参考図書は資料として素晴らしくかなりの軒数が記載されておりますが、全軒訪問が近づいてきました。
次回が最終になり、その後は町ごとにまとめていきます。
*参考図書「小樽 蔵めぐり イラスト帖」2017年6月16日発行
*一般住宅の名前・住所は略で 地図は載せません
「A氏邸蔵」 【NEW】
富岡2丁目
建築年不明
木骨れんが造2階建て
富岡町は港を見下ろす絶好の土地で、古くから豪商や実業家や支店長クラスのお屋敷が多かった町。
特にこの蔵がある地域は急こう配の坂がある
ゆえに海方面の眺望は素晴らしいものがあるだろう。
以前は近辺にも蔵はあったが、みんな解体された
れんが造りの蔵はとても映えて地域で目立つ存在だ。
2021年4月撮影
「H氏邸蔵」 【NEW】
富岡1丁目
1926(大正15)年建築
木骨石造2階建て
この蔵は小樽商大に向かう地獄坂の途中にある
ただよく見るには中通りに入らなければならない。
富岡町のこの地区もお屋敷などが多い地区で
H氏邸のお向かいにも素敵な木造建築住宅がある。
蔵は写真を見てもらうと分かるが、屋根から両側に下がる部分がカーブして
柔らかい雰囲気を出している
これはあまり見たことがないねぇ。
2023年8月撮影
「小樽第一興産倉庫」 【NEW】
富岡1丁目1-12
明治時代建築
木骨石造2階建て
於古発川沿いにあり、すぐ先は国道5号線とJR陸橋が交差する。
小樽第一興産が取得する前の情報は不明だが、取得後は備品、商品の倉庫として現役である。
少し赤みがかった色合いは小樽軟石の特徴とのこと。
2021年12月撮影
「旧大阪屋呉服、質店 蔵」 【NEW】
銭函2丁目3-4
1925(大正14)年建築
木骨石造2階建て
現在はストアハウス大坂屋で営業しておりレトロな2階建てのカフェ・喫茶で人気がある。
場所はJR銭函駅と銭函海水浴場へ向かう道路沿いなので目立っているだろう。
建主の大坂屋にちなんでカフェの屋号は大坂屋から変えていない
現在の持ち主も店主も大坂屋自体とは関係がないらしい。
解体を検討中に喫茶として営業したいから貸してほしいと申し出たようです
おかげで銭函地区唯一の石造り建築が残った。
2022年2月撮影
「佐野邸蔵」 【NEW】
住ノ江2丁目
1911(明治44)年建築
木骨石造2階建て
母屋が別所に移転し独立してしまった蔵。
住ノ江町は住吉神社の西側にある高台の街で海方面がよく見渡せる
そのためかお屋敷なども多い地区であった。
蔵はいくつかの人の手に渡ったがその中にニシン漁場の親方がいたそうで
今でも蔵には漁網があるようだ とのことです。
2023年8月撮影
「旧山田商店 蔵」
末広町
1921(大正10)年建築
木骨石造2階建て
旧小樽市立手宮小学校の入り口で撮影をしていると、振り返ると石蔵が目に入った。
思い出したのは未撮影の蔵で家の陰になるので見ることが出来ない蔵があったこと
これはその蔵ではないか
確かに家の陰で全景を見ることは出来なかったが
屋号までは見えた
その屋号が「山田商店」から取った「や」であることがやっと判ったのだ。
2022年12月撮影
「U氏邸 蔵」
東雲
大正時代建築
木骨石造2階建て
東雲町はこの蔵あたりまでが平地で、あとは水天宮までの坂道に住宅がある。
建築時のここは料亭だったらしく、蔵はその名残かも知れない。
現在は月決め駐車場となっていた。
現所有者が取得したのは昭和34年だそうで、質店を営んでいたので
質蔵としてちょうど良かったのでしょう。
2022年2月撮影
「旧寿原邸文庫蔵」
東雲町8-1
1912(大正元)年建築
木骨か石造コンクリート仕上げ平屋
この邸宅は大正元年に当時「小豆将軍」で有名な高橋直治によって建てられ、
昭和9年に寿原外吉の所有となり昭和61年に小樽市に寄贈されたもの。
邸自体が小樽市の歴史的建造物に指定されており
ここ数年はNPOの努力により内部の無料公開をしている。
公開期間中は車は下の旧堺小学校グラウンドに停めてよいことになっていた。
和室や映画「Love Letter」で有名になった洋室と蔵の中も見ることが出来る
当時の豪商が建てたのは石造りのコンクリート仕上げだった。
大正元年にそのような高価な蔵を建てたのは特筆すべきことかも知れない。
内部は漆喰で仕上げている。
見せていただけるうちに、もう一度拝見したい。
2020年10月撮影
「M氏邸 蔵」
東雲町9-15
明治時代建築
木骨石造2階建て
以前は母屋があったことが壁の跡でわかる
蔵だけが残されたのは耐久からかも知れない。
水天宮方面から小樽市内に向けて下る一方通行路にあり
狭くて停車も出来ない。
すぐ裏が旧堺小学校のグラウンドなので、旧寿原邸とセットで見学が出来たらいい
他に旧光亭や旧板谷邸など見るべき歴史的建物が多い地区にある。
2022年2月撮影
「旧板谷邸蔵」
東雲町1-19
1927(昭和2)年建築
石造り2階建て
小樽の古い蔵は木骨石造りが多いが、旧板谷家の蔵は石造りである
これはやはり豪商ならではだろう。
水天宮から小樽市内に下る途中には旧寿原邸、旧光亭など歴史的名家が
あるが、旧板谷邸もそれに負けない建物である
和風の母屋に洋館が続き、蔵で終わる 小樽港を一望できる豪邸だ。
現在は背後に大きなマンション、横にホテル棟を新築し「海宝樓クラブ」として営業している。
宿泊すると朝食は洋館で食べれるようだ。
2020年9月撮影
「旧村住家別邸蔵」
相生町
1902(明治35)年建築
木骨れんが造2階建て
小樽の蔵は石造りが多いが、この蔵はれんが造りである
しかも100年以上建っているのに実に姿勢がよい蔵だ。
邸宅も歴史の趣がある
水天宮のすぐ下にあるので天狗山方向の眺めが良いかと思う。
現在の所有者は呉服関係の方だが、蔵は住居の一部として活用しているようだ。
2021年3月撮影
「旧宮下邸蔵」
若松2丁目
1909(明治42)年建築
木骨石造2階建て
現所有者の曽祖父が建てた邸宅と蔵
若松の住宅街には細い路地と密集した住宅街があり、この蔵がある場所もそうだ。
廻りとは違う柵がある邸宅と蔵は目立つ存在だ
正面からではなく裏手の方からも見えたのは、おそらくかつてはこの手前に別の家が建っていたのだろう。
蔵には貯蔵用の半地下があり、基礎には当時珍しい太い鉄筋を使用している。
一族で代々使用している邸宅と、堂々とした蔵はこれからも眺めたいものだ。
2022年2月撮影
「旧渡辺米穀店蔵」
潮見台1丁目
1916(大正5)年建築
木骨石造2階建て
この蔵は札幌から小樽への国道5号線から見える というかこの方向からしか見えないはずだ。
そこで近くで車を停め、国道5号線に沿う歩道から撮影した。
蔵は建築主の商売でコメ蔵として建てられたようだ。
100年を超える蔵の現在の所有者は、かつて1階を書庫にしようとしたら重さで
床が抜け落ちそうになった
その工事の時に基礎にかなり厚いコンクリートが敷かれていて珍しいと言われたそうな。
出窓の下見板張りに魅力を感じるし また母屋も和風住宅でよく管理されていると思う。
2021年9月撮影
「和光荘蔵」
潮見台2丁目4-1
1922(大正11)年建築
鉄筋コンクリート2階建て
和光荘は小樽を代表する洋風住宅で、元は北の誉酒造の野口氏が建築主だ
その建物から木々越しに眼下に自分の酒蔵が見える場所に建っている。
和風住宅も蔵も連なっているが、やはり有名なのは洋館であろう
すぐ下にある潮陵高校では卒業アルバムのクラス写真はこの洋館をバックにして撮った。
対して蔵についてはほとんど触れられずにきたようだ
鉄筋コンクリート造りは珍しく3階建てに見えるが2階建てである。
参考図書にあったが、確かにこの洋館の横には重厚な石造りより
この方が似合うのだろう。
さて私が撮影させていただいてから、数か月後に立入禁止となった
かつては入場料を取って内部見学をしていたが当分は難しそうだ。
だが貴重な歴史的建物の内部はぜひとも見たいのではないか。
2020年9月撮影