函館市は道内有数のレトロモダンな建築物が多い街
個人的には札幌よりも小樽市よりも多いと思う。
地理的な意味合いが強いと思うが、住人の意識もあるのではないか
さて「元町」はそんな函館市の中でも観光地化された建物が多い町だ。
町ぐるみで建物の景観を守っているし、大きな教会や寺院、公的な建物と民家が混雑しており散策だけでも十分に楽しめるはず。
紹介の順番は北海道新聞社発行の「函館の建築探訪」1997年発行のNO順で行きます。
もはや20年以上前の本なので現存していない建物もあり。
「旧函館区公会堂」 *函館の建築探訪NO1
[夏季]4月1日~10月31日
火曜日から金曜日 午前9時から午後6時まで土曜日から月曜日 午前9時から午後7時まで
[冬季]11月1日~3月31日 午前9時から午後5時まで
[休館日]12/31~1/3
[入館料]一般300円 (2館~4館までの共通入館券もあり)
現在の公会堂の建設には地元の豪商である相馬氏の寄付が大きい
修復の度にカラーが変わったりしており常に綺麗でいるイメージがある。
内部は特に2階の大会場が素晴らしい
メダリオンがあるシャンデリアが諸所に使われており装備品にも見る価値がある。
函館市内では有数の観光名所であり、団体や修学旅行生も多い
近くの旧イギリス領事館ほかと合わせて1~4館までの入館料を選べるのはうれしい
時間があればライトアップされた夜も見ておきたいところ。
2022年6月撮影
「旧北海道庁函館支庁庁舎」 *函館の建築探訪NO2
公会堂の真下にある「元町公園」の中にあるので公会堂からも屋根から下が見える
建物は平成6年に復元工事(一部)で完成されたもの。
見晴らしの良い場所に堂々とした建物が立つ姿は、これらの建物を可能な限り
残すという函館市の心意気をみるようだ。
現在は「函館市歴史写真館」として活用されているが、どうやら飲食店が入居する予定で楽しみだ。
2022年6月撮影
「旧開拓使函館支庁書籍庫」 *函館の建築探訪NO3
明治初期のれんが造りは貴重である
製造所は当時、旧上磯町の矢不来神社の境内裏にあったという。
れんがには製造所と年号を示す小さな刻印があるとのこと。
「元町公園」内にあり、公会堂と旧市庁舎とセットで見学されることが多い。
2022年6月撮影
「開港記念館」 旧イギリス領事館 *函館の建築探訪NO4
午前9:00~午後7:00(4月1日~10月31日)※ショップ・カフェについては,午前10:00~午後4:00(LO.午後3:30)
午前9:00~午後5:00(11月1日~3月31日)
[休館日]年末年始
[入館料]一般300円 (2館~4館までの共通入館券もあり)
旧イギリス領事館のほうが馴染みがありそうだ
場所は「元町公園」のすぐ下にあり、観光名所の中の一翼を担う。
白い壁に青い窓枠、そして屋根は瓦葺きで印象的な建物だ
見学は中庭とショップとカフェが無料、施設内は入館料が必要。
今回は公会堂との2館セット(500円)で内部を見学し
カフェも利用した。
外では観光客がバラをバックに写真撮影中であった。
2022年6月撮影
「相馬家住宅」 *函館の建築探訪NO5
9:30~16:30(最終入館16:00)
[休館日]毎週水・木曜日・12月1日~3月31日 冬期閉館
[入館料]一般900円(カフェでのお茶代含む)
公会堂建設の多額な寄付など、相馬氏は函館市はもとより北海道を代表する豪商であり、その住宅が現存している。
広い敷地に建つ家を包むように黒堀で覆われており、内部はチラ見程度でしか見えない。
大きな正面玄関に洋風の応接間、大きな土蔵と見るべきものがたくさんありそうなお屋敷だ
今回の旅では見学の予定があったが土砂降りのため、他日に譲ることになった
まことに残念であった。
2022年6月撮影
「高橋病院天使寮」 旧海員ホーム *函館の建築探訪NO6
竣工時は「海員ホーム」であったので社交場としての1階大広間などが
当時のままであるという。
建物は「日和坂」に面しており、この坂も建築物探索には重要な坂だ
すぐにそれとわかるチョコレート色の壁と白いハーフティンバー風の木骨がとても印象的。
現在は「高橋病院」が活用している。
2022年6月撮影
「小熊家住宅」 旧佐田家住宅 *函館の建築探訪NO7
著名な建築家であり、旧帝国ホテルの設計でも有名なアメリカのF.Lライトの
弟子でもあり北海道における建築家の先駆けである田上義也氏の代表作のひとつ。
先の高橋病院天使寮を少し登ると左手に中小路があり、入っていくと奥に個性的な住宅がある。
幾何学モチーフのデザインはこの頃の田上氏の作品に多く見受けられる。
2階の柱の意匠などライトを彷彿とさせ、人目につく逸品と評される。
またこの邸宅を表現するのに、よく「プレーリースタイル」と言われることがあるが
これはF.Lライトによって作成された ‘水平線、広い軒が張り出した平らな屋根または寄棟屋根、水平方向の帯にグループ化された窓、景観との統合、堅固な構造、職人技、装飾の使用における規律によって特徴づけられる‘
数年前までは喫茶店が営業しており内部見学が出来た
ぜひとも復活してほしい。
2022年6月撮影
「八花倶楽部」 旧岡本家住宅 *函館の建築探訪NO8
元々は「函館製網船具㈱」の社長であった岡本康太郎氏の自邸として建築された。
すっきりした三角屋根の正面も良いが、東向きのアーチ屋根と窓が印象的だ。
またステンドグラスを一部使用している。
その後、現在までにいくつかの飲食店が入居したりしており
利用するなら内部も見ることが出来る。
2022年6月撮影
「ペンションはちまん坂」 旧小林家住宅 *函館の建築探訪NO9
11:00~15:00(火曜日~土曜日)
定休日:月曜日・日曜日・祝日
元は一般住宅で、隣の家も似たようなデザインだった
残念ながら隣家は解体され、以前を知っている人には1棟で寂しそうに見えるかも。
鋭角な切妻屋根と妻壁の意匠、向かって右側には上げ下げ窓が並ぶ
老朽化となり平成6年に改修しペンションとなった。
その後は1階を利用して食堂として営業している。
2022年6月撮影
「I氏家住宅」 *函館の建築探訪NO10
「函館の建築探訪」には現役住宅が数軒あり、名前は配慮し地図は載せていない。
この建物はお屋敷レベルの住宅に見える
表通りから中に入った場所にあり、洋風住宅が多く観光客の多い元町にこの場所は実に閑静に感じる。
表門、玄関、2階の窓桟などをじっくり見たいが、やはり長く留まらないようにしたい。
2022年6月撮影
「花かんろ」 旧土沢商店 *函館の建築探訪NO11
角地にある建物は以前は商店であるが、現在も飲食店である。
隣の「菊泉」とともに地域の重要な観光施設であったが現在は休業中のようだ。
正面から見ると奥に鎮座する2階部分が気になるが、これは平成6年に
喫茶店として再活用する際に増築したものである
昔の「たばこ」の看板がいい味を出している。
2022年6月撮影
「日和館」 旧寺根家所有建物 *函館の建築探訪NO12
営業時間、火曜日~金曜日11時~3時
土、日曜日10時~4時
定休日、月曜日その他不定休があり
函館市は函館山から派生する坂道が有名だが、それらをつなぐ「横の道」も
多くの歴史的建造物があり重要である。
日和館は日和坂と「港が丘通り」に面しており、館の前を通り公会堂へと向かう観光客も多い。
建物は幾度の改修や塗装を重ね、とても綺麗だった
洋風の個人住宅として現存しているだけでも素晴らしいこと。
22022年6月撮影
「K氏家住宅」 *函館の建築探訪NO13
枝番まで住所は出さないが、この住宅がある横に一列は
和、洋がバランスよく並んでいる場所だ。
住宅は見た通り白い壁がとても美しい洋風住宅
白い色は管理が大変なイメージがあり、汚れも目立つので
塗装の繰り返しになっているのだろうか
だとすると修繕費がかかると思うが…
大正年間に造られた洋風住宅だけピックアップしても面白いか。
2022年6月撮影
「遺愛幼稚園」 *函館の建築探訪NO14
この敷地にはかつて遺愛女学校があり発祥の地であった。
その後、明治40年の大火で焼失し、現在の杉並町に移転することになった。
幼稚園は大正2年に再設され現在に至る
幼稚園だけに敷地内部への進入は関係者以外は認められない
よって撮影された写真はほぼこの角度でしか見たことがない。
坂の上に上がっていくと別の角度で撮影を出来るが
やはり園の魅力はくし形ペディメントのある玄関部分であろう。
2022年6月撮影
「元町カトリック教会聖堂・司祭館」 *函館の建築探訪NO15
10:00~16:00(日曜日の午前中、礼拝時を除く) |
休館日 | 年末年始12月30日~1月5日、聖堂使用時 |
函館を語る上では「大火」は外せないようだ
おそらく地元の方たちには語り継がれていることかと思う。
明治40年と大正10年の大火により2度焼失したのが、この教会であった。
古い建物の建築年を見てみると、大火の年や次年が多いことに気づく。
元町カトリック教会は景観を彩る中で外せない重要な建築物でもある。
高さ33mの大鐘楼と司祭館はぜひ撮影したいところ。
聖堂にはローマ法王から火事のお見舞いとして豪華な祭壇が送られ現在も置かれている。
聖堂内の見学はできるが「撮影禁止」である。
2022年6月撮影
「函館ハリストス正教会復活聖堂」 *函館の建築探訪NO16
聖堂は工事シートで全体が覆われ、内部の拝観も出来なくなります。
元町、函館の景観建物で「ハリストス正教会」は非常に重要な建物だ。
函館の観光案内ではほぼ100%近く、この教会の写真が掲載される
異国情緒を感じさせる最も有名な教会と思える。
それゆえに耐震工事や修復をしなければならない
もう約2年前から工事をはじめ今年の12月に終了する予定だ。
果たして以前と変わらない姿でいるのかとても関心がある。