夜、かりなのお散歩に出掛ける。
こんな所に目目連?
夜のお散歩は、嫌がらずにスムーズに出掛ける。
やっぱり、獣だ。
獣と言えば、人間の食事中のかりなは、獣でしか無い。
隙を窺い食卓の上のお皿から盗み食いをしようとする。
アクションを起こしたらもう誰も止められない。一瞬の隙でやられる。
かりなも命懸けだ。やるかやられるか。
この戦いは食べ物がある限り続く。
注)餌はきちんとあげてます。
夜のお散歩の続き。
その日もかりなは、玄関の戸を開けると勢いよく飛び出す。昼間の引っ張りながら、宥め宥め歩くお散歩が嘘のようだ。
…と…
かりながいきなり止まる。
まだ、ほとんど家の近くなのに。
すぐそこの闇を見つめる。
「ん?何かいるの?・・・何もいないよ」
いつもそうなのだが、私には何も見えない。
暫くすると歩き出すだろう…なんて思っていたのだが。
その時、かりなが踵を返し家へと真っしぐらに走り出した。
引っ張る引っ張る!
玄関に真っしぐら。
何かがいたのか?
暗闇をじっと見つめることはあっても、走り帰る事は無かったのに。
玄関の戸を開けると一目散に中に入る。
「あゝ…きっと何かがいたに違いない」
夜は、お化けや妖怪や、何たって一番怖いのは人間だけど。
私には見えなくとも、かりなはきっと何かを見ているのだ。それも怖いヤツ。
結局、用を足してないままでは可哀想なので、お散歩をパス出来ずに、その夜は姉について来て貰った。
かりなが怯えた道を通る時は怖かったけど、かりなは何事も無かった様に楽しそうにお散歩を終えた。
今回のかりなは怖がり方が異常だった。
母は、私が怖がるから、かりなも怖がると言う。
行きたくない時は、かりなひとりで行ってくれればいいのにとは思うけど、怖がったつもりは無いけどなぁ。
こんな所に目目連?
障子のある家庭が少なくなったせいか?
おまけの話
何年か前、母とショッピングモールの下着売り場にいた時の話。
その売り場には、お客さんは無く、母と私とレジに店員さんがひとりいるだけだった。
向こうから大柄の化粧の濃い女性が歩いて来た。原色のスーツ姿でなかなかケバい。
下着売り場から靴下売り場に移った時、近づいて来たその人を見た。
「男の人?」
母と目配せをする。
そう、その人は姿は女性だけど、どう見ても男。見るからにかつらとわかるロングの髪、厚化粧の下には髭が生えかけている。
歩き方だってガニ股で、女っぽく振る舞う気はなさそうだ。
その人は女性の下着コーナーで何かを物色している。
何かの罰ゲームとしか思えない。
母と私はその場から逃げる様に立ち去った。
あれは一体何だったのだろう?
世の中は不思議であふれている。