アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

「ありがとう」という言葉の熱量

2016-11-30 | Weblog


 今朝は、小学校の旗当番。


 前夜のラジオで「あすの朝方は厳しい冷え込みが予想されます」と何度も言っていたので完全防寒の格好で受け持ちの交差点まで行った。が、どんな格好をしていこうが寒いものは寒い。旗当番がきつい季節が到来だ。


 自分の子どもはすでに卒業してしまっている。わが子が来ないのは寂しいが、それでも元気な子どもたちと朝のあいさつを交わすこの仕事は、いつも元気をくれる。


 さらに、今朝はいつもの旗当番よりうれしいことがあった。


 車の行き来が多くなってきた7時50分くらい。この時間帯のドライバーは遅刻ぎりぎりなのだろう。ほとんどがイライラした顔をしている。


 横断歩道なのだから本来、歩行者優先。横断しようとしている人を認めたら車が止まるのが決まり。教習所でも習ったはずだ。しかし、「決まり」だからと軽く考えて子どもを渡らせようとして危ない目にあったことは何度もある。車が強引に通ろうとしたり、もしくは本当に通っていってしまったこともある。


 確実に停車してくれると確認してからでないと子どもを渡らせられない。


 ドライバーも遅刻したら職場で大変なんだろうが、そんなものは子どもの安全とは比べるべくもなく。この時間帯は、少し強い態度で黄色い旗を掲げる。


 車が止まってくれた。さあ、子どもたちの一団を渡らせ始めた。


 「行ってらっしゃい!」。声を大きく、少し険しくする。子どもたちを速足で渡らせる技だ。


 子どもたちが渡りきりドライバーに頭を下げたとき、6年生とおぼしき女の子が「ありがとうございました」と、ぺこりと頭を下げてくれた。


 旗当番歴7年。「行ってらっしゃい」に対する子どもたちの返答は「行ってきます」、たまに「おはようございます」。


 「ありがとう」は初めてだった。


 寒さは、吹っ飛んだ。


 いつも思うが、「ありがとう」という言葉の熱量(エネルギー)はすごいですな。


 ある警察官に聞いた話。


 震災直後、福島市から原発被災地の浜通りに毎日通っていた。被災地に向かう途中、毎朝、福島市大波あたりで子どもたちが見送ってくれて「ありがとう」と車に向かって叫んでくれたという。「萎えそうな心を持ち直すことができた」と言っていた。


 急ぎ足で去っていくランドセルに、今度は声を険しくしないバージョンで「行ってらっしゃい」と声を投げた。



 こりゃ、来年度も旗当番はやめられませんな。

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