飼い主母の誕生日に、飼い主姉、飼い主友人とカラオケに行った。
この日の主役の飼い主母の為に、事前に飼い主母の歌っている歌などをメモっていて、その歌を次々にデンモクに入れていく。
みんなお酒が飲めないので、テーブルにはドリンクバーのジュースと食べ物が並ぶ。
そして、あくまでも誕生日の主役の邪魔にならない様に、飼い主達も歌う。
しかし、日本の歌は別れの歌の何と多い事か。
そして、別れの歌が何故か、かりなに繋がる。
飼い主が歌いながら思わず
「かりなぁぁぁぁぁ」
と、叫ぶ。
飼い主友人が、目頭を押さえて既に泣いている。
別れて行く「あなた」を「かりな」に替えたりして歌う。
「なんでかりなは逝っちゃったんだよォォ」
カラオケがかりなの弔いに変わる。
「やめんかい!!」
悪ノリが過ぎたのか、飼い主姉の喝が入る。
そうだ!今日は飼い主母の為のカラオケだった
何でもかんでも、かりなに繋がる飼い主なのでした
ごめんねごめんねー
⭐︎おまけの話⭐︎
これは母の小さな頃の話。
れいこちゃんと言う可愛い女の子が近くのおばあさん家に疎開して来た。れいこちゃんとは、歳も近く直ぐに仲良くなった。
夏のある日、近所のお兄さんたちと川遊びに出掛けた。
川に入り2人で遊んでいると、深みにはまってしまい助けを呼んだ。
最初はふざけていると相手にされなかったが気付いたお兄さんに助けて貰い大事には至らなかった。
また、川に行こうねと約束をしたが、母が中耳炎に罹ってしまい、その日は母の家でお人形遊びをしようと約束した。
母は、れいこちゃんが来るのを待っていたがお昼をとっくに過ぎてしまい、今日は来ないのかと諦めた時、外が騒がしくなった。
「れいこが溺れて死んだぞ」
誰かの叫び声がした。
窓から外を覗くと、近所のおじさんがぐったりしたれいこちゃんを抱きかかえて走って行った。
れいこちゃんは、余程川で遊びたかったのか、近所のお兄さんについて行ったらしい。そのお兄さん達は今で言う不良の悪ガキで、勝手について来たのだから知る訳ないと言ったそうだ。
疎開して来たれいこちゃんは、前に助けてくれたお兄さんとの区別がつかなかったのだろう。
母は、未だにその時の事が頭から離れないらしく、川での事故のニュースがある度に、一緒にお人形遊びの約束をしたのに…と悲しげにれいこちゃんの話をする。
中耳炎で川に行けなかった母は何かに守られていたのかもしれない。
その川のその場所は、良く人が溺れ死ぬと言うので、れいこちゃんのおばあさんがお坊さんにお祓いを頼んだ。
それからは死人が出ていないそうだ。