」 

豊平区福住2条10丁目

【建築年】昭和41(1966)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

この倉庫は職人長浦数雄氏の最後の施工と言われる
1階、屋根裏、地下室から成り立ち、基礎はフランス積み
外壁がアメリカ積み、地下室内部はイギリス積みと集大成のような作だ。

撮影時は雪がまだあったのでわからないが、下部に7本の土管を使い地下室の換気をしている
(1枚目の下部に少し見えている)

装飾一つ見ても見事な煉瓦の建物である。

2021年3月撮影

 

 

「IZ氏家りんご倉庫」 

豊平区福住2条9丁目

【建築年】昭和40(1965)年【構造】木骨レンガ造 【施工】

こちらの倉庫は木骨煉瓦造りである
半分はりんごの選果場として、半分は貯蔵庫として使われた。

断熱材や換気方法の改良で倉庫深さを浅くすることが出来、りんご箱の出し入れの効率を上げた
各地からの見学が絶えなかったとのこと。

2021年3月撮影

 

 

「MM氏家りんご倉庫」 

豊平区福住3条9丁目

【建築年】昭和40(1965)年【構造】レンガ造 【施工】

この倉庫は敷地の外から見るしかなく、このくらいの角度がせいいっぱいである
1階は中に入ると深く地下へ掘りこまれており野菜を保存するムロのようになっている。

換気筒が取り付けられ適度な温度と湿度が保たれている
壁の一部にガラスブロックが埋め込まれ採光に一役買っているそうだ。

こちらは住宅にも煉瓦が使用されており、視覚的にも効果的な使用に見えた。

 

2021年3月撮影

 

 

「Y氏家りんご倉庫」 

豊平区福住1条8丁目

【建築年】昭和30(1955)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

この倉庫も角度的に敷地外からは見えずらかった
正面には扇形の装飾があり残念ながら姿を見ることはできなかった。

内部に札幌軟石を使用したり施主はじめ家族も建築に関わったという珍しい倉庫です。

 

2021年3月撮影

 

 

「MN氏家りんご倉庫」 

豊平区西岡4条13丁目

【建築年】昭和32(1957)年【構造】レンガ造 【施工】長浦数雄

倉庫が立っている場所に驚いた
普通は住宅などの敷地内でよく見るのだが、この倉庫があるところは
広々とした畑の一角だった それゆえに好きな角度から見ることが出来た。

りんご倉庫、米蔵として使用され、今はお山を見ながらのんびりと四季を楽しんでいるように見える

それだけ素敵なロケーションだ。

2020年9月撮影

 

 

札幌には蔵や倉庫が現在もまだまだたくさんあり、飲食店に活用している例もある
また豊平区ではりんご倉庫であったが東区にはタマネギを保存する倉庫になるね
地域の特色があって面白い。

今回は豊平区の倉庫を中心に回ったので、他の区の煉瓦倉庫も見ていきたいと思う。